我がささやかな王国,庭のお話を。
家の前の道路に面して,こぼれ種から出たミツバアケビをグリーンカーテンに取り立てて2年目。前年の枝を派手に切り詰めたのに,この雑種のアケビは花を咲かせ,その後つるを伸ばしました。
夏の終わりにはこんなことに。春の芽吹きで2階のベランダに達したつるを一度伐っているのですが,炎天の下その腕をまた手すりに届かせました。
春よりも力強く。
登らせておくれよう。そう言われても,このままでは洗濯ものが干せなくなるんだってば。
裏のアケビは剪定のダメージで春の花が咲かなかったのですが,夏のつるは元気よく。でも実は生らないだろう。
と思っていたらいつの間にか。猫が縁の下で子供産んでたような状況です。人工授粉を施してはおりません。どうやら私の庇護を離れていくものがあるようです。
そのアケビに真っ向からケンカ売っているのがヤマノイモ。昨年,わあヤマイモだあ,うちの庭で自然薯が採れるかも,とか思って放置していたら花が咲いて種子を飛ばしていました。今年それが一斉に芽を出してまあ大変。あちこちに出現して絡みまくっています。夏の除草を暑さを言い訳にサボっていたらえらいことになっていて,いまや駆除の対象です。
その葉に,さあこれ何だかわかりますか。実は蝶の幼虫の巣。ダイミョウセセリという地味な普通種ですがこの庭で成虫を見た覚えはありません。いつの間にか王国の住民が増えていた。
蝶の住民と言えば過去に2度ほど記事にしたのが,このホトトギスを狙うルリタテハ。見ると今年も来ていました。というかすでに幼虫が葉を食んでやがった。放置すれば花を見られなくなるので駆除です。
わが王国,緑の荘園で駆除と言えばクチナシを食うオオスカシバ。今年は卵の段階でかなりやっつけたのですが所詮は人間のやることです,目こぼしされたのが一匹だけ終齢幼虫になってました。
そのクチナシに覆いかぶさったウメモドキ。今年はカイガラムシにもやられず,実をもう色付かせています。
我が王国の「赤い実」一番槍。
赤い実と言えば真っ先に鳥に狙われるのがマンリョウ。花が開いていました。意外にグロテスクです。
この貧相なサンショウ,その葉が我が食卓の皿に添えられたりするのですが貧相なのには理由が。
アゲハやクロアゲハがぼんぼん産卵にくるんです。
何度こいつらに丸坊主にされたことか。もちろん駆除です。
庭の一隅カーポート裏の小空間・三角地帯。この庭で私が唯一自由にできる場所,というか家人の干渉が入らないいわば直轄領。アマドコロとヘビイチゴとオトギリソウと,まあそんな者どもが平和に暮らす土地に
今春とつじょオオダイコンソウが現れました。山の植物で,ふつう水戸市街に出るものではありませんが,不思議だとは思いません。オトギリソウなどと同様,山から私に付いて来たんです。連れてって,と。それはまあ情にほだされないこともないのだけど,この場にそぐわない姿と大きさなのでこのあとお別れしました。ごめんね。…… さらにこの後,同じ場所にエノキが芽を出しみるみる大きくなりました。これは鳥の落とし物から発芽するもので,前にも書いたけど好きな木です。問題は高さ20メートルを越える大樹になること。カーポートを潰す気かオイ,というのでやはり引っこ抜きました。
この三角地帯にふさわしいのは例えばこれ,ユキノシタ。
小さく控えめな草姿と,小さいながらもとんでもなく個性的で自己主張の強い花。こういうのがワタシの前頭葉をシゲキするのです。
夏の暑さに辟易してる間にカラスビシャクを開花させてしまった。種をばらまかれたらとんでもないことになります。
種で増え,ムカゴで増え,地下で増え。とんでもない繁殖力を持ち,引っこ抜いても球根から何度でも復活します。生物としては面白い対象ですが,王国を占領されるわけには行きません。今度徹底的に駆除したいのですが。
1本残ったスイカズラは元気に大量の花を落としました。
もう1本を枯らした張本人(と推定される)クサボケ。今年は剪定しまくっていじめてます。こいつにはそれくらいがちょうどいいことが段々わかってきました。
枯れたほうのスイカズラの根元から,見慣れぬつる植物が生えてきました。これって…… これはびっくり,ビナンカズラじゃないか。
参考写真。こんな実がうちの庭にぶら下がるようになったら楽しいじゃないか。ただこれは雌雄異株なので,1本では実ができない。まずこいつが雄なのか雌なのか判明する最初の開花を待ちましょう。わあ楽しみ。
ハマナスは元気です。春の最初の芽吹きはこんなものでした。切株をバーナーで焼いても平気で出芽しました。
あっという間にこんなことに。美女の大暴れです。
小さきものからも大人気。
今年は花の終わった枝からばっさばっさと切り倒しているのに樹勢が衰えません。それどころか地下茎を伸ばし,新たな場所から次々と顔を出す始末。レンガ塀の危機が現実になりつつあります。
わが王国の夜の帝王。雨の夜に現れます。車に轢かれて先代が亡くなるとすぐに代替わりしました。水場からはるか遠く家々が塀で囲まれた市街地です。どこから現れるのか謎のまま。超自然的な現象と考えています。
家人が庭の野菜を収穫したあと,台所を飛び回るハエがいました。小型で細身,金属光沢のあるボディに長いあし。アシナガバエです。野菜に付いて家に取り込まれてしまったのでしょう。高断熱住宅で脱出のすべなく,最後は私の書斎で息絶えてました。これもまた,我が王国の一員だったものです。
さぞ広い庭園,なんて思っておられますか。その勘違いはどうぞそのままに。とても全景をお見せできないような,ささやかな市街地の庭です。すき間すき間にマニアックな野生植物があって,それが虫を呼び鳥を呼び種子が芽生え,王国が多様性という富を増していくさまは今の私の喜びです。いつかすべてを ― 移動能力とか金銭的自由とかを含めて ― 失う日が来ても,心の拠り所となるような,そんな庭であり続けてほしいと思っています。
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