ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

聖なる森とヤンマタケ

 

 ヤンマタケを求めて森を巡る冒険を続けています。でも本当に探しているものは何だろう。

 


 1月末の空振りに終わった沢歩き。ぽかりと空間が開け、肌にしっとりと来る、妙に「気」の良い一角に出ました。

 


 ここはコケの緑が特に鮮やかで、しばし撮影に夢中になりました。

 


 去り際、振り向いたらこれがあった。結界だったのかも知れません。

 


 古代ローマの政治家・哲学者キケロは、大木の茂った森の中へ入ると人は神の存在を知る、と言ったそうです。また聞きです、キケロなんか読んだことありません。ただ妙に日本人の自然観に符合すると思いませんか。聖なる森、という概念です。そこに立つだけで神霊の気と交歓できる森、奇跡が現れる聖なる場所です。沖縄の「御嶽」がそうでしょう。私が記事にする御岩神社やツクツク森もそう。いずれも原生の自然が保たれた、多様な生態系が残された森です。そこは冬虫夏草のみならず、あらゆる生命の息づく土地であるはず。たぶん私は、そんな奇跡の場所を探しているんです。

 

 


 さて本日。例によって地図で当たりを付けた沢にやって参りました。今日こそはヤンマタケを見てやるぞ。毎回言ってるけど。

 


 いい空気感の沢です。でも周囲はスギの人工林、残念ながら多様性に乏しく、我が聖なる森ではないようです。でもとにかく探してみよう。

 


 ヤンマタケのような空中の器物に着生(気生)する冬虫夏草の存在条件は湿度が高いこと。このコケの生え具合を見る限り、場所選びは間違ってません。

 


 コケたちが胞子を飛ばす季節が始まってます。歓喜の声が聞こえるような。

 


 常緑の葉にカビゴケ。これも高湿度の証拠。

 


 もひとつ、このカヤランのような着生ランも目安になります。たくさん落ちてました。

 


 冬緑性のオオハナワラビの「花」がすっかりスガれて。冬のものたちの退場です。

 


 同類のアカハナワラビ。県のレッドデータで「情報不足」の分類です。

 

   
 なんて感じで歩き、時にやぶを這いまわったりしますがやっぱりヤンマタケは見つかりません。今日も駄目かなあなんて、もうすっかり負けグセが付いてしまいました。思えば昨秋あたりからヤンマタケを意識していくつのフィールドを巡ったことか。…… 探し始めて2時間、ああ腹減ったなんて気が萎え始めたころ

 


                  あ。

 


  あったああ。ようやく見つけましたヤンマタケです。宿主は赤トンボ類のノシメトンボ

 


 沢沿いのアオキの実生が茂る低木林、水辺から8メートル、地面からの高さは2メートルほど。ようやく新産地を見つけました。

 


 状態はいい。でも成熟はしてません。さあこれが悩みどころ。現地に置かないと追熟はできません。ぜひこれを見せたい昆虫少年と次に会うのは一か月以上先、ここで様子を見る余裕はあります。でもこれ、枯れ枝に着生してます。いつ落下するかわからない。ならばすぐ採集すべき。次に来たときに、なんて期待や計算が裏切られた経験は山とあります。でも追熟もさせたく…… ぐぐぐぐぐ。散々に逡巡し、道を行きつ戻りつ悩みましたが結局現場に残すことにしました。

 


 それにしても、この一個体を見るまでにずいぶん苦労しました。ヤンマタケが減ったように感じます。理由も思い当たります。ヤンマタケの過半はノシメトンボなど赤トンボ類が宿主なのですが、その赤トンボが激減しているんです。あの稲穂の空を覆いつくすようにトンボが群飛していた当たり前の日本の情景が過去のものになりつつあります。県によってはノシメトンボアキアカネをレッドデータに登録する動きもあるくらいです。赤トンボは水田でヤゴが育ちます。その水田で近年使われるようになった薬剤が、ヤゴに致命的に作用するのだと。「効率化」の名の元、また一つ日本から大きなものが奪われつつあります。限界に達した資本主義によるコモンの破壊、なんて言うのかな。その末端でヤンマタケの衰退が始まっています。

 

 


 なんか愚痴のようなまとめになりました。ようやく行き着いたヤンマタケの産地。でもなぜでしょう達成感はなく、ここじゃない感がぬぐえません。その理由が冒頭に並べたごたくになります。つまり私はヤンマタケにかこつけて「自分の」聖なる森を探していたと、そういうことなんです。

