ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

千波湖の鳥

 

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 水戸の市街地のど真ん中に、千波湖せんばこという湖があります。水戸は字の通り水の豊富な、水に囲まれた町でした。旧市街の北側は那珂川、支流の桜川がぐるりと東側に回り込み、南側には広大な千波湖があって、軍事的な守りにもなっていました。千波湖は明治以後に埋め立てられかつての三分の一ほどになりましたが、南側にも市街地が広がったことで水と緑の都市公園の中心になっています。生態学的には水深の浅い「沼」、もしくはほぼ人工のものなので「池」というべきではあります。でも千波湖の名がすっかり定着しているので、野暮なことは言っちゃだめ。


 さてこの千波湖、月並みですが本当に「市民の憩いの場」。ぐるりは一周3キロの陸連公認ジョギングコース。桜と柳が植えられ、スワンボートが浮かび、ラーメンやらなんやらイベントが開かれ、ポケGOのポイントだというのでスマホ持ってる人が群れ、花火が上がり、噴水がぷーと吹く。休日は早朝から駐車場がいっぱいになります。高いところから見下ろしてみたい平和っぷりです。

 


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 実際に周囲には高級マンションやお金持ちのお屋敷が。


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 ジョギングに興味はなく、彼女とボートに乗ったのは遠い昔、ラーメンもポケGOもどうでもいい私ですが、冬場にはちょっと湖畔に立っていたりします。防寒装備に身を固め、双眼鏡とズームレンズ付きカメラを首に下げ、その他大勢でぞろぞろと湖畔を歩く。そうここは探鳥のメッカなんです。なんといっても鳥が逃げない。ここでは鳥に危害を加える人がいないことを連中もよく知っていて、比較的そばで鳥を観察できちゃう。


 はいそうです、私は鳥は専門外。どうも興味がわかない。それ以上に、鳥見の人たち…… 野鳥の会とかなんでしょうか、ビノキュラーを持った人たちが探鳥の場で専横にふるまうのを見て「鳥を見る人」が嫌いになったせいかもしれません。


 とはいえ「生物屋」を名乗っているので知らぬ存ぜぬも通用しない。そこでたまに千波湖の探鳥会に付き合うわけで、まあお勉強です。今日はそんな折に撮った写真をご紹介して、水戸の自然を知っていただこうかと。鳥さんの名前、間違ってたらごめんなさい。ほぼシロートなもので。


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 ランナーがどこどこ走るすぐわきに鳥さんたちが。

 

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 鳥さんと触れ合う市民の皆さん。ああ日本は平和だ。


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 オシドリ。数は少ないしあまり寄ってこないけど。


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 オナガガモ


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 カイツブリ


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 カルガモ。人がさわれるような距離でこうしてます。


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 キンクロハジロ


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 コクチョウ。外来ですが、ここで繁殖しています。

 

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 コハクチョウ

 

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 海から10キロ以上離れてますがカモメが来ます。セグロカモメ


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 ダイサギ、かなあ。


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 ヒドリガモのペア。


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 赤いお目目のホシハジロ


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 マガモ


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 ユリカモメ。

 

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 周辺の木々にはヤドリギがいっぱい付いてます。鳥が多い証拠です。

 

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 人と鳥が共存できる場所。人は自然がなければ生きてはいけませんし、社会や科学が目指す場所もそこでなければいけません。その意味で今の千波湖は、とても示唆に富む場所であると私は思っています。

 

 

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復旧

 

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 コンピューター周辺事情、復旧しました。


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 高温石英の記事はこの、タブレットにキーボードのついた奴にコードを繋ぎまくって書いたのですが、能力を超える仕事にすぐネを上げられてしまいました。無理させてごめんね。


 仕方ない。覚悟を決めてケーズデンキの初売りに出かけて、NECのメモリ8GB,SSD512GBのノートを買っちゃいました。それでようやく先日のヒガンバナの記事が書けたわけです。


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 こんな感じ。


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 キレイに片付けられるので、ノートにしてよかったかも。


 壊れている間も気にかけてくださった皆さま、ありがとうございます。ご心配をおかけしました。これからまた、皆さまに喜んでいただける記事を心がけて精進いたします。よろしくお願いいたします。

 


