今の職場は水戸の郊外,周囲は雑木林。窓を開けているとオオスズメバチが入ってきたりして大騒ぎになる緑豊かな環境です笑。春のころは周辺をのんびりと散歩する余裕もあって季節の移ろいを楽しんでいたのですが,最近はそれどころではなくなっていました。今週も大きなイベントを仕切ったりして疲れ気味。梅雨の間の曇天ですが,ふらふらーっとさまよい出てみます。
雑木林の林縁に多いのがイヌザンショウとエノキ。なぜか知らないけど虫に好かれまくる不思議な木です。
そのイヌザンショウの葉の上にハラナガツチバチ。大型だけど大人しい,毛並みの美しいハチで,よくこんな場所でぼーっとしています。せわしなさそうなハチの仲間にもこんなのんびりしたのがいることに安堵します。言葉が通じるならお友達になりたいくらい。
イヌザンショウは花期。以前にも記事にしましたがこの花が多くの虫に好かれるんです。確実に見たかったらイヌザンショウの隣で待て,という虫もあるくらい。
個人的には珍しい光景,オスのヤブ蚊っぽいのが吸蜜してました。蚊のオスは人を刺しません。ただ花の蜜を吸いながら穏やかに生きるばかり。なんだろう,こういう生き方に本当に憧れる。…… いやそんなに疲れているわけではありませんよ。ご心配なく。
イヌザンショウの葉が激しく食われているのは
こいつが犯人,アオドウガネ。成虫だからそんなに食う必要はないはずなのに,とんでもない食欲を発揮します。
エノキのほうにも食害昆虫,これはハムシ。アカクビナガハムシかも知れませんが,ハムシは種類が多いのでそれ以上はやめときます。
名も知らぬガ。エノキの葉を食べて成長し,羽化までたどり着きました。雨に閉ざされた梅雨でしたが,人知れず昆虫たちの営みは続いていたんですね。
エノキの葉はよく病気になっているのも見かけます。食材のエノキダケというともやし栽培されたアレを想像するでしょうが,野生ではエノキの材に冬に発生する焦げ茶色の大きなキノコです。エノキは微生物や菌類にまで好かれちゃうわけです。ちなみにこの写真はダニによる虫こぶ「エノキバイボフシ」。
エノキを食べるものではありませんがダイミョウセセリが葉上に。蝶屋からはザコ扱いされますけど,かつて飼育した縁で個人的には嫌いではありません。ちなみにこの辺りでは,エノキを食する有名どころのオオムラサキとかゴマダラチョウとかアカボシゴマダラとかヒオドシチョウとかテングチョウとかは見たことありません。列挙してその多さに自分で驚いてます。大木になるとタマムシが産卵に来たりして,本当に虫に好かれる木なんです。
その虫を狙ってオオカマキリの幼虫。といってももう立派なサイズです。
オニユリの花が地面にあって,捨てられたのかな,造花かなと思ったら本物でした。本当に生育していた。茎を支えていた周囲の草が刈られ,倒れ伏したようです。オニユリに野生はないので,どこかから逃げ出してきたのでしょう。
今まで気づきませんでした。
マダケには天狗巣病。
春に花を見たガマズミに青い実が膨らみかけてました。
植え込みのサンゴジュの実が色づき始めてます。西国の植物ですが火を防ぐというのでよく植えられます。もちろん赤い実大好きの私にはうれしい。
ミョウガのニセモノ,ヤブミョウガ。そういえばうちの庭にも突然現れました。もう花期なんだ。
サトキマダラヒカゲは今年初見。
よく見かける美しいクモ。調べたらワキグロサツマノミダマシという実に味気ない和名でした。センスがないのもはなはだしい。誰か,この容姿に似合った名を付けてあげてください。
ノイバラの葉が食害されているのは
こいつ。ハバチの幼虫。
アブラゼミの抜け殻。今年の初鳴きを聞き逃しました。もうニイニイゼミに混じって鳴いてます。ちなみにニイニイゼミは6月末日に鳴き始め,ヒグラシはおととい,今日はミンミンゼミが夏の聖歌隊に加わりました。夏の森の大伽藍に,命を懸けた大合唱が響きます。
雨と仕事に振り回される間に,ずいぶんと季節が動いてしまったなあ。特に虫たちが不穏な天候の下で着々と夏の準備を進めていたのに少し感動しました。明日はカメラを背負って野を歩いてみようかな,なんて考えてます。