ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ヤモリが出た

 

     f:id:xjino:20190915213018j:plain

 

 家の中にヤモリが出た。この高断熱住宅にどうやって入った。いやそもそも,この家にいたのか,ヤモリ。


f:id:xjino:20190915213054j:plain
 家人が,居間の白い壁に張り付くS字型のヤツに気付きました。私が捕虫網を被せて捕獲成功。家じゅう大興奮。ヤモリだヤモリだ ♪


f:id:xjino:20190915213124j:plain
 まだ子供です。光を当てると心臓の拍動が透けて見えます。取扱い注意。ヤモリは親でさえその体は脆弱で柔らか。力の入れ具合一つで骨や内臓にダメージを与えてしまいます。こんな子供ではなおさらのこと。透明の飼育ビンに入れて観察します。


f:id:xjino:20190915213153j:plain
 見るからに不思議な,異界の生きものです。…… どうでもいいけど何で新聞の上に置いてしまったろう。


f:id:xjino:20190915213211j:plain
 茨城県ニホンヤモリの分布の,太平洋側の北限です。温暖な県南や県東には普通にいるのですが,水戸ではものすごく珍しい。見たという話を聞かないのに,我が家ではこれが2度目。5年くらい前,やはり子供のヤモリを同じ居間で見つけました。あれの子孫なのかな。


 玄関の扉の外に逃がしましたが,数日後の夜帰宅すると,その扉の上に張り付いていました。ポーチの明かりに来る虫を狙っているらしい。人に慣れたのだか,なかなか逃げません。指を触れんばかりにすると,扉の蝶番のすき間に入り込みました。これで家に侵入した経路も判明。玄関のすき間を影のようにすり抜けたわけだ。


 我が家にヤモリが暮らしている。なんかそれだけでうれしくなるのが不思議です。この子も無事に成長して,また世代をつなげてくれることを祈ります。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

ひたち海浜公園・大砂丘

 

 以前書いたもの(ひたち海浜公園 かつての水戸射爆場で自然観察 - ジノ。)を,記事の最後にもリンク貼っておきました。併せて読んでいただけると幸いです。

 

 

    f:id:xjino:20190915121144j:plain


 8月末,いつもの生物屋さんたちとひたち海浜公園の「大砂丘」を歩いてきました。


 前出の記事にある通り,この一帯は米軍の射撃・爆撃の標的場でした。そのため大量の弾丸・弾片,ときに不発弾が埋まっていて,港や公園を造る際には自衛隊爆発物処理部隊が大仕事。処理が済んだ場所から開発されていきます。そして最後に残ったのが海岸沿い南側のあたり。広大な砂地は,他所では開発の結果絶滅した貴重な海浜生物が残っていたこともあって,長らく立ち入り禁止でした。それがとうとう公開されて立ち入れるようになったのがこの7月。ぜひとも若い人たちに見せたかった。


 とはいえ案内役の時は自分の写真が撮れません。2週間後に一人でまた行って写真を撮り直しました。今回の記事,写真は2回目のものも使っています,ご了承を。


f:id:xjino:20190915121322j:plain
 ひたち海浜公園の「海浜口」から入って,「海浜口・風のゲート」から入場します。まあ,表側の「翼のゲート」しかご存じない方が見たらえええとかつぶやきそうなゲートです。


f:id:xjino:20190915121338j:plain
 今日のフィールドを一望。…… なにか違和感。砂丘のはずなのに,緑が濃い。

 

f:id:xjino:20190915121433j:plain
 砂丘を行く道がこんな。

 

f:id:xjino:20190915121401j:plain
 一面に何か生えてます。葉が細いのでオカヒジキかな?とも思いましたが様子が違う。

 

f:id:xjino:20190915121504j:plain
 花が付いてます。


f:id:xjino:20190915121520j:plain
 それなりに可愛らしい花。でも絶対にオカヒジキじゃない。


 調べてみると,これがオオフタバムグラという帰化植物。今,全国の海岸や荒れ地で爆発的に増えているのだとか。


 見回すと,オオフタバムグラ以外にもコマツヨイグサなどの帰化植物がかなりの被度で広がってます。この「大砂丘」,今まで立ち入り禁止にして溜めに溜めて,こんな状態になったのを見せようってか。ううむ。


 気をとり直してまずは植物観察。


f:id:xjino:20190915121554j:plain
 カワラサイコバラ科。「柴胡」は中国の薬草名でミシマサイコというセリ科の植物。草姿は似ても似つかないのですが根が似ているんだって。


f:id:xjino:20190915121614j:plain
 カワラヨモギ。ちょうど花期でした。

 

  f:id:xjino:20190915121632j:plain
f:id:xjino:20190915121640j:plain
 コマツナギ…… だと思うのだけど,海岸だし花期は終わりだし,らしくない姿のものも。

 

f:id:xjino:20190915121729j:plain
 スカシユリ……? 花はともかく葉はあるはずの季節ですが,何もなし。おいおい。


f:id:xjino:20190915121752j:plain
 ピラカンサ,というよりタチバナモドキ。…… むかし,まだここが「水戸射爆場跡地」だった頃,さらに過去に飛行場だった場所を歩いていたらコンクリートの隙間にびっしりとこれが生えていて赤くなった実が付いてました。その生き残りかな,と見ると感慨も深いものがあります。ああ,あれはもう三十年も前のことだ。

