ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ひたち海浜公園・大砂丘

 

 以前書いたもの(ひたち海浜公園 かつての水戸射爆場で自然観察 - ジノ。)を,記事の最後にもリンク貼っておきました。併せて読んでいただけると幸いです。

 

 

    f:id:xjino:20190915121144j:plain


 8月末,いつもの生物屋さんたちとひたち海浜公園の「大砂丘」を歩いてきました。


 前出の記事にある通り,この一帯は米軍の射撃・爆撃の標的場でした。そのため大量の弾丸・弾片,ときに不発弾が埋まっていて,港や公園を造る際には自衛隊爆発物処理部隊が大仕事。処理が済んだ場所から開発されていきます。そして最後に残ったのが海岸沿い南側のあたり。広大な砂地は,他所では開発の結果絶滅した貴重な海浜生物が残っていたこともあって,長らく立ち入り禁止でした。それがとうとう公開されて立ち入れるようになったのがこの7月。ぜひとも若い人たちに見せたかった。


 とはいえ案内役の時は自分の写真が撮れません。2週間後に一人でまた行って写真を撮り直しました。今回の記事,写真は2回目のものも使っています,ご了承を。


f:id:xjino:20190915121322j:plain
 ひたち海浜公園の「海浜口」から入って,「海浜口・風のゲート」から入場します。まあ,表側の「翼のゲート」しかご存じない方が見たらえええとかつぶやきそうなゲートです。


f:id:xjino:20190915121338j:plain
 今日のフィールドを一望。…… なにか違和感。砂丘のはずなのに,緑が濃い。

 

f:id:xjino:20190915121433j:plain
 砂丘を行く道がこんな。

 

f:id:xjino:20190915121401j:plain
 一面に何か生えてます。葉が細いのでオカヒジキかな?とも思いましたが様子が違う。

 

f:id:xjino:20190915121504j:plain
 花が付いてます。


f:id:xjino:20190915121520j:plain
 それなりに可愛らしい花。でも絶対にオカヒジキじゃない。


 調べてみると,これがオオフタバムグラという帰化植物。今,全国の海岸や荒れ地で爆発的に増えているのだとか。


 見回すと,オオフタバムグラ以外にもコマツヨイグサなどの帰化植物がかなりの被度で広がってます。この「大砂丘」,今まで立ち入り禁止にして溜めに溜めて,こんな状態になったのを見せようってか。ううむ。


 気をとり直してまずは植物観察。


f:id:xjino:20190915121554j:plain
 カワラサイコバラ科。「柴胡」は中国の薬草名でミシマサイコというセリ科の植物。草姿は似ても似つかないのですが根が似ているんだって。


f:id:xjino:20190915121614j:plain
 カワラヨモギ。ちょうど花期でした。

 

  f:id:xjino:20190915121632j:plain
f:id:xjino:20190915121640j:plain
 コマツナギ…… だと思うのだけど,海岸だし花期は終わりだし,らしくない姿のものも。

 

f:id:xjino:20190915121729j:plain
 スカシユリ……? 花はともかく葉はあるはずの季節ですが,何もなし。おいおい。


f:id:xjino:20190915121752j:plain
 ピラカンサ,というよりタチバナモドキ。…… むかし,まだここが「水戸射爆場跡地」だった頃,さらに過去に飛行場だった場所を歩いていたらコンクリートの隙間にびっしりとこれが生えていて赤くなった実が付いてました。その生き残りかな,と見ると感慨も深いものがあります。ああ,あれはもう三十年も前のことだ。

 

f:id:xjino:20190915121824j:plain
f:id:xjino:20190915121831j:plain
 ナミキソウ。シソ科タツナミソウ属の海浜植物。もう花期は終わりのはずですが,一か所で咲き残ってました。


f:id:xjino:20190915121853j:plain
 ネコノシタ。名の由来は葉を触ってみればわかります。茨城が北限です。


f:id:xjino:20190915121910j:plain
 ハイネズ。地を這う針葉樹。果実は2年がかりで黒く熟します。

 

    f:id:xjino:20190915121927j:plain
 ハナハタザオ。初夏に咲く一年草でもう枯れてます。この果実が「ハタザオ」の名の由来。絶滅危惧ⅠA類「かなりヤバい」レベル。希少すぎて図鑑にも載ってません。確実に見られる場所は国内でもわずか。ここひたち海浜公園なら6~7月に来れば清楚な紫花が見られます。

 

f:id:xjino:20190915122015j:plain
  f:id:xjino:20190915122022j:plain
 ハマゴウ。海岸の砂地を這う木で,クソ暑い夏の真っ盛りから砂上でこの花を咲かせます。熱気も日差しもまるで感じていないようなので付いたあだ名が「馬鹿の花」。これは夏の季語だって。


f:id:xjino:20190915122100j:plain
 ビロードテンツキ。茨城が北限。


f:id:xjino:20190915122115j:plain
 センニンソウ。夏の終わりに観察会を開くと,とにかく咲いている花が少ない。そんな中ではこの白一色の清楚な花がひときわ美しく見えます。


 今回の観察会の参加者も,いつも通り若い男性が多く来てくれてます。同じような活動をしている他の専門の同年代からはうらやましがられます。なんでオマエんとこは若いやつが居つくんだ,と。なんででしょうね。とにかく気を使ってはいます。その男の子たちが植物ばかりでは退屈そうです。大丈夫,ここから面白くしてやるぜ。


 そうここは貴重な海浜昆虫の宝庫なのだ。


f:id:xjino:20190915122157j:plain
 カワラハンミョウ。大型のハンミョウで,盛んに配偶行動をしていました。


f:id:xjino:20190915122213j:plain
 ハマス。希少な海岸性のコオロギ。あ,撮影のため捕まえましたが,ちゃんと逃がしましたよ。

 

f:id:xjino:20190915122234j:plain
f:id:xjino:20190915122243j:plain
 ヤマトマダラバッタ。とてつもなく敏捷で,若いヤツに捕虫網を渡して追いかけさせるのですがさっぱり捕まりません。やっと動きの鈍いのを捕らえたら翅のない幼虫でした。


f:id:xjino:20190915122308j:plain
 こんな砂礫地に,なぜかアジアイトトンボがいっぱい。


f:id:xjino:20190915122325j:plain
 クロアナバチの巣穴。ここには同じく砂地に穴を掘るニッポンハナダカバチというこれまた希少なのがいるはずですが,今回は目に入りませんでした。


 男の子たち,と言いましたがそれぞれ職場では立派に働いている人たちです。それがまるで少年のようにきゃいきゃいと虫を追いかけている図は,なかなかに興趣が深い。っていうか男って馬鹿ですねえ。いつも言うけど。

 

f:id:xjino:20190915122343j:plain
 タヌキの足跡。


 最後に解散した時,昆虫少年の顔になった参加者の一人から今日は楽しかったです,と声を掛けられました。あ,良かった。どうかあなたも,今の私の歳になった時に若い人に同じことをしてあげてくださいね。


   f:id:xjino:20190915122549j:plain
 私はこの世に何を残せるのだろう,なんて思ってみたり。

 

 

↓ 関連リンクです 

ひたち海浜公園 かつての水戸射爆場で自然観察 - ジノ。

ひたち海浜公園観察会 - ジノ。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村