ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

文月のことども

 

 あのね、今週ずっと雨が降るのはね、ボクがお願いしたおかげなんだよ。うふ そう言ったら


 雨が降るとスイカが割れてまうんじゃあ!


 と怒られました。スイカ農家の皆さん訴えないでください。 ジノ。です。

 


 月の初め、いつものフィールドにて夏の始まりを目撃。

 


 ヤマユリのつぼみ。

 


 キキョウのつぼみ。この仲間はみなつぼみまで精緻です。昨年筑波山で見たツルニンジンも綺麗でした。

 


 つぼみじゃないけどナワシロイチゴ

 


 オオバギボウシのつぼみの集まり。これが擬宝珠ぎぼしに似てるから付いた和名です。似ているような似てないような。

 


       擬宝珠。

 


 ところ変わってここは北茨城・花園。森林愛護を訴えるシュールな看板をどこかでご紹介した記憶がありますが、これは湿原の入り口にあるもの。ちょっとすごい。

 山火事防止なのに海が描かれています。観音様はさておき、右のキャラクターの頭にあるのは五浦海岸にある岡倉天心の旧跡・六角堂かと。北茨城市の公式キャラクターよりよっぽどいい味出してます。

 

 


 朝の市内縦断お散歩、花壇の花々が楽しみです。タチアオイ

 


 コスモス。

 

  
 お花選びの自由度が高いのが南町三丁目。ある店頭、1メートル以上もある大柄なタマネギみたいのが花の苞を開いて、てっきりアマリリスかなと思っていたら

 


 ハマユウだった。いい趣味です。

 


 こんなバラも。

 

      
 最近市街地で目立つのがこのアザミ、アメリオニアザミ。アザミというだけでトゲトゲしいのに鬼と付いてアメリカと付く。完璧です。写真にエフェクトをかけてみましたが物騒なイメージはそのまま、情緒に欠けること甚だしい。あまり増えて欲しくない帰化植物です。

 


 散歩で一休みする弘道館公園のベンチに落ちてた。ゴミを放置する人は困ったものですが、むしろラベルに目が行きました。これ沖縄のビールだよね。酒屋なんか行かないからよお知らんけど、こちらでも売ってるんだ。へえ。

 

     
 アップルからアップデートしろとうるさいので仕方なく応じましたがやっぱり後悔。iTunesの更新でいつまでもカサコソとやっていてああ、勝手にこちらの情報を通信してやがるなと思い、さらにiPODの更新になったらこの画面で2時間止ってました。これまでもおかしかったファイルの並び順がまた別におかしくなっていた。何かが便利になったということはありません。もうアップデートには応じてやらない。

 

 


 庭の畑が、この写真以後の雨で夏野菜のジャングルと化してます。私はノータッチですが家族が喜ぶからまあいいか。

 


 野も雨と高温で生気に満ち満ちています。

 


 玉川増水。例の場所です。たくさんの方が楽しみにおいでになる場所なので荒らさぬように、でも様子は見たいので一か所だけ少し掘らせていただきます。

 

     
 すぐにこんなのが採れました。きっと次の週末は楽しいことでしょう。

 


 まあ雨が降るようになってよござんした。2022年文月の頃。

 

 

 

 

ツルニンジン


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生きてあること、出会うこと、御岩神社

 


 雷雲に降られた、いや振られた翌日。久しいこともあり、美味しいコーヒーを飲みたくなったこともあり、御岩神社に雨頼みを思い立ちました。


 下界は超の付く猛暑、人々の出足が遅いようです。私もいつもよりのろのろと出立しましたが、余裕で近い駐車場に停めることができました。僥倖と考えましょう。

 


 昨日の雷雲はここには恵みをもたらしたようで、境内はしっとりと落ち着き、水気に満ち、参道わきの流れも静謐な音を立ててます。水辺の好きなジャゴケが幸せそうです。

 

   
 こちらも幸せそう。境内は谷間を吹き降ろす風で、外界の炎暑を忘れます。

 


 そういう物言いをさせていただきます。水の流れに沿った気の流れ、それはこの龍の形をした島国の地下に巡るエネルギーのようなもの、これを龍脈と称します。ある種の古い神社はその龍脈の上に建てられているそうです。ここ御岩神社もその一つだと思います。雨上がりの精気輝く風情、水によって加速される龍脈。谷間に造営されたこの境内は、龍脈を集め精気を付与する巨大なシステムを構築している気がします。

