ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

南極から帰った人に高温石英のジオラマを送って困らせる

 

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 知り合いの若い高校の先生で,南極に行って無事生還した人がいます。いや探検とか冒険ではなく,極地研の教員派遣プログラムに参加して,南極から授業をしてきたんです。なんと羨ましい。


 昨年11月末に飛行機で日本を発って,オーストラリアで「しらせ」に乗船して昭和基地へ。昭和基地での滞在は1か月。授業中継とかやって,帰ってきたのが3月末のコロナ騒ぎの真っ最中。そのまま2週間の自宅待機だったそうです。一歩タイミングを間違えたらオーストラリアで足止めになるところだったとか。


 まあそういう話はさておいて,コロナ禍で直接お会いできないままでした。先日,彼女と勤め先が同じ方との会合があったので,生還記念の品を託そうと考えました。

 


        題して 南極のわたしジオラマセット

 

 

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      作例1 ド〇えもんの顔を持つわたし

 

 

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      作例2 アザラシっぽいのを持つわたし

 

 

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          作例3 遭難したわたし


 鉄道模型ジオラマ用お人形セットで「牧場の人々」というのが防寒服っぽかったので採用。そこに例の高温石英の銀砂を散らして氷原に見立てます。本当は雪上車が欲しかったんだけどこのサイズの模型はなく(そりゃそうだ),白い配達車を配置しました。

 

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    高温石英が透明すぎて氷原に見えないのはご愛敬。


 あ,もちろんこれで女性へのプレゼントになるとは思ってませんよ,シャレですよ。ゴディバのスイーツに添えて渡してもらいました。


 翌日にお礼の電話を頂きましたが,やっぱり本心は戸惑ったろうなあ。何じゃこれはって。いいのよ,私が楽しければ

 


 ずっとこのプログラムで南極に行きたかったんだそうです。応募すること3回,数百人のライバルを押さえて見事選出されました。勉強し,アピールし,駆け回り,ついに手にした夢の切符。こういう,若い人が目標をもって努力し挑戦する様は本当に眩しく思えます。


 挑み続けること,夢をかなえること。ありきたりな文言ですが,それを実現したひとがあなたの周囲にどれだけいますか。空虚な掛け声の人間ばかりでしょう。私は,この彼女の快挙が,彼女の生徒たち,同僚たち,周囲のすべての人たちの胸にどれだけ多くの希望の種子を蒔いたかを考えます。夢は実現できるのだと身をもって示した偉大さをどうやら彼女は自覚していないようなのですが,いつか自分の行動が多くの果実を実らせたことに気づくでしょう。

 


 南極,観光ツアーでいいから私も行ってみたいな。 …… これも掛け声だけになりそうですが。

 

 

 

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いい年こいてクワガタ探しに精を出す

 

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 いつぞやミヤマクワガタをポンと採ってきて以来,すっかりあてにされてます。今年クワガタどうです? 採れましたか? また持ってきませんか?


 どうやら息子さんのためというより,ご本人が虫好きの若い同僚からさりげない催促が。慶応出てる情報処理の専門家でも,クワガタが好きなんですねえ。


 よし分かった,わしもプロじゃ。まかしとき。


 そう言ったはいいのですが,梅雨が先週開けたばかりのせいでしょうか,クワガタがいない。水戸周辺で人の来ない秘密ポイントを含めて心当たりを巡ってみるのですが,

 

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 行く先々に待つのはカブトムシばかり。

 

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 カブトムシ,ムナビロオオキスイそしてカナブン。でもクワガタがいない。

 

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 前回の記事の通り,実はそれほど昆虫採集に情熱はありません。でも最近は生物のフィールド屋が少なくなって,相対的に私のような者にまでお鉢が回ってきたり。そこでこんな雑木林を足で探して樹液の出てる木を探します。

 

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 ことし,どこででも目にするのがアカボシゴマダラ。水戸の森から北茨城・花園の山中,先日はうちの庭を舞っていました。爆発的と言っていい増え方で,ひょっとして外来種なので天敵がいないのだろうか。

 

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 ザコの代名詞カナブンも,アオカナブンとなると少し扱いが変わります。もっともただのカナブンでもアオいのがいるので要注意,これはどっちだろう。

 

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 昆虫採集でよく出会うのがでっかいコメツキムシ,オオクシヒゲコメツキ。これで隠れてるつもりらしい。

 

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 ようやくクワガタを見つけても,コクワガタかこれ,スジクワガタ。いくら何でもほうらクワガタだよーと言ってコクワを渡したのではかっこが付かない。せめてノコギリ,できればミヤマ!


