仲間うちで作っていた茨城の自然観察地ガイド本が完成しました。非売品ですごめんなさい。
茨城県内の学校や図書館に配って,自然観察の用に役立ててもらおうというものです。フィールドでこの本片手に生徒を連れている先生に出会えたらうれしいな。
私はページのデザインとか編集とかでお手伝いしています。もちろんいくつかの観察地の本文も書いてます。うわあ,たわ言まで活字になってしまった。このブログのお客様の大部分の眼に触れることはない本なので,内容をご紹介しようと思います。
今回は水戸西郊のそのスジでは有名な自然観察地,御前山ごぜんやまのページを。
御前山 春植物の宝庫 城里町
最寄り駅 水戸 バス水戸駅より野口長倉行き所用1時間 道の駅に駐車場・トイレ有り
御前山(5月)
解説文
御前山は鶏足山塊の北東端に位置する一つのピークの名称ですが,一般にはそれを含めたこの一帯を指し,県立自然公園の名にもなっています。この記事では,同自然公園と隣接する伊勢畑集落や相川流域も含めた範囲を広く御前山地域として扱い,総説します。中心として扱うのは皇都川流域です。
御前山が自然観察地として有名なのは,江戸時代に水戸藩の御留山として伐採が禁じられていたことで本来の生物種が多く残されたためです。
御前山の自然を語る上で重要なのは,暖帯要素と温帯要素が混在することです。サカキ,アカガシといった県北地域では珍しい暖帯の樹木が夏緑樹林に接して生育し,これも暖帯に多い着生ランが報告されています。
また,皇都川沿いには明治時代に植林されたケヤキ林がありますが,その林床には春にカタクリ,ニリンソウといった「春植物」の大群落が出現し,人為要素が自然要素に好影響を付与するという現象が見られます。
シダ類,コケ類も豊富に産し,県内では分布の限られるカビゴケが観察できます。昆虫でもチョウ類をはじめ多くの種が見られ,イモリやタガメなど水生生物も豊富です。
水戸から1時間以内の近郊に残る,貴重な生物観察地です。
御前山周辺地図 国土地理院デジタル地形図に加筆
※ 以下,掲載写真の一部です。写真の前の数字は撮影月日を表します。
0323 アズマイチゲ
0323 キクザキイチゲ
0323 ヤドリギ
0411 タチツボスミレ
0411 ツクバキンモンソウ
0412 ミヤマカタバミ
0413 アオキ果実
0413 イチリンソウ
0413 ウグイスカグラ
0413 カタクリ
0413 クサノオウ
0413 セントウソウ
0413 ナガハシスミレ
0413 ニリンソウ
0413 ハルトラノオ
0413 ヒカゲスミレ
0413 フモトスミレ
0413 マメヅタ
0413 ミヤマキケマン
0413 ヤブコウジ
0413 ヤマブキ
0413 ユリワサビ
0429 ヤブツバキ
0503 ハナイカダ
0503 ヤマブキソウ
0507 キヨスミイトゴケ
0520 タニギキョウ
0520 サワグルミ
0520 ショウブ
0520 ミツデカエデ
0604 マタタビ
0604 ユキノシタ
0604 レンリソウ
0622 テイカカズラ
0622 ホタルブクロ
0812 ママコナ
0829 クジャクシダ
1101 コウヤボウキ
0128 カビゴケ
0908 滝
0413 ビロウドツリアブ
0413 ムラサキシジミ
0503 ツマキチョウ産卵
0520 アオバセセリ
0520 カワムツ?
0604 イモリ
0622 ニホンアカガエル
0827 サワガニ
1111 皇都川の水生生物
0903 タマゴタケ
0903 ヤンマタケ
0903 変形菌
0413 百年ケヤキの森
ブログの容量が心配なので全部は載せませんでしたが,こんな感じです。現地調査も含めて,見た目以上笑に手間がかかってます。役立ってくれるといいな。
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