 

 

 

 

 

↓ 昨年の記事。

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デカいが好きで何が悪い

 


 日本最大の埴輪型建造物、どーん

 


 ここは水戸市西部、くれふしの里古墳公園でございます。牛伏古墳群といって、計16基の円墳やら前方後円墳やらが丘のそちこちに造営されてます。

 


 前方後円墳の一つは円筒埴輪まで復元されて

 


 周囲は美しい杉林

 


 そして巨大埴輪「はに丸タワー」。背後に階段があっててっぺんは展望台です

 


 それなりの眺望

 

       
 先日、TV番組でここが紹介されてました。まあ、芸人とゲストが地域の見どころや名店を巡るという百番煎じくらいのお手軽な深夜番組でしたが、その中でMCのロバート秋山が埴輪の巨大さに感嘆の声を上げ、他に人がいないことを嘆いて、水戸の皆さん地元にいい場所ありますよ、なんて言ってくれてました。確かに、市民にあまり知られてません、日本一なのに。そういえば昨年写真を撮るだけ撮ってご紹介していなかったなあ、ということで今回の記事になりました。

 


 で、思ったわけです。そうかこういうのでいいんだ。

 


 石岡にある日本一の獅子頭                石岡市HPより

 


 一乗院の毘沙門天

 


 牛久大仏。日本どころか世界一

 


 月に一度「かめはめ波」を撃ちます

 


 ボルゴグラード「母なる祖国」像

 

   
 デカけりゃいいってもんじゃない。そう言いますけど、やっぱりデカいはすごいんです

 

   
 誰もがあんぐりと口を開けて、うわーとか意味のない言葉を吐いて、あとはただ沈黙するしかないデカさ。それはまさにすごい芸術に出会った時の私たちの反応そのものです。デカければそれだけで芸術になる、この単純にして圧倒的な真理。デカいは無敵。デカいは正義。

 

 そんな単純な「真理」を肯定するのもまた一興だと思いませんか?

 


 なんか他のデカいものも見たくなりました。水戸芸術館の収蔵品で、空気で膨らます全長50メートルのバッタがあります。今月末に展張・公開そして修復が行われるそうです。見に行こうかと思います。

 

 

 

 

↓ これは記事にしてました。

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春待つ野の記

 

 水戸です。梅まつりに合わせて駅前広場に梅の大鉢が並べられましたが

 


 正直言って観光ポスターが貼られた程度の感覚でした。季節の移ろいを意識したのは

 


 サンシュユ

 


 アセビが図書館前でほころんでいるのを見た時です。

 


 相変わらずフィールドを歩き回っています。先日は永らく空白だった那珂川の支流・緒川を歩いて

 


 いくつか玉髄を手にしました。以前「百観音」のさいに、玉川と同じあたりが源流なのにメノウがなかった、と愚痴った川です。

 


 メノウと紛らわしいチャートが多い川でもあります。

 


 この時はむしろ珪化木の見事なのが嬉しかった。

 


 この不思議な色の石、たぶん火山岩でしょうけど、磨いたら綺麗だろうなあ。

 


 ヤンマタケ探し、けっこう本気になってますが見つかりません。生物観察会でなついてくれた昆虫少年に見せてあげたいのですが。

 


 ガヤドリタケはあるんだけどなあ。

 


 御岩神社での植物調査に付き合わせてもらいました。この時もさりげなくヤンマタケを探してたのはないしょね。

 


 スギ花粉が黄色い霧のように立ち込めるまであまり日はありません。焦る気持ちがかえって暦を進ませるのは分かっているんですけど。

 


 毎年ザゼンソウの確認に行く湿地。葉芽ばかりで今年も開花はないようです。周辺を随分探してみましたが、やっぱりここにしか生えてません。生物の分布って本当に不思議で、同じような環境は広く周囲に広がっていても、ザゼンソウがあるのはせいぜいバレーコート一面分の面積です。本当にギリギリで生き残ってる感が。

 


 これも同じ場所で毎年お見せするキチジョウソウ。こいつに至っては生息域がほんの畳2畳ぶん。ちなみにザゼンソウは北、キチジョウソウは南の植物で、共に撤退する一族から取り残されて、なんで同じ場所で歯を食いしばってるんだか。

 


 これも毎年お見せするホトケノザ。どこにでもある。いつの間にか咲いている。元気だねえ。その元気、ちと分けてやってくれ。

 


