ああ寒い。前の記事で春を懐かしみましたが,もうそれでは足らぬ。夏の思い出,行かせていただきます。まあ雑多に「夏の花」を。
高萩の山中に,花咲き乱れる湿原がありました。茨城では珍しいトキソウをはじめ,次々と湿原植物が開花する楽園でした。地元の人たちが案内板や木道を整備して,一部では有名な湿原だったのですが …… 林道の入り口が営林署によって塞がれて,以後は荒れ放題。どういう経緯かは知りません。誰も来ない山中で,花々は変わらずに咲き続けています。
トキソウ。美しい湿原のラン。美しいゆえに乱獲されて絶滅状態です。
ノハナショウブ。茨城の湿地に割と普通に生えてます。
ミズチドリ。純白の湿性ラン。かつては低地にもあるものでした。
高萩の山中は,歩くほどに発見のある楽しいフィールドでした。通りかかった谷筋の放棄された水田。コオニユリが点々と咲き,周囲の斜面は一面のヤマユリ。夢のような光景に「来年もまた来よう湿原」と名付けたのですが …… それっきりです。自然との邂逅は一期一会。わかっているはずなのに。
ヤブカンゾウも思わず美しい。
私にとって「夏の花」の代表は,何といってもヤマユリ。前出ですが,茨城県内どこにでもあって,強烈に夏を主張します。
潮来市,大膳池にて。
旧里見村もお気に入りの場所。大中宿というところには動植物を保護するための池があって,水中食虫植物のタヌキモが浮かんでいます。
そのタヌキモの花茎にクロイトトンボ。何を見ているのでしょう。
タヌキモの花。これも希少になりました。
自分でも理解しかねるのですが,夏の炎天下にてくてくと歩くことがあります。次の写真は水戸のお隣,城里町にて。
キツネノカミソリ。「ヒガンバナが夏に咲いた」と騒がれることがありますが,別種です。
通りかかった杉林の林床一面にヤブミョウガ。
その先の杉林には …… なんだこりゃ。調べてみたらやはり外来の園芸植物,ボタンクサギというものでした。どこからか逃げ出してきたんですね。ウエルカーム,ずっとここで暮らせるといいね。これからは外国の人にも親切にしなければ。
熱風,草いきれ,セミの声。みな懐かしい。夏には夏で,冬の厳しさを懐かしむのでしょうけど。
↓ 参考記事