 


 はい話半分に聞いてくださいね。私がここに魅せられている理由を述べたまで。さあいつも通りに見たものを挙げていきます。

 


 クサアジサイ

 


 マムシグサの実。ちゃんと名札が付けられてます。いつぞやはご迷惑をお掛けしました。

 


 ヤブコウジの花。これが10月には私の大好きなあの赤い実になります。

 


 「緑陰の小径(勝手に命名)」のヒノキゴケの絨毯。

 


 ヒノキゴケの間からオウレンショウジョウバカマ

 


 私の大好きなコミヤマスミレ光合成にいそしみ、彼らなりの夏を楽しんでいます。ここで蓄えたエネルギーで、また来春にあの可憐な花を見せてくれるでしょう。

 


 ウバユリのつぼみ。日陰ゆえ貧相ですがもともとこういう環境で生きるものです。じきに街頭スピーカーみたいな花をぐるりと並べて、ぶつぶつと何かを語り始めます。  


   
 今日はお願い事があるので、もちろん山頂まで参ります。木漏れる日射しと下草の緑とのコントラストが、多様な生気をかもして。

 


 タマアジサイの花火玉がはちきれんばかり。じきにここは紫陽花の小径になります。そんな過去記事があります。

 


 悪い癖だと思うのですが、山道でもつい平地と同じペースで歩くので息が切れます。あまり汗をかかない私ですがさすがに顔までだらだら。谷の冷気も利きません。もうトシを考えなくては…… なんてことを考えながら、表参道のご神木を過ぎたところで

 


 え…… ?

 

  
      つ、ツチアケビだあぁ!


 落ち着けわし。いいか落ち着け。まずは読者の皆さまにご説明しなければ。これは野生ランの一種「ツチアケビ」と称するものです。絶滅危惧種とは言いません、でもいつでも見られるものでもない。そもそもランの仲間が希少なのは、種子が菌類(キノコ)の菌糸と共生しないと成長できないから。このツチアケビもナラタケというキノコとくっつきます。でも驚くべきはそこから。何とツチアケビは一方的にナラタケから養分を奪い、その菌糸をずるずると麺をすするように食って栄養にしてしまい、大きいもので高さ1メートルにもなる花茎を伸ばすのです。そんなやつですから葉緑体を持っていません。葉も退化してます。菌類といえば化学戦のプロですが、そのプロを上回る能力を身に着けた、緑色を一切まとわぬ寄生植物。花姿の不気味さはそんな生態を裏付けるものです。

 


 秋に赤く成熟する実はどこかで見た記憶があります。でも花は初めて。それがこんな参道の傍らに出るとは。これこそ御岩山の神さまの計らいと考えます。

 


 私の常なる読者の方々は大丈夫と存じますが、いろいろな人がおられるネット世界、念のため申し上げます。掘り盗って植えても絶対に根付きません。種子も発芽しません。やはり野に置け蓮華草、現地で見てこそです。多様な生態系があってはじめて開く異形の花、ぜひとも御岩山の神気の中でご覧ください。


 この後山頂を目指して登っていく途中、偶然にも、懇意にしてくださっている神社の方々にお会いできたのでツチアケビのことをお願いしました。草刈りの際に気を付けてくださるとのこと、まずはひと安心です。

 

 


 山頂にて。涼風が吹き渡ります。神社の案内係のご老体からヒカゲツツジを教えていただきました。すこしひねった撮り方をしてみました。

 

   
 光の柱(正式名称ではありません)の周囲にしめ縄が張られるようになっていました。ご老体が皆さんに案内してくださるので、以前のように気付かずに下山、なんてことはないでしょう。

 


 個人的には外せない、奥の御嶽社にもちゃんと詣でました。

 


 さて雨のお願いをして、御岩山を下る途中でのこと。


 「ジノさんですか?」


 男性からお声を掛けて頂けました。私の姿かたちをご存じということは、かなりこのブログを読み込んで下さっている読者様です。以前に他の方からお声が掛かった時には驚いて失礼をしてしまったので、今度は粗相のないように。聞けばお花が好きでジノ。を見ているとのこと、途中にあったツチアケビももちろんご覧になったとのことで、やはりじかにお話する、これに勝るコミュニケーションはありません。短くも楽しいやり取りをさせていただきました。ありがとうございます。こういう時のために用意したお守り石を受け取っていただきました。ご無礼でなかったなら良いのですが。

 


 幸せな邂逅を喜びつつ下山を続けました。…… あと少しで境内という裏参道の最後のあたりで、また新たな出会いというか、気付きがありました。

 


 この植物。

 


 草丈は10センチちょっと。対生する葉は、花がなければタツナミソウの類と思い込んだことでしょう。その花も直径2ミリ、長さ5ミリ、花びら1枚に至っては1ミリ。こんなかそけき顕花植物があるのかと少なからず驚きました。こんにちは、はじめまして。君の名は?