 これも前の記事で紹介した「師匠」に今年はクワガタいませんねーと言ったら「ええーっいつも通りだよー,ノコギリもミヤマも普通にいるよー」とのお言葉が。師匠の住まう県北部ではそうなのかと行ってみますが

 

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 木のウロの中が掘り出されてます。クワガタ採りの人たちのしわざ。昆虫愛好家でもフィールドワーカーでもなく,「茨城のクワガタ」銘で転売目的の人たち。師匠の言うには「あいつらバカだよー,メスを採って採卵して育てりゃ楽なのにさー」。いえいえ師匠,そういう手間ができる人ならちゃんと働いてますって。

 

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 樹液を出させるために激しく傷つけられたクヌギ。こういう荒らし方をする人が増えた気がする。

 

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 この木の傷はまだ真新しい。樹液は出なかったようです。

 

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 足早に逃げるアカアシクワガタ。これも素人にはコクワに見えるので見逃されたのでしょう。この場所も本当に荒らされまくりでした。

 

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 で,早朝5時に水戸市内の秘密ポイントで,ようやくノコギリクワガタをゲットです。これ一匹のためにとんでもない労力をかけてしまった。

 

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 カブトムシはどの場所でも見かけました。里山環境のバロメーターとしてはクワガタよりもハードルが低い。みんなクワガタじゃなく,カブトで満足しようよー。


 …… わかってます。クワガタはクワガタ,カブトで代用できるものではない。男の子の夢のポケットは,繊細で多様なのです。いいです,女性に理解してもらえなくても。

 

 

 ↓ 以前のクワガタ記事です

ミヤマクワガタと少年の日 - ジノ。

  

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師匠とムモンアカシジミ

 

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 性懲りもなくまた花園へ行ったのですが,暑かった。本当に今日は暑かった。


 標高600メートルは低山のうち。下界とそう気温が違わないのに油断してバッグに水を用意しませんでした。山中を歩くうちに脱水症状になって,大したものも見ぬうちに撤退の憂き目に。


 唯一見たのは

 

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 木漏れ日がそこだけ当たる地面に赤いものが

 

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 導かれるように寄ってみると細長いキノコ状のもの。これ知ってます。

 

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 冬虫夏草カメムシタケ。しかもこれは胞子を作らない「不稔型」です。ただカメムシを殺すだけで子孫を残さない。不思議なことに,カメムシタケにはこういうものがままあります。何のために。 …… すいません,暗い森の底で片手で撮ったのでブレ写真です。


 で,その10センチ横のカエデの幹に

 

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 うわああ,お前いつからそこにいた。

 

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 ミヤマクワガタの雌がじっと見てました。まったく気づきませんでした。なんだか恥ずかしい。どう恥ずかしいかというと,立ちションをずっと見られてたくらい恥ずかしい。ちなみに私は雌を採集しません。次世代の個体群を維持させてやりたいから。元気でね。


 この後意識が遠のいて,ヒイヒイ言いながら車に戻って水を飲み事なきを得ましたが,また森に戻る気にはなれず帰ることに。


 その帰路にいたのです,師匠が。


 林道の傍らに止められた車に,もじゃもじゃの髪と丸い顔,がっしりした体。子連れのツキノワグマに雄グマと見間違えられたという姿。それが巨大な捕虫網や昆虫トラップ装備を持っています。久しくお会いしてなかったけど,私の昆虫採集の師匠その人に間違いありません。このあたりをフィールドにしておられるので居ても不思議ではないのですが,変わりない姿にうれしくなってしまいました。


 気まぐれで方向性がないのをゼネラリストと称して胡麻化している私と違い,師匠は昆虫採集のスペシャリストです。昆虫採集に関しての知識,技術,情熱,行動力,何より昆虫愛! どれ一つ私は勝てません。エクアドルだろうがジョージアだろうが,師匠は目的を定めると地球の裏にだって飛んでいきます。何より偉いのは,秘密主義者の多いそこらの昆虫マニアと違って,私に貴重な採集地や生態の秘密を惜しげもなく教えてくれること。私より五つ六つ年上だったと記憶しますが,この人がなければ見られなかった,知りえなかったことがたくさんあります。ひそかに勝手に師匠と呼んでます。定年で退かれて以来お会いする機会がめっきり少なくなってました。


 最近どうしてる?なんて世間話の合間にも,飛び来る蝶を見逃しません。あれは〇〇,それは✕✕と,本当に動体視力がいい。しばし夏の蝶を優しく見送っていた師匠ですが,突然目の色が変わりました。


 あれ,ムモンだ!


