ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

【王国虫だらけ】

 

 虫回です! 【虫閲覧注意】です! 苦手な方、直ちにご退出ください!


 ごめんなさい、虫無しでは生きられないカラダなんです

 

 

     
                                         どーん。


 書類上は「市街地」になる水戸の場末の住宅地、家の敷地と少しずれて接する60坪ほど、これを「王国」と呼んでそこに現れては消える生き物たちを愛でております。小さなログハウス、物置二つ、コンクリ敷きの駐車場、そして畑。ヒトに隈なく利用されている土地なのに、小さな生命にとっては広大な三千世界。多様な六脚虫たちが今日も命を懸けたドラマを繰り広げ、それが私の心の眼に投影されます。幸いなるかな、半世紀をかけて鍛え上げたマクロのレンズが、私の心には備わっております。

 


 いきなりですがオオスズメバチ。強大なアゴと人をも脅かす毒針。王国に毎日飛んできます。背中側から見た頭の、この垂れ目がニマーッと笑っているようなのが異界の化け物みたいで子供のころから怖くてしょうがありませんでした。でも、おっかないけどこれは食物連鎖の頂点に位置する生態系の守護者、生態学で「キーストーン種」と言うところの自然界のバランサーです。むやみに駆除してはいけない。この個体は7月の初めに畑の土の上でのたうっていて、やがてこと切れました。いかに強力な攻撃力があろうとも、命の炎を吹き消す風に抗える者はいません。

 

     
 今夏の好天と必然的に私の仕事になってしまった毎日の水やりのおかげで、畑の作物は大豊作です。食卓に上がるほとんどの野菜を自給しています。キュウリなんか消費が追いつかなかった。

 


 カボチャはこれから。でもわしご飯のおかずに甘いもんはいやだよー。

 


 これらウリ科の作物の敵と言えばウリハムシ。ただ暑さのせいか不活発で、大きな被害は出ておりません。

 


 いつもアゲハ類に丸坊主にされるサンショウですが、今年はアシナガバチたちが守り抜いてくれてます。これも好天のおかげです。ハチは雨が苦手なので。むしろ好天すぎてサンショウの葉が陽に焼けてしまいました。

 


 ホトトギスも陽に焼けてヒーヒー言ってる。まだルリタテハは来てません。

 


 アゲハの幼虫もキンカンには生き残ってます。まあこれくらいなら許そう。

 


 アシタバにキアゲハの幼虫がびっしり付いていたのは全て駆除しました。アシタバの天ぷら、美味しいです。

 


 アシナガバチ隊の活躍で、オオスカシバの被害が目立たないクチナシ。でも点々とナニかがいるぞおお。

 


 うぎゃあ。これは新参のカイガラムシカメノコロウムシの幼虫だあ。

 


 成虫はこんなの。

 


 幼虫拡大。まだロウのバリアが未完成で、この段階なら殺虫剤が効きます。ふつうカイガラムシは成長するとその場に固着して生活するのですが、こいつは厄介なことに成虫でも移動できるんです。バリアは薬もはじくので、幼虫のうちに見つけられてよかった。

 


 1齢幼虫の若いやつ。

 


 バリア形成中。造形的にはそれなりに面白いんだけどなあ。

 


 昨年はウメモドキがルビーロウカイガラムシにやられました。今年は春先にこのヒメアカホシテントウが来ていて、どうやらカイガラムシの幼虫を食べてくれたようです。すると今度はクチナシに別のカイガラムシ。もぐら叩きやってる気分だなあ。天敵さん今度はこっちをお願いします。変な生態系が出来上がってます、この王国。

 


 無農薬でやっているウチの畑、掘り返すとおびただしい数のコガネムシの幼虫がまろび出てきます。おかげでその天敵のツチバチも大繁殖。今は先に羽化したオスの大群がメスを探して飛び回ってます。中にはこのようにメスを待ちきれずに悶死するやつも。哀れ。

 


 昆虫じゃないヤツもご紹介します。オカダンゴムシ。我が王国にはおびただしい数のダンゴムシとワラジムシが植物片処理業務に働いていて、数的にはアリとこいつらで国民の9割というところです。この日は雨上がりの駐車場のコンクリに集まってました。実は大繁殖の理由がこれで、コンクリかじって殻のカルシウムを補給しているんです。ダンゴムシの分際でカルシウムとか。こいつらのためにお金かけてコンクリ敷いたわけじゃないんだけどなあ。で、当人たちはトカゲやカナヘビのエサになってます。

 


 3年前、鳥の落としものから芽生えたビナンカズラ。ぐんぐん伸びて、たくさん花芽を付けました。

 


 昨年の記事では雄株で実が生らないとぼやきましたが、その後あの赤い実が出来ていてびっくり。どうやら両性花も付けるようです。本当は花の接写もしたいけど、これ以上近づけない理由がひとつ。

