御岩神社に詣でてきた。お賽銭を大奮発した。
… 貧乏人の言うことだから真に受けないように。
何を願ってということでも無かったのですが,自然と足が玉川に向かいました。こだわっているって? はい。
前回,増水した玉川本流を避けて目立たない流れに入ったら,そこが不思議な場所だったという例の事案です。今どきの玉川の物とは思えない大きなメノウがあって,いずれも強烈な個性があって,いくつかに名前まで付けてしまった。まことに不思議な情動を私に催させた,なぜか人の入っていないエア・ポケットのような,異空間への陥穽のような場所でした。あそこを極めてみたい。
急く理由があと一つ。玉川はもうすぐ氷結します。そうなればあの赤い光を川底に見るのもお預けに。今のうちにたっぷり玉川を楽しんでおこうと思うのです。さあ着いたぞ。
水の溜まった場所にスポットライトのように陽が射し,赤いメノウが見えます。神さまの指で示されたみたいだ。… ん? 一つじゃないぞ。
うわあああ,一か所に5つもありました。いずれも見事な色合いの上等品です。なんだなんだ何なんだ。
小一時間で大変なことになってしまった。
素直に喜んだと思いますか? いいえ。自慢じゃないけど筋金入りの貧乏人です。こんな幸運には絶対にウラがあると考えます。人ひとりの幸運の量は決まっていて,ここで運を使い果たせば大変な不幸に見舞われるとか,川から上がったら見知らぬ男たちに取り囲まれるとか,みるみる不安になりました。御岩の神さま,私をどうしたいんですか? もう定年を迎える真面目で小心な一市民です。お願いですからこの後は穏やかな人生を送らせてください。あううううう。
まず思ったのは帰り道での交通事故。普段の5割増しくらいの安全運転で水戸まで戻りました。本当に小心者笑なんです。
どうにか無事に帰り着いて,メノウのクリーニングを済ませました。いい色合いのがあります。一番大きいのは長径17センチ,そう前回の「羅生門」と同サイズの,私の玉川メノウ最大級です。
こちらは以前にもご紹介したタイプの,赤い細菌(シアノバクテリア?)が赤く丸いコロニーを作っているもの。メノウ本来の赤ではないので消したいのですが,これが酸にもアルカリにも金ブラシにも,最後の手段のバーナーの炎にも抗して,一向に落とすことができません。たぶんメノウを構成する潜晶の内部にまで浸潤しているんでしょう。あうう。勝ち負けで言うところの負けみたいで悔しい。
いかんいかん。気を取り直して,玉川メノウの赤い饗宴をお楽しみください。
これが今回最大の17センチ級。
ファーブル先生に並んでもらいました。
前回の「羅生門」の荒々しいイメージと違って,分厚くどっしりとした,南極のテーブル氷山のような安定感があります。
ちゃんと赤い縞もある。
今回はこれにだけ名を与えます。ギャラクティカと呼ぶことにします。元ネタはおわかりになる方だけで。
前回のマタ・ハリを憶えてらっしゃいますか。今回のこれは明らかに同じルーツのものです。残念ながら割れ方が不運であまり良い風情になっていません。
これも含めて,この7つを「お宝箱」に収納します。ボクのお気に入り。
いずれも10センチ級で縞模様が美しいので。
この小ぶりの6つは「おみやげ箱」に。持ち歩いて,お声を掛けたり掛けられたりした方に差し上げようかと。
そしてこの13センチ級を含む6個は富岡橋。いまひとつ私の美感にはそぐわないものですが,誰かに喜んでもらえるなら。
もう今回のこの場所は封印しようと思います。たぶん玉川本流へのメノウの供給源です。私が独り占めしてはなりません。遠くからおいでになる方もいる玉川です。一人でも多くに楽しんでいただくために。
そもそも。
私の手にあるものはほんのわずか,それでいい。メノウを拾っても美しい花を見ても,それが私の心を養ってくれればいいんです。私はただ歩き続けたいだけ。いつか自分の内なる王国にたどり着くまで。
かっこつけすぎた。
前の記事「天体観測」,二重にアップしてしまいました。申し訳ありません。翌朝に気付いて一方を消しましたが,もうすでに支援者の皆さまからはてなスターが。しかも賢明なる我が読者,事態を理解して一方の記事にだけ星を付けるなんて気遣いまで。あわわ,有難いやらかたじけないやら。本当にありがとうございます。
↓ 押すと御岩神社に詣でたのと同じ効果があります。信ずる者は救われん。