10連休,本当に10日休めた人はどれくらいいるのだろう。公務員,銀行員とか。公務員でも当直のある人はいるしなあ。大変なのは工員さんで,地元には日立製作所関連の工場の方が多いのだけど,給料が基本給+いろいろなお手当てで計算されているので,工場が休みだと収入激減だって。アベさん,そんなこと知ってた?
私はというと,連休明けに大仕事がいくつかあって休んでられません。10日のうち4日,職場に出ました。タダ働きのサービス出勤。一人籠って資料作りなので煩わしいことはないのですが,まあ考える所いろいろです。
というわけで貴重な休日。今日は茨城の北辺,常陸太田市の旧里見村方面にチャマダラセセリを見に行こうかと。遠い昔に先輩に連れられて来たポイントです。
チャマダラセセリというのは山林の伐採地にのみ出現する不思議なチョウで,そのおかしな趣味趣向がたたって日本全国で絶滅危惧種。ここ茨城北部はなぜか発生地が残っていて,シーズンにはそれこそ日本全国から蝶マニアが押し寄せます。
この蝶マニアというのがまた超ファンキーな方々で,珍しいチョウが発生したとなると,それを根こそぎ採集しないと気が済まない。他人のために残そうとか自然のためにちょっとだけ採ろうとか,そういうヤワな発想がかけらもない。次元が違いすぎて,なかなか会話が成立しません。茨城のチャマダラセセリは,こんなステキな皆様のとんでもない採集圧に晒されて減少の一途です。
そのマニアがいない。蝶マニアの皆さんの情報網というのは驚異的で,どこそこで珍種が採れたという情報は全国を駆け抜けます。瞬く間に捕虫網持った人がチョウより多いという景観が出現する。そのマニアの人達が,今日のここにはいない。ああ,もうここは発生していないんだなと知れました。
別にチョウへのこだわりはありません。ならばのんびりと春の山を歩いてみましょうか。
で,まずはこの辺りのランドマーク,三鈷室山さんこむろさんに向かったのですが…… なんかおかしい。なんか無い。
以前に水戸から望遠撮影した三鈷室山。そうこの山の頂上にはどでかい電波塔が立っていたのです,が。
サラ地だあ。
以前にあった看板。まさか無くなるとは思わなかったので電波塔の写真はありません。ドコモさん,撤退したのですね。
名の示す通りもともと山岳仏教にゆかりのある山で,山頂にはほこらがありました。それを脇にのけて,平らに整地してなんか建てていたわけですが,きれいに撤去。ほこらもきちんと台座に乗せられて。ちなみに墓碑と思しき真ん中の延寶4年は1676年,家綱から綱吉の時代。
感心したのは,跡地に植樹が行われているのですが,その樹種がもともとここにあったと思われるミズナラなんです。植生の復元ですね。よく考えられています。
さて長々と世迷言にお付き合いありがとうございます。このあとは写真を並べて済ませます。
かなりの奥山なのですが,集落があって,田んぼや畑を耕して暮らす人々がいます。すぐ田植え。水面を風が渡ります。
グルルと鳴くのはヒキガエル。卵のうがいっぱい。
ずるるるーっと側溝から音がするので覗いたら,超特大のヤマカガシ。でかい。ヤマカガシも胸を膨らませて威嚇するんだと,初めて知りました。よく蛇を見つけると殺そうとする人がいますが,蛇はそもそも人と関わりたいなどと思ってません。そっとしてあげましょう。
ウスバサイシン。
いつ見ても興趣の尽きない花。
星を散らしてフデリンドウ。
春です。
アカネスミレ。
アケボノスミレ。
湿原に降りてみました。以前は通う人もいたんですが,今は足跡ひとつありません。道も消えかけていました。
バイケイソウ。花が咲いても,きっと愛でる人はなく。
オウレン。実になりました。
ミミガタテンナンショウの寄り合い。
タネツケバナが盛りです。
里美牧場の風力タービン。景気よく回ってました。
この季節,茨城の田舎道で車を走らせていると,この「もんもこ毛虫」が次から次へと道を横断してくるのでよけるのが大変です。ヒトリガという蛾の幼虫なんですけど,道端のオオバコが食草で,常に全速力で道を移動しています。ストリート生まれのヒップホップ育ちってか。虫も生きるのは大変です。
ヤマなしオチなしイミなし,特に珍しいものもなし。いいんです私が幸せならば。