 

f:id:xjino:20190915121824j:plain
f:id:xjino:20190915121831j:plain
 ナミキソウ。シソ科タツナミソウ属の海浜植物。もう花期は終わりのはずですが,一か所で咲き残ってました。


f:id:xjino:20190915121853j:plain
 ネコノシタ。名の由来は葉を触ってみればわかります。茨城が北限です。


f:id:xjino:20190915121910j:plain
 ハイネズ。地を這う針葉樹。果実は2年がかりで黒く熟します。

 

    f:id:xjino:20190915121927j:plain
 ハナハタザオ。初夏に咲く一年草でもう枯れてます。この果実が「ハタザオ」の名の由来。絶滅危惧ⅠA類「かなりヤバい」レベル。希少すぎて図鑑にも載ってません。確実に見られる場所は国内でもわずか。ここひたち海浜公園なら6~7月に来れば清楚な紫花が見られます。

 

f:id:xjino:20190915122015j:plain
  f:id:xjino:20190915122022j:plain
 ハマゴウ。海岸の砂地を這う木で,クソ暑い夏の真っ盛りから砂上でこの花を咲かせます。熱気も日差しもまるで感じていないようなので付いたあだ名が「馬鹿の花」。これは夏の季語だって。


f:id:xjino:20190915122100j:plain
 ビロードテンツキ。茨城が北限。


f:id:xjino:20190915122115j:plain
 センニンソウ。夏の終わりに観察会を開くと,とにかく咲いている花が少ない。そんな中ではこの白一色の清楚な花がひときわ美しく見えます。


 今回の観察会の参加者も,いつも通り若い男性が多く来てくれてます。同じような活動をしている他の専門の同年代からはうらやましがられます。なんでオマエんとこは若いやつが居つくんだ,と。なんででしょうね。とにかく気を使ってはいます。その男の子たちが植物ばかりでは退屈そうです。大丈夫,ここから面白くしてやるぜ。


 そうここは貴重な海浜昆虫の宝庫なのだ。


f:id:xjino:20190915122157j:plain
 カワラハンミョウ。大型のハンミョウで,盛んに配偶行動をしていました。


f:id:xjino:20190915122213j:plain
 ハマス。希少な海岸性のコオロギ。あ,撮影のため捕まえましたが,ちゃんと逃がしましたよ。

 

f:id:xjino:20190915122234j:plain
f:id:xjino:20190915122243j:plain
 ヤマトマダラバッタ。とてつもなく敏捷で,若いヤツに捕虫網を渡して追いかけさせるのですがさっぱり捕まりません。やっと動きの鈍いのを捕らえたら翅のない幼虫でした。


f:id:xjino:20190915122308j:plain
 こんな砂礫地に,なぜかアジアイトトンボがいっぱい。


f:id:xjino:20190915122325j:plain
 クロアナバチの巣穴。ここには同じく砂地に穴を掘るニッポンハナダカバチというこれまた希少なのがいるはずですが,今回は目に入りませんでした。


 男の子たち,と言いましたがそれぞれ職場では立派に働いている人たちです。それがまるで少年のようにきゃいきゃいと虫を追いかけている図は,なかなかに興趣が深い。っていうか男って馬鹿ですねえ。いつも言うけど。

 

f:id:xjino:20190915122343j:plain
 タヌキの足跡。


 最後に解散した時,昆虫少年の顔になった参加者の一人から今日は楽しかったです,と声を掛けられました。あ,良かった。どうかあなたも,今の私の歳になった時に若い人に同じことをしてあげてくださいね。


   f:id:xjino:20190915122549j:plain
 私はこの世に何を残せるのだろう,なんて思ってみたり。

 

 

↓ 関連リンクです 

ひたち海浜公園 かつての水戸射爆場で自然観察 - ジノ。

ひたち海浜公園観察会 - ジノ。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

澄んだ水と風の町 /勝山市で過ごした一日

 

    f:id:xjino:20190908150146j:plain

 

 巡検2日目。昨日に続き,福井県勝山市です。


 人口は二万二千人ちょっと。母体となった勝山町は繊維業で栄えましたが,今は恐竜の産地として有名です。著名な出身者に天龍源一郎三屋裕子花菱アチャコ …… ってなに,この幅の広さ


f:id:xjino:20190908150305j:plain
 質素な市庁舎というのも好感です。


 高い建物もなく,道を走る車も少ない。空の広い土地が好きで,渋滞大嫌いの私にはとても印象の良い街です。市街を貫くのは九頭竜川クトウルーと読めるってだけで私は大喜び。今回,この川は巡検の観察地になってないのが残念です。うわさに聞く暴れ川の河原には何があったろうなあ。


 夏の日本海側は暑いぞと脅されていたのですが,思ったほどではありません。むしろ湿度が低いぶん快適で過ごしやすい。関東で南風が吹く時のむせ返るような暑さがいかに異常かを実感します。


 今日の第1ストップ(観察地)は,市内北谷奥の恐竜発掘現場。一般車通行止めの,このためだけに作られた林道をバスで行きます。恐竜博物館の人が付いているのでゲートもフリーパス。

 

    f:id:xjino:20190908150413j:plain

f:id:xjino:20190908150425j:plain
f:id:xjino:20190908150436j:plain
 道々のカーブミラーがこれ。地元,気合入ってます。

