ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

静かなる鶏足山

 

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 県知事選のあった日曜日。朝一番に投票を済ませて,雨模様の空の下,鶏足山に向かいました。その時の写真を並べさせて頂きます。

 


 駐車場は余裕でした。早朝に登った方々が下山してきただけでなく,そもそも人が少ない。ここをいつも賑わせているのはご老人の団体ですが,コロナ禍と朝の雨とで計画がなくなったのでしょう。十年前はこんなだったなあ,とふと感慨が。さあ登ろう。雨なので全天候カメラ「権三ごんぞーさん」しか持ってきてませんが,何が撮れるかな。

 

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 駐車場わきの流れの中でミソハギが咲いてます。

 

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 普通8月のお盆の頃が花期なのですが,今を盛りと咲いてます。いい色だなあ。

 

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 いつも通り,赤沢富士を経由しない長い登りの林道を行きます。花を楽しむならこちら,と思ってます。

 

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 さっそくツリガネニンジン…… ピントはどこだ。コンパクトカメラの難しいところ。

 

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 ヤマジノホトトギス。この夏よく見かけました。

 

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 マツカゼソウ草本のミカン科です。そう言われても困るけど,葉には確かに香気があります。

 

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 ツユムシとクモが睨みあっていたり。

 

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 フジカンゾウ。一般の方には馴染みがないかも知れませんが,実が独特の形の「ひっつき虫」です。衣服に引っ付きます。

 

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 こんなの。こういうのを節果と言って,マメ科のヌスビトハギ属で数種知られますがフジカンゾウのがいちばん大きい。ところがこの種を載せてない図鑑があってびっくりしたり。

 

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 道につる植物のテイカカズラが垂れて壁を作ってました。取りついていたコナラの木が折れたらしい。もし夜にここを通りかかってうっかり突っ込んだらパニックだったと思います。妖怪のぬりかべってこうした経験から生まれたんじゃないかな。

 

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 キブシの実が道に下がってました。

 

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 赤いキノコ見っけ! 実は直径は2センチほど,チシオハツという種類です。この夏はどこの森に潜ってもキノコだらけ。雨が多かったせいですね。今日の鶏足山でもたくさん見ることになるのですが,個人的に趣味が合うのだけ撮りました。

 

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 イグチの仲間。イグチは共通した特徴を持つ一群のキノコですが,イグチどうしは種ごとの特徴に乏しくてよくわかりません。

 

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 これもイグチ,たぶんベニイグチ

 

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 傘の下がシイタケのようなひだではなく,このスポンジのような「管孔」なのがイグチ類の特徴です。毒キノコが少ない類でもあります。

 

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 で,出たあ,オオゴムタケ。キノコですよ。賢明なる読者の皆さまはご存じでしょうけど,そうです私はこの手の異形なやつが大好きなんです。

 

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 晴れてきた。でも今年は天気を信用しない。

 

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 フユイチゴが開花してました。へえ,今ごろが花期なんだ。

 

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 ツルリンドウ。毎年お見せしちゃってすいません。

 

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 ミズヒキ

 

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 道端のコアカソを撮ったら

 

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 カナヘビの子どもが写りこんでた。気づかなかった。

 

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 そのコアカソの雌花序が雨水を湛たたえて異世界の光景を写し出してます。雨の日ならではの妙景と言わせてください。

 

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 林道沿いは山を削った切り通し。地層の露頭です。このあたりの地質は中生代の堆積岩で,崩れやすいところは砂岩や泥岩,山のピークを形作る岩体は硬いチャートから成ります。そんな地層にコケが付いて,生物と岩石が幾何学的な文様を作ります。

 

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 尾根の登りに入って,ヤマボウシの実が落ちてました。甘くて食べられます。落ちてたのはイヤだけど。

 

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 出てきたキノコはシロオニタケ。食べられないけど堂々としたものです。

 

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 シロオニタケは幼菌も面白い。

 

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 タマゴタケもありました。

 

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 すっかり荒れた道。

 

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 鶏足山,三角点のあるピークと見晴らしのいい方と,どっちが山頂か。双方の主張があって看板類が混乱してましたが,結局「山頂」は三角点,もう一方は「見晴らし台」で落ち着いたようです。三角点山頂にオトコヨウゾメの実。