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 ケーズでお年賀のタオルくれた。そうかまる子か。

 

 

ヒガンバナのマイペースライフ/「冬植物」の平和な日々

 

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 水戸に住んでいると,同じ地続きのどこかは雪に閉ざされているという事実を忘れがちになります。冬です。今日も良く晴れました。

 

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 冬はご存知のように低温で,しかも雪のないここ常陸の国は極端に乾燥するので生物の活動は不活発です。


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 ところが!この季節にもこんなに青々と葉を広げている植物があるんです。


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 これがヒガンバナ。そう,あのヒガンバナ


 図鑑によると北海道から沖縄まで分布しているそうなので,どなたにも花のイメージを思い描いていただけると思います。中国原産の史前帰化植物で、日本人が物心付いたときにはもう身近にありました。「曼殊沙華」をはじめ千もの別名を持つといわれる,天上に咲く真紅の放射花。美しくも禍々しいその赤は称賛と畏怖の対象となりました。全草有毒で,モグラ・ネズミよけに田んぼのあぜに植えられ,野犬から土葬の遺体を守るために墓地に植えられ,飢饉のときに毒抜きして食べるために路傍に植えられ……。つくづくヒトと関わる植物です。三倍体植物(3n=33)なので種子ができません。血のようなな赤,毒,墓地,子ができない。…… そりゃ人に嫌われます。だから別名も手腐れ花とか地獄花とか,良くないものが多い。


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 茨城ではちょうど秋のお彼岸のころに,何もない草地から突然にょきにょきとつぼみが現れます。群生して盛大に開花すると,実を結ばぬまま枯れ溶けます。時期はズレるとも,日本全国でそのような光景が見られることでしょう。


 あれ、光合成は? 花を咲かすだけ?「生活」はないの? ドカンとお祭りをする「ハレ」の日ばかりで、日々の地道な「ケ」の生活はないの?


 もちろんあるんです。ただヒガンバナの場合ちょっと変わっています。


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 秋にヒガンバナの咲いていた場所を覚えてますか? 秋から早春にかけてその場所に行っていただければわかります。こんなことになっているはずです。


 そう、ヒガンバナは花が終わってから細長い葉をにょきにょきと伸ばすんです。そして他の植物が枯れ果てた草原で、冬の間だけ陽光を独り占めにして光合成を行い、次の開花のための栄養分を蓄える。そして他の植物が葉を広げ始める春に、自分は葉を枯らして、また秋の彼岸まで永い眠りにつきます。もともとが中国大陸の、樹林が発達せず積雪も少ない土地で生まれた植物なので成り立つ生活ですが、日本でも人間の作り出した草原環境に適応して繁栄しています。もっとも、雪国では根雪に覆われてしまうので困っているかもしれません。


 ちなみにこういう生活史を持つ草花のことを「冬植物」といいます。上記のように日本では木々が冬でも陽をさえぎってしまい、あるいは大地が雪で閉ざされてしまうので在来種では例が少ないのですが、ヒガンバナは田んぼやら土手やらの人工環境で冬を満喫しています。冬にだけ活動。私の読者の皆さん、どこかで聞いたような話だと思いませんか?


 そう、以前の記事にあるクロナガアリがこんな生活でした(右上の「虫なる日々」カテゴリーをご参照ください)。ライバルたちが眠りにつき、捕食者も現れない冬。最大の問題は低温であることですが、体内の酵素を調整して低温でも体が動くようにすれば三千世界はわが手に。時間の止まった街中でやりたい放題やるようなものです。なによりこの世にただひとり、誰とも争わずにマイペースで生きていける。合理的で究極なるマイペース、絶対なる平和。争いの消えた世界で、ヒガンバナは何を思索しているのでしょうか。案外、きたる秋の祝祭の日を夢見ていたりして。

 

 

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 東日本大震災でインフラが失われていたころ,人けのなくなった街を自転車で走り回りました。いえ,人々は家の中にいただけなのですが。


 人工音が途絶えて風だけが吹き抜ける空,ガソリン切れで道端に放置された車。まるで移民宇宙船に自分一人が乗れなかったような,そんな映画のワンシーンに紛れ込んだような錯覚を覚えました。自分がこの世界を手に入れたような気にもなりました。まあその程度にしか考えが及ばない私です。