 さてヤンマタケ。ここになければ本当にないぞ、という川の上流部。先に言っちゃうけど、ここでも見つけられませんでした。でもいろんなものを見た。


 ぱちん、からんと乾いた音が森のそちこちから響きます。枯れ枝が落ちるにしては妙に規則的かつ頻繁で、はて何がといぶかるうちにそれが目の前に落ちてきました。

 


 フジのさやが弾けて

 


 種子が飛び落ちる音でした。花が咲いたのは前年の春。実が弾けるのが今ごろとは知りませんでした。寒い中フィールドに出たからこそ知り得たこと。例年ならもっと家に籠っていたでしょう。ヤンマタケ探索の途、とうとうなしえなかったけど決して無駄ではなかったと思いたい。

 


 ニリンソウ! もうこんなに萌芽してました。

 


 カタクリも。いつもなら開花してからその存在に気づくものです。

 


 フキノトウもこんなに開いて。そういえば数日前の晩のおかずに天ぷらで出たっけ。

 


 わあ、キクザキイチゲの花芽がこんなに膨らんでいた。

 


 個人的にはニワトコの芽吹きが春の先駆けと思えます。むかし親しんだものです。

 


 コケ界の人気者、タマゴケ。このコロコロした胞子のうが可愛いですねえ。コケも恋の季節で、これが3月になると成熟してフタの部分が茶色に染まり目玉みたいになります。私は今の姿が好きです。

 


 じつは1月末、ウグイスカグラのフライング気味な開花を見ていました。フィールドの一番花はそういえば、いつもこのウグイスカグラかキクザキイチゲです。今年も順調に季節は巡っています。花の季節はもうすぐ。さて次は何を見ようかな。

 

 

 

 

 

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さらばゴンゾーさん/ワークホースの代替わり

 


 最近手に入れた充電式ミニランタン。電球色が心地良くて、外出しない日は書斎のシャッターを下ろして雰囲気出してます。さて今回のお題は

 


 リコーWG-40 通称ゴンゾー(権三)さん。実に7年間、私のパートナーを務め続けてくれました。サブカメラという位置づけですが、メインカメラのソニーα より遥かに出番が多くて、撮った枚数だけなら間違いなくメインはこちらです。

 


 小型軽量、ザックの肩に付けた小さなポーチに収まって、撮りたいモノに出会った3秒後にはシャッターを押せました。余計な機能がないぶん電池の持ちも良く、完全防水で水中撮影も可。海岸生物の撮影に大活躍したっけなあ。建設業の現場カメラとして作られたので落下の衝撃にも強く、そのタフさにずいぶん助けられました。そして何と言ってもレンズ周りに装備された小型照明。三脚なしの接写ができる有能さ。撮れる写真は平板でしたがスマホカメラよりはなんぼかマシで、私の散歩やフィールド行に必ず付き添って記録を残し続けてくれました。

 


 さてしかし7年。物持ちがいいとはいつも自称しておりますが、さすがに使用量に見合った問題が出てまいりました。何と言ってもこの外装の割れ。USB端子がむき出しになって、これで水中撮影は不可能になってます。

 


 写真の出来も、こんな広角で遠景を撮ったときにピントが大甘になる傾向がひどくなりました。さすがに限界です。ゴンゾーさん、これまでよく働いてくれたね。キミのことは忘れないよ。


 代替品を、となると上記の利点は外せないので、どうしても同系列の新製品になります。リコー社ではWG-10 を出発点に20、30、40、50、60、70、80 と世に送り出して昨年12月に90 が出ました。どうやら毎年「新製品」として発売しているようですが、カタログを見ても何が新しいんだかさっぱりわからない。70か80あたりでLED照明の光量が上がって外装デザインに手が入ったくらいで、あとはカラーバリエーションを変えたのを新製品と称しているようです。おおお、セコいと言えばセコいけど、旧製品に慣れた身にはありがたいと言っておこう。というわけで出たばかりで値引きの小さい90 より80 がお得です。さすがに量販店では店頭にも在庫にもないとのこと、通販で注文しました。

 


 届いた。わああ、本当に変わっていない。

 


 黄色が旧、オレンジが新。もう同じものだと言い切ってしまおう。

 