 

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 そして見晴らし台の弘法大師のほこらと…… どデカい賽銭箱。いやそのなんと言うか。

 

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 ちょうどお昼時で,以前ならこの狭い山頂がいくつものご老人の団体で大騒ぎになってましたが,今日は静かです。本当に十年前に戻ったみたいです。

 

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 曇っていてもここの開放感は良いものです。

 

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 八瓶山も毛が… じゃなくて木が生えそろってきました。時の経過がわかります。

 

 

 

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 帰路はまた雨でした。静かな鶏足山でした。昔を知っている私が偉いとか,そんなこと言っているのではないことは,いつもの読者の皆さまならおわかり頂けますか。そう私は,静かなフィールドに一人立つのが好きなだけなのです。

 

 

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 このあと,時間的にも体力的にも余裕だったので常陸大宮方面の沢に出かけて

 

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 軽くマタタビ拾いをしてみました。今年も出来は上々,来週は本格的に拾いに行こうと思います。

 

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 ついでに車で登れる山に行き,しばし風景を楽しんでいたらスズムシの声が聞こえてきました。たぶん野生のスズムシ。

 

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 どうやら夏は終わったようです。

 

 

 

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ひかりのたからもの

 

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 さて,平磯海岸の拾いもの。ウランガラスはあるか。貝は蛍光を発するか。

 

 

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 カメラの接写機材を机に並べ,紫外線ライトに電池を入れ,目にはUV保護メガネを付けて,撮影会のはじまりです。

 

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 で,いきなりですがウランガラスはハズレ。平磯のシーグラスに強く光るものはありませんでした。もっとも,それは初崎海岸でも希少なものです。無くて当たり前か。

 

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 貝の方はおおおおおっ。見事に光りました。2,3個暗いのは別種の貝。肉眼では同じ赤い巻貝なのですが,光る種類は限定されるようです。

 

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 私が仮にサンショウガイとしている貝,実に鮮やかに光ります。

 

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 それではしばし,貝の蛍光をお楽しみください。

 

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 …… そうだ,ウランガラスと饗宴させてはどうだろう。

 

 

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 明る過ぎです,ウランガラス。光らせるためにヒトが作り出したものですから,光が強くて当然かな。写真を撮るときには配置を考えねば。

 

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 この世ならざる光で呼び合うウランガラスとサンショウガイ。

 

 

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 微小な貝が不思議な存在感を放ちます。

 

 

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 光る貝という宝物のカテゴリーを手に入れました。この世の謎を一つ解き明かしたような,ちょっと得意な気分です。

 

 

 

 

 

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海岸で貝殻なんか拾っちゃうリリカルな私。

 

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           仕事がない。


 いえ,勤め人なんですぐに干上がるというわけではないのですが,8月の緊急事態宣言からこっち予定されていた仕事がすべて吹っ飛びました。出勤すればとりあえずなにがしかの小手先仕事はありますが,それとて他人の仕事を奪うことになりかねないので控えめにするしかありません。何よりつまらない。ああ何をしよう。… すると天啓が閃きました。


 サンショウガイで小びんをいっぱいにしなさい。


 …… あ,そこでコケないように。ちなみにサンショウガイとは海岸の岩場に生息する小さな巻貝です。成長しても直径5ミリほど。以前ブログ記事にしましたが,紫外線を当てると蛍光を発することを見出しました。その時は冬の終わりで,集めた砂の中にサンショウガイは小さいのが数個あるだけ。夏の岩場で大きめのを見かけているので,たぶんその頃が発生期なんだろうな。今は夏が終わったばかり,きっと海岸で拾えるぞ。おお明日は潮もいい。有給がいっぱい残っていて消化しろと上役もうるさい。仕事サボって 休んで平磯海岸へGO! うふふふと笑いながら貝殻を拾うリリカルおじさんの登場だ!