 


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 他の生物が絶えた冬にひとり葉を広げるヒガンバナ。その本心を理解するには、私はもう少し聡明にならねばなりません。

 

 

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この砂はみんな水晶だ/初崎海岸の高温石英について

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 この砂はみんな水晶だ。なかで小さな火がもえている。
 - 宮沢賢治銀河鉄道の夜」,白鳥の停車場にて


 先日ブログ記事にした県自然博物館の宮沢賢治展。「銀河鉄道― 」の展示で,天の川の河原の砂についてカンパネルラがそう語ります。展示品は「高温石英 茨城県日立市」。

 

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 高温石英? なんだそれ,面白そう。見ると美しく銀色に輝く砂が散らしてありました。


 高温石英。日本中に産するようで,さほど珍しいものではなさそうです。石英は普通マグマが500度以下に冷えてから固化するものですが,それが577℃~870℃の温度帯で結晶化すると独特の構造になります。石英の結晶を水晶といい,ご存知のように六角柱状で一端が六角錐になっています。ところがこの高温で結晶化すると,六角錐を二つ張り合わせたそろばん玉のような結晶になるのだとか。うわあ見てみたい,というか採ってみたい。


 世界的に有名なのは米国ニューヨーク州ハーキマーの堆積岩中に産するもので,透明で見事な結晶形であるのと強烈な光を放つところから「ハーキマーダイヤモンド」の名で流通しています。パワーストーン好きの方はご存知かと。


 国内で有名なのは愛媛県の千本峠のもので,大きく立派な結晶であるばかりかそれが紫水晶アメジスト)であるという。対して残念ながら日立のは無色透明で結晶もあまりないらしい。でも他の産地のを見る限り,透明というだけでも価値がありそうです。ぜひ行かねば。

 


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 で,やってきました日立市,初崎海岸。これも記事にしたことがありますが,日立の海はいつ来ても美しい。


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 ツワブキ


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 ハマギク。日立の海岸の暮秋を飾る名花が咲き残ってます。


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 ヤブツバキ


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 巨大なカタバミが咲いていました。調べたらオオキバナカタバミという外来種。崖下に群生してました。困ったな,外来種なんだけどすごく好みだ。


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 さて初崎海岸。砂浜に寄ってみます。


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 ビーチグラスがいい塩梅にちびたのがたくさん。


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 そして石英。通常の石英やガラスとは全然違うぎらぎらとした輝き。間違いありません,高温石英です。


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 これが母岩。


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 化石とともに


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 通常の石英よりはるかに透明で,ぎらぎらと輝きます。さながら陽光を銀の炎に変換しているようです。


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 六角結晶も少ないながら確認できます。この母岩ごと持って行ってしまえば用は済むし,ハンマーもあるのですがあまり乱暴な真似はしたくない。ざくろ石で鍛えた「砂粒ピックアップ」で行きます。


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 ぷちっと。他の鉱物とは光り方が違うので,ざくろ石で鍛えたこの目とピンセットなら難なくつまめます。本当に,中で小さな炎が燃えているようなまばゆい光り方をします。ネットで拝見した他の地域の高温石英と比べても群を抜く透明度ではないかと。

 

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 ちゃんと結晶も見つけました。


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 思ったよりたくさん採れました。ちなみに青や黄色のはたぶんガラスです。色味が欲しかったので混ぜちゃいました。確信犯です。石にはシロートなのでこんなことも平気でできる。


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 ほらこれが天の川だよー。


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 シロートなので何でも自由。これはビーチグラスのちびたやつ。キレイなものはボクのもの。これはこれで美しい。ただ画面全体にある小さくて透明で丸っこいのはそのまま母岩にもたくさん含まれてました。たぶん高温石英と一緒に堆積した別の鉱物です。


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 また一つ宝物が増えました。


 今年はすっかり岩石鉱物にハマった1年でした。久慈川でメノウや珪化木,パンニングでざくろ石や磁鉄鉱,トパーズ探しに行ったりもしたっけな。いいトシしてワクワクが止まらない1年でした。本当に楽しかった。…… なんでかな。


