ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

北辺に蝶を見る

 

  【虫】回ですよー。


 晴れ上がった空を見て、気温が上がるという予報を聞いたら、そういうことに敏感な生き物がいることを思い出しました。本当に久しぶりに思い出しました。卒業研究が「蝶」だったことも。


 というわけで県北山地に来ました。骨の髄から茨城県人の私には、県境はドーッと滝になって落ちている感覚があって、ここ福島県近くはすでに心象世界の北の果てです。え? 福島に失礼だろうって? いえいえ栃木群馬千葉も、ヤリ持った原住民がいる怖いとこだって小学校で教わったぞ。トミタ先生お元気ですか、ボクは相変わらずです。

 


 先に言っときますが、決して珍しいもんは見てませんからね。そうそう毎回福音はありません。

 


 車を降りた路傍にいきなり黒い蝶。知ってるぞお前。

 


 翅を開けばクジャクチョウ。成虫越冬なので翅が痛んでいます。どこでどうして極寒の県北を生き抜いたやら。

 


 キタテハ。食草のカナムグラははて、この山中では見かけませんが。これも翅はボロボロです。

 


 シータテハ。キタテハと近縁ですが山地性。もっとも昔は水戸市内にいたとか。これも食草のエノキを山中では見かけません。翅がキタテハほど痛んでないのは、越冬場所の選択がより注意深いということです。

 


 アカタテハのメスが産卵しようと藪の中で食草を探し回ってます。冬を乗り越える力のある者だけが、次の世代を残す決まりです。


 以上、成虫越冬のタテハチョウ科でしたが、蛹越冬のメンバーも元気に春をことほいでいます。

 


 ミヤマセセリモミジイチゴで吸蜜しています。この翅色のおかげで誰からも褒められることのない「春の精」ですが、まあ本人のあずかり知らぬ話ではある。

 


 わあ、サカハチチョウの、たぶんメス。早い発生です。例年より強めの日差しに、蛹の殻を脱ぐのが少し早まったかな。

 


 幼虫越冬のシジミチョウも羽化してます。ツバメシジミ。目立つこともないけれど、小さい体とありふれたマメ科が食草という小回りの良さで、種の存続を誰にも脅かされることはありません。そういう生き方。

 


 ベニシジミも簡便な生き方で繁栄しています。生きること、増えることが生命の存在意義であるならば、美しさまで兼ね備えたこれはもはや奇跡です。…… すいません好きな蝶なので。

 


 フデリンドウきれい。深い山の中、陽光は強く風は冷たく、ウグイスのさえずりが響く谷間です。暑くもあり寒くもあり。…… 世界のどこかには、今日はTシャツにしようかダウンを羽織ろうか、毎朝そんなことを考えねばならない国もあるそうだけど、一年中こんな気候なのかなあ。

 


 山菜になるニリンソウと猛毒のトリカブトが仲良く混ざっちゃって。毎年中毒事故があります。きっとこんな生え方してたんだろなあ。ひょっとして狙っているのかも知れません。いっちょ人間をヒーヒー言わしたろか、とか。

 


 ミツバツチグリの花があらきれいと見ていたら、来ましたよ「春の毛玉」が。ビロウドツリアブはこの季節だけの空飛ぶぬいぐるみ。あああ触ってみたいぞお。

 


 この尻が、この尻がああ…… って、性癖を疑われそうなのでこれくらいで。丸いもふもふボディに細く長い脚。神さまは何を考えてこんな生き物を作ったか。

 


 風に吹かれるキクザキイチゲを撮っていたら

 


 その一枚にホソヒラタアブが写りこんでいました。ああ虫の季節の始まりだ。

 


 谷間の水たまりにクロサンショウウオの卵のう。一時期森林伐採の影響でこの水たまりが干上がったときにはどうなることかと心配しましたが、何とかなったようです。先のシジミチョウのような逞しい連中もいれば、たった一つの水たまりを拠り所にする生き物もいるわけで、まあ横領のいいやつ悪いやつ、自然界も多様です。