 外装だけでなく中身も、説明書きが丁寧になっただけで新機能一切なし。いやもうアッパレです。ちなみに取説もほぼコピペでした。


 なんだかメーカーさんをけなしているようですが、とにかくこれは建設現場での使用が第一のカメラです。たぶん現場で求められるのは実用一点張りのタフさであって、新機能など邪魔なだけ。軽薄な連中がステイタスで持つことなどアウト・オブ・眼中なのです。もちろんリコーさんもそういう需要を分かっていて、途中には高機能上位機種やスノーボーダーがヘルメットに付けるような小型機種も作りましたが、結局生き残ったのはこのWG10ケタシリーズだけ。キホンって大事です。リコーさん、次も同等品を買うので頑張ってください。

 


 誰だおめえ、とガンつけるゴンゾーさん。新人だよ、いじめないで。あんたと顔も中身もおんなじクローンなんだから、我が息子よとか言ってみて。

 


 まあとにかく撮ってみました。いやあおんなじ。笑っちゃうくらいおんなじ。ピントがきちんと合うありがたみを確認しました。

 


 新旧の保証書を並べて驚きました。購入日の日付が7年前と同じなんです。これ本当に驚いた。狙ってません。特に今回は通販がいつ届くかわからなかったので狙いようがありません。ちょっと怖いくらいの偶然です。

 


 7年前。そうこれを買ったのは、記事にも書いたことのあるあの胆のう摘出手術の直前でした。不安を払拭するため、自分を元気づけるため、頑張った自分へのご褒美前払い。そして入院中の身辺の記録や、退院後のリハビリお散歩の風景を撮ることからゴンゾーさんとの日々が始まったのでした。

 


 カメラは私の人生のパートナー。良いカメラとの出会いは人とのそれに並ぶくらい大切です。まだ良い名を思いつけないでいますけど、使い切ってあげようと思います。

 

 

 

 

↓ 最初の記録と、手術前の覚悟。

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久慈川の中心で愛を叫んだ午後

 


 いま久慈川の、川幅の真ん中へんを歩いています。信じてください、そんな愚行をするつもりはなかったんです。

 


 雪も降らない茨城では、引き潮で干潟ができるみたいに川の水位が下がってます。普段は入れない場所を探索するチャンスとばかりに歩き回る過程で見つけたここ。ささやかな河原に何もなく、ああ浅いなあ、水中に赤いやつないかなあなんて歩くうち、

 


 気づけば橋の下。夏なら近づこうとも思わない橋脚の中洲に取りついてしまいました。びっくり。間違いなく誰も入っていない場所です。


 ここまで1個もメノウや珪化木を見ていません。まあこんなもんだよなあなんてそぞろ歩いていたら

 


 懐中時計が落ちていた。

 


 軸受にルビーを使った、たぶん本物です。懐中時計なんて久しぶりに見ました。どういう経緯でこんな所に流れ着いたのやら。

 


 結局拾う物はなく、またじゃぶじゃぶと久慈川のセンターラインを踏んで戻ります。水のある川が歩く妨げになっていない、なんかドローンに乗って地上の煩わしい現実を飛び越えていくような不思議な気分です。


 同年代は働いたり、ゴルフしたりパチンコしたり。さて私はこの寒空に何を為すか。

 


 水鏡の底に川石が光ります。一年で一番水が澄む冬の久慈川。釣りの季節でもなく、他に人もいません。ヒトの誕生前の太古の湖を想います。戦果もないというのに、とても穏やかな心持ちです。

 


 気分はこんなもん。

 


 岸に上がってふと見やると、倒れ伏したアシの根元に赤い光。

 


 おおお真っ赤な、とんでもない上物が出ました。

 


 この閑日月な午後の報酬としては十分。お釣りが来ようってもんです。

 


 以前に久慈川を徒渉した無茶を大いに反省した記事がありました。懲りもせずにまた。…… じつはこの河原に降りるために車で土手を登ろうとしたら、思うより難所があってままよと突っ込んだらまたバンパーの左下を摺りました。本当に懲りてない、というかこういう行動が増えた気がします。大胆になったのではなく、単に考え無し、あるいは傍若無人になったということです。老化の一端かも知れません。人に迷惑をかけることだけは避けたいと思っています。

 


 ちなみに今回のせこいタイトル、元ネタはあくまでもハーラン・エリスンのSF小説です。決して歴史に残るあの超有名アニメのTV版ブン投げ最終回や、白血病で彼女が死んじゃったからお医者になりました的昭和設定ベストセラー小説ではありませんからね。

 

 

 

 

↓ ああ。

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痔でお悩みの貴兄へ

 

 2月の初め、ソレに気づきました。肛門に何かある。

 


 はい今回はそういうお話なので、興味ない方はご退出どうぞ。

 