 


 人間が勝手につけた名なぞ本人が知る由もありません。この実に覚えがあって調べたら、タニタという名を持つものでした。あたりを埋めるように生育していて、たぶんこれまで何百回となく目にしていたはずです。でも見えてなかった。今この瞬間、初めて見えたものです。見えるようになった。気付き、名を知ることができました。

 

 たぶん人の周りは、そんなもので満ちています。見えているのに気付かない、視覚野に写っているのに他の部位が認識しない。訴えているのに理解してやれない。この小さき者も、白いハンカチを振るようなその花びらに、今日初めて気付いてやることができました。



  
 余計なうんちくも添えます。このタニタデ、蓼と付きますがタデ科ではなくアカバナ科ヤナギランとかオオマツヨイグサとか、ド派手な花が売り物の、あのアカバナ科です。こんな地味な眷属がいたとは。地味な理由はたぶん、送粉昆虫がアリだから。写真にも写っておりますが、アリに花粉を運ばせているのでしょう。アリが相手なら派手な花びらは不要です、ただ蜜さえあれば。こうして微小な姿で林床に生きるかそけきアカバナ科が生まれました。いろいろな来歴があるものです。また一つ、この世界の多様性に触れた気がします。

 


 水気に満ちた境内に戻って。

 


 去年の10月に実ったヤブコウジの実と、今年のヒグラシの抜け殻が仲良く並んでいます。赤い実のほうはもう十ヶ月この色を保っているということか。

 


 ムツデチョウチンゴケの毛氈の上を動く虫がいました。おお気持ち良さげであるなあとカメラを向けたらそれどころじゃなかった。甲虫の幼虫がハヤシクロヤマアリらしいのに襲われている最中でした。命の掛かった修羅場の真っ最中。いえこれも自然の節理ですから手は出しませんが、これも気付いた、見えてしまったモノです。

 

 
 ミクロの眼ではそんなドラマの繰り広げられる境内ですが、コケで覆われた林床に日が射すさまはまことに幽玄、誰の心にも感興を呼び起こします。そんな風景を熱心に撮っておられる若い方がいましたので、キレイですねえと声を掛けたら丁寧に応じてくださいました。最近の若い人は本当にきちんとしていて、いつも楽しいやり取りができます。いい時代です。さっぱり会話の成立しない団塊の世代の諸兄に見習ってほしいところです。いえ、前にも書きましたが、今の若者が作る未来の日本は、きっと優しく思いやりに満ちた社会であろうなあとうらやましく思っています。

 


 美味しいコーヒーを頂いて御岩神社を辞したあと、富岡橋に行って、ここでもまた若い方とお話ができました。なんか今日はいろいろと出会いに恵まれます。もちろん玉川メノウをおみやげにしてもらいました。他県の方でした。どうか茨城に良い思い出を。

 


 そんなこんなで雨のお願いを終えた訳ですが、二日後、本降りの豪雨になりました。週間予報ではそんなことカケラも言ってなかったのに。御岩山の神さまって、すごい。

 

 

 

 

 

↓ 御岩神社の過去記事は画面トップのカテゴリーにまとめてあります。


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大水出ないとメノウが採れない。雨乞いをしていいものか

 


 夏は石拾いの季節ではないとはわかっているのですが、それにしても採れない。今年は特に。理由は簡単、雨が降らないからです。期待していた梅雨も空振りでした。


 全国で豪雨被害が出ているこの時節に申し訳ないことですが、茨城に雨が降りません。お隣の埼玉や千葉に降っても、茨城にはお湿り程度。雨雲レーダーを見ると驚くべし、雨雲が茨城を避けて通るのがわかります。なぜだっと叫ぶと周囲の者は私を見ます。いやいやいや、晴れ男ひとりでここまではできないってば。

 