 

f:id:xjino:20190908150522j:plain
 やがて巨大な崖が現れます。これすべて恐竜を含む地層。


f:id:xjino:20190908150541j:plain
 ジオパークだ。茨城のは取り消しになったぞ


f:id:xjino:20190908150609j:plain
 手前が天然記念物指定のすでに掘削された崖。その向こう側が掘削中の崖。


f:id:xjino:20190908150633j:plain
 一番手前の沢沿いで,中生代のワニの骨が見つかったのが最初でした。ここに「手取層」があるのは知れていたのですが,当時は道もなくここまでは沢を2キロ遡るしかなかったそうです。そこから始まった発掘で,ついにイグアノドンの仲間フクイサウルスが見つかったのが1989年。そして状況は加速します。


 水が削った谷の底から古代が蘇ったというニュースに人々は盛り上がり,地元の自治体から次々と予算が降りて,道が作られ重機が入り,トントン拍子にこの状況となりました。飛びついた,と言っては失礼ですが,これが地域振興に使えると判断した首長さん,それを説得した関係者の皆さん,慧眼けいがん恐れ入ります。私らから見ればうらやましい限りです。だっておらが町の裏山から恐竜が出るんだよ。すげえええ。


f:id:xjino:20190908150752p:plain
 およそ1億年前,パンゲアが南北に分かれたその北側のローラシア大陸の一部,ここは大河のほとりでした。ご近所の川を想像しないでください。今の日本国内とは根本的にスケールの違うナイル川とかアマゾン川みたいなの。この大河のほとりでは,多くの恐竜が生まれ,食い,育ち,そして死ぬという日々の生活を営んでいました。死んだ者の骨の多くはその場で朽ち果てましたが,ごく一部が大河の洪水の際に流され泥に埋まりました。中にはまだ遺体の状態のまま埋まり,ほぼ全身の骨格が残ったものもあります。これらが時の試練の果てにいまここにある訳で,いや地球の営みってすごいなあと。


 で,そばまで行ってみるとこれがまたすごい場所で,化石だらけなんです。貝化石と植物化石がびっしり。その中から恐竜の骨を探すわけで,じっさいに未発表のものがたくさんあるとか。おまけに恐竜の足跡までありました。前に他所で見たものは崖のくぼみで,言われればそうかという程度。ここのは爪までわかるはっきりしたもの。…… でもごめんなさい,いずれも写真ありません。ここから先は撮らないでくださいって言われたもので。一般人が入れない場所まで見せてもらえたので,文句は言いません。


 ちなみに発掘作業は大学生の,ほとんどボランティアと言っていいバイトさんたちがやっています。それと恐竜博物館でも発掘ツアーを組んでいるので,それに参加すればここの岩を叩けます。けっこう評判だそうです。


 日本随一の化石産地を堪能して,次のストップは「伏石ぶくいし」の観察。何だ伏石って。


   f:id:xjino:20190908150952j:plain
 これが伏石(のデカいヤツ)。勝山市の北方と東方は古い火山列で,最高点は千七百メートルを超えます。火山といいこの高さといい,本当にうらやましい。古い火山なので崩壊が激しく,「岩屑なだれ」という山体崩壊の土砂が各所を覆っています。とんでもなく大きな岩塊も含んでいて,そういう岩のことを地元では伏石と呼ぶそうな。戦後に多くが撤去されて農地が作られましたが,これは神社の境内で神の依り代と考えられたので残されました。デカい。こんなのが山の上から転がってきたんか。


f:id:xjino:20190908151311j:plain
 この田んぼも伏石を撤去して実ってます。自然の驚異と,ヒトの営為と。


f:id:xjino:20190908151331j:plain
 そこから登ったこの高原温泉で昼食。澄んだ涼風が吹きわたります。市内にこんないいところあるんだ。


f:id:xjino:20190908151757j:plain
 同行者が伏石の上でおっさんずラブ。お邪魔しないように。

 

f:id:xjino:20190908151817j:plain
 お花もいろいろ。オトギリソウ。


f:id:xjino:20190908151837j:plain
 ヤマジノホトトギス


f:id:xjino:20190908151852j:plain
 ゲンノショウコ


f:id:xjino:20190908151910j:plain
 立ち入り禁止の一角を染める白い花は…… 外来の有害植物ワルナスビでしたー。こんな所にもはびこりよって。


f:id:xjino:20190908151928j:plain
 地学の先生の集まりですが湿原で植物観察も。


f:id:xjino:20190908151948j:plain
 モウセンゴケ


f:id:xjino:20190908152027j:plain
 ヌマトラノオ


f:id:xjino:20190908152054j:plain
 エゾミソハギ


f:id:xjino:20190908152111j:plain
 キリギリスだー。

 

f:id:xjino:20190908152131j:plain
    f:id:xjino:20190908152142j:plain
 次のストップ。一般人が見ればただの崖でしょうが,地学のひとには違う見え方をするようで。これは岩屑なだれの先端がクトウルーいや九頭竜川に浸食されてできたもの。堆積物の断面が見られるから貴重だと。さすがに私にはわからん。


f:id:xjino:20190908152303j:plain
 市内に戻って…… そうかまだ勝山市内だった…… 織物業記念保存施設ゆめおーれ。


  f:id:xjino:20190908152324j:plain
 美人がお出迎え。市役所の方だとか。


f:id:xjino:20190908152433j:plain
 復元された機械がグルグルと。動画も撮りました。疲れた時に連続再生で見続けようと思います。


f:id:xjino:20190908152520j:plain
 福井は羽二重餅で有名だそうですが,「羽二重」の意味を知ってましたか。絹糸を織るとき,タテ糸を二重にして肌触りを良くしたものを指すんだって。チコちゃんにも教えてあげよう。


