ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

花園に山気の補給に行きムモンアカシジミの幼虫を見る

 

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 先週,どうも調子が良くありませんでした。


 いえ,体調が悪いというのでなく,どこか痛いというのでなく,仕事もきちんとこなしてました。気が塞ふさぐというのが一番当てはまる言葉です。息苦しい,気分がアガらない。まさに心の砂袋がずしんとのしかかってくるようです。で,思い出しました。5月23日以来およそ3週間,フィールドに行ってない。


 20代のはじめ,就職した最初の任地はフィールドから遠い土浦でした。今回と同じように気が沈む状態になり,筑波山の山中に分け入ったりしていました。四六のガマよろしく木々の間でぼーっとしてると元気になりました。そういえば,この「フィールド欠乏症」の原因になる,日々に消耗されフィールドで補給されるものを当時「山気さんき」と呼んでいたなあ。すいません,前置きが長くなりました。山気の補給に,私の特等フィールド・花園に行ってきたのです。

 

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 まずは最奥,ブナの森。濃さを増した緑の中,響くホトトギスとエゾハルゼミの声は森の色彩の一部です。

 

 

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 梅雨キノコが出ています。ウスヒラタケ,でしょうか。

 

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 キノコみたいですがこれは種子植物,ギンリョウソウ。

 

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 ウグイスカグラの実。食べられます。

 

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 変形菌だ!

 

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 神秘の生き物。カビやキノコとは類縁のない,むしろアメーバに近い動物的な生命です。

 

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 鳥の糞かと思いました。蛾です。交尾中の姿。2頭いるのわかりますか? 翅の縁に並ぶ純白の毛の神々しいまでの美しさに,生命の存在する意味を想います。

 

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 季節的に野生の蘭の仲間を期待したのですが,少し早まったようです。これはたぶんクモキリソウ。茨城県で発見されたランです。

 

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 巨大なブナがその一生を終えてました。その材はキノコの糧となり,無機成分は他の多くの植物を喜ばせ,林床に射すようになった陽がたくさんの芽生えを育てます。命は続く。

 

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 その最後の瞬間,森じゅうに盛大な咆哮と地響きを轟かせたことでしょう。静かに静かに数百年の時を刻んできた巨ブナが,最後だけ森にその存在を主張していきました。

 

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 残念ながら今回もこの森では冬虫夏草が見られませんでした。ここ数年空振り続きです。

 

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 一転,風が強く吹きつける丘。念のため言うと,天気予報では曇りのはずでした。本当によく晴れちゃって,晴れ男ここにあり。目的のヤツはここらにいるはずなんだけど。

 

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 本当にいた! ムモンアカシジミの幼虫です。見られるとは思わなかった。先年虫採りの「師匠」にお会いしたことがよい運を連れてきてくれたかな。たくさんのクロクサアリに甲斐甲斐しくお世話されていますが、こいつの主食はそのクロクサアリが大切に守っているアブラムシ。その分泌する甘露がアリの糧となる、ヒトにとっての牛のようないわばアリの家畜です。その家畜を食うオオカミと仲良く歓談しているの図。自然って怖いなあ。

 

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 この丘にカメラはコンパクトの「権三さん」しか連れてこなかったのですが,どうもこの幼虫とは相性が悪い。ぜんぜん色が再現できません。実物はもっとコントラストのある先鋭的な配色なんですよ。…… もう撮る機会はないんだろうなあ。

 

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 権三さんピント甘いよ。ヒメヘビイチゴとその実。実は赤くなりません。

 

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 こっちはホントのヘビイチゴ

 

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 イチゴつながりでモミジイチゴ。このあと美味しくいただきました。

 

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 クサイチゴ。あまり美味しくありません。

 

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 ヤマグワがどこに行っても実り始めてました。

 

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 マムシグサどーん。

 

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 また落ちてたミヤマクワガタ。もう成虫が出ています。

 

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 ベニバナニシキウツギ。紅花なのに二色空木とはいかがなものかと。

 

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 草原のあちこちにアヤメが。勘違いも甚だしいことに,これは湿地の植物ではないんです。菖蒲なんて漢字当てるから勘違いが増幅されてます。

 

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 今回一番花が盛りだったかな。私には低地の花の印象があります。茨城では国道沿いとか田んぼの土手とか廃業したパチンコ屋の駐車場のコンクリの継ぎ目とかに生えてます。

 

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 花びらの付け根の「文目あやめ」模様はハナショウブカキツバタにはないこの花だけのものです。この綾なす変化の精緻さゆえ,私は他の二種より圧倒的に美しいと思います。

 

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 マタタビが葉を白くして虫たちを呼んでます。ことしもマタタビの実を拾いに行きましょう。

 

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 一日写真を撮りまくって,脱皮を終えたような爽快感をまとって帰宅しました。山気の補給,完了です。

 

 

 

 

↓ 関連リンクです。 

師匠とムモンアカシジミ - ジノ。

梅雨明けて花園の森に蝶が舞い - ジノ。

 

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