ホトトギスの花。10月に満開になります。
不思議な花ですね。細部に神は宿る。
家人から出動要請がありました。庭のホトトギスにものごっつい毛虫がいる。あれはきっと恐ろしい毒毛虫に違いない。刺されたら命がないかもしれない。退治せよ,と。私はどうなっても良いのか。ヒロヘリアオイラガの時と同じパターンだなあ。
実はホトトギスと聞いてピンときたものがあります。ホトトギスといえばユリ科だよな,ユリ科を食うやつとなると… いやまさか。見た目ごっつい毛虫となると… いやいやまさか。
さてご対面。
一見で見つけてしまいました。
まさかと思ったがやはり。
ルリタテハの幼虫だあ!
ルリタテハ。一般の方にはなじみがないかもしれませんが,普通種です。郊外に出れば普通に見られます。群れることはないけれど,ぽつんぽつんと,町の歯医者さん並みに見かけます。茨城の山野では幼虫がヤマユリに付いているのを見かけます。けど,こんな市街地でも食草があれば構わないんだ。
いるわいるわ,10匹以上います。野外でこんな群生することはありません。たまたま通りかかった母ちゃんが,あらここいいところね,とか言ってまとめて産卵していったのでしょう。これも同じパターンがあったような。
あわれ幼虫のいる枝は丸坊主。つぼみまで食いやがって。
ちなみにこのトゲは見かけだけ。へにょへにょでもちろん毒なんかありません。やーいやーいダマされたー。
しかし困った。チョウは殺せないんです私。若いころあまりに馴染みすぎていて,家族みたいな友人みたいな感覚です。困った挙句に家人に助命嘆願して,被害が一定範囲内なら許す,との譲歩を引き出しました。
ここからルリタテハが飛び立つところ,見られたらいいなあ。
ついでなので,この庭で見かけたイモムシ毛虫をざっとご紹介します。私の読者さんなら大丈夫ね。
おなじみオオスカシバ。なぜか私のブログの人気記事の一つです。今年は出ないな,と思っていたらいつの間にかクチナシにわーっと付いてました。さあ戦いだ。
ツマグロヒョウモン。スミレが食草。毒毒しさではルリタテハと五分張りますね。でもこれも見掛け倒しのこけおどし。プランターのパンジーだけ食ってりゃいいものを,大事な大事なサクラスミレにまで手を出しやがって。
パンジーに産み付けられた卵。
写真で気付いた,サクラスミレ上の1齢幼虫。
アゲハ。サンショウを何度も丸坊主にしてついに枯らしてしまった極悪人。今はキンカンに取り付いてます。
いちど蛹が落下していたのを助けて,ミシン糸で固定してやったのですが,
アゲハヒメバチに寄生されて食べられちゃいました。虫の一生って,ヒト以上に大変です。
セスジスズメ。天蛾スズメガと言われる一群のかっこいい蛾の仲間。食草はサトイモ科植物。たぶん庭ではカラスビシャクを食べているのでしょう。
クロメンガタスズメ。デカい。本当にデカい。大型種の多いスズメガ科,多少のことでは驚かない私ですが,これは驚いた。全長11センチ,体はぶっとくて手に持つとズシリときます。ナス科植物を食べるので,たぶんトマトがやられていたんだと思う。メンガタというのは成虫の背にあるドクロマークのこと。有名な使用例はこれね。
父の育てるダイコンがハバチの幼虫にかなりやられてました。その幼虫どもは畑を離れて壁などで蛹化するのですが,コマユバチに寄生されてたりして。これはそのコマユバチの繭。
いまだに正体不明の蛾の幼虫。クサボケに付いてました。地衣類の付いた枝に擬態。
我ながらよく見つけたと思う。と同時に神の造形の不思議を想います。
アケビやらクサボケやら良いモノを庭で収穫する生活に憧れてきた,と何度か書かせていただきました。それが実現出来て幸せだと。そしてもう一つ,チョウの食草になるマニアックな植物を育てて,この庭に産卵に来てこの庭から巣立っていくのを見るのも夢でした。スイカズラで実現できましたが,図らずも多くの昆虫がここを住みかにしてくれていることを知りました。
こうして庭に立ち,このささやかな空間で多くの命が生を謳歌しているのを見ると,この庭を造った意味,ひいては私の存在意義もあったのかなと考えたりします。
以下の記事,もし未読ならご覧くださいませ。