 最後に勝山市内を歩きます。観光ではなく,市内にも見ものがあるんです。


f:id:xjino:20190908152546j:plain
 車のほとんど来ないメインストリート。町並みが古いアルバムのよう。


f:id:xjino:20190908152605j:plain
 水戸も昔はこんなだったんだろうな。

 


   f:id:xjino:20190908152626j:plain
 この高いシャッターの中にはお祭りの山車があるらしい。


    f:id:xjino:20190908152650j:plain
 どこからどう見ても昔の医院の建物。ちゃんと残っているんだ。


f:id:xjino:20190908152719j:plain
 いえ街並み散策が目的じゃなく。


f:id:xjino:20190908152737j:plain
 街が九頭竜川に向かって傾斜しています。


   f:id:xjino:20190908152818j:plain
 街中にこんな崖。河岸段丘の崖なんです。これは七里壁と呼ばれるもの。


f:id:xjino:20190908152850j:plain
 街中に水が湧いて


f:id:xjino:20190908152920j:plain f:id:xjino:20190908152928j:plain
 それが段丘下の澄んだ流れになってます。


f:id:xjino:20190908153036j:plain
 市街地の真ん中にサワガニが平和に暮らす,そんな町。


   f:id:xjino:20190908153053j:plain
 民家から流れに降りるこんな石段も大好きです。そういえば同じ北陸の金沢も段丘や流れが街中にありました。いい町だったけど,私には賑やかすぎるかな。都会の水が合わないんです。


 今日はこのあと山越えで石川県に入り,白峰温泉というところに宿をとります。いろいろ面白いものが見られた1日でした。勝山市,初めて来ましたが「住みたい町」リスト入りです。いつか再訪して,九頭竜川の川辺で1日過ごしてみたいなあ。


 ふと思います。自分がこの静かで空気の澄んだ小さな町に生まれ育っていたなら,どんな人生があったろうかと。それはそれで,穏やかないい人生になっていたろうと思うのです。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

恐竜王国に行ってきた

 

   f:id:xjino:20190905212746j:plain

 

 お住まいのあたり,残暑はいかがでしょう。水戸は急に涼しくなって,朝夕は寒いほどです。気候も良くなったこととて,夏のもろもろのご報告,これから少しずつ記事にしていきます。


 今夏も高校の地学の先生方の巡検に混ぜていただきました。テーマは「恐竜王国を見に行こう」。燃えるぜ。


 水戸を出て8時間。高速道路を乗り継いで,ようやく着きました福井県勝山市。私には恐竜=福井というイメージはなかったのですが,同僚(文系)に恐竜を見に行くと言ったら勝山か,と当てられました。そうかメジャーだったんだ。


f:id:xjino:20190905212920j:plain
 高速道路を降りてしばし,左に銀色の巨大な卵が。これがいま福井県で一番有名かもしれない観光スポット,福井県立恐竜博物館です。巡検初日の今日は移動で手一杯なのですが,まずこれは見ておかねば。

 

f:id:xjino:20190905212942j:plain
 博物館を遠望してたら,いきなり窓を横切るティラノサウルス。このあたり,至る所に恐竜が現れます。恐竜に賭ける地元の意気込みが伝わってくるなあ。


f:id:xjino:20190905213009j:plain
 でかい。「地面に埋まった恐竜の卵」がモチーフと聞きました。


 館内を案内してくれる博物館の職員は,なんと我々の地元茨城大学出身の若いハカセ。古生物が好きで,そのままここに就職したんですねえ。天が示した運命なのでしょう。ちょっとうらやましい。で,ハカセが言うにはこの博物館,来場者年間20万人くらいを想定していたら90万人も来るようになり,慌てて「順路」とかを整備したと。確かに駐車場も館内も大賑わいです。キョウリュウジャーのおかげ,ではなく「恐竜」をテーマにしたことが大成功なのでしょう。恐竜嫌いな人なんていないもんね。


 まず解説してくれたのが福井の恐竜コーナー。勝山市内のただ一カ所の発掘で何と5種類もの恐竜が発見されています。


f:id:xjino:20190905213055j:plain
 最初に見つかったのがイグアノドンの仲間,フクイサウルス。そう言えばイギリスで世界初の「恐竜」という概念が出されたのがイグアノドンの化石の研究からでしたね。意味深い符合です。


f:id:xjino:20190905213118j:plain
 コシサウルス。同じくイグアノドン類。幼体の骨の,さらにごく一部しか見つかってないのですがよくここまで復元できるなあ。

