ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

大暑のわけ

             

 関東各地の炎暑が報じられる今日、帽子長袖長ズボン、手袋長靴姿の私は久慈川の堤防に立っております。気温はとっくに30℃を超え、お百姓さんですら野に出てはいません。見晴るかす河原は背丈を越える草で覆われて、ここから川面まで100メートルくらいあります。夢枕に立った久慈川の神さまのお使い・牛さん(ホルスタイン)にお告げを頂いたんです。あの河原に行きなさい、たぶん何もないけど、と。

       


 とにかくご託宣には従わねばなりません。大体こういう時は何の戦果もないのが通例ですが、行かねば文字通り夢見が悪い。

 


 堤防を埋めるのは高さ2メートルのセイバンモロコシ。ただこの手のイネ科群落はかき分ければ意外と前に進めます。

 


 堤防を降り切ると現れるのがこれもイネ科のアシ。なるべくすき間を縫いつつ、必要があれば薙ぎ払います。

 


 そしてイネ科の密林を突破すると、いよいよ魔のゾーンが始まります。ひたすらバーティカルに伸び上がる長茎のものを縦糸に、それをさまざまなつる植物が縦横無尽に編み込んで、さながら濃密に手織りされたペルシャ絨毯が重なるように行く手を阻みます。緑の障壁と呼ぼうか。これに大ナタ1本で立ち向かう私は何なんだろう。

 


 敵をいくつかご紹介します。オオブタクサは高さ3メートル、驚くべし春にタネから芽生える1年草なんです。何食ったらそんなデカくなれるんだ。

 


 セイヨウイラクサ。以前にもお見せした我が仇敵。とにかくなぎ倒さねば毒棘が危険です。

 


 アレチウリ。膨大な量の丈夫なつるは大ナタが無ければ突破できません。

 


 カナムグラ。毒こそありませんが棘が厄介です。

 


 ヤブカラシ。ナタを振るう右手の筋肉痛が心配です。でも振るわねば先に進めない。

 


 ぜーはーぜーはー、やっと水際に出た。と、ここで仰天。足跡があるう。一番乗りじゃなかったあ。

 

 正確には7月半ばの大雨のあとの最初の侵入者に、私はなれませんでした。他に密林を切り拓いた痕跡はありませんでしたから、本当に身一つであの植物群落を突破したんです。すげえ。私のより一回り小さな長靴、女性ではないでしょうから釣り狂いのちっちゃいジイさんかな、と思います。…… 女性でない、というのは決して女性の突破力を侮って申してるのではありません。つまり


 女はそこまでバカじゃない


 と言いたいのであります。堤防から水際まで全力30分。身の丈を越える草むらをすり抜け踏み付け薙ぎ払い、高温の中大汗をかき腕力をふるいトゲ草にひっかかれ、得るものはわずかな釣果かひと握りのメノウか。こんな実利に乏しいことに体力と時間を浪費するのは男しかあり得ません。このブログで何度も言っているこの一言に尽きます。


 男ってバカだなあ

 

 


 同じ泥の上に亀の足跡がありました。いずこのカメか知らねども、やってることは私とおんなじ。

 


 久慈川流域も久しく降雨なく、水はかなり汚れてます。

 


 そして河原には

 


 もう最近はこんなものに首を傾げることもなくなりました。

 


 たぶんタヌキの頭骨。

 


 え。

 


 た、卵。頭骨よりびっくり。欠けはありません。鶏卵で言うとSサイズくらい。なぜここに。


 肝心のメノウですけど

 


 あるにはあった、というところです。

 


 珪化木も形の面白いものを拾いました。

 


 これだけのために密林と格闘しました。いやあいい汗かいたなあ。アセモできたけど。

 

 


 暦の上での季節の区切り「二十四節気」にはいつも感心させられます。関東の猛暑が始まった7月23日は暦の「大暑たいしょ」でありました。昔の中国の人が1年で一番暑くなる頃とした、まさにその時です。二十四節気をさらに細分して日本の自然になぞらえた七十二候には怪しいものもありますが、二十四節気はおおむね森羅万象の季節変化を言い当ててくれます。きっと膨大な経験のデータから編み出された知恵なのでしょう。それに比べてテレビで流されるあと付けの解説は、なんとも皮相的で私には味気なく写ります。


 猛暑の原因は?


 エルニーニョ


 エルニーニョの原因は?


 地球温暖化


 温暖化の原因は?


 人間の出す二酸化炭素


 この手のステレオタイプな解説にはうんざりです。じゃあ去年と今年では二酸化炭素濃度はそう変わらないのに、なんで今年だけ?…… もう話に詰まってしまいます。


 一例として書きます。地球の気温に大きな影響があると科学的に説明できているのが太陽活動。黒点の数に比例するのでわかりやすい。いま太陽活動は上昇期で、この6月に観測された黒点の数は163個。極大期には300個を超えますから、この点を強調すれば来年に向けた対策も取りやすくなるでしょう。二酸化炭素による温暖化だから仕方ない、と思考停止に陥ることこそどこかの誰かの思うつぼです。

 


 …… また話が変な方向に行きました。要するに、酷暑の中ダンビラ振り回して大汗かいて無駄骨した、そういうお話でありました。

 


 向こう岸でミソハギが清楚な花を見せてます。祭事に用いられるので「禊萩」の名が付きました。私にはこうした自然が変わらぬ姿を見せてくれれば、それで十分なのです。

 

 

 

 

 

イラクサの記事です。

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