大洗水族館。ケラゲコーナーが一昨年にリニューアルされたのを,まだ見に行ってなかった。
大洗町の成人式,何とイルカショーの会場で。今年,今の水族館の開館20周年に合わせてのこと。いいなあ新成人。
ワンピースとのコラボやってました。うん,それで子供さんが喜ぶのなら。じっさい,日曜日の朝9時というのにもう結構な人出でした。大洗はまだ大丈夫。
水族館と言えばまず大水槽。
人気のマンボウ水槽。これだけの多頭飼いは素晴らしい。
サボるマンボウ。このあと仕事に復帰してちゃんとお客さんに愛想を振りまいてましたが,本当に何を考えているんだか。
本館の売り,サメ水槽。
チンアナゴも人気です。
さてここからは今日の本題,クラゲ・イソギンチャクの仲間「刺胞しほう動物」だけご紹介していきます。
寒流のサンゴ,ムツサンゴ…… なんだけど,えらく元気がありません。というか死にそう。大丈夫か。
海岸の磯遊びでよく見かけるウメボシイソギンチャク。縮んだ姿がそっくりで,よく名付けたもんだと感心します。飼育が割と簡単で,口から小さな子供を吐き出すという愉快な生態を観察できます。
イソギンチャクとクラゲは内部構造が全く同じ。胃袋ひとつドンとあって,それが上下どっちを向いてるかの違いです。サカサクラゲ(本当にいるんだってば)のようにクラゲなのに普段はひっくり返ってイソギンチャクのふりをしているのもいます。専門的には「二胚葉性」と言って組織を持つ多細胞動物で最も原始的なものとされます。6億年前のカンブリア紀にはもう今の姿,それはその後のすべての動物の祖先型で,その神経や筋肉の仕様はすべての子孫に受け継がれました。ご先祖様って言っちゃっていいのかな。
ミズクラゲわらわらのクラゲ水槽。息を呑みます。
ミズクラゲは割と増やすのが簡単で,私もクラゲの小さいのまで育てたことがあります。とはいえこれだけの数を揃えるのは大変なんだろうなあ。
刺胞動物の受精卵から生まれるのは「プラヌラ」というゾウリムシみたいなやつ。これが岩などに固着し触手を広げて「ポリプ」として生活を始めます。このまま一生を過ごすのがイソギンチャク。そしてエサ不足とか環境が悪くなった時に岩場を離れ,大海に泳ぎ出したのが「クラゲ」。一生の間に二つの姿,二つの生活様式を持つ自在な生き物で,中にはイソギンチャクとクラゲが別種として記載され,あとから同一種とわかったものもあります。面白いなあ。
こんな連中ですがちゃんとオスメスあります。まあ生意気。クローバー型の生殖腺が白ならオス,黄色ならメスというのですが,はて。
このウリクラゲの仲間は「有櫛ゆうしつ動物」と言って今は他のクラゲとは違う分類になってます。昔は「腔腸こうちょう動物」という一緒のくくりで,私にはその方がしっくりきます。分類学って何なんだろう。
強毒で有名,アンドンクラゲの仲間。
クラゲって,いいなあ。
うんちく。
遥か太古の海の底,単細胞のえりべん毛虫という原生生物の一群から,集合して群体生活をするものが現れました。光合成能力は持たず,海底に固着してプランクトンを捕食して暮らしました。「海綿」です。そしてその中から,体全体を大きな胃袋にし,刺胞という毒針を備えて,海底を離れ自由生活をするものが現れました。まだ見ぬ世界へ! 自由の天地へ! これがわれわれ「うごくもの」,動物のはじまりです。その最初の冒険者たちは今も,太古の昔からの基本的な体制を変えずに世界の海で希望と挑戦に満ちた暮らしを謳歌しています。それがクラゲの仲間「刺胞動物」。原始的,でも何億年もの時の試練に耐えた,生物としての一つの完成形と考えて良いと思います。
冒険者は滅びず。変化を求め,かなたを目指し挑戦し続ける。その営為があるからこそ,環境の激変にも耐え,姿を変えずに生き残れる。クラゲがぽよんぽよんと泳ぐ姿は,実は停滞し滅びに向かう生物の宿命に必至であらがう姿でもあるのです。癒されるような,諭されるような。
売店にて。前述のポリプからクラゲになる姿「ストロビラ」と「エフィラ」のぬいぐるみ。誰が買うんだ,私以外に。いい時代になったものです。
↓ 以前の大洗水族館の記事です。
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