さあ,今日はざくろ石の十二面体結晶いくぞ。
以前,本当の偶然でパンニングにざくろ石の結晶が入ってきて歓喜しました。なんと美しい。この美しさをあえて表現するなら,ランダム性と規則性の絶妙な配合,定型でありながら同じものが二つとしてないこの唯一無二感。同じ衣装を着ながらそれぞれに個性を競う集団アイドルみたいなものでしょうか。小さく美しく,同じに見えて個性的,そんなざくろ石が小びん一つにびっしりと詰まっていたら見ものだろうな,ちょっとした宝物だよな,魔法アイテムにもなりそうだな(笑)なんて。
前回,あ,前回というのはこの前の鉱物ネタの回ということですが,「ざくろ沢」(ジノ。命名笑)でざくろ石をたくさん採ったご報告をしました。地質図で近所に「ざくろ石・菫青石帯」というのを見つけて大喜び,勇んでパンニングしに行った話です。
結局この時には結晶が採れなくて,もっと上流なら砕けていない美しいのが採れたのにと,ずっとずっと悔やんでおりました。今回は現地の地質図をプリントして,よさげなポイントをもうチェックしてあります。そう今日はリベンジ回なのだ。
さっそくコケました。道筋を写真レポートしようと思ってたら,持ってきたカメラが電池切れのままでした。万能の「権三さん」も電気が無ければ動けない。ガッデムウウウというか,なんとも初歩的なミス。だいたい幸先悪いフィールド行は目的を達せないのが私のジンクスです。わはは,今日はダメなんだろうな。
権三さん,今回はごめんね。
案の定。何回もやぶ漕ぎして沢まで降りてパンニングするのですが,さっぱりざくろ石が出ない。ざくろ石帯と言ってもどこにでもざくろ石がある訳ではないことを知りました。このあたりの山は「結晶片岩」という変成岩で,ざくろ石はその中に層状に産するようです。
結局1か所で,大きめのものが採れただけです。しかも不定形なものばかり。
それなりにキレイではあります。
異星探検ふうに。
たぶんこの沢の母岩には,十二面体結晶では含まれてないのでしょう。半日かけてそれが知れたことが成果です。とりあえず採れるポイントはわかったし。
パンニングで取れた砂をかなり持ってきたのですが,思ったほどざくろ石が含まれていなかったことにもがっかりです。せめて量だけはと思っていたのですが。上が今回,下が前回の戦果。前回は1時間程度でこれだけ採れたのにー。思えば前回はつまり,いきなり行って適当に沢に降りたにもかかわらず見事ポイントを当てていたのですね。ビギナーズラック。私は新ネタでフィールドに出るとよくこれに恵まれます。冬虫夏草の時も,久慈川メノウの時も。2回目以降で苦労したりして。何か変な見込まれ方をしているようです。
↓ 前回はこんなでした
ところで。
これは帰宅して選別する以前,すでに現地で気づいていたのですが。パンニングで残った砂の中に,青光りする妙な結晶がある。
これ! 正八面体!
あるわあるわ,ざくろ石よりたくさん取れてます。しかも見事な結晶ばかり。
調べてみると,これが磁鉄鉱。鉄の鉱石,磁鉄鉱。結晶片岩によく含まれるものだそうです。もろく砕けやすく,すぐ砂鉄になってしまいます。だからこれがあるということは,すぐそばにこの結晶がびっちり付いた母岩があったということ。おおこれもガッデム。見たかったなあ。
それにしてもこのカタチ。エヴァンゲリオンに出てきたアレですよね。シパーッ!とビーム砲撃ってくるヤツ。
これだけの数で来たらば,ヤシマ作戦実施不可能だったような。
手乗りラミたん。
美しさという点ではざくろ石に負けるけど,これはこれで小びんにびっしり詰めたくなる風情があります。また行こうか,ざくろ沢。
読者の皆様,私の記事を見て新たにパンニングに興味を持った方はおられますか? いやなに,決して難しいものではないのです。道具も百円ショップでほぼ揃うし。文字通り宝探しだし。夏だと虫よけが必要なことと,人に見られた時の言い訳が面倒くさいだけです(笑)。
もし興味がおありなら,一つ参考になるものをお伝えします。産総研(産業総合研究所)の地質図ナビ。産総研のHPから,日本全国の地質図が閲覧できます。もちろんタダで。私のような者には最高の暇つぶしにもなります。たとえば四国にお住まいの方,四国を東西に横切る中央構造線沿いには広大な「ざくろ石帯」がありますよ。現地がどのような場所か存じ上げませんが,私なら狂喜乱舞ですね。現地を歩きながら見るには大ざっぱな図ではあります。でも使いようによっては今回の私のように存分に楽しめます。あくまでも自然を「楽しめる」ひと限定でどうぞ。
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四国あたり
↓ 参考記事です
パンニングで鉱物採取 砂鉄,角閃石,ざくろ石 - ジノ。
ざくろ石ざくざく - ジノ。
冬虫夏草探索記 茨城で不思議なものを探し歩いた日々の記録 - ジノ。