 庭のホトトギス。葉が焼けて、必死で水やりしてようやく新芽が出ました。植物にも過酷な今年の夏。


 困ってしまうのがメノウ拾い。大雨が降って大水が出て河原の石が刷新されて、それで初めて新たなメノウが拾えるのです。豪雨被害に遭われている皆さんごめんなさい。天災の少ない茨城県ですが洪水だけはあります。以前の記事でもお詫びしましたが、宗教レベルまで昇華した(堕ちた?)メノウ拾いなんです。業が深い。


 以前にもそんなことを嘆いた記事を書いたら、すぐに雨が降りました。メノウ教信徒のどなたかが雨乞いして下さったと思いました。私じゃありませんよ。晴れ男が雨乞いって、何の冗談だそれ。でも今回は、御岩神社でお願いしてみる気になっています。

 


 例の場所。たくさんの人がおいでになるこんな所でも

 


 雨の後なら表面にごろりと

 


 洗えばちゃんと。ああ、早くこんな久慈川・玉川にならないものか。人が入らない場所では、数か月前に私が放り投げた珪化木や玉髄がずっとそのままです。なんか自分の罪を晒されているようでバツが悪い。

 


 …… なんて記事を書きかけた土曜日、散歩に出たらかなたに雲の頭が。

 


 来る、これは来ますよ。

 


 みるみる雄大積雲が頭上を覆っていきます。雷雲一過で降る雨量は限られますが、降らないよりはまし。ましてや私、雷が大好きです。気分はもう7月の終業式を迎えた子供です。わくわくわく。

 


 やがて北の空がこんなに。これは降らねば収まらんだろう。

 


 …… 降りませんでした。いえ、水戸ではよくあることなんです。雷さまが広い平野のどこをお通りになるかは人智を、ましてやこちらの都合など超越しています。土地が広いのが悪いんです。

 


 夕刻の空。雲がなんか一仕事終えたような顔してます。いやお前ら何もしてないから。

 


 虹まで出る始末。他人の功を誇るおっさんが私はキライだーっ。

         

 Yahoo!天気に加筆しました

 雨雲レーダー。どうやら雷雲は水戸の北、常陸大宮あたりを通ったようです。玉川を潤してくれたなら良しとしますか。それにしても露骨に水戸を避けてます。風神雷神すら道を違える、この地に何があるというのか。いや私じゃないってば。

 

 

 

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さんぽの花

 

  
      無難な写真だねえアルファよ。


 週に何回か、家から水戸駅まで1時間弱を歩いてます。前にも記事にしましたが、ちゃんと続いています。帰りに図書館に寄ったり、それなりに有意義な日々です。先のヤブカンゾウの記事もその一環でした。


 持ち歩くのはコンパクトカメラ。たまにソニーのアルファを持ってもカバンの中。歩くことに専念して、図書館を出てから取り出します。でも今日は最初からアルファ片手に、道すがらの花々を撮ってみようかと。

 


 ツタの絡まるバーの店先に一面の粉粉。

 


 ははーん。

 


 これです。ツタの微小な花の、その花びら。ツタはこう見えてブドウ科です。この科の花はみな小さくて、開花するとすぐに花びらが脱落します。短い開花期間の、その面白い瞬間に巡り会いました。

 


 これは公的な花壇でなく、私的に置かれたもの。日本人の、特に一般庶民の花好きは、幕末に訪れた外国人も驚いています。そういう心の余裕のある社会でした。今はどうなんだろう。

 

  
 アシナガバチの来訪。花の蜜ではなく、幼虫の餌にする小昆虫を探しています。大通り沿いですが、小さな生態系ができています。

 


 商店街の花壇スペースは市が整備したものでしょうけど、管理は各町内に任されているようです。時にそれが各店舗に丸投げだったりするようで、ある店先の花壇には、驚くべしハンゲショウが植えられていました。

 


 南町の花壇にベゴニア

 


 こちらのベゴニア、高いところは良いのですが、メヒシバやらスベリヒユやらの雑草に包囲されてヒーヒー言ってます。まあ頑張れ。

 


 キンシバイ。冒頭の写真はカメラをオート設定のままで撮りました。どうだい、誰も文句の言えない写真になったろう? ええい、誰がカメラの言いなりになるものか。

 


 銀杏坂の閉店して久しいお店のドア。内に外に、ツタバウンランにいいように絡まれてます。ヒトの世が終わった後の風景。こういうのに心惹かれます。

 

          
 駅前ペデストリアンデッキの花壇はいつも花盛り。今はハナスベリヒユの天下です。

 