 


 さあ帰ろうと車に寄ったら、青空とヤマザクラがまるでテレビ番組のワンカットのように映り込んでいて、思わず自撮り。


 退職してまる1年、お誘いも断って、いっさいの仕事から離れて好きなことだけで過ごす日々でした。家族への義務は果たしたし、仕事ではそれなりに認められもしたし。でもそのために多くのものを失い、あるいは深いところに沈めました。いえ、自分で望んだことです。すべてに区切りをつけたところで、社会人として身に付けたことを切り捨て、かつての感覚を取り戻す、これはつまりリハビリの1年でした。

 

 おのれの魂に呼びかけ、天地の声に耳を傾け、失ったわざを取り戻す。そうなればきっと、今よりできることが増えそうな気がする。…… って


 待て。待て待て待て。


 おマエは何になる気だ。魔法使いか中二病のジジイか。我ながら、手段のためには目的を選ばないというこの性癖に呆れる日々であります。

 

 

 

 

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山と野のあわいに

 

        


 床屋に行く、と言って車を乗り出しました。いえ本当にそのつもりだったんです。


 空は晴れてはいますが、時おり突風が吹き、黒い雲が鳥のように端切れをばたつかせながら過ぎていきます。低気圧が通過の予報で、雨もあるでしょう。こういう空模様は妙に心に触れるものがあります。気付けば水戸から20キロほど離れた里山にいました。

 


 1時間に車が数台通るだけなのにだだっ広く作られた道。折々に幅があって、車の停め場所には困りません。歩いてみれば傍らには春の野の花々。ふわっとハチミツのような桜餅のような芳香が漂うと、白いウワミズザクラが咲いています。


 床屋に行くつもりだったので普段着のまま。カメラも車に残して、道沿いに路傍の花々を見ながらのんびり歩いておりましたが、視界の端に何かがありました。意識しないままに視覚が何かをパターン認識する、以前も「生物屋の眼」としてご紹介したアレです。なんだ、何があった。


 改めて意識をソレに向けて、あ、と声を出して、すでに1キロくらい歩いていたのですが慌てて車にとって返して、運転してその場所に戻りました。また不思議な空間を見つけた。

 


 見た目はこんな場所です。特に目を引くこともない、草刈りの行き届いた斜面。一面のタンポポが春を告げる、まことにのどかな里山の路傍です。

 


 まずはそのタンポポ。一見するとカントウタンポポです。でもなんだか豪壮すぎます。さらに見分けポイント「総苞片」を見るとささやかに怪しい。

 


 たぶんこれ、セイヨウタンポポとの雑種です。かの洋種タンポポの恐ろしいところは、無受精でどんどん種子を作れるくせに、在来のタンポポにも自分の遺伝子を忍ばせ注入し、ゾンビか吸血鬼のように自らの眷属を増殖させていくその不気味さです。一見在来タンポポなのに、DNAを調べたらセイヨウの遺伝子を持っていたというステルス侵略で、都会のタンポポはほぼ汚染され尽くしているとか。それがこんな地方まで及んでいます。


 しかし私が声を上げたのはタンポポにではありません。

 


 これ。

 


 ルイヨウボタンと申します。メギ科というなかなかマイナーな一族の者ですが問題はソコではなく、これはこんなところに在ってはいけない、あるはずがない、まるでカンブリア紀アノマロカリスが金魚鉢を泳いでるようなものなんです。

 


 わあなんか変な花。いやいや実は深いベールを幾重にも被った神秘の森人です。私が知る県内の確実な生息地は福島との県境、標高650メートルのブナの森。牧野植物図鑑にも「深山の林下に生える」とあって、標高60メートルの低地の野っ原でタンポポに囲まれているなんてあり得ない。

 


