ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

いいから黒田よ腹を切れ

 

      いつもの読者の皆さますいません。また変なスイッチが入りました。

 


 「機動戦士ガンダム 水星の魔女」第1部最終回を見ました。予想していた中でやってほしくないパターンをすべて網羅していました。これまでCMカットまでして録り貯めた全話をすべて消去しました。二度と見ません。


 思いますにこの作品、制作に年寄りが絡んでいます。絡みすぎ、老害です。登場人物を次々と増やすこと、それを殺すことがストーリーだと思っているような、これがガンダムだ文句あるかと言わんばかりのくくり方でした。ロンゲのイケメンが敵ボス、という駄作フラグが立った時点で視聴を止めなかったのは私の甘さでした。水星の魔女なんて魅力的な二つ名を生かそうともしなかった。ああ、ガンダムはファーストに限る

 


 というわけで口直しに「ヘヴィーオブジェクト」全話を一気に見てしまいました。近年のロボットドンパチアニメで面白いのはこれと「アルドノア・ゼロ」だけです。どちらも主人公が知恵を尽くして通常兵器で敵の「スーパーロボット」を倒すという、アイデア・脚本・演出の力が無ければ作れない力作で、何より視聴者を楽しませることを制作側が忘れていません。それはガンダムシリーズで最も欠けている要素でもあります。


 なまじ「ガンダム」などというアニメ界の権威を背負っているから独善に走る。ガンダムの名を出せば資金集めも苦労はないでしょう。スポンサーは商標を持つオモチャ会社、評判をあおってプラモが売れればそれで良し。だからでしょうか、作品制作に老害が絡む。そしてその老害は、何一つ責任を取る気がありません。

 

 


 何も責任を取る気がない、というのはかつて稀代のTVウォッチャー ナンシー関 が脚本家 野島伸司 に対して言い放った名言ですが、権威をかさに着た人間の本質を言い当てて妙であります。皆さんのまわりにはいませんか、そういう人間が。

 

 


 責任を取らないと言えば今の日本の経済政策でしょうか。支出を減らそうともせず増税国債乱発で今を過ごそうとする政治家とか、うまくいったことのない国家計画を次々とぶち上げる官僚であるとか、誰もかれも責任を取る気はない。

 


 先年の新聞記事で、とんでもない意見を読みました。山本幸三という官僚政治家です。東大経済学部卒、大蔵省入省、衆院選に出て8期。ああ、人に怒られたこともなければ食うに困ったこともない奴だ。まず人の痛みなど知ろうともしない人間でありましょう。こんなのがいたことをすっかり失念しておりましたが「一番のがんは学芸員」という暴言を吐いた愚人というので思い出しました。


 で、当年とって74歳のこの老人が「デフレ脱却まで継続せよ」と題した文章で語るのは、安倍晋三にリフレ派の理論を教えたのは自分で、阿部も黒田東彦も自分のために動いた。異次元緩和は成果を上げており、これを批判する周囲の雑音に耳を貸す必要はない。デフレ脱却まで継続せよ。


 うわあ、これが官僚政治家か。東大出て官僚になるとここまで振り切れるのか。これを昨年11月の時点で言い切っているあたりが、この人物の浮世離れをよく物語ります。机上の学問を振りかざす、さぞや嫌われ者の官僚だったことでしょう。だいたい、物価を上げることで経済が好転するなどという一般人に理解不能の理屈に、どうせお前ら馬鹿に言ってもわからんと丁寧な説明を欠いた傲慢さ。いえこれで日本の経済学がノーベル賞受賞者を次々と輩出しているなら理解してやろうとも思いますがねえ。

 

 


 いくらやっても効果がないのに撤退するどころか戦力の小刻みな追加投入を無駄に繰り返し戦線は泥沼化、自らの過ちは決して認めず、というか自分はとにかく優秀で正しいのだからお前ら黙って従えという傲慢な態度、退くタイミングはあったのに気付けばもはや手遅れ、進退窮まってそのまま大敗北を喫する。これは旧日本軍の典型的な負けパターンです。ノモンハンでもガダルカナルでもインパールでもこうして敗北し、しかも誰も責任を取らなかった。詳しくは私の推薦図書「失敗の本質」をどうぞ。日銀が10年かけてやったのがまさにこれです。

 

 


 さあそこで表題です。この山本氏が腹を切っても誰それ?で終わる。阿部氏はもはやこの世にいません。今や国民の誰もが、経済低迷国際競争力低下円安物価高生活苦、関係ないのまで含めて全部 黒田東彦が悪いと認識しています。世界中の投資家も日本の愚行を冷笑していますよ。任期も終わるということで、腹を切るなら今です。このままでは未来永劫悪名教科書に残ります。ここで一つ、日本男児のけじめのつけ方というものを世界に示してください。白装束に介錯も立てて辞世の句をさらさらと記し、桜花の元で華々しく散ってください。日本が世界から尊敬を集めること請け合いです。壮大な実験の幕引きはこうでなくてはいけません。

 

 

 


※ 文中の記事は毎日新聞2022年11月16日「オピニオン」欄です。図書館でどうぞ。

 

 

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