 

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         風強く,雲低く,波高し。

 

 

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 すみません,リリカル要素が皆無です。どうした晴れ男,とヤジが飛びそうです。腕を組んで海を睨めば,時おり降りかかるのは雨かしぶきかマッコウクジラか。いいえ悪天候なんかに負けてはいられません。こっちは天啓だ。トウモロコシ畑に野球場を作れと言われるよりはハードルが低いぞ。… カッパを着て引き潮の海岸に降りてみます。ここは海岸生物が多く見られる岩場です。

 

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 降り立った足元に

 

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 …… いきなりあった。

 

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 またあった。

 

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 こっちには固まって。


 おいおいおい,いくら天啓だったとはいえ,こんな簡単に採れていいのか。予想以上の入れ食い状態です。サンショウガイって,個体数は多かったのね。小さくて気づかなかっただけなのかな。


 ところが少し場所を移動すると,途端に見かけなくなります。つまり,メノウとかシーグラスとかと同様に,波や海流の影響で特定の場所に集積するもののようです。当たればデカい。いきなり当たった。1時間も掛からずに数が採れたので,この海岸は切り上げます。

 

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 潮だまりに見える巻貝はすべてヤドカリ。近づくとわーっと逃げます。


 さて,今日は目的があと一つ。先日初崎海岸からこの平磯海岸まで巡った時に拾ったシーグラスに,強く蛍光を発するウランガラスのかけらがありました。ところが両海岸の拾い物を混ぜてしまって,どっちの海岸のシーグラスなのかわかりません。おマエそれでも理系か。初崎で拾えるのはわかっているので,もう一度平磯でシーグラスを拾って紫外線を当ててみて,こちらにも光るものがあれば新産地の発見です。

 

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 シーグラスが拾える場所はちょっと離れてます。車で移動。風も,雨しぶきも強くなってきました。耐えろわし。

 

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 小一時間も拾っていたでしょうか,潮が上がってきました。文字通りの潮時です。それなりに数が採れました。

 

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 今日の収穫物,さっそく紫外光を当ててみます。ウランガラスは混じっているかな。貝はちゃんと光る種類かな。結果は次の記事で。

 

 

 

 

 

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今年もツクツク森を覗いてみよう

 

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 冬虫夏草を探し歩いていた頃だからもう二十年以上前になります。


 水戸市内と言っても山と農地が広がるあたり,その山の中を,それこそタヌキが餌を探してそぞろ歩くように,特に当てがあるということもなく獣道を歩いておりました。そしていくつかのヤブを漕ぎ抜けたところで,突然ぽかりと異質な空間にまろび出たのです。


 なんだここは。


 いえ,それまで歩いてきたのと同じ森なのですが,それまで私の行き脚を阻んでいた篠竹がふっと無くなり,貧相なコナラなどの雑多な低木も消えて,杉や樅の巨木が立ち並ぶやけに天井の高い空間なのでした。


 当時はまだ天地の気を肌で感じるような体験は無かったのですが,そこはまるで結界の中に飛び込んだような,えらく澄んだ空気感が支配していました。


 それは小さな鎮守の神さまの裏山でした。巨木が多いのは神さまの杜もりとして保護されたからでしょう。ああ,いいところだなあと思いました。これがツクツク森との出会いです。


 昨年も9月に雨の中を歩いて,変わらぬ様子に安堵しました。今年も天候は同じようなものですが,今年の「夏の森潜航」をここで閉めようかと思います。

 

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 森の入り口にコレラタケ。日本三大毒キノコのひとつ。門番のつもりでしょうか。雨雲からの青い光の中で,死のチョコレート色が不気味に鮮やかです。

 

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 さあ一年ぶりのツクツク森。相変わらずツクツクボウシが賑やかに。

 

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 さっそく見つけてしまった,ツクツクボウシタケ。今年もちゃんと発生してました。ツクツクボウシの羽化直前の幼虫を菌糸で食いつくしてしまう驚異の菌類です。

 

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 掘ってみるとこんなの。セミというだけで,菌というだけで十分に私の好む異形の生命なのにそれがアウフヘーベンしちゃっているのですからもう最高です。

 

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 昨年訪れたときよりも発生数が多い。森も菌も健在です。食われるツクツクボウシにとっては死の地雷原ですけど。

 

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 百円玉はスケールには不向きですが細かい貨幣を切らしていたので。

 

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 ザトウムシが逃げていく。

 