 そう叫ぶと伝家の宝刀・巨大捕虫網を構えて駆け出します。


 え?え? ムモンて,ムモンアカシジミ? こんなとこに?


 そう,この下にクヌギがあるから,いるんだ。


 説明します。ムモンアカシジミというのはゼフィルスという一群の貴重なシジミチョウの中でも特に希少なもの。幼虫がアリに育てられるという特異な生態を持ち,ものすごく分布が限られる蝶で,私は確実に見たことがない。このあたりにいることは知っていましたが,自分ごときが見つけられるものだとは夢にも思ってません。それを,師匠の目が捕らえた。


 どこかに止まったようで,見失いました。ミズナラやシデが茂る林,私にそれ以外は何も見えません。ところが師匠には見えてます。


 これじゃないよなあ。


 そう言ってさっと網を振ります。その中にはオレンジ色の普通種,ウラナミアカシジミが。どこにいたんだ! 本当に私には見えてませんでした。


 それでしたか。


 いや違う,ムモンはもっと色が濃いんだ。


 素人が見ればどちらもオレンジ色のシジミチョウ,標本を並べてみたって区別はつかない。しかし師匠は10メートル先から識別したというのです。なおも藪の中を走査する師匠。


 ほら,いた。


 そうつぶやく先の下草に,本当に濃色の翅を閉じた2センチほどの蝶が止まってました。その斑紋,まごうことなきムモンアカシジミです。ああ,初めて見た。


 逃げる前に採っちゃってください,貴重なものだし。


 いや,写真撮るくらい待ってるよ。

 

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 こういうところが師匠なんです。すぐ車に戻ってカメラを取ってくると,震える手でシャッターを押しました。まさか自分がムモンアカの写真を撮る日が来ようとは。

 

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 その後しばらく昆虫談義をしてお別れしました。今日は実りある良いフィールド行になりました。師匠に感謝。

 

 

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 伐採地に無数のヒメジョオンが咲いていて,花の香りというか甘い蜜のにおいが一面に漂ってました。ヒメジョオンでも香るんだ。… 若い人たちの前では通ぶった口を利く私ですが,実は何の専門知識も情熱も持っていません。せめて師匠の半分でも,学ぶ心を持つことができたらと思うのですが。

 

 

 

 

↓ 関連記事です

梅雨明けて花園の森に蝶が舞い - ジノ。

ゼフィルスの卵 - ジノ。

 

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造化の妙,スミナガシの蛹

 

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 先日の花園行でご紹介したスミナガシの幼虫ですが,実は連れ帰ってました。どうしてもあの蛹が見たくて。

 

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 これは成虫。独特の渋い柄ですが,これに宮中の優雅な遊び「墨流し」の名を与えた先人のセンスに瞠目させられます。

 

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 幼虫。リアル赤き死の仮面。この恐ろし気なツノをぶんぶん振って威嚇します。

 

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 奇妙で,それでいて美しい。自然の造形にはかなわないことを痛感させられます。

 

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 2頭連れてきて,食草のアワブキを与えたのですが

 

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 翌日には前蛹,つまり蛹の前駆状態になってしまいました。もっと鑑賞したかったのに。

 

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 そして翌日。… 刮目せよ,これが蛹だ。

 

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 角度を変えて見ても擬態は崩れません。

 


 なんでしょうこの形。いやわかりますよ,枯れ葉への擬態です。枯れ残り朽ちかけた葉そのもの。驚くのはどうしてここまでの「似せる」進化が可能だったのかということ。葉脈や虫食い穴まで再現しているんです。越冬態もこの蛹なんですが,完璧な擬態はヒトの目も欺きます。以前,秋の終わりに終齢幼虫が何頭もいるのを確認したアワブキの木とその周囲を,冬になってから徹底的に探し回ったのですが見つけられなかった。

 

 

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 自然って,やっぱりすごい。私はあんぐりと口を開けた間抜け面のまま,そう再認識するのです。

 

 

 

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梅雨明けて花園の森に蝶が舞い

 

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 快晴。虫を見たくて,北茨城・花園まで行ってきました。

 

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 林道を歩いていると伐採地の間に湿原が。

 

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 大きな黄色い花,トモエソウです。見事なおしべはオトギリソウ科の特徴。

 

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 トモエの名はこの花びらの配置から。わかります?

