ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

お口直しにお花でも

 

   
  メノウ話が続きました。お口直しに玉川の路傍で見かけたお花でも。

 

 


 イボタノキ。よく生垣に植えるネズミモチと同属です。個人的にはいくつかの昆虫の食草であることが重要。イボタガとか。こういう在来生物どうしの繋がりって重要です。ついでに申し上げますと、今回ご紹介するお花のうち日本在来種はこのイボタノキを含めて4種だけです。

 


 ムラサキカタバミかと思ったけど念のため調べたらモカタバミでした。危ない危ない。どちらも種子を作らず、球根だけでどんどん版図を広げている帰化種です。問題にならないのは見た目が美しいから。ずるい。肉眼で見た目にはもっと赤みが強いのですが、たぶん紫外線を強く反射するのでしょう、カメラが反応して青っぽく写りました。これはこれで面白いのでそのままね。

 

   
 ウツボグサ。好きな花です。薬草名を夏枯草と言います。ここに生えていたひと群れ、薄い花色、ひょろりと伸びた姿と花期がちと早く感じたことから帰化種を疑いました。でも調べてみたらこれが日本の在来種。盛夏に田んぼのまわりで見かける丈の低いのが帰化種のようです。この夏はよく観察しようと思います。

 


 虫ですごめんなさい。オオモンクロベッコウ。狩りバチの仲間にベッコウバチというグループがあります。クモを専門に狩るハチです。クモに麻酔注射をして巣に運び込み、幼虫のエサとします。とはいえこんなデカいクモを狩るとは。いやそもそもこのあたりにこんなデカいクモがいたとは。驚きつつ顔を寄せたらクモを置いてジイジイと威嚇音を発してきました。…… 狩りバチの仲間はあまりヒトを刺さず、刺されても痛くないのが通例ですがベッコウバチは別。ものすごく神経質で近寄ると素早く毒針を一閃、これが痛い上に大きく腫れます。ちなみにこの仲間を「クモバチ」と言い換える人たちがいますがまあご自由に。

 


 ネジバナ。このありふれた花があるとなんだかほっとします。草地をそっと見守る妖精と言ってはほめ過ぎか。何言ってんだおっさんが。

 


 ノゲシ、のいじけたやつ。むしろこういうのが面白い。

 


 ホタルブクロ。こういう誰もがほめ称える美女はかえって撮りづらいなあ。みんながイメージを持っているし、なにより本人が自分の見せ方を心得ています。林縁の木陰にピンクの縦長の花を下げるなんて、ヒトの心理を熟知して視覚効果を駆使しているとしか思えない。花が美しければヒトに守ってもらえると、誰が教えたものか。

 


 悔しいので変なアングルで一枚。

 


 田んぼのあぜにマツバギク南アフリカの砂漠から来た奴が何やってんだ。どう考えても本来の生息環境からかけ離れた土地です。お百姓さんが植えたとすればかなりの手練れ、シャレのわかる方です。


 キクと付きますが拡大すればキク科でないことがわかります。ハマミズナ科という聞きなれない仲間です。

 


 で、拡大してひええ。マルトビムシが潜り込んで花粉を食べていました。こいつらこんなシノギもするんだ。

 


 ムシトリナデシコオオキンケイギク。近年の路傍のおなじみさん。オオキンケイギクは市民の手で駆除もされているようですが、いくらやってもすぐ周囲から再侵入してきます。

 


 ムラサキツユクサの大群落のはずが、あれれ? …… 今回、玉川のお花をなぜ突然ご紹介しようなどと思いついたかと言えば、じつは数日前に前記事のメノウ拾いに来た時に、ここに見事な紫色の花の群れがあったのです。その日は帰り道に写真を撮るつもりでした。ところが昼過ぎに来てみると花はすでにしぼんだあと。しまった午前花であったか。改めて撮りに来ようと誓ったのであります。まさかほんの数日で、クズの葉に覆われてしまうとは。自然界では植物も日々戦っています。日本と異なる環境で進化した帰化種は、人間が維持する環境でしか生きられないんです。ちなみにムラサキツユクサは米大陸から来ました。

 


 赤い実と紫の花が大好きなワタシ。

 


 雨続きで水を吸って半透明になった花びらなんてのもいいですねえ。

 


 さあご覧ください、ムラサキツユクサと言えばこれ、紫の数珠の連なり、おしべの毛です。この拡大写真が撮りたくて来たようなものです。

 


 高校で生物を選択なさった皆さまは、ムラサキツユクサの名に覚えがありましたでしょうか。生物実験の定番植物です。おしべの葯は減数分裂、毛は原形質流動や原形質分離の観察にうってつけ。特に毛はアントシアン色素のこの紫色が良いのです。ああキレイだなあ。

 


 路傍にも宇宙あり。じつは6月は、雨に陽に、植物が夏への精気を養う季節なのであります。

 

 

 

 

↓ 玉川はお花の産地でもあります。

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