1万アクセス突破した,と喜んだ翌日に手術。なんとも浮き沈みの激しい人生です。
気づいたのが8月の終わり。左下腹がぽこんと膨らんでいるのを見てああ,と。
右を20年前にやっているのですぐ知れました。腹膜に穴が開いて,腸が膨らみ出る病気です。古い人は「脱腸」という。基本は痛くもかゆくもないのですが,腸が出すぎると痛くなり,部分が壊死すれば命に関わります。手術でしか治りません。
20年前の手術がなかなか大変だったこともあり,仕事の忙しい今は休んでられないと放置していました。この9月のブログ記事はそんな状態で書いてたのよ。しかし常に下腹を気にし,運動したり腹圧が上がると症状がひどくなるのでなるべく動きを少なくしと腹に爆弾を抱えたような生活を続けることが不合理であるとの結論に達しました。一発奮起して調べたら今は日帰り手術だとのこと。えええ。20年前は入院1週間で傷も大きいのが残りましたが,今は手術したその足で帰宅できちゃうと。
お世話になったのは市内,百合が丘の「金子医院」。水戸,そけいヘルニア,日帰り手術で検索して,地理的な都合で決めました。小さいけれどきれいな院内,きちんとした看護婦さんたち,そして若手のスマートなお医者さん(私の周囲の同年代は体形の崩れてるのばっかりなので)。本当は何軒か回って選ぼうと思っていたのですが,ここに決めました。ただ先生がお忙しくて,手術まで数週間待たされましたが。
手術1時間,麻酔からの回復に2時間。それでおしまい。数センチ切ったので痛くないと言えばうそになりますが思っていたほどではなく,あとは1週間激しい運動を控えれば元通り。ようやく山登りや筋トレが再開できる。ブログ記事も「ジノ。」本来の自然ネタに力を入れます。全国のそけいヘルニアで悩んでいる諸兄(基本的に男性の病気),恐れずお医者さんへ。
さて手術翌日の今日。さすがに出歩くわけにもいかず,読書とビデオで一日過ごそうと。
何気なく手にしたのが1991年公開のアニメ「老人Z」。
監督:北久保弘之
原作・脚本・メカニックデザイン:大友克洋
キャラクター原案:江口寿史
海外版のパッケージ。大友アピールしてます。
いやあ改めて見ても面白かった。と同時に,同じ大友克洋の「スチームボーイ」がなぜコケたのかもよく分かりました。そう,江口寿史です。人呼んでキング・オブ・ポップ。
もちろん演出のテンポも素晴らしい。でもやっぱり江口寿史。ヒロインの女の子が可愛いのはもちろん,一瞬の端役にまで江口キャラクター総出演。ジャミラおじさんまでいました。その老若男女の出演者がそろって「生きて」「動いて」いるんだよなあ。素晴らしい。
江口寿史のキャラクターが動くだけでも楽しいのに,ギャグ活劇としての出来も秀逸です。ヒロインがいい子ちゃん過ぎるのも周りがカバー。凡百のアイドル映画は見習ってほしい。その上でSF,高齢化問題,バイオレンス,人間愛まで表現しています笑。大ヒットしたのも当然でしょう。21世紀の今見てもなんら違和感ありません。
これをセルアニメで動かしたか。もはや狂気。
対して「スチームボーイ」。大友の絵だったこと。声優ではなく俳優を声に使うというダメフラグを立てていたこと。あの大友克洋がというので,多くの企業がうちにも噛ませろと群がりました,ざまあみろ。作品を見ずに飛びつくからこういうことになるのだ。……なんて言っちゃいけないのはよく知ってますよ。スポンサーがいなきゃ映画は作れませんからね。制作会社が宣伝も配給もやるという日本のシステムではこれが限界。
あとこの「老人Z」の褒めたいところは,上映時間80分という尺。アニメ映画だからというのもあるでしょうが,監督さんはよく我慢しました。だいたい日本映画は長すぎる。平気で2時間拘束する。内容がそれに見合ったものなら良いけど,大抵の日本映画にはダルいシーンがあります。ああ無駄な長回し,このシーン三分の一で十分だろ。近年で2時間たっぷり楽しめたのはシン・ゴジラくらいですか。
特に実写の映画は,実際の上映時間の何倍もフィルムを回しています。その膨大な映像を泣く泣く切っていくのが「編集」なのです。観客が見たいのは「映画」であって「撮影の記録」ではないのだから。それが日本映画では監督の自己愛の発露でしかない長尺で小屋に掛けられ,観客は1800円払ってえんえんとコマーシャル見せられた上で2時間拘束されるのです。
明日の月曜日は大事を取って休暇を消費します。まあ上司もうるさいし。とりあえず雑務は先週片づけたから,のんびり映画でも見ようかな。ブログ記事で映画評も悪くないなと思う今日の私です。