マタタビふたたび,というタイトルを思いついたけど自制しました。この3連休がマタタビを拾う最後のチャンス。なのに1日は本業の仕事,もう1日は家の仕事。もう今日しかないと他の用事を蹴散らして出かけます。結果がおかしなことになった前回(マタタビ拾いに行った八溝の森が何か変だった話 【オカルト注意】 - ジノ。)のリベンジです。
さてマタタビ。こんな感じで木に絡みつく白い葉を目標に探すわけですが,拾いやすい場所のは8月のうちにイノシシに持っていかれているわけで。さすがにあの猛暑の中森を歩く気にはなれませんでした。ああ,畜生と獲物を争うことになろうとは。そしてこの時期にいい型が残っているのは,イノシシが近づかない場所。人里で,ヤブがひどくてイノシシが入り込めないような。 ……それって,ヒトにとっても大変なヤブでは。
で残念ながら,ちゃんとそういう場所に心当たりがあるんです。旧十王町,現日立市の阿武隈山地の谷あいに。
ああ,このヤブに突入するのか。長袖長ズボン,蚊取り線香,手袋,帽子。今朝の霧で木も草も枯れ枝もみんな水を滴らせて。
もうぐちゃぐちゃです。こんな場所でケガすると真菌類に感染されるので慎重に。
道路のすぐわきの斜面なのがイノシシの来ない理由の一つですが,まあポイ捨てだらけ。その間にマタタビのいいのが落ちてます。
20分ほどでこの通り。なんとかこの冬の分を確保。この醜い虫こぶが,不思議な薬効を発揮してくれます。
ちなみにこれが正常な実の熟したやつ。
さて,所期の目的は達しました。人間の本来の生息環境は乾いた平地。ジャングルに暮らす連中だって村は森を切り開いて作ります。こんな湿度100%のヤブの斜面などもう用済み,と脱出にかかろうとしたら,何かが視界の隅に引っ掛かりました。何だ?
おおこれは。
冬虫夏草カメムシタケ。視界の端にあってもちゃんと捉えるあたり,まだ眼力は健在でした。この夏2つ目の冬虫夏草。お持ち帰りしようっと。旧記事冬虫夏草いろいろ - ジノ。もご覧くださいね。
自信をもって言えます。今この瞬間,カメムシタケを持って道を歩いているのは世界で私一人だと。
どうやら今日は当たりの日です。出歩けばもっといろいろ遭遇できるはず。このまま山中の道を行ってみます。
ありました,カラハナソウ。これが雌花。ビールに苦みをつけるホップと同じものです。胃腸の薬として探し回ったことがあり,茨城県では阿武隈山地の奥深いあたりの沢沿いにあるのを知りました。今も無事に生育しているようです。これもナチュラリストの宝箱の一つ。
果実は松ぼっくりのよう。
岩手の遠野に行ったときに見たホップの栽培風景。畑を水浸しにして育てていました。
ツリフネソウが盛りです。
ボタンヅルは実になってました。
たわわにエゴノキの実。つぶして川に流せば魚が浮きます。やっちゃダメよ。
クサノオウにしか見えないのだけど,絶対に花期じゃない。クサノオウに似た外来種とか。
アブラチャンの実もたわわ。油が採れるそうです。
クサギの実が赤と青のコントラストも鮮やかに,秋の陽に映えています。臭い木なんて名を付けられていますが負けていません。
廃校になった小学校の跡地に,動かない人がいるなあと思ったら。
わらのかかしでした。ダマされた。というか本当にデッサンのしっかりしたかかしで,ちゃんと美術の勉強をした人が作ったと確信します。この先の旧里見村で毎年かかしコンテストが行われるのですが,その出展作でしょう。これもまた秋の風物。
茨城の山野にまた実りの秋がやってきます。私も,来月には袋田のリンゴ屋さんに行く予定です。静かで豊かな秋を,また。