 たぶんそれは,私が生物屋だから。もう県内の生物は知り尽くしていると思いあがっていて,驚くことが無くなったから。その点岩石はど素人,見るもの聞くものすべてが新しい。久しく忘れていた知る喜び,見つける楽しさを思い出したのだと思います。すなわち好奇心。


 まだまだ錆びついてはいられません。生物記事と鉱物記事,しばらくは二足のわらじで行くと思います。どうかお付き合いくださいませ。

 

 

 


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 泳がせてみた。

 

 

 

 

 

↓ 2023年1月、初崎海岸が大変なことになったのですが

悪魔は夜に毒麦を蒔く - ジノ。

↓ 復活しました。

復活、初崎海岸 - ジノ。

 

↓ 関連リンクです

 ↓ そこをなんとか。

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失ってもまた取り返せばいい/アップデートでパソコン壊れた話

 

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 ウインドウズアップデートで煮え湯飲まされたこっとって,ありませんか。


 今はとりあえず都合を聞いてくれるけど,以前は本当に突然に,強制的に始まりました。卒論発表の途中だろうが,社運を賭けたコンペの真っ最中だろうが,うっかりネットに繋いだままだと突如襲ってくる悪夢。訴えた人いないのかな。


 それでパソコンの調子が良くなればいいのですが,最近の私のパソコンはアップデートのたびにおかしくなりました。acerのデスクトップでもう8年使っているので,寿命は寿命。セキュリティソフト(NTT=トレンドマイクロ)との相性も悪いようです。


 で,先日。とうとう,またアップデートしやがったなと思ったら,ウインドウズが立ち上がったところでフリーズしてしまいました。何をやってもだめ。セーフモードの起動もできない。acerのサポートダイヤルはいつまでも話し中。マニュアルにあった「データを保存してリカバリー」は処理が99%まで行くとこれもフリーズ20時間。進退窮まって,一気にリカバリーしちゃいました。すべてのデータがなくなりました。


 まあ目算はありました。大部分は貯めに貯めたくだらないネットの拾い物です。本当に困るのは自分で撮った写真データ。これは命より尊いものですが,10月の末に外付けハードディスクに保存していました。失われるのは11月・12月の写真ですが,それくらいなら復旧ソフトでリカバリーできるかなと。


 そんなわけでパソコンは新調します。リカバリーしたらウインドウズ7だったし,こういう機会でもなければ古いものをいつまでも使ってしまう私の悪癖は正せない。この年末の忙しい時期に。ああ各種設定が面倒くさい。1日かかるだろうなあ。ノートパソコンはあるのですが画面は小さいし扱いづらい,思うような記事を書けません。


 そんなわけで,ブログの更新がしばし途絶えます。お許しください。昨年も今年も12月は極端にアクセスの減るこのブログ,でも今年は固定のお客様がたくさん付いてくださってます。皆さんを失望させないよう頑張って復旧させます。


 とにかく使える物は壊れるまで使う。壊れた時にものすごく困る。そんな繰り返しです。今年もTVレコーダーが壊れた話はブログに書きました。それ以外に今調子の悪いもの,iPod touch はそろそろバッテリーが限界です。愛用のガラケーもドコモからもうサポートしませんよと連絡が。腕時計,もう10年以上使っているカシオのPROTREKが,呆れるほど壊れなかったのですがソーラー電池のバッテリーがもうダメなようです。ちなみに1月には新しい車が納品されます。これは壊れる前に。


 どんだけお金がかかるんだあ。


 決して高給取りではありません。かと言って食えてないわけでもない。浪費しない,モノを大事にするというそれだけです。そのモノが突然壊れる。資本主義社会に貢献しないツケで,いつもひどい目に遭います。でもその愛用品を失って一定期間ぽかーんと過ごす,この空虚感がまた好きだったりする。我ながら困ったものです。

 

 

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茨城県自然博物館企画展「宮沢賢治と自然の世界」が実は面白かった件

 

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 茨城生物の会,今日は茨城県自然博物館の庭で野鳥観察です。


 いえ,正直野鳥に興味ない。ありゃ我が庭の敵だ。今回は会誌の原稿を書いたのでそれを事務局の人に渡し,知り合いの学芸員に差し入れを渡したらとっとと消えるつもりでした。


