お住まいのあたり,残暑はいかがでしょう。水戸は急に涼しくなって,朝夕は寒いほどです。気候も良くなったこととて,夏のもろもろのご報告,これから少しずつ記事にしていきます。
今夏も高校の地学の先生方の巡検に混ぜていただきました。テーマは「恐竜王国を見に行こう」。燃えるぜ。
水戸を出て8時間。高速道路を乗り継いで,ようやく着きました福井県勝山市。私には恐竜=福井というイメージはなかったのですが,同僚(文系)に恐竜を見に行くと言ったら勝山か,と当てられました。そうかメジャーだったんだ。
高速道路を降りてしばし,左に銀色の巨大な卵が。これがいま福井県で一番有名かもしれない観光スポット,福井県立恐竜博物館です。巡検初日の今日は移動で手一杯なのですが,まずこれは見ておかねば。
博物館を遠望してたら,いきなり窓を横切るティラノサウルス。このあたり,至る所に恐竜が現れます。恐竜に賭ける地元の意気込みが伝わってくるなあ。
でかい。「地面に埋まった恐竜の卵」がモチーフと聞きました。
館内を案内してくれる博物館の職員は,なんと我々の地元茨城大学出身の若いハカセ。古生物が好きで,そのままここに就職したんですねえ。天が示した運命なのでしょう。ちょっとうらやましい。で,ハカセが言うにはこの博物館,来場者年間20万人くらいを想定していたら90万人も来るようになり,慌てて「順路」とかを整備したと。確かに駐車場も館内も大賑わいです。キョウリュウジャーのおかげ,ではなく「恐竜」をテーマにしたことが大成功なのでしょう。恐竜嫌いな人なんていないもんね。
まず解説してくれたのが福井の恐竜コーナー。勝山市内のただ一カ所の発掘で何と5種類もの恐竜が発見されています。
最初に見つかったのがイグアノドンの仲間,フクイサウルス。そう言えばイギリスで世界初の「恐竜」という概念が出されたのがイグアノドンの化石の研究からでしたね。意味深い符合です。
コシサウルス。同じくイグアノドン類。幼体の骨の,さらにごく一部しか見つかってないのですがよくここまで復元できるなあ。
フクイラプトル。おおラプトル,「ジュラシックパーク」を思い出します。こちらにはあの恐ろしい足のカギづめはないようです。日本で見つかった初めての肉食恐竜だそうで。
フクイベナートル。長い前足に羽が生えた,なんというか,いまどきの恐竜図鑑によく出てくるやつ。
フクイティタン。… ティタン(巨人)! そうです竜脚類,われわれの世代には「ブロントザウルス」という懐かしい響きでよみがえる巨大恐竜の仲間。日本で見つかっていたんだ。感動。
この恐竜たちを含んでいたのが有名な中生代の地層「手取層」。陸成層,つまり大陸の内陸部で堆積した地層です。このあたりはかつてローラシア大陸の一部でした。
実は茨城近辺にも中生代の地層が。そう言えば「鉄腕DASH」で首長竜を発掘したのがいわき市でしたね。懐かしいなあ。
発掘場所の再現展示ですが,このお二人はちゃんと実在する人がモデルとやら。
客引きのお仕事に精を出すロボットティラノ。
ちゃんと役に立ってます。
トリケラトプスも。
やめろ父ちゃん,子どもは泣いてるぞ。どうして父親ってこういうことするんだろう。
午後の日も傾く時分ですが,館内はまだ賑わってます。展示品が多くて見切れません。よくここまで作り,集めたものです。
恐竜以外の展示も見ごたえあります。人類の進化。
ウミユリ。
ストロマトライト。
中生代のイチョウ。大繁栄していました。中国大陸の奥地に生き延びた1種類を除いて,すべて絶滅しました。奢れるものも久しからず。
古代の森。裸子植物の針葉樹ばかりです。今あるような被子植物が出現するのは中生代最後の白亜紀になってから。
宝石,鉱石の展示も充実してました。
エントランスから展示室に一直線に伸びるエスカレーター。地下に降りていく,という演出が心憎い。本当にていねいに,よく考えて作られた博物館です。
名残惜しいのですが集合時間なので外に出て,ふと見ると丘の上には。
丘の上から博物館の外観。ほぼSFの光景。
周囲は針葉樹の森。まさに中生代の風景です。恐竜もこんな森を網膜に映していたのでしょう。
北陸に行く機会があったらぜひお寄りください恐竜博物館。特に子供さん連れの方。でも泣かせちゃダメですよ。
↓ 昨年の巡検