 

f:id:xjino:20190905213140j:plain
f:id:xjino:20190905213151j:plain
 フクイラプト。おおラプトル,「ジュラシックパーク」を思い出します。こちらにはあの恐ろしい足のカギづめはないようです。日本で見つかった初めての肉食恐竜だそうで。


f:id:xjino:20190905213220j:plain
 フクイベナートル。長い前足に羽が生えた,なんというか,いまどきの恐竜図鑑によく出てくるやつ。


f:id:xjino:20190905213239j:plain
 フクイティタン。… ティタン(巨人)! そうです竜脚類,われわれの世代には「ブロントザウルス」という懐かしい響きでよみがえる巨大恐竜の仲間。日本で見つかっていたんだ。感動。


 f:id:xjino:20190905213417j:plain
 この恐竜たちを含んでいたのが有名な中生代の地層「手取層」。陸成層,つまり大陸の内陸部で堆積した地層です。このあたりはかつてローラシア大陸の一部でした。


f:id:xjino:20190905213446j:plain
 実は茨城近辺にも中生代の地層が。そう言えば「鉄腕DASH」で首長竜を発掘したのがいわき市でしたね。懐かしいなあ。


f:id:xjino:20190905213519j:plain
 発掘場所の再現展示ですが,このお二人はちゃんと実在する人がモデルとやら。

 

f:id:xjino:20190905213601j:plain
 客引きのお仕事に精を出すロボットティラノ。


f:id:xjino:20190905213619j:plain
 ちゃんと役に立ってます。


f:id:xjino:20190905213637j:plain
 トリケラトプスも。


f:id:xjino:20190905213710j:plain
 やめろ父ちゃん,子どもは泣いてるぞ。どうして父親ってこういうことするんだろう。


f:id:xjino:20190905213737j:plain
 午後の日も傾く時分ですが,館内はまだ賑わってます。展示品が多くて見切れません。よくここまで作り,集めたものです。

f:id:xjino:20190905213817j:plain

  f:id:xjino:20190905213851j:plain

f:id:xjino:20190905213919j:plain

f:id:xjino:20190905214111j:plain

 

f:id:xjino:20190905214141j:plain
 恐竜以外の展示も見ごたえあります。人類の進化。

 

f:id:xjino:20190905214346j:plain
  ウミユリ。


f:id:xjino:20190905214431j:plain
 ストロマトライト。


f:id:xjino:20190905214516j:plain
 中生代イチョウ。大繁栄していました。中国大陸の奥地に生き延びた1種類を除いて,すべて絶滅しました。奢れるものも久しからず。

 

f:id:xjino:20190905214541j:plain
 古代の森。裸子植物の針葉樹ばかりです。今あるような被子植物が出現するのは中生代最後の白亜紀になってから。


f:id:xjino:20190905214609j:plain
 宝石,鉱石の展示も充実してました。


  f:id:xjino:20190905214637j:plain
 エントランスから展示室に一直線に伸びるエスカレーター。地下に降りていく,という演出が心憎い。本当にていねいに,よく考えて作られた博物館です。


f:id:xjino:20190905214711j:plain
 名残惜しいのですが集合時間なので外に出て,ふと見ると丘の上には。


f:id:xjino:20190905214733j:plain
 丘の上から博物館の外観。ほぼSFの光景。


f:id:xjino:20190905214801j:plain
 周囲は針葉樹の森。まさに中生代の風景です。恐竜もこんな森を網膜に映していたのでしょう。


 北陸に行く機会があったらぜひお寄りください恐竜博物館。特に子供さん連れの方。でも泣かせちゃダメですよ。

 

 

↓ 昨年の巡検 

糸魚川-静岡構造線を見るということ - ジノ。

山の湯,ステキな山宿でした - ジノ。

静岡・山梨で見たもの 【ただし閲覧注意 】 - ジノ。

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

2019年8月閲覧数報告

    f:id:xjino:20190902230453j:plain

 自慢話かも。いくぶんゲスいかも。心の広い方,お読みいただければ幸いです。


 一次産業から教育現場にまで経済学の概念がはびこるようになって久しい,と思います。やれ行動目標・数値目標を設定しろだの「成長」のための計画を策定しろだの顧客満足度を常にモニターしろだの。「方針」を「ポリシー」とかわざと英語にしてみたり。要するに,何のアイデアも出せないくせに何かを言わなくてはならない学歴だけの方々が,研修という名で遊びに行ったアメリカで聞きかじったことを押し付けてきてるだけなのですが。ああこんな人たちに振り回されるわれわれ庶民が本当に不憫です。役人の考えた計画経済がうまくいった事例なんてあるかってんだ。


f:id:xjino:20190902230526j:plain
 この手の話題は項を改めていずれとは思っていますが,かく言う私も年次目標やらその達成度やらを報告してます。上司が喜ぶので適当な数値目標を並べて―― まあ無難な数字ですが―― 誤魔化してます。それで十分。小学校での夏休みの日課表から高校での受験の学習計画まで,私の行動を規定しようとするあらゆる魔手をこの手で適当に切り抜けてきました。自慢じゃないけど,真面目に目標や計画を考えたことはありません。


 じゃあ達成感なんて感じたことないだろうって? いいえ。


f:id:xjino:20190902230554j:plain
 例えばこのブログ。2か月でアクセス数いくらとか1年で記事の数をどうとかの目標は一切立ててません。強いて言うと毎週更新することぐらいですが,そもそも書かずにはいられなくて始めたブログですから何のプレッシャーにもなってません。いつの間にかアクセス数が1000を超えた,うれしいなあ。記事の数が200を超えた,おおわし頑張ってるじゃん。100とか1000とかのキリのいい数字が目印,道程標でありそのつど達成感を味わってます。つまり作為ではなく絶対値。いつの間にか越えていた境界。目標を立ててそれに向かって期限を区切り努力するなんて,この人生一度もやったことはありません,ごめんなさい。だからまあこの程度の人生である訳なんですが。


