「まんず咲く」… マンサクの咲く季節となりました。
2005年2月、市内のそれこそ「打ち捨てられた」という表現が合うような斜面の藪の中で、開花するザゼンソウを見ました。
厳密に言うと、前年の夏にヤブ漕ぎの最中、あの独特の葉を広げる姿を見つけて、まさかまさかいやまさか、厳冬に花を見るまでは軽挙妄動を慎もうと自制して、ようやく確認したのです。市内にはこの氷期の遺存植物の自生地として知られる場所が他にありますが、ここは少なくとも私には未知でした。
以後、この地を訪ねて開花を確認するのが冬の恒例となりました。茨城の低地では貴重な植物なのです。少なくとも2010年まではそれなりの数が確認できました。ところがそれ以降みるみる開花する個体が減り、一株も咲かない年が続くようになりました。原因として私が考えたのは、周囲が開発された結果湧水が減って樹木が茂るようになり、この場所に陽が射さなくなったことです。ザゼンソウは開花に大量のエネルギーを蓄えねばならないのに十分な光合成ができなくなり、数年に一度しか花芽を作れなくなってしまいました。花を見るか否か、毎年がバクチです。さて今年は。
ザゼンソウの湿地。この季節に見ると陽が当たっているように見えますが、樹々の葉が茂る夏には真っ暗です。
シノブゴケがきれい。林床が高等植物ではなくこんなもので覆われるのも暗い証拠です。
散々探し回ってようやくいくつかの葉芽ようがを見つけました。あの暗紫色の仏炎苞ぶつえんほうを付けた個体はありません。残念ながら、今年は開花がないようです。
昨年見つけたキチジョウソウは今年も赤い実を付けてました。よかった。
新たに見つけたのはこのイズセンリョウもどき。あとで正確な種名が分かったらお知らせします。 判明しました。本来赤い実のカラタチバナ、その白実品種でした。
遠く北に去った一族が置いていったガラスの靴。ナガハシスミレ、サクラスミレ、ニッコウキスゲ、カザグルマ、たぶんカタクリやスハマソウもそうでしょう。ブログに書いただけでもこれだけあります。氷期が終わって一万五千年、みな健気に間氷期の温暖化した茨城の山野に生きてます。私にはどうしてやることもできませんが、せめてただ一人でも見守っていこうと思っています。
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