あははは、アクセスが減ったわよー。
…… 失礼しました。驚くことではなくて、連休とか盆暮れ正月とかは皆さんお出かけになるので、こんな雑記ブログのアクセスは減るのです。今は子供さんの夏休みでしょうか。皆さまが楽しい休日をお過ごしなら何よりです。
なーんて他人事みたいに書いてますが、私もささやかながら一泊温泉旅行に行って参りました。お隣の福島県には水戸から3時間ほどで行ける良い温泉がたくさんあって、昔まだ仕事に余裕があったころは毎年行っていたものです。恒例行事に復活させようかな、なんて。
水戸からは常磐道 → 磐越道。そのまま猪苗代や会津まで行くこともありますが、今回は郡山から東北道に抜けます。問題は同行の家族がとんでもない雨呼び体質なこと。さあどうなる。
常磐道からどしゃ降りじゃあコラ。ちなみに水戸は晴れてました。
しかしさすが私の身内です。雨も小降りになった磐越道で、ノロノロの車列を追い越し車線から過ぎ越して行ったらば
「今の銀のクラウン、覆面!」
うおおお危ない。ゆっくり走行車線に戻りました。気の毒に、私を煽るように急追していたデリカが捕まりました。あああ、楽しい休日が。覆面に気付いてくれた我が家族にはもう頭が上がりません。
標高1200メートル、吾妻山の中腹にある宿には1時過ぎに着きました。まだチェックインには早く、かといってあたりは一面の霧というか雲というか。時間つぶしに宿の裏山のブナ林に散策路があるというので行ってみることにします。降ってはおりませんが、雨は覚悟の上です。
おお、それなりに幽玄なブナ林。茨城県の最高点は1022メートルですから、ここはもう茨城人には未知のゾーンなのだ。…… 散策路という触れ込みでしたが、結構な登りです。
森の中にギンリョウソウの実。
倒木がぐずぐずに崩されています。クワガタの幼虫を見つけてメルカリで売ろうという浅ましい所業です。ああ、こんな所にまで現れるか。
やがて道は鬼面山や安達太良山に向かう稜線に出て、一面の草原になりました。可愛らしいピンクの花が一面に咲いてます。
ハクサンフウロです。
ウツボグサは下界のものより色が濃い。
バイケイソウに似たアオヤギソウ。
ホタルブクロ。
コウリンタンポポは北ヨーロッパ原産で、日本では北海道に広く帰化しています。偉そうに高山植物みたいな顔して咲いてますが、日本の自然の中では異質だぞお前。
無事ブナ林の散策路から戻って、まだ時間があるのでパンフレットにあるミズバショウの湿原に行こうと家人が言います。さっきの散策路同様歩いて行ける距離です。そのミズバショウは植栽かも知れないし、何よりこの季節は開いたキャベツみたいな姿のはず。気は乗りませんが、さっき覆面パトカーから助けてもらったので文句は言いません。
途中にあったのがタマガワホトトギスの大群落。
筑波山にもあるけど、申し訳程度の遺存分布です。こんな大きな本物は足を延ばさねば見られません。
その根元でヒバカリがじっとしていました。おとなしい無毒ヘビなので、手に取っても良かったのですがまあ家人と一緒なので遠慮しました。
さてその雨呼び体質の家人でございます。雨の車中ではこの悪天を呼んだのは自分であると意気消沈しておりました。しかし(私にはよくあることなのですが)トイレ休憩とか昼食とか先程の散策であるとか、車を降りるたびに雨が止むので気を良くしておりまして、湿原に向かう道すがらに言ってしまったいや言いやがったのですよ、禁断の死亡フラグを。
「今日は降られずに済んだね」
があああ、言うな言うんじゃないその言霊に満ちたセリフをっ …… あとの祭りでございます。発言から1分も経たぬ間にぽつぽつと降り始め、たちまちにどしゃ降りとなりました、あーあ。…… いやまあ想定内ではあります。結局ホテルのロビーで部屋の準備ができるまで待たせてもらいました。
ちなみにこれが今回のお宿、野地温泉ホテル。天然温泉の宝庫・福島県でも特にお風呂の素晴らしさで絶賛される古いホテルです。湯舟が6つもあって、私も女性専用以外をすべて制覇しました。いや~良かったあ。新旧の混在する館内の雰囲気も旅情を楽しませてくれて、また、今度は紅葉の季節に行きたいなあ。
さて翌日。今日は吾妻スカイラインを下って帰る予定です。途中の「浄土平」と「吾妻小富士」が観光のポイントですが、その途中に私のお勧めスポットがあります。普通のドライブでは見られない風景。道路沿いの駐車スペースに停めて、山道を登ること30分。
到着、高層湿原「景場平」です。標高1690メートル。
まさに天界の神々の遊ぶ庭。高層湿原じたいは珍しくありませんが、車からこれだけの時間で来れる場所は少ないと思います。
湿原植物、池塘ちとう、そして木道。
高山の花はちょうど端境期でした。それでもミズゴケ上にちらほらと。
目立つのはこの青い星のようなミヤマリンドウ。
空の青を映して。
チングルマの果実ができつつありました。じきに空へ旅立ちます。
コバギボウシ。
ホソバノキソチドリ。ランです。
オトギリソウ。同類のトモエソウなどはまだ花芽もありません。
モウセンゴケは花芽を開きつつありました。
ハクサンシャクナゲはとうに花期を過ぎ、スガれたのが残るばかり。
さあ困った。どう見ても下界にありふれたイヌツゲっぽいけど、こんな湿原にあるわけない…… と調べたら、ちゃんと近縁のツルツゲというのでありました。
実のあるものも。イヌツゲは黒く熟しますが、コレは赤くなるそうです。
森に戻ってエンレイソウ。早春が花期。
ゴゼンタチバナ。花より実が有名です。
キノコもありました。イグチの仲間です。
景場平、いかがでしたか。途中ぬかるみますけど、足回りさえしっかりすれば素人でも高層湿原の雰囲気を楽しめる、ジノ。お薦めのビューポイントであります。
浄土平に移動しました。気温20℃。快適です。
ここも一部、元の湿原が残されていて植物が楽しめます。これはオトギリソウ。
ヒメシジミ。茨城ではほぼ絶滅状態の、湿原のチョウです。
吾妻山は活火山であることがよくわかります。
レストハウスの名物ソフトクリームを食べてから
吾妻小富士に登りました。
浄土平が一望です。
ボクの車ここね。
噴火口を一周する「お鉢巡り」に挑戦しました。
こうして旅程を終え、無事に水戸に帰還しました。福島に行くたびに思うのは、火山があって高山植生があって硫黄臭漂う本物の温泉があって、いいところだなあと。茨城に無い物だらけです。何度でも行けちゃいます。私はもちろん茨城の自然を愛しておりますが、もし温暖化が進んで水戸が海没したなら、移住先は福島かなあ、うふふ。
帰路の磐越道でもやはりクラウンの覆面に捕まっている車がありました。私はというとすっかりパトカー恐怖症になって、前のトラックの荷台がぱっと開いてパトカーが滑り出すとか高速道の周囲の斜面がガっと開いてパトカーが飛び出すとか上空の輸送機からパラシュートでパトカーが空挺降下してくるとか、そんな幻想で水戸までビクビクしてました。しばらくは安全運転ができそうです。
↓ 昨年の日光旅行。あまり楽しんでません。
↓ ランキングサイトです。よろしければお願いいたします。