ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

センスが良いとはこういうことさ

 

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 大学前交差点の角がコンビニと本屋さんの駐車場になっています。場内が狭まった場所を片側通行にするための分離帯というかロータリーのようなものがあって,木が植えられています。今日,本屋さんに寄ってからコンビニに向かったところで,ふとこのロータリーの木々を見たら

 

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 おおおっこれはツリバナの実ではないかあ。赤い,赤いぞおっ

 

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 …… すいません赤い実が大好きなもので。初見の方にはグロテスクに見えてしまいますか。茨城の山ではそこそこ珍しい落葉低木です。野外で見るより実が大きめなのは管理されていて栄養が良いのか,園芸品種なのか。いずれにせよ往来に植栽されるのは稀な,実にマニアックな選択です。誰がこんなものを植えたのだろう。


 しかしこの場所,これだけでは終わりませんでした。

 

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 オトコヨウゾメ! こないだ見たのは鶏足山の頂上でした。これも野外より大きくて色も鮮やか,実の付きもいい。しかしやはり不可解としか思えない樹種選びです。単に赤い実のなる木を植えたかったのなら,もっと一般的でもっと目立つ…… 例えばピラカンサとかナンテンとかを選ぶもの。こんな野生の,しかもそこそこの深山に行かねば見られぬ木をなぜ。私のような者にしか気づいてもらえない樹種であることは最初から自明のはずです。いったい誰に向けてのどういうメッセージなのだろう。

 

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 まだ終わりません。これはナツハゼ。食べられます。ブルーベリーの親戚と言えば納得してもらえますか。水戸市内の山中にもありますが,知る人のないマイナーな木です。

 

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 ハウチワカエデも植えてあります。このあと鮮やかな紅葉をすることでしょう。

 

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 …… ここに至って,なんとなく私にも伝わるものがありました。これらはすべて落葉樹,しかも野生にあって,春夏秋冬の移り変わりを人知れず繰り返す者たちです。つまりこのロータリーをつくった人は,ここに自然を再現したかったのです。春に芽吹き,花を咲かせ,葉を茂らせ,実を生し,やがて紅葉して散る。そんな山中での営みをこの街中でミニマムに表現する。見やった人の胸にすうっと季節の風を吹かすために。心疲れた人がふと気づいて,美しい日本の四季に想いを馳せることがあるように。

 

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 こういう樹種の選び方をセンスが良いと言います。そしてこういう配慮ができる人を大人と言います。世の中にはまだこういう人がおられる,それが知れただけでも,また一つ勉強になった気がしました。

 

 

 

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