 


 セグロアシナガバチの巣があるのだ。これまたびっくり。気付いたのは最近です。毎日水を掛けていたのに騒ぐでもなくただ耐えていたようです。アシナガバチは我が王国の守り手、大切にしたいのでこれ以上近づくのは遠慮しましょう。

 


 そしてうふふふふ。シャインマスカットだあ。枯れたスイカズラの場所に植えたのが昨年の冬。今年はみるみる枝が伸びて、花芽をこれでもかと付けました。これは虫や鳥に横取りされたら悔しいのできっちり袋がけ。ああ秋が楽しみです。

 


 シャインマスカット防衛隊ナンバー1、オオカマキリ。よろしく頼む。

 


 そしてナンバー2…… って、うわあ何だお前。こ、コガネグモじゃないか。こんな市街地にいていいのかお前。茨城では決して希少種ではないけど、ふつう人家にいるものでもありません。もちろん大歓迎です。また新たな王国のメンバーを見つけました。

 


 ミツバアケビはもうほったらかし。人工授粉させてないのに勝手に結実したりして。未熟果が落ちていても平常心です。

 


 やり放題なのがこのカメムシ。まだ幼虫です。名を調べる気もないけど、アケビの実が大好きのようです。

 


 これはボクのものだよチュウチュウ。口器を挿してまあ美味しそうに。でも落果してしまいました。翅のない幼虫ではもうアケビに戻ることはできません。私にお節介をする気もありません。運命を受け入れなさい。

 


 そのアケビをふと見上げて…… おい、見えてしまったぞその尻毛

 


 ヒロヘリアオイラガ。久しぶりじゃないか。性懲りもなくまた出たか。

 


         駆除駆除駆除ぉぉぉっっ

 


 卵も見つけました。1匹のメスが産んだ卵塊です。ヒロヘリアオイラガは「広食性」と言って多くの植物をえり好みせず食べます。母ちゃんが産んでくれたその木を、兄弟全員で食い尽くすのです。フジ、クサボケ、ブルーベリー。いろんなのがやられました。刺されもしました。こいつだけは良心の呵責なく駆除できちゃいます。

 


 はあはあ、落ち着こう。畑エリアに戻って、手前がトウモロコシ二期目。奥が雨覆いを掛けたトマト。間にはエダマメも植えてます。トウモロコシにどでかいショウリョウバッタがいたときは驚きすぎて逃げられました。

 


 トマトもまた天候が味方して大豊作になってます。もちろん無農薬、しかも新鮮。大玉・中玉・ミニとバリエーションも豊富。収獲されたのがその晩の食卓に並びます。いやその甘いこと甘いこと。決してトマト好きではなかった私が喜んで食べるのを家族が驚いて見ています。

 


 しかし無農薬となると害虫は避けられません。一番たちの悪いのがこれ、実に穿孔するやつです。オタバコガと言うらしい。

 


              隠れてんじゃねーよ。

 


 ところが。つらを拝んでやろうかとちょんと切って部屋に持ってきたのですが、ものの十数分で外に出て来て、そのままぐったりと動かなくなってしまいました。根との繋がりが断たれた途端に、実の中の環境が変わってしまったようです。だからっておい、死んじゃうほどのことか?

 


 もはや心臓も動いてません。完全に生命活動を終えてしまいました。なけなしの収穫を狙う野盗のような奴、滅せられて当然、くらいに思っていたのですが、こうも簡単に火が消えてしまうとは。何と儚い生命であることか。

 


 我が王国に住まう小さな生き物たち。生まれて、育って、食って、食われて、増えて、滅んで。それぞれ神さまに定められたやり方でこの夏の日々を謳歌しています。そして私は、ごく簡単にその運命に介入できてしまいます。ヒトの力は絶対です。これら小さき生命は、本気を出したヒトに抗うすべを持ちません。私は、できることなら王国の民すべてと何とか共存していければとは思うのです。無理とはわかってますけど。

 


 アケビのイラガを駆除していて、オオスズメバチの羽音に思わず身をすくめました。思わず飛びすさってから観察すると、私には眼もくれずアケビの葉を一枚ずつチェックしながら飛んでいます。明らかにイラガの幼虫を狩ろうとしています、まるで勤勉なアシナガバチみたいに。なんと、オオスズメバチも我が王国直属の守り手だったんです。駆除しなくて良かった。オオスズメバチというと他のハチの巣を襲う荒っぽい外道のイメージがありますが、ちゃんと地道なシノギで日々食っていたんですね。こんな発見が、私には何物にも代えがたい人生の喜びです。見守って行こうと思います。我が王国よ永遠なれ。

 

 

    
 野菜と虫だけじゃなくて、お花も少しはあるのよ。うふふ。

 

 

 

 

 

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