 特にこの花色が好きです。色というより、この微妙なテカリが目を引き付けます。先日のアマにもこのテカリがありました。もう一つ、モンシロチョウのメスの翅にも。モンシロチョウは人の目には雌雄とも白ですが、メスだけが強く紫外線を反射します。昆虫の眼は赤が見えない代わりに紫外線を何らかの「色」で認識します。モンシロチョウは実は雌雄で全く色違いなんです。…… このハナスベリヒユも、虫が見たらはっきりした色模様で蜜の位置が示されているんじゃないかな。

 


 わああ、図書館前の土手が草刈りされているうぅ。ここにオニユリがあったのにぃ。

 


 ヤマユリはしっかり残されています。夏の除草作業で、茨城では大抵、ヤマユリだけ刈らないという配慮が成されます。するとよく似たナルコユリも残されていたりして、ああ区別できなかったんだなあなんて。不運にもオニユリは区別されてしまったようです。…… いえ作業の方々に文句言っているわけじゃありません。ヤマユリを残すだけでも大変な手間でありましょう。むしろ感謝しております。

 


 愛されてるなあ、おまえ。

 


 帰路の商店街のアーケードの下、ふわりふわりと舞うチョウが。あっあれはアサギマダラではないか!とバッグに仕舞ったアルファを取り出す余裕は無く、コンパクトを構えて連写。よく見たら侵略種アカボシゴマダラでした。騙された。というかアカボシゴマダラのこの文様と飛び方こそ、毒蝶であるアサギマダラへの擬態なのです。それにしても騙された。慌てて損した。

 

  
 歩道の花壇に思いっ切り堂々と、これはシンジュニワウルシ)の木。あのーこれすぐに伐らないと大変なことになりますよ。とんでもない攻撃的外来種ですよ、マンモスフラワーですよ。個人的にはこの場所がどうなるのか面白そうなので放っておきますが。

 

 


 カメラをこれ見よがしに持って街を歩くなんて浅薄な真似、正直恥ずかしくもあったのですが、いろいろ撮れて楽しかったのも事実です。自分の見たものを記録し続けるのが私の写真スタイル。たまにはこういうのもいいかな、なんて。

 

 

 

 

 


 

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亜麻の花、花の顔、人の貌

 

 庭に見慣れぬ花があって、深みのある青の地に濃い紫の条線が入る姿はおおなんと幻想的。朝の出がけに気が付いて、帰宅してカメラを向けたときにはもう閉じてました。朝だけ開く一日花だったんです。何度か振られ続けてようやく撮ったのがこの写真。


 家人に聞いたら、これがアマだと言います。そう亜麻色の髪のとかいうあの亜麻です。へえこれが亜麻色、と思ったらこれから採れる繊維の薄茶色を亜麻色と言うんだって。へえええ。厳密には繊維を採るのは一年性の亜麻、たぶんこれは宿根性の、どちらかというと花を楽しむ品種のようですがアマには違いありません。古代から栽培されるその繊維は柔らかく細やかで、女性下着を表わすランジェリーという語のランってリネン、つまり亜麻のことだとか。種子からは食用・薬用に供される亜麻仁油が採れる。花の有意義なことは上記の通り。もう上から下までヒトのお役に立つ植物です。そういう目で見ると、この花の典雅なつくりは、他者を喜ばせようというその高邁な心根を表わしているようでなんとも尊いことと思われます。すいません、擬人化が過ぎました。


 花はその植物の本性を示しているか。…… そんなことはないよなあ。トリカブトみたいに見るからに毒々しいのは例外として、綺麗な花にもトゲがあったり、汁に毒があって手折った手がかぶれたりするのもあるしなあ。

 


 本性というと、人の顔、いえ貌というのはよくその内面を表わします。女性では申し訳ないけど高校生くらいから、男性ではよく言うように25歳を過ぎたら、生まれ育ち・生活信条・行動様式・主義主張、わかりやすく言うと根性ヒン曲がっているのとか怠け者であるとか悪人であるとか、ぜんぶ貌に出ると思います。化粧とかサングラスとかマスク(コロナ以前)って、本性を隠すためにしている一面がありませんか。人を顔で判断しろと言ったのはかのリンカーンです。


 顔/貌といって思い出すのは日本大学の前理事長。久しぶりに悪い顔というのを見た思いでした。こんな顔の人物を理事長に据える日大の病根は深い。ボクシング連盟の前会長も同じ系列の悪相でしたね。お互い知己だそうですが。