 ここは何気ない里山です。たぶん元は森で、ルイヨウボタンも人嫌いながら静かに暮らせる環境があったのでしょう。ところが森が伐り開かれて道が作られ、いきなり明るい場所に引き出されてしまった。今後も生き残れるかは知れませんが、隣人に恵まれたか適度なヒトの干渉が良い効果なのか、今のところ居心地は悪くなさそうです。私としてはあれが見たかったらあそこに行け、というナチュラリストの引き出しが一つ増えたことを喜びたいと思います。

 


 さて、どうやらここは面白い場所だぞ。またいいとこ見つけたぞ。カメラ片手に歩いてみましょう。空には千切れた黒雲、明滅するような日差し、そして強風。いつ雨が降り出してもおかしくない状況で植物撮影にはマイナス要素ばかりですが、歩く価値はありそうです。

 


 ニリンソウの群落がそちこちにあります。これも野原ではなく森の陽だまりに生きるもの。ルイヨウともどもこの地の森の記憶です。

 


 ふだん並ぶことのないタンポポと。ちなみにこのタンポポには西洋種の特徴が強く出ています。

 


 ジロボウエンゴサク、ヤマエンゴサク、ムラサキケマン。ワンフレームに私の好きな変な花、キケマン属の3種が競って咲いてます。

 


 ジロボウエンゴサク、次郎坊延胡索。当地のキケマン属では最も繊細なもの。

 


 ヤマエンゴサク。次郎坊より花が大きく青系の花色です。北海道にはそれはそれは立派で美しいエゾエンゴサクというのがあって、例えば北大の構内を青い花で埋め尽くしていると聞きます。いつか見てみたい。いやもう私に「いつか」はないかも。本気で北海道旅行を考えねば。

 


 ムラサキケマンは、かつては我が家の庭にもあった、この類では最もなじみのものです。私の好きなウスバシロチョウの食草でもあります。

 


 早春から春を彩ってくれたタチツボスミレはさすがに花期を終えようとしています。お疲れ様。

 


 クサノオウ。薬草・毒草で、自らの胃がんの治療に欲しがったというのは尾崎紅葉だっけ。

 


 キュウリグサは超ミニマム版野生のワスレナグサ。こういうのがいいんです。

 


 セントウソウも森の住人です。ルイヨウボタン同様取り残されたのでしょう。まず花自体が一般人の眼に留まらぬ微小さですけど、拡大すればちゃんと一通りの構造をしています。直径は2ミリほど。

 

  

          
 写真が不鮮明だったりブレていたり、どうかお許しください。とにかく凄い風が断続的に吹いて花は揺れまくり、陽射しは途切れがちで露出はズレまくり、雨までパラついてきました。状況は最悪です。でもたぶん、今この瞬間が神さまのくれたチャンスなんです。

 


 そしてまた現れたキンポウゲ科っぽい白花。ん?花がデカい。しかも一輪ずつ。ニリンソウじゃないぞ。これは……

 


 イチリンソウだあ!


 昨年は玉川で見つけて喜んでおりました。いざ探すとなると見つからないものです。というか、いま調べて知ったのですがこれ、茨城県の準絶滅危惧種に指定されてました。やっぱり貴重な花だったんだ。こんな大輪の清楚にして美麗な花です、業者やメルカリ野郎や園芸ジジイに狙われます。うわあ、この場所は秘密にしなければ。

 


 何より強調したいのはこの花色。通常イチリンソウのがく片は表側は白、裏側も白ですが個体によっては赤くなる、とされてます、こんなふうに。

 


 でもここの個体群のイチリンソウ、なんと表側までほんのり赤いんです。まるで少女が頬を染めて恥じらうようなピンク色。これは業者に見つかったら大変なことになります。

 


 参考までに、一般的なイチリンソウ。ね?表側は基本的に純白なんです。今日のイチリンソウ、特別です。

 


 ピンクのイチリンソウ。また良いものに引き合わせてもらった気がします。それも含めてこの里山の一角、継続して観察する価値がありそうです。何が出るかなうふふふふ。

 


 ちなみにイチリンソウの学名 Anemone nikoensis日光のアネモネ」だって。いい名前もらってるなあ。

 