 いえね、コリコリっと丸いものがあるんです。押すと引っ込みます。痛みはありません。

 


 これは…… アレか。うわさに聞くアレか。とうとう私にも来たか。ヒトが直立二足歩行と引き換えに背負った宿痾しゅくあ、一般には「イボ痔」、専門的に言うところの「外痔核」というヤツが。

 


 以前より座っている時間が長いことが原因か…… いや結構歩き回っているぞ…… 放っておいても治らないんだよな…… 手術か…… ああどんな姿勢で施術されるんだろう…… せめて人間の尊厳を保てるような格好でやってほしいな…… 家族には何と言おう……

 


 ご理解いただけるでしょうか、その後数日間の葛藤を。覚悟を決めるのにそれだけの日数が掛かりました。腹が決まったところでさて病院は。

 

 


 「水戸こうもん内科」というなかなかウィットに富んだ看板の病院も気になりましたが、ネットで調べたら、以前そけいヘルニアの日帰り手術でお世話になった百合が丘の病院が痔の日帰り手術もやっているという。あの時の快適さや術後の経過の良さは、それ以前のよそでの経験と比べて感動的ですらありました。先生の技術の確かさ、スタッフの気配り、全体の雰囲気の良さ、あそこにまたお世話になろう。

 


 やって来ました百合が丘。スーパーの大駐車場がそのまま使えます。人気の病院なので今は完全予約制になっていましたが、受付のキレイなお姉さんは笑顔でキャンセル枠に入れてくれました。…… そして名前が呼ばれて診察室へ。あ、先生ご無沙汰です。

 


 私が痔の診察を恐れるのは、以前一時的な切れ痔で日立のとある病院に行ったときに、ジジイ医師にそれは恥ずかしい体勢で診察された上に、無神経な言葉を投げつけられたことがあるから。それはこの診療科目への偏見、さらにはその病院に対する評価になってしまいました。どこの世界でも老害は真っ先に排除されるべきです。

 


 さてしかし、さすがこちらの病院は違いました。中堅どころのいかにも切れ者の先生が、こちらの言葉をきちんと聞いた上で私をベッドに横たえ、その姿勢で診てくれて、看護婦さんもちゃんとカーテンの陰に控えてくれました。

 


 で、結論。「血栓性外痔核」。肛門にできる血マメみたいなもので、放っておいても治るとのこと。まあ軟膏でも出しときましょう、だって。

 


 ええええ、手術しなくてもいいの? こちとら覚悟の上で軍艦マーチと葬送行進曲をバックに乗り込んだのにいい。

 


 帰路はすっかり気が抜けて、この日はもう何もする気が起こりませんでした。で、いただいた軟膏をきちんと使ったら一週間で治ってしまいました。大山鳴動して云々とはこのことか。

 


 痔でお悩みの方はたくさんおられるかと思います。強調したいのは、決してこれを揶揄しネタにすることを目的とした記事ではないということ。調べれば必ず最新の技術と細心の配慮を期待できる病院があります。手術も日帰りで済みます。今回私はそこまでの恩恵に浴せずに済みましたが、下調べに十分に時間をかけた結果として、この病気の治療が心理的な配慮も含めてずいぶんと進んでいるということをお伝えしたかったんです。悪化する前にまず良い病院で診察を。「水戸 金子医院」で検索していただくと、病態からその治療法、患者への配慮とはどういうことか、わかりやすく親切に説明されていて勉強になります。遠隔の方もぜひご参考に。

 

 

 

 

 

↓ ウデのいい外科医なんかいくらでもいるだろうけど。

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33万アクセス、そして枯野の大迷宮

 

 三連休最終日、今一つ体調が優れません。風邪気味かも。こういう時は…… ひと汗かいてメノウ探索じゃ、わははのは。

 


 はい、37℃くらいの発熱ならばむしろ現場に出る。それで熱は下がる、体調は戻る。昔からそうしてきました。ごめんなさい頭悪いんです。で、本日向かったのはここ、枯れ野の大原野。以前にお話したのとは別の、ブログ初登場の場所です。かつて秋の終わりに挑戦して、腰までのカナムグラとクズ、身の丈に倍するオオブタクサとアシに撃退されました。この先にある河原は、もう2年はメノウ採りが誰も入ってません。だから路がない。迷いながら切り拓いていくしかない文字通りの迷宮です。研いだばかりの大ナタを手に再挑戦、ぐはは今度は負けぬぞおお。本当に馬鹿だなあ。

 


