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愛と青空の日々,ときどき【虫】

ぐるぐるらせんに宇宙が宿る / 高鳥達明テンペラ画展in常陽史料館

 


 常陽史料館です。地元芸術家を推して止まないこの美術館の今期の展示は

 

    
     高鳥達明 テンペラ画展 ~螺旋の導き~


   たかとりたつあき、とお読みします。「高」は正しくは「はしごだか」です。

 日立市在住の画家さんで、主に茨城県内で活動しておられます。はてしかし「テンペラ画」とは。


 テンペラ画は油彩画より古い絵画技法です。本来水や油に溶けない顔料を、乳化作用のあるタンパク質を用いて絵の具にします。具体的には卵を溶いたりニカワを煮込んだりして顔料を混ぜ込むという何だか画面がニオいそうなカビそうな技法ですが、もちろん防腐処理をします。特徴は何と言っても経年劣化に強いこと、変色しづらいこと。中世に描かれた有名作品、例えばアンジェリコ「受胎告知」、ボッティチェリ「春」「ヴィーナスの誕生」はみなテンペラ画。500 年経っても色褪せていません。そして現代でもテンペラ画が描かれるのは、油絵に勝り日本画とも違うその落ち着いた質感が好まれるからです。


 いかんまたウンチクが始まった。とにかく作品をご覧ください。

 


               「ふりそそぐ想い」


 

               「演奏会(部分)」

 

              「やさしい原野」


                「緑渡る調べ」

 

                「君に咲く夢」

  

 ここでひとつお断りを。じつは今回の写真、作品の色が正しく表現されていません。暖色系の照明で肉眼では黄みがかって見えて、それをカメラ任せで撮ると自動補正がかかって逆に白っぽく写るんです。本来の色がわからないままに、ホワイトバランスを調整しながら撮りました。テンペラ画の特性もあるのかもしれません。絵を写真にする難しさよ。ぜひとも現場で実物を見ていただきたいと思います。

 


              「幸せなひととき」


 で、皆さまもうお気づきのことと思います。高鳥先生の一貫したモチーフが「螺旋らせん」であることに。展覧会のタイトルにもありますね。もうほとんどの絵のどこかしらにぐるぐるがあるんです。そりゃあもうしつこいくらいに。


               「奏でる想い」         ブロンズ彫刻


 先生ったら二刀流で、立体も作ってしまいます。会場に4点置いてあります。さあ螺旋はどこ。…… はい楽器に渦巻き模様があるし、服のそでが絵の人物と同じ螺旋そで。


 「七重奏~自由なテンポで」


               「月夜の出会い」

 

             「奏でる音の その向こう」

 じつは半立体。腕とギターが画面から飛び出しています。


              「時の花(部分)」

 

 

 


 ユニバソロジ、という言葉があります。宇宙も地球も生物も共通の概念で考察しようとする学問、ぐらいに私は理解しています。そのひとつの表れとして、全宇宙を通じて類似の造形を持つものが存在すると言います。そう、高鳥先生のテーマ「螺旋」がまさにそれです。

 


 宇宙の構成要素である銀河はぐるぐると渦を巻く螺旋の一形態です。銀河衝突で楕円銀河になるまでその形を保ちます。そして我々の太陽はその銀河内を秒速 600 ㎞で公転し、地球はその太陽の周りを公転していて、もしその軌跡を描いたならまさに螺旋の形を描きながら銀河系内をぶっ飛んでいるんです。宇宙は螺旋に満ちている。そしてご存じのように我々地球生物の遺伝子も二重螺旋のDNA。さらに言うとそのDNAから作られるタンパク質もアミノ酸が螺旋を描いて並んでいきます。間違いなく宇宙と地球には共通した意匠があるんです。芸術家がそこにインスピレーションを得たとしても不思議ではありません。

 

 

    


 本当は会場の全作品をご紹介し詳説したかったけど、最近どうも長話が過ぎると反省しておりますのでこのあたりで。作品の半分しかお見せしてません。もちろんその魅力は十分にお伝えしたつもりです。それでもという読者さま、水戸くんだりまでお越しいただけるなら、会場で螺旋ぐるぐる鑑賞をしてみませんか。 5/25(土) まで開催してます。休館は日曜月曜と 5/3~6。ぜひこのぐるぐる体験を、あなたにも。

 

 

 

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