ひょんなことから,水戸の隣・那珂市の「宮の池公園」なる緑地に朝,立っていました。
グーグルマップより
水郡線の上菅谷かみすがやという駅の前。かつては農村地帯にぽつんと駅,そして駅前の街道沿いにささやかな商店街があるだけの,のどかと言うか何もない土地でした。しかし水戸や勝田への便の良さから急速に畑が住宅地に変容し,農業用の溜め池が周囲の宅地化で本来の役目を終えて親水公園の核になってます。新しいような古いような,不思議な香りのする公園でした。
築山つきやま。ちゃんと土管のトンネルつき。言葉に詰まるほどに懐かしい。これ以外にもブランコやら滑り台やら,昭和テイストの遊具が一そろい。あのトンネルをくぐったらあの時代の自分に会えるのだろうか。
植栽の樹種も妙にマニアックです。これはトチノキ。
こちらはモミジバフウ。紅葉が美しい木です。
独特の,マキビシに使えそうなトゲトゲの実。
ユリノキ。葉の形からハンテンボク,花姿からチューリップツリーなど,多くの別名を持つ木です。今はたくさんの集合果が開いているのが見えます。
そこから落ちたのがこれ。くるくると飛んで飛んで回って回る実。
でも私の興味は木の幹。ケヤキやら
ユズリハやら,その表面に着生した白いあばた。そうこれは地衣類ちいるい。いつかは研究対象にしたいと私に思わせる,菌類と藻類が共生した神秘の生き物。冬の都市公園だろうが南極だろうが,まるで空気のようにどこにでもいる生物。専門でないうえに十分な図鑑も持っておりませんが,大雑把に和名を当ててみようかと思います。名付けって大切です。
クロムカデゴケ。何がムカデなのかは知りませんがウメノキゴケの仲間です。右下にあるのはまた別の種類の地衣。ケヤキはなぜか地衣類に好かれるようで,他にも何種類か見かけました。
シロフチイボゴケ。ユズリハに付いていた極微小な地衣。
フタゴウオノメゴケ。ああいろいろツッこみたい名だ。
表面拡大。魚の目ってこれでしょうか。
コフキメダルチイ。粉吹きメダル地衣。…… 地衣類の専門家の人と私では,かなり言葉感覚が違うようです。会話が成立するだろうか。
粉,吹いてます。このつぶつぶが地衣類のタネみたいなもの。人知れず,冬のさ中にも命は続きます。
公園の名の由来になった池。今や住宅に囲まれ,新しい道路で分断されてます。でもガマやハスが生え,水ぎわにハンノキ。これだけ揃っていれば立派な生態系です。
ガマの穂がほぐれて…… これ,室内でやると飛び散って大変なことになるんですよね。
フェンスに飛んだガマの実がびっしり。この毛が火打ち石で火をおこす時のいい火口になる,とは以前にも書きましたか。
池にマガモが飛んできて着水…… と思ったら着氷。びたん,だって。凍り付いてます。たぶんここは水戸よりも低温,今朝の寒さでこうなった。
水草は氷の下。おなかが減っているのに,朝ごはんはガラスの向こう。以前トリはキライだと書きましたが,さすがに同情を禁じ得ない。餌場の凍結でたくさんの水鳥が飢え死にすることもあるそうです。どこからか白鳥の鳴き声が響いてきました。
で,気になって夕刻にまた来てしまいました。それなりの日差しに氷は消えて。
白鳥の一群が舞い降りてきました。
一心不乱に水草を食む。オオハクチョウです。成鳥が二羽,幼鳥が四羽。白鳥の生態は良く知りませんが,家族でしょうか。よくまあシベリアから。
かつては貴重だったハクチョウ類ですが,今はこの那珂市内,たくさんある溜め池の方々で見られるようになりました。良いことだと思います。
夕暮れて。マガモやオオバンもたくさんいましたが,どうやらここで夜を過ごすらしいい。市街地の公園はむしろ安全なのかも知れません。
ハンノキのこずえに夕空。3月に咲く雄花がもう準備されてます。人界の喧噪を知らず,生命は巡る。
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