 

 

 

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星のふるさと

 


 まず仮説。推論。そして実証。


 いきなり何を、といぶかられるでしょうが、最近玉川で面白いものが拾えないこともあって、少し方向性を変えようと思ったのです。玉川メノウについて、それがどこから来るのか。


 玉川メノウは、多くは現地性のものではありません。少し離れた場所でかつて火山活動があって、熱水の脈が周囲の地層に貫入して玉髄カルセドニー(白いメノウ)になりました。そしてその場所が川に浸食され、カケラとなった玉髄が下流に流されて礫れきとして堆積します。やがてその礫層を玉川が浸食し、再び流下し堆積した光る石片を私たちが河原で拾うことになるのです。そのどこか、地層中あるいは水中にあるうちに酸化鉄などによって赤く染色されて赤玉髄カーネリアンや縞瑪瑙アゲートになります。以上、私論です。


 最初に玉髄が生成された火山活動の場所は無理でも、今の玉川メノウのふるさとである礫層を見てみたいなあ。いえ、ごく小さなかけらの含まれる層なら何度も見ています。でも、ご存じのように私は大きいものや変わり種の珍しいものをずいぶん拾っていて、そういうものが含まれる地層、本当の意味での玉川メノウのふるさとを見ていません。時間はいっぱいある。探してみようじゃないか。


 そこで冒頭の、科学探求三題話になるわけです。地形図、地質図、これまでの経験を総動員して、候補地の一つを絞り込みました。

 


 ここでーす。

 


 ありました、礫の層。もうメノウっぽいのが見えます。

 


 わああいっぱい。しかも2度目の川流れをしていないのでみな大きい。左のメノウは見えている横幅だけで10センチ以上あります。

 


 で、結局これだけ掘り出してみました。大小15個。半分だけ持ち帰らせていただきます。先の写真の左側のは、大きすぎて結局掘り出せませんでした。神さまが欲をかくなと言っておられるのでしょう。こだわりません。

 


 今回の最大級がこれ。私が玉川で見たメノウで一番大きい。

 


 赤くありません。

 


 他のメノウも白いのが大半。


 なぜ赤くないのか。今回見つけたこの地層は、青い泥の、おそらくは酸素の少ない還元性の強い土質でした。玉川メノウが赤くなるのは酸化鉄によるので、この環境では着色しなかったのでしょう。


 では今回の玉髄たちは、このまま川を流れたとして赤くなることはなかったのか。赤くなるとしたら、いつどこであの赤い縞模様の玉川メノウができるのか。これも仮説を立ててみましたが、さてこれは立証できるかどうか。

 


 あ、メノウ教信徒の皆さま、オレの取り分持っていきやがってとか怒らないでくださいねー。今回の場所は何十カ所もある供給源の一つに過ぎません。メノウ拾いとしては邪道にして外道な方法だし。今回だけです。自分を試したかったんです。

 


 いろいろ考えて、行動して。それなりのささやかな科学的冒険でした。ちょっと楽しかった。

 

 

 

 

 

↓ 玉川メノウ最初の記事と、変わり種メノウ。もし未読でしたら。


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花埋み

       

     【アリ拡大注意】ですよー。え? もっと早く言えって?

 


 フサザクラの花を見ようと山道に来ましたがもう終わってました。今年は季節が早い。

 

            
 何かないかなーとそぞろ行く林道。すると傍らに黄色い花がひと群れ。タンポポでなしヤマブキでなし、もっと鮮やかな、太陽のかけらが発するような強い光がスギの木の下闇から目を射りました。なんだなんだ。

 


 これ。最近見かけるようになりました、ヒメリュウキンカです。

 


 ヨーロッパ原産、北米に帰化して大繁殖。日本にどうやって入り込んだか知りませんが、あちこちで版図を広げています。私の知る範囲では、在来の花がないような路傍で、その空いているニッチを埋めるように咲いています。

 


