ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ラヴクラフト「忌まれた家」異聞

 

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 私のブログでえらく人気のないオカルトものです。興味のない方はご退出くださいませ。

 


 家を新築した時のお話です。


 とにかく古い家を土台から消滅させるので,完成するまでの半年間どこかに居を移さねばなりません。幸いひとつ向こうの路地に状態のいい空き家があって,父がその持ち主を知っていたこともあり格安で借りることができました。


 そこら辺の交渉は父に任せていたのですが,話が決まって実際に家を見に行ったとき。


        うっ。


 これは…… アレだ。いけないヤツだ。

 

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 むかし,借家探しで不動産屋さんの車に乗って何軒か見せてもらったとき。ココです,と車が停まってその物件を見た瞬間。あ,ココはいいですと車からも降りなかったことがあります。

 

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 なんというのでしょうか,日当たりとか無関係に,どよーんと建物にまとわりつく空気の色。瘴気しょうきとしか言いようのない不穏な雰囲気。ホラー映画で惨劇の舞台となる家が最初に出た時の,あの画面。

 

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 いえ,のちにそこが人死にの出た家と判明したなんていかにもネットっぽいオチはありません。その時にごく個人的に感じただけ。でもとにかく絶対に踏み入りたくない空間が,そこにあったんです。


 そして今私が対峙しているのもそんな空気をまとった家です。半年間,無事に過ごせるだろうか。

 

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 案の定,足を踏み入れたその日に家族が足にケガをしました。十年来飼っていた金魚,もはやヘラブナ並みの大きさになっていた金魚は三日で死にました。ファンヒーターは火が付いたままなぜかファンだけが止まり,気づくのが数分遅れたら爆発して火事に。以後も家族にケガや体調不良が続きます。父も調子が悪くなり検査入院したのですが,不思議に病院では症状が出ません。


 どんな家だったか。


 狭い敷地いっぱいに建てられた二階家。昭和四十年代頃の造りですが,その頃としては十分にお金をかけた瀟洒な家です。居間にはかっこいい段差(当時はバリアフリーという概念はなかった)があり,装飾的な照明が仕込まれ,かつては最新であったろうクーラーや水洗トイレ。そう,家としては古いながらも何も問題はないのです。


 家のお子さんは独立して都会に住まい,一人残ったおばあさんは家の中の階段をふさいで外に軍艦のラッタルみたいな階段を付け,二階を大学生に部屋貸ししていました。しかしおばあさんは認知症で入院し,遠くの子どもたちはこの家を持て余すことに。家の中の片づけまでしてくれるなら,と格安で貸してくれたのです。


 私の見る所(エラそうでごめんなさい),どうも家そのものより地面が怪しい。玄関わきの坪庭の植物のいじけ具合を見る限りそう思えます。ここは水戸と言っても場末,明治以前は沼地と荒地,そこに墓地が散在する寂しい場所だったと聞いています。何が埋まっていても不思議じゃない。いえ,あえて掘り返して調べようなんて気はありません。

 

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 幸いにして私たち家族は欠けることなく新居に脱出できたのですが,その後のこの家が私には気掛かりでした。不動産屋さんを介して,この家を購入した方がいたのです。建築関係のご主人と,若い奥さんと,生まれたばかりのお子さんと。


 さて,私にできることはあったでしょうか。家を買って,さあここから家族の物語を始めるぞと希望に燃えている家族。ご主人は仕事頑張るぞ母ちゃん幸せにしてやるぜと,奥さんは愛らしい我が子を抱いてこの家でどう暮らそうかと夢を巡らすそのさ中に,見ず知らずのおっさんが玄関口に現れてここは良くない場所ですよと告げるのです。 …… これ以上の嫌がらせがあろうか。


 何もできないままに日は過ぎて。そして心配した通りに,奥さんが入院してしまいました。

 

 

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 恐怖小説の極北,H.P.ラヴクラフトの短編に「忌まれた家」というのがあります。


 米北東部の古都プロヴィデンスに,人々から恐れ忌まれた邸宅がありました。植民地時代から建つその家では,夥しい数の死者が出ているのです。狂死,衰弱死,死産…… 健康頑健な者でも,その家に住まうと程なく衰弱していきます。多くが死の間際,知るはずのないフランス語の呪いの言葉を吐きながら。主人公は,博識な叔父とともにこの家の歴史を遡り,二百年前にこの地に移り住んだ邪教を奉じるフランス人移民の一家にたどり着きます。この者たちが地下に埋めた何かが,人々の精気を吸い取り,呪いをまき散らしていると結論した主人公は,叔父とともに地下室に向かい,「何か」と対決することになります。恐るべき結末が待つと知らぬまま……

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 さて,あの家のご家族なのですが。ご主人が建築関係ということもあり,家の改装に着手されました。屋内の階段を復元して二階と行き来できるようにした上で,その二階を快適に造りかえて生活の中心にしたのです。日々の生活を二階で。おお,その手があったか。不思議です。ご自分で気づかれたのでしょうか。それとも「わかる」誰かに助言を受けたのか。地面から離れればその影響も軽減されたでしょう。退院した奥さんもその後は元気で,お子さんもすくすく育ちました。


 自分でもどう評価していいかわからない案件です。私は別に「見える」人間じゃない。ただいつもひとり自然の中でその「気」を感じてきたせいか,なにかを「感じる」ことがたまにあるだけです。ネットで喜ばれるような「体験」もまるでない。女子高生がよく具合が悪くなったと騒ぐ沖縄のガマやヒロシマ原爆資料館でも何もありませんでした。他人の役に立ったこともないし。

 

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 いつも言うけど,話半分で読んでくださいね。

 

 

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