 悪人顔ではありませんが、例えば政府系金融機関のトップ。シェア独占系企業の社長。出自や出身大学の名で最初から幹部待遇を受け、あとは派閥争いを制するだけでのし上がったような人たち。お顔にみな同じ相を浮かべておいでです。穏やかそうに見えてその実冷徹なまなざし。真顔の時によくそれが現れます。


 すいませんこれ、ネットでの拾いもので、出どこがわかりません。もし問題あるようならご指摘ください、すぐ削除します。


 はいそうです、先日4人で計13兆円支払えと裁判所で判決を受けたお方です。そんな財産あるのかは知りませんが、文系出身で自信たっぷりにカタカナ用語を多用するあたりがまさに典型です。先日インタビュー記事で拝見したド〇モの社長さんはさらに濃い系列とお見受けしました。日本の国を動かしている、動かしていた方々です。立場ゆえの苦労もあるでしょうが、境遇が私と違い過ぎるので想像が付きません。まあ身近にいなくて良かった。

 

 先日のKDDIの通信障害の記者会見で出てきた社長さんには感心しました。お顔を一目見てあ、これ技術屋だ、と。下賤な派閥争いとは無縁の、技術畑一筋の人だ。簡潔な話しぶり、真摯な説明、いずれも上記の方々にはできない芸当をさらりとこなされて、私の価値観では理想の社長ナンバー1に据えたくなる人物です。KDDIという会社は信用してもいいと思えました。電話通信事業ではあまりもうけが出ないとは言いますが、携帯を乗り換えちゃおうかな。

 


                       富岡橋の河原に1本だけ、ヤナギハナガサの花。

 

 

 他人を偉そうに査定している私、さて自分は今どんな貌になっているのか。間違いなく、ここまでの人生が刻まれているはずです。査定されるのが怖い。

 


 ウツボグサ。夏枯草かごそうとも言います。七十二候のひとつ「乃東なつかれくさかるる」はウツボグサが夏に枯れた姿になること。世界中で愛され、世界中で薬草とされてます。そんな普遍性といかめしくも虚勢を張っているような微笑ましい花姿を、私も愛でております。毛やトゲで武装しているように見えて、じつはへにょへにょ。今の言葉でいうツンデレってのはこういうのかな。可愛らしい本性がみえみえですよ。

 

 

 

 

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ミヤマスカシユリいずこ

 

         


        ミヤマスカシユリの写真が欲しい。

 


 せっかく一番確実な産地に住んでいるというのに、持っている写真ときたら

 


 こんなのしかなかった。奥久慈男体山の崖から身を乗り出して1000ミリ相当のレンズで撮ったものです。そこまでしてこの程度。遠すぎる。垂直の崖にしか咲かないイカれた花なのです。


 男体山の健脚コース沿いにあるという話も聞きましたが、アレを登るには覚悟がいる。確実に楽して撮るのならあそこです。

 

  
 袋田の滝。写っている火山角礫岩の崖の上から下にまでぽつぽつと生育しています。

 


 こんなふうに。やっぱり遠い。もっと近くで見たければ、上の写真の左下の観瀑台で、滝に向かって右端まで行って後ろの崖を見てください。

 


 私の知る限りの最近距離に、何個体か垂れてます。さあ入場して見てやりましょう。

 


 風があああっ

 


 シャッター速度をいじって何とか写真になった。検索で出るミヤマスカシユリの写真はだいたいここにあるものです。

 


 原産地の埼玉県武甲山は山そのものが崩されてしまい、野生状態では絶滅です。岩手・宮城で見つかったものは元の報告があるのみで写真が一枚も出てこない。

 

 
 日本で一番写真に撮られているスカシユリです。


 目的は達した。思いっきりありきたりの写真だけど。せっかくだからエレベーターで上の観瀑台まで上がりましょう。

 

 



 うおおおショボい。ショボいぞ袋田の滝。こんな情けない姿は初めてだ。

 

 
 通常はこんな感じです。観客に容赦なく水しぶきが掛かるのがこの滝の真骨頂なのに。今年は特に雨が少なくてご覧の通り。もう一つ残念なのは、この滝に重なるように枝を広げるカエデの木があって、秋の紅葉時には滝とペアで一枚の絵になっていました。明治時代の画にも描かれています。それがとうとう枯れてしまいました。地元では跡継ぎになるカエデの苗木を植えましたがまだ50センチほど。絵になるのはいつの日か。