 誰が在来種の「リュウキンカ」を引き合いに出したか知りませんが、同じキンポウゲ科というだけで全然別属の植物です。

 


 キレイな花だなあ。花弁(花びら)が消失する傾向のキンポウゲ科にあって、これはちゃんと花びらなのだ。

 


 金色の光沢は、日なたでは本当に陽光を反射してまばゆく輝いて、これは在来のキンポウゲも同じ仕組みです。春の喜びを人にふりまき、花粉を運ぶ昆虫にはいいアピールとなるでしょう。花びらの根元が黒いのはこれも昆虫に対するサインで「蜜標」と言います。昆虫の眼には相対的により黒く見えているはずで、ほうらここに蜜があるぞ、と言ってます。

 


 日陰で撮ったとは思えないでしょ? このまま小さな花瓶に挿してもいい絵になるでしょう。人にも虫にも愛されるのは、花を発達させるという企業努力の成果です。どこにでも根付くという強靭さもしかり。人に守られて生きながらえる希少種、国に守られて努力を忘れたデフレ期の日本企業、いずれも見習ってほしいものです。

 


 なんて余計なことを考えながら写していたら、花の上を歩き回る者に気づきました。

 


 アリだ。私の大好きな小型種のアリだ。体長は3ミリに足りません。体の百倍もの高さまでよじ登って花蜜を集めています。ちょっと目が合ったので、これも縁でございます。撮らせてもらいましょう。

 


 これこれ逃げるな、って、そう言われてもアリだしなあ。

 

             
 出てきてくれました。期待通りのいい顔です。花粉まみれなのが働き者っぽくてなおよろしい。

 


 めしべの上に憩う姿。アリにお詳しい方、ケブカアメイロアリでよろしいでしょうか。

 


 トリミングして表情を見ます。全長2.5ミリ。ピグマリオンのように輝くなめらかな肌と、徹底的に合理化されたデザイン。精巧な、自然という造化の神が造り給うた芸術品です。驚くべきは、これが目的をもって自律行動をしていること。神経細胞の数はヒトの40万分の1ほど。なのに使命を自覚し、状況判断をし、危険を避け、目的を果たせば迷わず帰巣する。個々の能力は劣っても、全体のシステムがそれを補完する。信じられないことに働きアリごとの個性まで存在します。世界中の子供から大人まで、一般人から数多くの研究者までを魅了してやまない昆虫の、その魅力を写し取れたと自画自賛することをお許しください。こんな写真を撮りたくてカメラを持ち歩いているんです。

 


 オオヤマハコベ シワクシケアリ

 


 コニシキソウ アミメアリ

 


 タニタケブカアメイロアリ

 


 ツワブキ キイロシリアゲアリ

 


 花を接写していると、やたらフレームに入ってくる小型アリたち。花に埋もれてせっせとお仕事。ゴマ粒ほどの体にはちゃんと脳も心臓もあります。排出器官も消化器官も持ってます。それぞれに悩んだり戸惑ったりしながら、今日もお仕事に明け暮れます、家族のために。

 


 悩みすぎないで。生きて無事おうちに帰れれば、今日のところは勝ちですよ。

 

 

 

 

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忍野八海と西湖

 


         観光地に連れていかれました。


 雨の予報、土曜日、人ゴミ。何一つ私の興趣を誘わないお誘いでした。たぶん晴れ男を期待されたのと、私への気遣いもあったようです。助手席に座ってればいいから、というので納得して朝7時に出発です。


 予報通りの雨の中、常磐道圏央道→中央道と3時間走り切って

 


            わあああ。

 


 こ、この町の人は毎日こんな風景を見ているのか。

 


 で、到着です、忍野八海。知らない方のために言うと「おしのはっかい」。湧水群です。富士の伏流水が湧き出ていくつもの池を成してます。

 


 晴れてます。同行者から拝まれてしまったけど、ううんやめて、天気の子なんて 予報通りではあるのよ。

 


