ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ジノさん、ちと怖い山に行く

 

        追憶というには大げさで、体験というほどのこともなく。

        とにかくオカルト話にならぬよう気を付けます。

 


 わあいセリカ そういえば今度のトヨタの社長さんは就任挨拶でセリカを復活させたいなんて言ってました。面白いなあ、さすが世界のトヨタ。このセリカのような乗ること自体が楽しい車をまた作ってほしいです。そういうわけで国道349を北に向かっています。

 


 ここは 竪破山たつわれさんとお読みください。上代から神域とあがめられる伝説の山です。先日の暑さから打って変わって、冷たく湿った東風が強く吹く肌寒い日です。

 


 阿武隈高地のただの1ピークに過ぎず、特に山容というのもありません。まあせめてものよすがに、北東側から撮った遠望を。こんな山です。

 


 登山口。ここから山頂までの標高差は二百メートルほど。

 


 登り始めてすぐにあるのがこの不動石不動明王が祀ってある隣でこんなことしていいのだろうか。じつは今日の目的は、頂上近くにある「太刀割石」でこういう写真を撮ることなのだ。そのために三脚も担いでます。前記事で笠石を見て、竪破山の巨石を思い出したんです。最後に見たのはもうずいぶん昔になってしまいました。

 


 白状しますと、少し緊張しながら登ってます。ちょっとした切り株や石くれにもびくびくしてます。ここは「怖い山」と記憶しているんです。

 

      


 次々と現れる花崗岩の大石。多くが上代蝦夷を平定した「黒坂の命みこと」と「八幡太郎義家」に伝説付けられてます。

 

      


 20代のころは本当に怖いもの知らずでした。敬意を払うということを知らなかった。この杉林にムササビの痕跡を見つけて、写真に収めようと夜中に再訪、漆黒の山道を登ってきたこともありました。まだフィルム写真の頃です。撮れたかどうか、覚えてません。

 

     
 雷神降臨杉だって。要するに落ちたのね。この山はどこまで行っても杉の植林で、頂上近くにブナ林がちょびっとあるだけ。生物学的には面白みはありません。足が遠のいた理由の一つはそれなんだけど。

 

 
 まっつぐ登れば神社に最短、でも太刀割石が鎮座するブナ林を巡り行く巻き道に向かいます。

 

  


 ブナ林に入ってすぐにあった木。あとで調べよう、くらいの気持ちで撮った写真でしたが、どうやらこれはミズメの樹でした。だとすればその大きな特徴、木肌が放つ芳香を嗅がなかったのは残念というか失敗かな。においも自然体験の重要な要素です。アズサ (梓)という趣きある呼び名、ヨグソミネバリ (夜糞峰榛)という気の毒な別名を持ち、ヒトとの関わりの深さを物語っています。

 


 枯れたブナにはサルノコシカケ

 

       
 生きてるブナにテイカカズラ。枯れブナにツキヨタケがびっしり付いているのをここで見たこともあります。やはりブナ林は面白い。

 


 何かが現れました。

 


 これが太刀割石。八幡太郎義家が太刀で割ったのだと。まあ花崗岩の節理です。しかし困った。こんな大きなものだったんだ。しかも思ったより傾かしいでいて、上にポンと飛び乗ってポーズとは行かないことが判明しました。ううう。せめて誰か同行者がいれば撮りようはあったのだけど…… ふーんだ、一人ぼっちでも悲しくないよーだ。好きでひとりなんだよふふふーんだ。


 よし、石の後ろまでダッシュして顔を出そう。

 


 なんとか撮れたぞぜーはーぜーはー。都合10回くらい、セルフタイマーのシャッターを押してから石の後ろまで全力疾走しました。誰もいない山中で。5回目くらいから自分の人生のありように関する疑問が湧きましたが、納得できる写真が撮れるまで続けました。本当に何をやってるんだ。

 


 周囲は狭いながらも美しいブナの森です。オオルリのさえずりが天上の音楽の如くに響き渡ります。いやほんとびっくりしますよあの美声。

 

    
 太刀割石から黒前くろさき神社本殿まではすぐ。なあに、たった183段の石段を登るだけです。

 


 やめようよ、こういうの。

 

     


 本殿の周囲にも大石があります。みんななんかの謂われがあったりして。

 

   
 神さまにお参りして、さらに奥に進んで山頂部にあるのがこの展望台。

 


 今日のような東風の日は霧が濃くなって眺望は効きません。昔と比べて周囲の枝葉が伸びているのも展望を遮ります。

 


 前述したように、かつては夜中にも登った山です。それが今では怖い山に。きっかけは、ムササビ撮影から少し経ってから、この展望台から夕陽を撮ろうと思い立ったこと。夕刻に以前と同じようにホイホイ登って、落陽を写真に収めて下りにかかった時、青い闇に包まれていく森が、突然襲いかかるかのように迫ってきたのです。山道を辿りながらも何かに追われているようで、何度もおびえながら後ろを振り返りました。若いころは平気で森でキャンプをしていたのに、この時を境に夜の森は人の領域ではないと認識するようになりました。それは森に潜む何かに気づいた瞬間だったのだと思います。以後、夜の森は怖い場所となり、特にここ竪破山は昼でも忌避する山となったのでした。

 


 平気な場所では平気なんだけど、竪破山と鶏足山、そして佐白山の夜は駄目ですわワタシ。よもや苦手な森なんてものができるとは。茨城の山は人の気が濃すぎるのかも知れません。

 


 山道にあった花らしい花はこれだけ、トウゴクシソバタツナミ



 これ以外にはチダケサシくらいしか咲いてません。杉林が主の山とはいえ、驚くほど多様性のない森でした。

 


 こんな山もあるんですねえ。まあ、もうしばらく行くことはないでしょう。

 

 

 

↓ 森の怖さとは。

花崗岩の大岩。

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