 

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 オトギリソウもありました。我が家のは花期が終わりかけてますが標高の高いここでは今が盛りです。

 

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 チダケサシ。アスチルベの名で売られてるのがほぼ同種。

 

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 湿地植物のお馴染みさん,ヒメシロネ。尾瀬にもありました。

 

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 これも湿原によくあります,ノリウツギ。虫を呼ぶ花。

 

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 ミドリヒョウモン。

 

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 手前がヨツスジハナカミキリ,奥はアリに見えますがハネカクシという甲虫です。

 

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 花と虫の饗宴。長い梅雨を耐え抜いた虫たちが祝祭の日を迎えています。

 

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 森の中に入ると

 

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 ブナだ。ここは温帯樹林の奥深く,生命の気が満ちる場所です。

 

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 たぶんミミガタテンナンショウ。実は秋に赤く熟します。

 

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 エンレイソウ

 

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 鳥の羽が落ちてました。鳥の種類は私には見当もつきません。でもキレイ。

 

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 枯れ木がぐずぐずになってました。これはほかの多くの生き物の住処になります。

 

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 一頭の細長いハチが私を警戒しつつもこの木から離れません。朽ち木の内部にいるカミキリムシの幼虫に卵を産み付けようとしているんです。それぞれの生き方。

 

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 こういう腐れた木は変形菌(粘菌)の格好の住処です。見上げたぐずぐずの幹に

 

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        完成したばかりの子実体と

 

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 変形体の痕跡。たぶん一昨日までは木の内部で巨大アメーバの変形体として細菌を食べて成長し続け,昨日雨が上がったことで繁殖の時節を知ったのでしょう。開いた穴から外に這い出して,昨夜から今朝にかけて小さなキノコ状の子実体に変化し,胞子となりました。空を飛んで,新たにアメーバとして生きる新天地を目指します。変幻自在のなんと自由な生命であることか。

 

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 赤いキノコっぽいのを撮ったら,すみっこに今まさに這い出てきた変形体が写ってました。梅雨が明けたことを知った菌たちが,一斉に行動を起こしています。変形菌ファンの皆さま,今日がチャンスでしたよ。

 

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 この変形菌はわかる。ムラサキホコリカビかその同類です。

 

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 こちらはまだ変形中で種類はわかりません。見えますか,左上にいるヤスデに食べられてます。食ったり食われたりは自然のことわり。

 

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 キセルガイに食われている菌もいました。

 

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               変なイモムシいた。

 

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 森を抜けたところでウバユリが咲いてました。

 

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 ウバの名は,花期に根生葉が枯れるから。葉がない,歯がないから「乳母」。よくこんなネーミング思いつくなあ。

 

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 ウバユリのこういう角度の写真ってあまりないと思う。

 

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 タマアジサイというと御岩神社を思い出します。また行かねば。

 

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 フシグロセンノウは森に秋を告げる花。もう咲いて…… と思ってよく考えたら,今は8月,暦の上の秋なかばでした。梅雨が一昨日までだったので感覚が狂ってしまいます。

 

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 カワミドリ。シソ科の美しい花です。

 

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 ミズタマソウ。あまり低地で見た記憶がないのですが,この通り地味な植物だし気づかなかっただけかも。

 

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 クサアジサイは,咲き初めよりも赤く色づいた若い実が目立つこれくらいが一番きれい。

 

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 野の仏。山深い土地ですが古くから人の生活があった場所です。

 

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 とっさによく撮れたなあ,ミヤマカラスアゲハ。

 

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 リアル「赤き死の仮面」,スミナガシの幼虫。

 

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 地味な成虫より面白い。蛹はもっと面白い。いずれお見せします。

 

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 シータテハ。 ”C ”模様がくっきり。ここらにはたくさんいます。

 

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 木の上からボトリとヒグラシが落ちてきました。何があった。

 

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 ムラサキシジミ

 

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 ミスジチョウ。ここにはオオミスジも分布しています。

 

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 アカタテハ

 

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 ヤマキマダラヒカゲ。

 

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 クモガタヒョウモン。オオハンゴンソウで吸蜜。

 

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 コムラサキ

 

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 ヒオドシチョウ。

 