 この季節を選んだのは枯れ草が倒れ伏すから。それでもカナムグラのやぶに足を掛ければずぶりと踏み抜き、アシの密林は下手に刈り払うと切り杭でこちらがケガをするので雪道ラッセルの要領で丁寧に踏み倒していきます。

 


 オオブタクサに至っては、これ本当に草じゃなく枯れ木です。一年草のくせに木質化して硬い硬い。ナタは跳ね返されわ蹴っても足が痛いだけだわ、迂回するしかありません。トラップだらけの、ああまさに大迷宮。

 


 この迷宮を突破するのにしばらく時間が掛かりそうなので、その間に久しぶり、アクセス報告をさせていただきます。

                        はてなブログのカウンターより

 この1月に33万アクセスを達成いたしました。ブログ開始から6年半です。

 


 おなじみアクセス数推移。こんな雑記ブログに、2023年は安定して月平均6000アクセス頂けました。いつもうわっつらな言葉で申し訳ないけど、本当に感謝しております。

 


 アクセス元に関して、一つ大きな変化がありました。Google 検索からのお客様が一番多いのは変わりませんが、二番がこれまでは Yahoo!はてなブログ だったのが、この12月から急に Bing が上がってきたんです。それまではせいぜい2~5%だったのに。何があった。AIを導入したとか言ってましたけど、Bing 検索から閲覧される私の記事はメノウ関係ばかり。以前は図書館カフェとか神保町エロ本とか面白いのを表示してくれました。ヒット数は増えたけど多様性は減る。どういうことなのマイクロソフトさん。

 


 Google はありがたい。以前ブロックされたことを差し引いてもありがたい。SNSを利用しない私は検索からのアクセスがすべてなんです。ご存じのようにただの時節ネタでは記事を書きません。書くのはその時々の記録として意味を持つもの。10年後でも20年後でも意味を持ち続けるもの。だから検索で表示されるのは6年前からごく最近の記事までさまざま。そしてそういう記事は気を入れて真面目に書いたものがほとんどで、ああ理解してもらえたんだなあなんて嬉しくなったり。最近特に嬉しいのはこれ、


   せかいでいちばんちいさなむし

   無能の働き者

   #もっと評価されるべきⅡ                                   ※ 各記事ともリンクついてます


 いずれも昨年書いたものですが、Google 検索の「アクセス先」リストの下の方にちょこちょこランクされ続けています。何ごとかのワードを検索に掛けると上位に表示されるのでしょう。「せかいで―」はそのまま「世界最小の昆虫」で検索して4番目に表示されたし、「無能の―」は「ナポレオン 無能」で上位ヒットして笑ってしまいました。よくわからないのは「#もっと―」で、内容は映画評なんですがその映画のタイトルで検索しても出てきません。はて、何がキーワードなのか。


 まあ仔細はともかく

 

 

     
 改めて、いまこれを読んでくださっているあなたに、33万アクセスありがとうございます。広告収入は一切ありませんので、本当に私の自己満足だけなんです。たまたま開いてくださった方があ、なにこれちょっと面白い、くらいに思っていただけたなら最高です。相変わらず身近な者には内緒のブログなので、この先50万になろうが100万になろうが特に祝宴もなく、私が息をしている限り平々凡々と続いていく、そんな道端の里程標。

 


 なんてぐだぐだひとりごちているうちに、とうとう迷宮の果て、久慈川の川面が見えてきました。

 


 ダンジョン攻略成功! 未踏河原制覇です。砂の上にはただキツネの足跡があるばかり。間違いなく誰も到達していない河原です。さあメノウを拾いまくるぞおお。

 


 …… ない。

 


 えーと

 


 ない。ぜんぜんない。メノウが一つもない。

 


 ぐわああああ、そうかここも「拾えない河原」だったんだ。人が来ないのは単にメノウがないから。単純無比な「久慈川の法則」通りの場所でした。見事なまでにバット大振り。読者の皆さまも自然相手に思い通りにならないことは多々おありでしょうけど、私のメノウ拾いもこんなもんです。


 でもまあ自然と格闘するのは楽しかったし、嘘みたいですが体調不良も治ってしまいました。何より未踏の土地を茨城県全図からまた一つ消去できた、それが今日という日の物語。

 

 


 6年半かけてたどり着いた33万の未踏河原に美しいものはありませんでした。きっと50万の河原にも100万の河原にも何もなくて、それでも愛と青空の日々は続いていきます。どうか見守ってやってください。

 

 

 

 

↓ この原点は決して忘れません。

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