 


 代わりにというわけでもないでしょうけど、ネムノキの花。

 


 新たにヤマユリも、これは自然に芽生えたそうです。

 


 みんなが袋田の滝を盛り立てようとしているようで、心強い限りです。


 さてどうしよう。ミヤマスカシユリは撮れたし、これで帰宅してもいいはずです。しかし撮れたのが月並み写真なのがやっぱり気に入らない。ぶつぶつ言いながら吊り橋を渡ったら、目の前に現れやがったんです。そうあの

 


      ラッタルの野郎が。


 説明します。軍艦に備えられた鉄の急階段をラッタルと言います。ここ袋田の滝では滝と並行して急峻な断層崖を登る道が付けられていて、その鉄階段部分を私は勝手にラッタルと呼んでいます。その先の石段部分を含めて、もちろん超ハードな登りになります。全くそのつもりはありませんでした。でもそのラッタルがニヤニヤしながら囁くのです。崖を見ながら登る道だぜ。滝の上まで行けるぜ。滝の上に咲いているのは見たろ? それに登り切った稜線はずっと岩場だから、スカシユリがあるかもしれないぜ。

 


 周辺の岩に咲くマルバマンネングサが野次馬顔で見ています。よしわかった、行ったろうじゃん。

 

  
  ぜーはーぜーはーぜーはー い、いかん 足が 心臓が

 


 とっ時々はっ ぜーはー カラダをっ ぜーはーぜーはー フルに回しておかないとっ ぜーはー いけないんだよなっ ぜーはー


 …… 結論から申し上げます。見える範囲にスカシユリは1ッ本もありませんでしたっ

 


 高度差300メートルを稜線まで登り切り、月居山の山頂を越え、また降りるのがひと苦労。オオバジャノヒゲの写真を撮っただけ。…… 例えば流行のSDGs。あんなもんで地球環境が改善するわけないのはちょっと算数すればわかることで、きっと10年後にはあれは無駄ではなかったなんて無駄な総括がなされていることでしょう。私もこの山越えを、体力維持・足腰の鍛錬に役だったと考えることにします。ラッタルめ。

 


 結局、次点に考えていた場所で新たにミヤマスカシユリを見ることができました。全くアップダウンせずに行ける場所です。本当に何だったんだ。

 


 滝よりずっと近くで見ることができます。


 ミヤマスカシユリは海岸のスカシユリの変種です。ご参考に母種の方もご覧ください。

 


 砂浜で。平らな場所では茎が短く詰まり、広く分厚い葉が密に付きます。

 

 
 傾斜地では下垂してからぐいっと上を向いて花を付けます。これがミヤマでは、植木鉢で育てても垂れて曲がって上を向くそうです。母種と並べても成長が遅いとやら。いろいろと面倒くさい、気難しい奴です。だから絶滅危惧なのか。

 


 いえいえ、この種が危惧されるのは人間の欲望の対象だから。崖の斜面というとこのイワヒバや、それこそ貴重なウチョウランが生育します。そのテの人の目には宝の山でしょう。ただ袋田周辺は地形が急峻で人が近寄れない場所が多く、そこに根を張る限り絶滅はありません。この硬い火山角礫岩の山を崩そうとする人もいないだろうし。ちなみに原産地の武甲山石灰岩採取のために崩されてしまいました。いかに繁殖力があろうとも、環境が消失すれば生きるすべはないのです。

 


 オミナエシが咲いていました。旧暦ではまだ6月ですが、秋の七草が咲き始めています。次に晴れたらキキョウでも見に行こうかと思っています。

 

 

 

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ヤブカンゾウ、夏の盛りのワスレグサ

 

 

 


 県立図書館前の旧水戸城空堀に、一面のヤブカンゾウ

 


 わしゃわしゃとお堀の斜面を埋め尽くしています。

 


 以前はノカンゾウもあったのですが、ほぼ置き換わりました。


 いつものうんちく。飛ばしてもさしつかえありません。

 ノカンゾウ   野萱草  染色体数 2n=22(2倍体) 一重咲き
 ヤブカンゾウ      藪萱草                           2n=33(3倍体) 八重咲き
 ともにワスレグサ科ワスレグサ属、中国にある本来の「萱草かんぞうホンカンゾウの日本亜種。かの国では古来「憂いを忘れさせる草」とされてきたことから訓読みは「わすれぐさ」、科名・属名もここから。
 湿り気のある肥沃な草むらに群生し、夏に大輪・オレンジ色の一日花を次々と開花する。
 つぼみと花は食用・薬用で、中国では栽培される。根も含めて、解熱・消炎・止血・風邪・むくみ・不眠に効果がある。春の新芽もまた美味な山菜である。