 こーんな澄んだ水。でも泳ぐのはこの写真のマス類のほかにはほぼコイ、それもニシキゴイ。移入されたものばかりです。

 


 周辺は踏みならされた歩道と土産物屋。そして人、人、人。

 


 もし原生林をさまよってこの泉に至ったのなら感動もしたでしょう。でもここは、泉の水以外はすべて人工物。私には例えば皇居のお堀とか日比谷公園の池とかと意味するものが何ら変わりません。そこに行ったというログにはなりますが、それだけです。

 

       
 せっかく連れてきてくれたのにこの感想。この程度の奴なのよー。わかってるでしょー。

 


 しかしこの富士山の神々しさは嘘偽りも作為もありません。

 


 時間的なものもあるでしょうけど、お客さんの半分はアジア系をはじめとする外国人とお見受けしました。どんな感想をもってお国にお帰りになるでしょうか。

 


 雲が濃くなって、やがて山頂が隠れていきました。

 


 ちなみに忍野八海標高は筑波山よりも高い。すいません茨城県人には比較の対象がこんなもんしかなくて。こんな高い場所に人が住んでいるんだーなんてまた失礼なことを。


 昼食を済ませ、今日はあと一か所、富士五湖の一つ西湖に向かうとのこと。一番原生の雰囲気があるとかで、これも私への配慮だったかもしれません。文句を言ってはバチが当たります。話に聞くだけだった「青木ヶ原樹海」を車中から見られたのもよかった。

 


 西湖に着くと、雲に隠れていた富士が顔を出しました。また拝まれてしまった。だから私じゃないってば。

 


 雪をかぶった富士山。こんな近くで見たのは初めてです。ありがたやありがたや。来た甲斐はありました。

 


 悪い癖で、流れ込む沢に降りて石の種類を見てみたり。ほとんど安山岩でした。意外に火山の周りって石拾い向きじゃない。やっぱり私は茨城が好きです。いいんです高山や硫黄温泉がなくても。

 


 いつしか雲に隠れる富士。さあ帰りましょう。

 


 帰路の高速道路に乗った途端に大粒の雨が降ってきました。でも早めの夕食を取ろうとサービスエリアに停まるとぴたりと止んで、雨もようの日でありながら一度も濡れることはありませんでした。どうも神さまに祝福されたお出かけではあったようです。…… やっぱり春旅行、今年も考えてみようかな。

 

 


 帰宅したら夕焼け。明日は晴れです。

 

 

 

 

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君知るやマックスコーヒー

 


 人界に煩わされるのはここまで。


 退職でそう宣言した私です。さあ俗世を離れるぞ、と。ここからは誰にも気兼ねなく好きなことだけして生きていけると、そう思ったんです。もちろんそうはならなかった。確定申告が終わったと思ったら、家の発電設備を再設定しなければならなかったり、近所のジジイどもが町内会に誘い込もうと画策したり、新年度になっても面倒ごとが次々と降ってきます。男のロマン・自爆装置のスイッチ入れてみんな巻き添えにしてやろうか …… いかんいかん。こういう時はとにかくフィールドに逃避です。潮が良いので海へ行こう。

 


 この海岸で

 


 いろいろ拾って

 


 サメに睨まれて

 


 こっちの海岸で

 


 また拾って

 


 強い南風も心地良く、何とか気は晴れたかな。

 


 君知るや マックスコーヒー。日本一甘い缶コーヒー、アメリカ人に飲ませると喜びます。疲れた心に無敵です。1本買って、書斎で味わって飲もうと思います。帰宅後の楽しみってことで。

 


 で、気分よく帰宅したら、家の風呂場の浴室乾燥が壊れて大騒ぎになってました。人呼んで グランマ・ザ・クラッシャー こと我が母(86)がボタン一つで壊したらしい。壊れた送風ファンのわめき声のような轟音が家を揺らします。とりあえず原因を特定して電源を切りました。そこからガス会社に連絡したり修理の手配をしたり、この後は修理会社からの連絡待ちで外出できず、挙句に明日は修理に立ち会わねばならないらしい。ああっ どいつもこいつもっっ。

