まだまだ地元に対しても初ってのがあるもんです。百樹園に行ってきました。
徳川光圀公がかつて水戸の城下に百種の木々を集めた「百色山」を作りました。でも公の死後に荒れて廃れてしまった。その事績を惜しんだ水戸の実業家が昭和の初め、光圀公の生誕三百年を機に牧野富太郎らの指導の下、私有地に造営したのが百樹園です。昭和末期に市が買収し、市民公園として整備、公開しました。
開園碑。開園式には大牧野も参列し、創設家には牧野筆の「百樹園」額もあるそうな。
周辺は宅地や道路として開発されて平坦になり、百樹園は遠くからでもこんもりした小山のように望見できます。いやあ木のデカいことデカいこと。
マキノのぼり。
樹々は茂っておりますが、通路も林床もきれいに掃き清められて、丁寧に管理された公園であることがわかります。光圀さまと、実は水戸市長も出している創設家への崇敬があると思います。
まっすぐに伸びる巨木はイチイモドキ。
雪白の肌のこれはシロマツ。中国の宮廷に植えられたそうです。
園丁の方がおられました。どうやら木が好きで好きでこの仕事をしておられるようで、しばし樹木談義で盛り上がりました。いわく、ここは木が伸びるに任せる方針で、枯れ枝以外は一切剪定をしないとのこと。ははあなるほど。
だからセンダンがこんな樹形になっているんだ。
実が落ちてなきゃ何だかわからなかった。
ひときわ伸び上がった白い木肌。プラタナスが好きに伸びた結果です。
カツラの根こぶもやりたい放題、いいですねえ。
カエデも立派なのがあって、秋には紅葉を楽しむ市民が詰めかけると。ああ、同じ市民なのに知らなかった。
どうしても聞きたかったのがこの木。松なんですがとにかくデカい。葉もデカいというか長さがクロマツの倍、三十センチ近くあります。ダイオウショウと言うそうです。あとで調べたら北米原産、さすがセコイアのある国の松ですねえ。大王松の名に違わず松ぼっくりもデカい、今は落ちてないけど取ってあるのを差し上げましょうというのでそれは丁重にお断りしました。私ごときにはもったいない。それを目当てにおいでになる方もいるそうで、そちらにお譲りします。
気に入られたか認められたか、園丁氏がかたじけないほどに親切です。それではと、タラヨウの木を紹介されました。おおおタラヨウ、漢字で多羅葉。静岡県以西の分布で、茨城にない。一度会いたいと思っていた木なのに、言われなければタブノキかなんかと思い込んで見過ごしていたでしょう。
どうせこの枝は伐る予定だったと、まるまる一本頂けてしまった。ううむタラヨウ、こうなったらぜひアレをやらねば。西日本の人はご存じかも知れませんが、タラヨウの葉には面白い利用法があるんです。
字が書ける。
葉の裏を細い棒でなぞると、その軌跡がまるで鉛筆で書いたかのように青黒く浮かび上がるんです。住所を書いて宛名を書いて切手を貼れば送れます。そーです文句なしに「葉書き」、これがホントのってか。郵便局さんシャレがわかるのか、これゆえに「郵便局の木」に制定されているんだって。「落ちない」常緑樹なので受験生がもらいに来るというのも微笑ましいですねえ。日本は平和だ。
ここで一旦お話を切り上げてまた園内に戻りました。ぽこん。風の強い日で、ダイオウショウの松ぼっくりが落ちてきました。さては吹かせてくれたな。そう思って、これは頂くことにします。
机に置くとかなりの迫力。ほんのり松脂の香りが漂います。
ワビスケの散る園内。また良い心の散策地ができました。
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