   f:id:xjino:20190902230637j:plain
 誰かのまねをしようとか跡をたどろうとかいう発想はありません。そもそも社会に出た時に上にいたのは団塊世代の人たち。尊敬できる先輩なんていなかった。だから自分で道を探す,そんな生き方をしてきました。例えば,やり玉に挙げて申し訳ないのだけど,評判のラーメン屋を聞きつけて行列して食おうという行為を理解も共感もできません,共存はしますけど。


f:id:xjino:20190902230737j:plain
 怒らないでください,たぶん私はもっと理解不能な人間ですよね。


f:id:xjino:20190902231013j:plain
 こんな生き方の人間がいることを知ってほしくて,私はブログをやっているのでしょう。

 

f:id:xjino:20190902230238j:plain
 歩く。ひたすら歩く。基本マイペース。どこまでも続く道は変化しながら蒼天の下を伸びていきます。私の魂の終着点という,ただその一点に向けて。咲き誇る桜を,恥じらう野菊を,吹きわたる風を,ほのかな上弦の月光を五感で感じながら。 路傍の花を愛で,蒼穹を仰ぎ,気付けばいくつもの峠を越えていた。そんな人生の歩き方が望みです。


f:id:xjino:20190902230148p:plain
 2019年8月1か月間の当ブログのアクセス数,1万を超えました。累計でもちょうど2年で6万に達してます。


 うわあびっくり。というか怖い。何が起こっているんだ。


 いえもちろんお客様には感謝です。本当にこんな実用性ゼロの個人ブログ,見てもらえるだけで涙が出るほど有難い。これまでも書いてきたように,ブログを始めた当初の1日1アクセスという日々を忘れずに記事を書いてますので,それ以上はすべて儲け物と心得ます。その1クリックごとに,あ~り~が~と~お~とか聞こえませんか。迷惑ですか。ごめんなさい。


f:id:xjino:20190902230949j:plain
 このブログ,まだ続けていくつもりです。これからもよろしくお願いいたします。


f:id:xjino:20190902230847j:plain
 ブログ運営会社が勝手に表示する広告があまりに下品なので,広告非表示のできる有料設定に変更しました。せっかくなので「あふぃりえいと」ってのをやってみようかな。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

そうかえんにいってきた/人生タナボタでできている

 

 8月21日水曜日。研修とお盆休みと昨日までの北陸巡検(別記事予定)で,久しぶりの出勤です。グダグダに疲れてます。そこに1本の電話が。


ああやっといましたね。総火演のチケット取れましたよ。次の土曜です


 … そうかえん?


陸自富士総合火力演習ですよ。去年行きたいって言ってたじゃないですか


 陸自…… 富士…… 総合火力……

 


f:id:xjino:20190825222014j:plain


 ええええっ

 

厳密には前日のリハーサルですが,内容は本番と同じだし,駐車場券まで取れましたから


 いや,わし今疲れてるし…… そんな,急に…… 心の準備が……


なに小娘みたいなこと言ってるんですか。チケットなかなか取れないってのは知ってるでしょう。渋滞キライなのは知ってますが,運転やりますから。そうだ,金曜に出かけて前泊しましょう。今から「じゃらん」見てみます。お金のほう,よろしく


 ミもフタもないご配慮ありがとう。相手は仕事上の付き合いのある若い人ですが,何かと気に掛けてくれてます。行きたいのはご本人かと思うけど,サイフ役くらいなら引き受けましょう。私には最初で最後の機会になるかもしれないし。


 そう渋滞。コウガイビルよりオオスズメバチより渋滞が大キライ。渋滞するような場所やイベントに自ら行くことは 絶対にない運転手付きで総火演なんて,もう最後の審判の日までチャンスはないでしょう。ここは腹を決めるしかない。


 で,宿は取れるわ金曜午後の休みは取れるわ,すべてがトントン拍子に進んでしまいました。先日解いたばかりの旅装をまた引っ張り出すという面倒はありましたが1泊旅行の準備なんて5分で済むし。15時過ぎに出発して常磐道圏央道→東名と,遠回りだけど首都高を避けて進みます。東北道,関越道,中央道との各ジャンクションで案の定渋滞しながらも20時に御殿場着。よさげな宿でしたが風呂入って寝て,翌朝朝飯も食わずに出ねばなりません。ああこんな余裕の無い旅イヤだ。


 で翌朝。駐車場に着く前から,ど―ん と 練習の弾着音が轟きます。行くのを渋っていたけれど,この音を聞くと気分は盛り上がります。


f:id:xjino:20190825222548j:plain
 駐車場からシャトルバス乗り込み。このあたりの話は他の方のブログに詳しいのでそちらをご参照ください。バスを降りてからの登りが大変なんて記事もありますが,少なくとも私たちにはどうということのない道でした。


f:id:xjino:20190825222610j:plain
 で,富士山と演習会場。見たか晴れ男パワー。もっとも,富士の山頂まで見えたのはこの時だけでしたけど。


f:id:xjino:20190825222631j:plain
 自走砲が待機していた。


f:id:xjino:20190825222703j:plain
 シート席とスタンド席があって,私たちはシート席。早く来たので前から3列目くらい。リハで入場してきた自走砲が目の前をぐあーっと通ります。かぶり付きだあ。


f:id:xjino:20190825222744j:plain
 しかもモニターの真ん前。たまたまだけどいい席だと思う。ちなみに今日は予行演習の日なのでスタンド席は自衛隊の隊員さんや関係者らしいです。


f:id:xjino:20190825222807j:plain
 おお,大集結してます戦闘服公務員。これ見たら狂喜乱舞するような友人がいるぞ。…… 真面目なお話として,この人たちがいざ有事には本当に命を賭してくれることを,大震災を体験した私は知っています。