 


 いいです。心の平穏は自分で作るしかありません。ブラインドを降ろした書斎に籠って、今日の収穫の接写をして現実を忘れようと思います。

 


 右から① この春の久慈川メノウ
    ② この海岸
    ③ こっちの海岸

 


 いくわよー。どーん。


 こんなんばっかりです。気持ち悪くなったらご退室どうぞ。

 


 これは紫外線を当てても同じように光りました。

 


 その昔「妖星ゴラス」というのがあってだな。

 


 そろそろお疲れじゃないですか。いいんですよ、無理に付き合わなくても。

 


 これが全部メノウなんです。いかがでしょうか。多様で、個性的で、何より表情が豊か。茨城のメノウの面白さです。

 

 

 気付けば夕刻。ひと通り撮り終えて、マックスコーヒーをいただきました。美味しかった。

 

 

 

 

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王国のオキナグサ

 


                                         王国に春が来ました。


 読者の皆さまにはおなじみの面々が今年も変わらぬ姿を見せてくれます。

 


 最初だけ【虫】をお許しください。ハナアブが無心に陽を浴びてました。そばで三脚をガサガサ動かしても逃げません。裸の身ひとつで冬を越さねばならぬ厳しさを、私はただ想像するばかりです。

 


 クサボケは、スイカズラを枯らした下手人とされてから私に冷たくあしらわれていますが、もちろんめげません。

 


 ミツバアケビもたわわに花をつけてます。今年も人工受粉はせずにおこうと思っております。実っても食べてくれる人がいません。

 


 ヘビイチゴ。あんまりな名を気にするでもなく、春をことほいでいます。すぐに赤い実をつけて私を喜ばせてくれるでしょう。

 


 年々株が大きくなるハマナス。根元から伐ってバーナーで焼いても春が来ればこんな感じ。今年も大暴れするんだろうなあ。

 


 家人が数年前に蒔いたネモフィラは勝手に芽生えて勝手に咲いて。空の青さのひとしずく

 


 キンカンが妙なことになってます。2本あるうちの1本が実をたわわにつけた上で葉をぼこぼこ落としている。枯れる直前の植物がよくこんな状態になりますけど、そうなのかなあ。

 


 これまで一度も撮ってやることがありませんでした。園芸植物にあまり興味がないのと、そもそも「名」を知らなかったから。それが庭に増えまくってそろそろ無視できなくなりました。粘り勝ちってやつか。水仙の仲間ということで調べたら、ペチコートスイセンというのが一番間違いなくこれを指す名であるようです。

 


 こんな愛らしい花に下着の名前を付けるって、どうよ。


 新参者をご紹介します。

 

     
 まだこんなですが、ゼンテイカ。要するにニッコウキスゲ。ピンと来る読者さまもおられるでしょう。昨年呼ばれるままに迷い込んだ谷で見つけた、水戸市内の野生のニッコウキスゲ群落。いつ消滅させられても不思議ではない、市街地に奇跡的に残された花園です。せめて遺伝子を残さねばと、実っていた種子を20個ほど頂いてきました。発芽したのは5個、生き残ったのは2株のみでした。種子ができない、発芽しないというのがこのワスレグサの仲間ですがこれほどとは。「水戸のニッコウキスゲ」の貴重な遺伝子遺産として、大事にしようと思います。

 


 そしてこれ、オキナグサ。昨年種子を頂いて、苗がなんとか冬を生き延びました。日当たりも地味もあまりよくない場所ですが、気づけば毛むくじゃらの花芽をつけて。

 


 環境変化と園芸目的の採取で、茨城ではほぼ野生絶滅状態です。ノアの箱舟とまで言わずとも、わが王国の庭がこんなものの避難場所になればこれほどうれしいことはありません。

 


 室内でもサボテンが開花しています。長い冬でしたが、ヒバリの声に促されて花神が空を渡っていきます。

 

 

 

 

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