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 シデムシがじっとしています。ふだんは早足で歩くせわしない昆虫ですが,急な気温低下に戸惑っているのでしょう。

 

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 これはトウゲシバ。こう見えてシダ植物。暗い森の底が安心できる居場所です。いろんな奴がいるもんだ。

 

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 落ち葉の上に,指で隠れそうな小さな小さな菌類。キュウバンタケと言います。名の由来は足元の形から。

 

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 小サキモノヨ。そう語りかけたくなります。これで立派にひとつの生物種。そういう生き方を選んだ者です。

 

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 着生ランの一種,カヤランが落ちていました。何度かこのブログで記事にしていますが,地上では生きられません。落ちたら死ぬだけ。そういう終わりを迎える者もいるんです,ヒトでも菌でも。

 

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 人知れず森に生まれ,消えていく。今年も雨の,ツクツク森。

 


 私がここにこだわる理由がひとつ。この森にはもう数十回も来ていますが,他の人に出会ったことが一度もないのです。決して人里離れているわけでなく,神社のすぐ裏手で,道が通り,近くには人家もあるのに。いえ,もう今となっては出会いたくありません。ここで出会う人間,それはもうヒトではないような気がするから。

 

 

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 森の出口に,行きには気づかなかった小さな草。葉の出方が独特な,これはコシオガマと言います。たぶんお見送りに来てくれたのでしょう。愛らしいピンクの花は,今年の内に咲かせられるでしょうか。元気でね。

 

 

 

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王国雑記 春-夏

 

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       我がささやかな王国,庭のお話を。

 

 

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 家の前の道路に面して,こぼれ種から出たミツバアケビグリーンカーテンに取り立てて2年目。前年の枝を派手に切り詰めたのに,この雑種のアケビは花を咲かせ,その後つるを伸ばしました。

 

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 夏の終わりにはこんなことに。春の芽吹きで2階のベランダに達したつるを一度伐っているのですが,炎天の下その腕をまた手すりに届かせました。

 

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 春よりも力強く。

 

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 登らせておくれよう。そう言われても,このままでは洗濯ものが干せなくなるんだってば。

 

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 裏のアケビは剪定のダメージで春の花が咲かなかったのですが,夏のつるは元気よく。でも実は生らないだろう。

 

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 と思っていたらいつの間にか。猫が縁の下で子供産んでたような状況です。人工授粉を施してはおりません。どうやら私の庇護を離れていくものがあるようです。

 

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 そのアケビに真っ向からケンカ売っているのがヤマノイモ。昨年,わあヤマイモだあ,うちの庭で自然薯が採れるかも,とか思って放置していたら花が咲いて種子を飛ばしていました。今年それが一斉に芽を出してまあ大変。あちこちに出現して絡みまくっています。夏の除草を暑さを言い訳にサボっていたらえらいことになっていて,いまや駆除の対象です。

 

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 その葉に,さあこれ何だかわかりますか。実は蝶の幼虫の巣。ダイミョウセセリという地味な普通種ですがこの庭で成虫を見た覚えはありません。いつの間にか王国の住民が増えていた。

 

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 蝶の住民と言えば過去に2度ほど記事にしたのが,このホトトギスを狙うルリタテハ。見ると今年も来ていました。というかすでに幼虫が葉を食んでやがった。放置すれば花を見られなくなるので駆除です。

 

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 わが王国,緑の荘園で駆除と言えばクチナシを食うオオスカシバ。今年は卵の段階でかなりやっつけたのですが所詮は人間のやることです,目こぼしされたのが一匹だけ終齢幼虫になってました。

 

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 そのクチナシに覆いかぶさったウメモドキ。今年はカイガラムシにもやられず,実をもう色付かせています。

 

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 我が王国の「赤い実」一番槍。

 

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 赤い実と言えば真っ先に鳥に狙われるのがマンリョウ。花が開いていました。意外にグロテスクです。

 

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 この貧相なサンショウ,その葉が我が食卓の皿に添えられたりするのですが貧相なのには理由が。

 

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 アゲハやクロアゲハがぼんぼん産卵にくるんです。

 

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 何度こいつらに丸坊主にされたことか。もちろん駆除です。

