ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

香るオトタチバナ

 

 お散歩回です。

 


 7月のことです。那珂湊まで出て、那珂川河口の海門橋まで参りました。向こうがひたちなか市那珂湊、こちらが大洗町。大洗側に駐車場があります。

 


 東に太平洋。

 


 大洗水族館。

 


 西は那珂川(右)と涸沼ひぬま川の合流点。

 


 遊歩道が整備されているので歩きます。かつてはこのあたり、タイミングが合えばそこらへんアカテガニだらけになりましたが残念、今日は姿が見えません。もういないのかなあ。視界一面わらわらとカニが歩く光景、ある種の性癖の人歓喜いたします、私みたいな。

 


 水戸八景の一つ。

 


 徳川斉昭が夕陽を愛でたのは遠い昔。当時は人の生活圏に木は生えてませんでした。今は鬱蒼とタブノキやらが茂って、北方向にしか視界がありません。

 


 車に戻る道すがら、蓬生の宿など鑑賞しながら。

 


 海門橋が架かるのは河口を見下ろす台地のへり、小さな丘です。その小さな丘から、驚くほど清明な水が湧き出してます。おおこれは、と近づくと強烈な芳香が鼻腔を満たしました。この香りは確か……

 


 顔を上げると、スポンと視界にはまるように神社が現れました。ああ、こちらに呼ばれましたか。

 


 鳥居の両側に侍らせるようにヤマユリを従えてます。香りで人を呼ぶとはただならぬ神さまです。おろそかにはできません。

 

  
 弟橘比賣神社…… オトタチバナ古事記日本書紀にあるあの弟橘姫をお祀りする神社でした。伝説の地である東京湾周辺に限られると言われますが、「常陸国風土記」ではここ常陸の国で夫であるヤマトタケルと再会したとありますから、大洗で祀られるのも所以があってのこと。海の、東の方角を向いているのは海路の守り神だからです。

 

     
 「前賢故実」より、オトタチバナ。海難に遭った夫の危機を救うために、自ら入水して海神を鎮めた「記紀」のヒロインです。ゲームキャラとかに安易に使わないでほしい。

 


 階段を登った境内にもヤマユリ。今年この花をブログに載せるのは何回目か、とにかく茨城ではどこにでもある、そして世界に誇れるユリです。美しく清楚な姿は、愛に殉じた女神を飾るにふさわしい。

 


 地形図にも記号のない小さな小さなお社です。でもきっと地元の人から大切にお祀りされているのでしょう、きれいに整えられたたたずまいが印象的でした。また一つ、良い神さまにご縁ができた気がします。

 

 

 

 

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