 

 


 ワスレグサ科とは聞きなれない名ですが、もとはユリ科でした。APG分類体系と言って、DNA解析で植物の分類が一新されたのがここ20年ほど。形質で分類するしか手段のなかった時代「他人の空似」ゆえの混乱があった植物分類ですが、DNAを比べることでその進化系統がスカっと明らかになり、例えば「合弁花・離弁花」とか「単子葉・双子葉」なんて分類が絶対的ではないことが判明、中でも「単子葉・3数性」などの特徴でひとくくりにユリ科とされていたものが実は多様な系統であることが分かり、キジカクシ科とかシュロソウ科とか、新たな分類群が作られました。ワスレグサ科も新しい科のひとつ。どう見てもユリなんだけどユリじゃないんです。まあ、安易な「新種発見」の手段にするよりは、DNAシークエンサーの正しい使い方だったと思います。

 


 この類は東アジアを中心に分布し、いずれも美しい大輪の花を咲かせます。ツルボラン科と呼ぶ学者もいますが、私にはその言語感覚は受け入れがたい。私はワスレグサという花とヒトとの精神文化にまで昇華した呼び名を貴びたいと思います。

 


 ワスレグサ類というとまずゼンテイカニッコウキスゲ)でしょう。今年も何度も記事にしました。でも北海道から九州まで(沖縄ほか南島のみなさんごめんなさい)、人の身近にあるワスレグサはこのヤブカンゾウです。

 


 バナナなどと同じ3倍体植物で、正常な生殖細胞が作られず、種子ができません。のみならずおしべめしべが花弁化してこの煩雑な花を構成します。これを美しいというか否かは個人差の出るところ。派手なところは認めますが、私はかなあ。暑い盛りになお暑苦しい。

 


 でもこれも3倍体の常としてデカくて丈夫。おかげで日本中の炎天下で元気に開花しています。都市部にもあります。

 


 図鑑には中国からの史前帰化植物であると判を押したように書いてあります。でも実は中国には自生しておらず、あちらではわざわざ日本から移入して栽培しています。思うに、昔のエラい植物学者がそう言ったのをみんなが鵜呑みにしているだけではないのでしょうか。

 


 このひと群れ、そばに寄れたので見てみると

 


 一見ノカンゾウのような一重の花がありました。でもよく見るとめしべが花弁化しているからヤブカンゾウです。

 


 こちらも。ヤブカンゾウ化、ヤブ化しています。このお堀でノカンゾウがいなくなった原因はひょっとしてこれか。つまりヤブカンゾウと交雑することで染色体数のおかしな個体に置き換わっていく、なんだかゾンビ化みたいなことが起きているとか。いや根拠のない思い付きですけど、ヤブカンゾウも花粉は作るし、タンポポではそういう現象が知られているので。

 


 まあいいや。この花に賛辞の言葉はあまり出てこないけど、嫌いじゃありません。夏の田んぼまわりにはこのオレンジのわしゃわしゃした花がよく似合います。

 


 万葉集にもワスレグサはたくさん詠まれていて、日本人に愛された花なのは間違いありません。そのワスレグサというのはノカンゾウだというのが定説ですし、否定はしない。でも帰化でなく昔からあったのなら、このヤブカンゾウを愛でた人がいても不思議ではないかなと思えます。

 


 夏の夕暮れ、斜陽を浴びてそちこちで輝く姿は太陽の残り火を掲げているようで趣が深い。ああ今日も暑かったなあと思いながらふと見やると、その炎熱を捧げ持つこの花があるのです。日本の夏を象徴する暑っ苦しい花。麦わら帽子にランニングシャツで虫捕り網を持った少年、とかと同じ匂いがします。

 


 お堀の土手ではもうアキノタムラソウが咲いてます。

 


 ヤマユリはこれから。いつの間にか数が増えました。ここがあの、これも夏を象徴するような強烈な香りに満たされるかと思うとわくわくします。ちなみにヤブカンゾウも良い香りを持っていて、群落の傍らに立つと優しい気持ちになれますよ。

 

 

 ちなみに水戸は、また海からの東風が吹き始めて涼しくなりました。

 いつまで続くかな。

 

 

 

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