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 ウラギンシジミ

 

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 ヤマトスジグロシロチョウの雌が産卵場所を探しています。ずっと「エゾスジグロシロチョウ」と呼ばれていたものが,北海道と本州で別種だということになって本州の種に「ヤマト」と付きました。なんか馴染めない名です。

 

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 ここは花園,道にミヤマクワガタが落ちていても別に驚きません。

 

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 噛まれた。

 

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 なんてところをアブにじっと見られてた。

 

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 どの川もまだ水量が多く,メノウ拾いにもパンニングにも行けません。しばらくは生物ネタが続きますのでよろしくお願いします。

 

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 結界を張るようなこれは,お墓の入り口に立てるご先祖様へのお迎えのしるし。このあたりのお盆の準備です。よく考えたら来週はお盆なんですね。梅雨が明けた翌週の盆。自然界は長梅雨のせいで気の巡り,水の流れがすっかり変わってしまいました。いつもと違う肌触りの夏です。

 

 

 

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梅雨明けの日,虫捕り公園で

 


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            梅雨が明けました。

 

 

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 ここは水戸郊外の「虫捕り公園」。行けばカブトムシくらいなら必ず採れると子連れの若いお父さんに人気の公園です。

 

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 ヤマユリが咲き

 

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 ギボウシが咲き

 

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 ママコナ。半寄生植物です。

 

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 たぶん植栽でしょうけど,茨城では珍しいコウホネ。河骨と書きます。

 

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        絶対に植栽,ブナ


 雑木があり,いろいろな植栽があり,水辺があり。多彩な環境があることが人にも虫にも好まれています。夕刻にはお散歩の人が集まってきて,駐車場がいっぱいになります。平和って素晴らしい。

 

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 桜の幹に紛れてニイニイゼミ。逃げません。明るいうちは神経質なセミのはずですが,一日鳴き続けて夏に倦み疲れたのでしょうか。

 

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 盛夏を前に消え去るか。

 

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 キマワリ。ザコ中のザコ,という扱いで子供にも見向きもされない雑木林のモブキャラクター。

 

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 視界を一瞬,青い光が横切りました。トカゲの子供。

 

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 木の幹にマイマイガ。幼虫は派手な色彩と目立つ行動でよく見かけるのですが,成虫は静かなものです。

 

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 ミノムシ。かなり立派なミノで,オオミノガでしょうか。最近減っていると聞きます。

 

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 ニイニイゼミの抜け殻の隣にそっとイシノミ。3億年以上前から姿の変わらない古い生き物です。

 

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 勢いを増す虫たちの間で小さくなっているのがニホンアカガエル。冗談抜きで,油断すれば虫を食う側から食われる側になる。脊椎動物だからと威張ってられないのが自然の厳しいところです。

 

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 クヌギの木のしわの間にウスバカミキリ。必死に隠れてますが,子供たちに見つかったらどんな扱いをされるのか興味があります。

 

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 クヌギのうろにトゲアリの巣がありました。重装歩兵さながらに。

 

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 ルリタテハジャノメチョウ

 

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 昨日まで気温が低く日照もなかったので,クヌギも樹液を出しているのがほとんどありません。唯一出てたのがこの露出した根の部分。カブトムシカナブンクロカナブンスズメバチ。夏のオールスターズと言っていいかな。このあと駄菓子屋で売ってるような捕虫網を持った若いお父さんに根こそぎにされてました。

 

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 ここは夜になっても樹液酒場の饗宴が続くのでしょうが,空が白むころまでぐずぐずしてるとこのようにカラスの餌食になります。一夜の夢が終わる時。

 

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 虫たちと遊んでいたら,日が傾いていました。シオカラトンボも今宵の寝場所に落ち着くようです。

 

 

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  このまま夏が来ないんじゃないかと心配しておりました。大丈夫,季節は回り続けてます。たぶん,私の気の持ちようだったのでしょう。あと何回の夏があるかわかりませんが,虫たちと過ごした日々,過ごす日々を大切にしていきたいと思うのです。それが私の原点だから。…… どんな夏になるのかなあ。

 

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 広い広い茨城の空が,静かに暮れていきました。

 

 

 

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虫たちの日々

 

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 今の職場は水戸の郊外,周囲は雑木林。窓を開けているとオオスズメバチが入ってきたりして大騒ぎになる緑豊かな環境です。春のころは周辺をのんびりと散歩する余裕もあって季節の移ろいを楽しんでいたのですが,最近はそれどころではなくなっていました。今週も大きなイベントを仕切ったりして疲れ気味。梅雨の間の曇天ですが,ふらふらーっとさまよい出てみます。


