散歩の路上に今年の初スミレを見ました。コスミレかな。しまった春が足を早めている。わが王国はどうなってる。…… というわけでマクロレンズ引っ提げて庭に出ました。さあ接写大会の始まりです。気色いい写真ばっかりだから覚悟してね。
祖父が丹精し父が台無しにした盆栽の鉢に地衣が繁殖していました。藻類を共生させた菌類、ボクの大好きな異形の生命です。これはヒメジョウゴゴケ。
同じ盆栽の残骸上にイワヒバが生き残って繁茂してます。紅葉した葉を拡大すると鳥の足みたいです。
庭の一角「三角地帯」を、今年はユキノシタの丸い葉が埋めつつあります。生物の研修に使える紫の濃いやつ。それ用にと頂いた一株がよく増えてくれました。もう私が使うことはないのだけど。
ゼニゴケの親戚ジンガサゴケ。メスの植物体が繁殖の準備を始めてます。春はコケにも恋の季節です。
庭に転がしてあるメノウを、シャレのつもりで超接写してみたら地衣が芽生えていました。画面中央に緑っぽい点点が横に並んでるのわかりますか。溶岩が冷えたあと最初に定着する生物。かつて火星にもあるんじゃないかと言われたことがありましたっけ。
我が王国の春の彩りクサボケが、今年もつぼみを膨らませています。
拡大したら先っちょをかじられてた。
近年すっかり定着してしまったルビーロウカイガラムシは、いくら駆除しても必ず目こぼしがあって復活してきやがります。ウメモドキを弱らせていたのを冬の初めに徹底して取り除いたつもりが、ちゃんと引っ付いているもんなあ。以前ロウソクにした記事を書きました。(デーモン閣下の声で)お前もロウソクにしてやろうか!
コケというのもまあ色々ですが、都会にも普通のあるのがこれギンゴケ。ブロック塀の下の方に銀色の丸っこい群落を作ります。接写したら葉の付け根に無性芽をいっぱい付けて増える気満々なのが見て取れます。こんなものも春を待っていたんですねえ。
さてこれは。そーです着生植物クモラン。茨城では希少。先日の大風のあと、スギの枝に付いたのがおびただしく落ちていて、その様子があまりに不憫で何本か枝ごと連れ帰ってしまいました。いつも言ってますが落ちたものは長くは生きられません。わかってはいたのに。
その中の一株がなんと胞子、じゃなかった種子を飛ばし始めました。ああこんな場所で。
裂開まえの果実。全長4ミリ。コケの胞子のうと何が違うというのだろう。中の種子も哀れなほどに極小で、自活できるような養分を持っていません。ランの種子は共生菌から養分をもらうことで初めて発芽できるという、これまた多様な自然に頼りきった生き物なんです。
ぱーんと弾けて。この糸みたいのは弾糸ってやつ? コケやシダにある、胞子を弾き飛ばすやつ。こんなとこもコケなみです。でもコケや地衣みたいな逞しさはありません。我が王国に定着することはないんだろうなあ。哀しいなあ。
これもどうなるんだろう。ニッコウキスゲことゼンテイカ。水戸の産地はいつ誰かの気まぐれで開発されてしまうかわかりません。さすればこの気品ある美しい花も絶えるでしょう。せめて遺伝子は残さねばといただいてきた種子は20個。発芽したのは5個で、生き残ったのはこれ一株。情けないほどに発芽率の悪い種子、哀れなほど生命力に欠けた植物体。そりゃ滅びるわなあ。
ほわんと漂う芳香で、ジンチョウゲが開花していることに気が付きました。こんなまっとうな庭木笑があることを忘れていた。王国の春のはじまりです。
↓ 閲覧注意。