 偉いさんの挨拶とかなしに始まり始まり。

 

f:id:xjino:20190825223316j:plain
 どこーん。自走砲が撃つ。


f:id:xjino:20190825223334j:plain
 どこーん。りゅう弾砲が撃つ。

 

f:id:xjino:20190825223427j:plain
 新型自走りゅう弾砲が …… 撃たない。まだ配備されたばっかりだって。


f:id:xjino:20190825223445j:plain
 自走砲とりゅう弾砲の155ミリファミリーが撃ちまくる。


f:id:xjino:20190825223504j:plain
 ぼこぼこ弾着するのは二段山,三段山と呼ばれるあたり。距離3000メートルほど。これらの砲の射程からすればかなり近いので,弱装弾で撃っているのでしょう,音は控えめです。

 

f:id:xjino:20190825223530j:plain
 このあとはこんな天気。雲が低くなって,もう富士山は見えません。よく他の方の感想で死ぬほど暑かったとか肌寒かったとか雨に降られたとかあるのですが,今日はそれ一切なし。暑からず寒からず降ることもなく,涼風が吹いて快適そのものでした。


f:id:xjino:20190825223549j:plain
 風についてはラッキーもう一つ。ずっとビハインドの風向きだったので,爆煙硝煙土煙すべて向こうに流れます。これも快適でした。


f:id:xjino:20190825223646j:plain
 とはいえやっぱり富士の総火演。背景に富士山欲しいなあ,なんて考える間に目の前100メートル,タイヤの


f:id:xjino:20190825223713j:plain
 どっごおおん


 ぐわあああっっ  耳に来るのは当然として,ハラにも響いたあ。視界がブレるうう。

 

f:id:xjino:20190825223809j:plain

 どっごおおん

 これは装輪つまりタイヤの付いた戦車「機動戦闘車」。戦車砲は本気の装薬だあ。

 

f:id:xjino:20190825223858j:plain

 どっごおおん

 

 10式戦車にもやられた。すごいよ戦車砲


f:id:xjino:20190825224114j:plain
 重機関銃たったかたー。

 

f:id:xjino:20190825224146j:plain
 びしばし着弾。


f:id:xjino:20190825224205j:plain
 対空機関銃も打ちまくる。


f:id:xjino:20190825224225j:plain
 ヘリ部隊もやってきて


f:id:xjino:20190825224243j:plain
 コブラが射撃。シン・ゴジラのワンシーンだあ。


f:id:xjino:20190825224301j:plain
 そのスキにチヌークが


f:id:xjino:20190825224319j:plain
 ぼろぼろと即応部隊を下ろして敵上陸部隊の制圧開始です。

 

f:id:xjino:20190825224344j:plain
 誘導弾1発。


f:id:xjino:20190825224402j:plain
 もう1発。まあお高いのに。…… いえ,もっと撃ちまくっていいんですよ。


f:id:xjino:20190825224427j:plain
 ぼこぼこ着弾。


f:id:xjino:20190825224523j:plain
 装甲車が駆け回り

 

f:id:xjino:20190825224851j:plain
 水陸両用車も駆け回り


f:id:xjino:20190825224919j:plain
 建機リースの散水車も駆け回り


f:id:xjino:20190825224946j:plain
 困ったのは雲高の低さ。F2支援戦闘機からの爆撃です,とアナウンスは入るのですが飛行機は雲の上。精密誘導弾がいきなり着弾します。


f:id:xjino:20190825225047j:plain
 なんとドローンも自衛隊の装備。専任のチームが敵情視察。まさか自衛隊入ってドローンの操縦を担当するとは思わなかったろうなあ。


f:id:xjino:20190825225119j:plain
 で敵上陸部隊を排除して無事演習は終わりです。シート席の皆さんはすぐお帰りの人も多いのですが


f:id:xjino:20190825225137j:plain
 かなりの人がこのあとの装備品展示を待ってます。


f:id:xjino:20190825225157j:plain
 戦車砲3兄弟。


f:id:xjino:20190825225214j:plain
 90式戦車。


f:id:xjino:20190825225234j:plain
 なんとこれも陸自の装備品。危険物除去担当らしい。


f:id:xjino:20190825225252j:plain
 装備品展示は1時間。もう帰りましょう。水戸は遠い。


f:id:xjino:20190825225314j:plain
 新兵,いや新隊員さんたちはみな見に来させられるのかな。いっぱいおられました。


f:id:xjino:20190825225333j:plain
 戦い済んで。


f:id:xjino:20190825225352j:plain
 少し雲高が上がって愛鷹山は見えましたが,富士山は結局朝方のみ。いい1日でしたから文句はありません。

 


 ただひたすら人のお世話になったイベントでした。真面目に生きてると,たまにはいいことあるものです。神さまありがとう。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

花園のブナ林で冬虫夏草サナギタケを見る

 

   f:id:xjino:20190821233329j:plain

 

