以前にUVライトでメノウを光らせた記事を書きましたが,先日ふと思い立ってまた引っ張り出してきました。初崎海岸の高温石英やシーグラス,あれって光るのかな,と。
1回分をプリン瓶に入れた,そのひと瓶を皿にぶちまけて
UVライトを当てたら …… あらなんか光ってるよ。
暗闇の中,ピンセットでつまみ出してみました。ただ紫外線を反射しただけのもあるかな。明らかに蛍光を発しているのは赤の小さな巻貝と緑に光るガラス。
明かりを点けたら,ガラスは普通に透明のもの,貝は白色光でも赤かった。これはたぶんサンショウガイ。赤い色味が欲しいと,石英にわざと混ぜておいたものです。
他のびんでも,強く光るのは一部のガラスとサンショウガイ。
ガラスはたぶんウランガラスだと思います。ごく微量のウランを混ぜたガラスで,アンティーク品に多く,現在でも少量生産されているそうです。茨城県北芸術祭で見たウランガラスのシャンデリアはキレイだったなあ。
茨城県北芸術祭 1 - ジノ。 より。
問題は赤い巻貝,サンショウガイ。ここにあげたのは直径は1ミリほど。北海道南部以南に分布し,茨城の海岸でも少数ですが生息してます。成長しても直径5ミリほどにしかならない微小巻貝の一種なのですが,実に鮮やかな赤い色。海岸の岩場でとても目立ちます。
こんな感じ。岩場の海藻に付くようで,ひたちなか市平磯の海岸で何度か見かけました。
サンショウガイのような微小貝は,お好きな人たちの間で一つのジャンルになっているようで,ネットで見るといやあるわあるわ多くの種が。だからこの光っているのが真のサンショウガイかどうかわかりません。でも押し通そう。
ただ,石英に混ぜたのは他の種類の赤い巻貝もありました。試しにそれにUV光を当ててみます。
光らない。というかどこだ。
サンショウガイ(仮)のほうは
光る。とにかく蛍光を発するのはこの種特有の性質のようです。
いや待て本当にそうか。日立の海岸のサンショウガイは確かに蛍光性だが,それをサンショウガイの種全体に当てはめていいのか。理系なら疑ってかかれ。
というので今日日曜日,平磯海岸に行ってサンショウガイを拾ってきてしまいました。3時間歩いて,破片を含め4つ5つ。たぶん発生期はこれからなのでいやあ苦労した。毎度のことながら私は休日を何に使っているのだろう。
時計皿に乗せてUVライトを準備。さあ当てるぞ。
光ったー。
光る光る。かなり強く光ります。
海辺で見るサンショウガイが小さいのに目立つ,その理由がわかりました。この貝は太陽光の赤色を反射するのみならず,蛍光でも赤を発色していたのです。つまり蛍光ペンが鮮やかに目立つのと同じ原理。いやこれは驚いた。
ホタテガイやシジミの貝殻を焼成すると蛍光性になることは知られてました。熱帯の海に生息するショウジョウカタベという巻貝はそのままで蛍光を発します。砂浜の食用貝キサゴも未処理で蛍光します。貝が光るのは決して珍しい現象ではないようです。不思議なのは,太陽光が当たると目立つということにどんな利点があるのかということです。野外で目立っちゃあ,いろいろとマズくないかい?
サンショウガイはなぜ光る。貝に聞かなきゃわからない。ああ私は貝になりたい。
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