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 なんとなく最初だけ他の皆さんに付いて行くつもりで一緒に歩いていたのですが,そこはフィールド屋の悲しいサガです。専門外とはいえやれカワセミメジロだと騒ぐうちになんとなく楽しくなり,アカボシゴマダラの幼虫を見つけたりして,結局午前中いっぱい付き合ってしまった。


 これはイカンと帰りかけましたが,午後は学芸員さんの案内で開催中の企画展の見学をするという。せっかく来たので昼休みの間に抜け駆けで企画展を見てとっとと帰ろうとしたのですが,この企画展がまた面白い。ずるずる見るうちに学芸員さんの解説が聞きたくなり,居残ってしまいました。我ながらこの主体性の無さは本当に情けない。

 

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 企画展「宮沢賢治と自然の世界」。


 宮沢賢治。日本人みんなの共有財産と言っていいでしょう。国語の教科書のレギュラー選手。日本人なら必ず賢治の作品を読んでます。となりのトトロ級にわれわれの遺伝子に染み付いた共通言語。…… なので,何をいまさら宮沢賢治,と思っていました。


 入り口にいきなり最重要展示物。「春と修羅」「注文の多い料理店」それぞれ初版本。賢治の生前に出た著作はこの2冊だけ。ともに千部ほどしか印刷されず,しかもまったく売れなくてゴミ扱いされたといいます。今ならひと財産。…… すいません,写真失敗しました。


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 もっと貴重かもしれない。「雨ニモマケズ」の書かれた手帳の本物。この世でただ一つ。


 でも今回の企画展は文学がテーマではありません。なんせ自然博物館ですから。


 ご存知のように,賢治の作品にはおびただしい数の生物,鉱物,天象気象が登場します。その実物を博物館の収蔵庫かっさらってお見せしましょうという企画と理解しました。


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 今企画展の「看板展示」。あまりに有名な「銀河鉄道の夜」の路線図。北十字アルビレオ,蠍の火,ケンタウル,サウザンクロス …… 銀河に沿って物語は進みます。星の世界は,全ての人に公平に開かれた夢の沃野です。詩歌からアニメまで,それを舞台とするものは数多いのですが,賢治の作品はその頂点でありましょう。永遠の名作です。


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 会場には静かに賢治の作った「星めぐりの歌」が流れています。

 

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 各惑星になぞらえた貴石の丸石。


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 賢治の作品に出てくる生物名,動物108種,植物282種。賢治の作品にはキャラクターとして登場することが多い。その生物の特徴とヒトっぽい人格を併せ持ってストーリーを語ります。科学的というより文学的な扱いです。それにしてもよく数えたなあ。


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 より科学的,客観的なのが岩石鉱物。実に88種が登場します。人格をもって描かれる場合もあれば,比喩表現の題材にもなっています。


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 はい,並んでいるのが天河石,孔雀石,黄水晶,藍晶石,藍銅鉱,蛋白石,琥珀トルコ石の計8種。何だと思います? 実はこれすべて「空の色」の比喩として使われているんです。生半可な知識ではできません。

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 賢治は石の専門家でした。思惟の中のイメージではなく,具体的な研究の対象として彼が追い求めたのが岩石鉱物でした。今回の展示では,賢治が使ったハンマー,賢治が作成した地質図,賢治が参考にした鉱物標本,そして賢治が採集した岩石が展示されてます。標本のラベルを見て,ああ字が下手な人だったんだなあと知りました

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 賢治が参考にしたであろう鉱物たち。

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 立派なメノウ。賢治が生まれ育った岩手県は,茨城県同様メノウの産地です。こんなの拾ってみたい。


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 賢治の生家周辺でも拾えたようです。


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 作品ごとに登場するものがまとめられています。

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 「よだかの星」,読みました。ヨダカがカブトムシを飲み込むシーンがありましたね。


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 「セロ弾きのゴーシュ」の展示。


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 展示に当たって一番苦労したのがこの三毛猫。ネコのはく製ってないんだそうです,愛玩動物だから。学芸員さんが探して探して,ようやく見つけたのがこの「模型」なんだって。いい値段したそうで,ご苦労様です。

 


