クワガタがいない。
羽化はしているはずなのに見つからない。原因はたぶんこの水戸の低温。気温が上がらないので樹液も出ない。樹液の出てる木がなければ探しようがありません。それでも県北はどうかなと高萩まで足を延ばしてみました。結局は空振りでしたけど。
クヌギの木の傍らにホタルブクロ。適度に日陰になるような林縁を好む花です。水戸では花期が終わりかけてますが,この山中ではこれからのようです。しかしこれが手強い。
野外でこの花を見たときのはっとした驚き,息を飲むような美しさというのが全く表現できません。いくら撮っても凡庸な写真になってしまいます。
思い通りにならないならいっそ汚す。うわあ気持ち悪い。ホタルブクロをこんな風に撮った奴がかつていたであろうか。
冗談ですごめんなさい。美しきものは美しき姿で。
さらにクワガタを求めて山中を行くことしばし。呼び止められた気がして見回すと,道端にピンクの可愛らしい花が群れていました。小さな女の子たちが一斉に笑いかけてくれてるように見えました。
小さいけど一輪一輪に繊細な光を宿す,さてこれは何だ。どこからどう見てもヒメフウロです。でもこんな場所にあるわけない。「本物の」ヒメフウロは四国の剣山や岐阜県あたりの石灰岩地にのみ産する希少種です。茨城のアスファルト道路の片隅に群生してるなんてあり得ない。…… 帰宅してネットで調べたら「ヒメフウロの帰化種」だと。日本では環境選好性が強くて希少種なのですが,外国では中国からヨーロッパまでの広い範囲に自生する雑草なんだって。それが今東日本を中心に帰化して路傍で普通に咲くという。日本在来のヒメフウロはどう思っているのだろう。ワタシはこんなに可愛いのよ,さあみんな言うことを聞きなさいなんてわがまま放題してたのが,もっと可愛くて素直な子が転校してきて全部持ってかれたなんて状況を想像して一人くくくと笑ってみたり。
日本の風露草はみな美しい。この帰化種も姿かたちはヒメフウロですから,実に日本的な調和の美があります。本来なら伊吹山あたりまで行かなければならなかったところを,その手間が省けたというか,見たかった映画がタダで見れてしまったようなラッキー感があります。
見たものは他にも。林床の一面にユキノシタが咲いていたのですがやけに白い。よく見ると花弁にあるはずの赤い模様がありません。葉も緑一色で赤いアントシアン色素がない。容姿だけだとハルユキノシタという種類に思えますが季節が違う。たぶんユキノシタの色素異常の株なんだと思います。
エビガライチゴ。イチゴっぽい実が生りますがこれは花。毛むくじゃらのがくはモウセンゴケみたいです。
サンショウの実がありました。棘のない品種でイヌザンショウかとも思いましたが,実の香りは本物でした。いま私の書斎で芳香を放ってます。
帰路の田んぼで…… おわかりになりますか,ミズスマシが二匹います。最近は目にする機会が減りました。
虫好きの同僚を喜ばそうとクワガタ探索をしているのですが,いつの間にか写真撮りが中心になってしまいました。平和です。
↓ いつものパターンの記事です。よろしくお願いします。