 1年ぶりに北茨城・花園のブナ林を訪ねました。いえ神社まで行ったことは何回かブログ記事にしましたが,ブナ林はそのまた奥の奥。重なる森のかなたです。


 以前の記事でも触れましたが,ここのブナ林ではかつて多様な冬虫夏草を観察しました。その頃はこの奥山まで少なくとも月イチで通ったもので,まあ夢中だったんでしょうね。近年はすっかり足も遠のき,たまに来る程度では発生時期が微妙な冬虫夏草には出会えません。甘い者に自然は手厳しい。今日も期待はしないでおきましょう。

 

  f:id:xjino:20190821233413j:plain
 前日まで猛暑。この日から東風が吹いて森は霧に包まれています。この森の主,巨ブナも霧をまとって。


f:id:xjino:20190821233445j:plain
 林床はしっとりと露に濡れてますが,沢に水がないのはここまでの乾燥した暑さのせい。


f:id:xjino:20190821233508j:plain
 霧を吸った菌類(キノコ)がそちこちに顔を覗かせます。これは巨ブナのウロにあった幼菌。水滴をまとった育ちかけの姿が美しい。


f:id:xjino:20190821233552j:plain
 倒木の材を赤く分解する「赤グサレ」の菌。種類はよくわかりませんが,きゃいきゃいとはしゃいでいるように見えます。森の木材を分解できる生物はキノコだけ。その結果木の構成物は土に還り,また次の生命の材料になります。キノコがいなければ倒木はずっとそのままで,物質は永遠に循環しません。菌類は実は生態系の重要な一員です。

 

f:id:xjino:20190821233619j:plain
f:id:xjino:20190821233628j:plain
 よく森に落ちている材が青緑色になっているのを見かけます。ロクショウグサレキンという菌類の菌糸です。これも材木を土に返すキノコ。材の中で十分に成長すると,外に出てきて小さな小さな子実体(キノコ)を作って繁殖します。直径1ミリほど。こんなものが森を支えているんです。


f:id:xjino:20190821233656j:plain
 コフキサルノコシカケのまだ成長中の子実体。サルノコシカケ類の代表種で,生きている樹木に取り付いて内部を菌糸で埋め尽くし分解し尽くして殺してしまう,いわば病原体的なキノコです。桜の木に付いていたらその木は永くありません。

 

f:id:xjino:20190821233720j:plain
f:id:xjino:20190821233728j:plain
 タマツノホコリ。粘菌とか変形菌とか言われる一群の生物のうちでは変わり者,外れ者なのですが,茨城の森ではよく出会います。24時間前は巨大なアメーバ状の「変形体」で材の中や落ち葉の下を這いまわっていたはずです。菌と言いましたがキノコ類と類縁関係はなく,本当にアメーバに近いもの。森で暮らす巨大アメーバ。世界は驚きに満ちてます。


   f:id:xjino:20190821233757j:plain
 オニノヤガラ。これはキノコではなくラン科のれっきとした被子植物。ただしキノコは関わっていて,ナラタケという菌類の菌糸から養分をもらって成長する腐生植物,写真は実ができかけた姿。ちなみに掘ってみるとナラタケを取り込んだ大きなイモのような「塊根」があって,これを漢方では「天麻」と称し,めまいを止める薬草として使われます。


f:id:xjino:20190821233831j:plain
 トチバニンジンの実。この植物は姿かたちが朝鮮人参そっくりで,少しだけ薬効もあります。


   f:id:xjino:20190821233857j:plain
 ソバナ。この辺りではよく見かける,晩夏を告げる花。


f:id:xjino:20190821233930j:plain
 フシグロセンノウが咲き始めると,それが森の秋の始まりです。


f:id:xjino:20190821233948j:plain
 で,ありました,1本だけ。冬虫夏草サナギタケ。地上ではなく木の幹のコケの間から出ています。久しぶりに見ることができてほっとしました。ほじくってみると,イラガの類のまゆから出てました。このキノコは蛾の幼虫の成分を再構成して作られるのです。魔法か錬金術か。

f:id:xjino:20190821234401j:plain
 アルコールに漬けるといい色が出ます。

 


f:id:xjino:20190821234429j:plain
 最近目立つのがこういうの。林床の材が崩されてます。実はこれ,クワガタ採りの人たちのしわざ。材を崩して,中のクワガタの幼虫を採集しようとしているのです。近年水戸市内の森林公園がひどく荒らされるのですが,とうとうこんな場所にまで出没するか。以前は人影少ない場所だったのに,今日のここには他県ナンバーの車が3台もあっていやな予感はしていました。いえ,私もかつては虫屋(昆虫愛好家)の端くれでしたし,虫捕りじたいは悪くない。悪いのは,クワガタ採りの多くが転売目的であること。お金が絡んだ瞬間から,自然愛好家は簒奪者さんだつしゃへと変貌します。それこそ根こそぎ採りつくそうとするし,荒らした跡の原状復帰もせずに次の場所へと去っていく。

 


 いいでしょう,それも人それぞれかもしれません。私は自分の人生の中で,自分なりの自然観を確立するために歩き続けます。これまでも,これからも。

 

 

↓ 関連リンクです

冬虫夏草探索記 茨城で不思議なものを探し歩いた日々の記録 - ジノ。

冬虫夏草いろいろ - ジノ。

花園ガサ入れ,じゃなくて自然観察 - ジノ。

闇に浮かぶは森閑の社 花園神社ライトアップ2018 - ジノ。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村