 茨城県自然博物館。かなり県のはずれの,千葉県や埼玉県との県境近くにあります。茨城県民で来たことない人,結構います。駐車場に停められた車のナンバーを見ると,お客さんの半分は千葉・埼玉です。子どもを遊ばせる庭の大きな遊具が人気です。…… なんでもっと便利な場所に作らなかったんだろう。


 いえいえ,他県だろうとお客さまが来て下さるのは大歓迎です。常磐高速道「谷和原」IC から20分ほど。展示は見ごたえあるし,遊具はあるし,夏には子ども達が水浴びできます。学芸員さんたちはみんな一生懸命です。展示・広報・研究・記録。私の好きな久慈川メノウもすごいのが展示してあります。自然物に関する茨城県最高の研究施設です。どうぞ一度お越しくださいませ。博物館ショップも充実しております。

 

 

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祝・「Dr. STONE」第2期決定!

 

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 歌手なりアイドルなり,自分の「推し」について勝手に喜んで勝手に騒ぐ。これまでは冷ややかに見てました。ああ,大騒ぎしてカウント稼ぎたいのね,と。


 反省してます。今まさに私がそういう状態です。

 

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 深夜アニメ「Dr. STONEドクター・ストーン」。予定の2クールが終わって先日が最終回でした。このままではクライマックス前に放送終了してしまうと悶々しながら見ていたのですが,最後に「第2期放送決定!」と出て狂喜しました。アニメでこの告知に喜んだのは久しぶりです。


 ざっとスジをお話します。

 

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 ある日突然,全人類が「石化」しました。いきなり超科学的な設定です。人類が二百万年かけて築き上げた文明はついえ去り,石像になった人々とともにヒトの創造物は自然の中に埋もれていきました。そして3600年経ったある日,「石化」が解けて目覚めた少年がいました。名を「千空せんくう」。あらゆる科学知識を身に付け,石化している間も意識を保ち続け,何と三千年もの間「秒」を数えて経過時間を認識していました。石器時代に戻った世界で,仲間を集め,科学技術を復活させ,全人類を石化から解放する。千空の果てしない戦いが始まります。

 

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 どうです?燃える設定でしょう。いや,荒唐無稽は漫画の特権ですよ。そのうえで,主人公はちゃんと(リアルな)科学知識を駆使して,火を手に入れ,土器・石器を作り,アルコールを作り,硝酸から火薬を作り,ラーメンを作りコーラを作り,銅を加工して発電機を作り,ガラスを作ってレンズやらフラスコやらを作り,鉄鉱石を溶かして鋼を作り,抗菌物質サルファ剤を作り,…… とうとう携帯電話というか通信機を作ったところで2クールが終わりました。紹介された科学知識がいずれも私には理解可能だったので,なおさら燃えましたねー。いやほんと,毎回今日は何を作ってくれるのかと楽しみでした。

 

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 原作はジャンプの連載漫画です。と言ってもしばらくジャンプを読んでいないのでどういうものか知りません。ただ原作がしっかりしていないとここまでのアニメ作品にはならない。加えてアニメのスタッフがかなり入れ込んで惚れ込んで作っているのが良く伝わりました。アニメ化成功の見本のような作品です。


 1クール目の主題歌も良かった。作品の世界観,主人公の覚悟が力強く表現されてました。2クール目の主題歌が凡庸極まりない分その感が強くなります。スタッフも本当は変えたくなかったんでしょう,23話では挿入歌としていい場面で使われてました。まあ,2クール目と同時に始まった他のアニメのも含めて,主題歌不作の秋アニメでした。

 主題歌,リンク貼っときますね。

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 「マクロス(ファースト)」の,地球壊滅後のお話が好きでした。すべてを失っても前に進み続ける人々,というシチュエーションが好きなのかもしれない。「Dr.STONE」も見ていて勇気がもらえる作品でした。第2期,大いに期待します。


おまけ
 えー千空くん,まさかキミ,本当に火薬を作るのに硝酸そのものが必要だなんて思ってないよね? 洞窟のコウモリの糞からできた硝酸カリだって? そんなもんキミが再現できないワケないだろう? 江戸時代にどうやって火薬を作っていたか知らないキミではないだろう? はっきり言って私にも作れるぞ,黒色火薬。きっと,大きなお友達が真似しちゃうからわざと知らないフリしてたんだよね? 大人の配慮だったんだよね?

 

 

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