 雑木林の林縁に多いのがイヌザンショウエノキ。なぜか知らないけど虫に好かれまくる不思議な木です。

 

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 そのイヌザンショウの葉の上にハラナガツチバチ。大型だけど大人しい,毛並みの美しいハチで,よくこんな場所でぼーっとしています。せわしなさそうなハチの仲間にもこんなのんびりしたのがいることに安堵します。言葉が通じるならお友達になりたいくらい。

 

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 イヌザンショウは花期。以前にも記事にしましたがこの花が多くの虫に好かれるんです。確実に見たかったらイヌザンショウの隣で待て,という虫もあるくらい。

 

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 個人的には珍しい光景,オスのヤブ蚊っぽいのが吸蜜してました。蚊のオスは人を刺しません。ただ花の蜜を吸いながら穏やかに生きるばかり。なんだろう,こういう生き方に本当に憧れる。…… いやそんなに疲れているわけではありませんよ。ご心配なく。

 

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 イヌザンショウの葉が激しく食われているのは

 

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 こいつが犯人,アオドウガネ。成虫だからそんなに食う必要はないはずなのに,とんでもない食欲を発揮します。

 

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  エノキのほうにも食害昆虫,これはハムシ。アカクビナガハムシかも知れませんが,ハムシは種類が多いのでそれ以上はやめときます。

 

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 名も知らぬガ。エノキの葉を食べて成長し,羽化までたどり着きました。雨に閉ざされた梅雨でしたが,人知れず昆虫たちの営みは続いていたんですね。

 

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 エノキの葉はよく病気になっているのも見かけます。食材のエノキダケというともやし栽培されたアレを想像するでしょうが,野生ではエノキの材に冬に発生する焦げ茶色の大きなキノコです。エノキは微生物や菌類にまで好かれちゃうわけです。ちなみにこの写真はダニによる虫こぶ「エノキバイボフシ」。

 

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 エノキを食べるものではありませんがダイミョウセセリが葉上に。蝶屋からはザコ扱いされますけど,かつて飼育した縁で個人的には嫌いではありません。ちなみにこの辺りでは,エノキを食する有名どころのオオムラサキとかゴマダラチョウとかアカボシゴマダラとかヒオドシチョウとかテングチョウとかは見たことありません。列挙してその多さに自分で驚いてます。大木になるとタマムシが産卵に来たりして,本当に虫に好かれる木なんです。

 

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 その虫を狙ってオオカマキリの幼虫。といってももう立派なサイズです。

 

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 オニユリの花が地面にあって,捨てられたのかな,造花かなと思ったら本物でした。本当に生育していた。茎を支えていた周囲の草が刈られ,倒れ伏したようです。オニユリに野生はないので,どこかから逃げ出してきたのでしょう。

 

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 今まで気づきませんでした。

 

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 マダケには天狗巣病。

 

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 春に花を見たガマズミに青い実が膨らみかけてました。

 

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 植え込みのサンゴジュの実が色づき始めてます。西国の植物ですが火を防ぐというのでよく植えられます。もちろん赤い実大好きの私にはうれしい。

 

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 ミョウガのニセモノ,ヤブミョウガ。そういえばうちの庭にも突然現れました。もう花期なんだ。

 

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 サトキマダラヒカゲは今年初見。

 

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 よく見かける美しいクモ。調べたらワキグロサツマノミダマシという実に味気ない和名でした。センスがないのもはなはだしい。誰か,この容姿に似合った名を付けてあげてください。

 

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 ノイバラの葉が食害されているのは

 

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 こいつ。ハバチの幼虫。

 

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 アブラゼミの抜け殻。今年の初鳴きを聞き逃しました。もうニイニイゼミに混じって鳴いてます。ちなみにニイニイゼミは6月末日に鳴き始め,ヒグラシはおととい,今日はミンミンゼミが夏の聖歌隊に加わりました。夏の森の大伽藍に,命を懸けた大合唱が響きます。

 

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 雨と仕事に振り回される間に,ずいぶんと季節が動いてしまったなあ。特に虫たちが不穏な天候の下で着々と夏の準備を進めていたのに少し感動しました。明日はカメラを背負って野を歩いてみようかな,なんて考えてます。

 

 

 

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