 

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 庭の一隅カーポート裏の小空間・三角地帯。この庭で私が唯一自由にできる場所,というか家人の干渉が入らないいわば直轄領。アマドコロとヘビイチゴとオトギリソウと,まあそんな者どもが平和に暮らす土地に

 

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 今春とつじょオオダイコンソウが現れました。山の植物で,ふつう水戸市街に出るものではありませんが,不思議だとは思いません。オトギリソウなどと同様,山から私に付いて来たんです。連れてって,と。それはまあ情にほだされないこともないのだけど,この場にそぐわない姿と大きさなのでこのあとお別れしました。ごめんね。…… さらにこの後,同じ場所にエノキが芽を出しみるみる大きくなりました。これは鳥の落とし物から発芽するもので,前にも書いたけど好きな木です。問題は高さ20メートルを越える大樹になること。カーポートを潰す気かオイ,というのでやはり引っこ抜きました。

 

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 この三角地帯にふさわしいのは例えばこれ,ユキノシタ

 

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 小さく控えめな草姿と,小さいながらもとんでもなく個性的で自己主張の強い花。こういうのがワタシの前頭葉をシゲキするのです。

 

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 夏の暑さに辟易してる間にカラスビシャクを開花させてしまった。種をばらまかれたらとんでもないことになります。

 

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 種で増え,ムカゴで増え,地下で増え。とんでもない繁殖力を持ち,引っこ抜いても球根から何度でも復活します。生物としては面白い対象ですが,王国を占領されるわけには行きません。今度徹底的に駆除したいのですが。

 

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 1本残ったスイカズラは元気に大量の花を落としました。

 

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 もう1本を枯らした張本人(と推定される)クサボケ。今年は剪定しまくっていじめてます。こいつにはそれくらいがちょうどいいことが段々わかってきました。

 

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 枯れたほうのスイカズラの根元から,見慣れぬつる植物が生えてきました。これって…… これはびっくり,ビナンカズラじゃないか。

 

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 参考写真。こんな実がうちの庭にぶら下がるようになったら楽しいじゃないか。ただこれは雌雄異株なので,1本では実ができない。まずこいつが雄なのか雌なのか判明する最初の開花を待ちましょう。わあ楽しみ。

 

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 ハマナスは元気です。春の最初の芽吹きはこんなものでした。切株をバーナーで焼いても平気で出芽しました。

 

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 あっという間にこんなことに。美女の大暴れです。

 

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 小さきものからも大人気。

 

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 今年は花の終わった枝からばっさばっさと切り倒しているのに樹勢が衰えません。それどころか地下茎を伸ばし,新たな場所から次々と顔を出す始末。レンガ塀の危機が現実になりつつあります。

 

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 わが王国の夜の帝王。雨の夜に現れます。車に轢かれて先代が亡くなるとすぐに代替わりしました。水場からはるか遠く家々が塀で囲まれた市街地です。どこから現れるのか謎のまま。超自然的な現象と考えています。

 

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 家人が庭の野菜を収穫したあと,台所を飛び回るハエがいました。小型で細身,金属光沢のあるボディに長いあし。アシナガバエです。野菜に付いて家に取り込まれてしまったのでしょう。高断熱住宅で脱出のすべなく,最後は私の書斎で息絶えてました。これもまた,我が王国の一員だったものです。

 

 

 さぞ広い庭園,なんて思っておられますか。その勘違いはどうぞそのままに。とても全景をお見せできないような,ささやかな市街地の庭です。すき間すき間にマニアックな野生植物があって,それが虫を呼び鳥を呼び種子が芽生え,王国が多様性という富を増していくさまは今の私の喜びです。いつかすべてを ― 移動能力とか金銭的自由とかを含めて ― 失う日が来ても,心の拠り所となるような,そんな庭であり続けてほしいと思っています。

 

 

 

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御岩神社でパワースポットを巡りながら人の縁とかを考えてみたり

 

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 タイトルのパワースポット云々は単に検索エンジン対策です。いつもの記事ですのでご心配なく。


 避暑かたがた,御岩神社に詣でてきました。先日の花園に続き,今日も16ミリ広角レンズをカメラに装着してます。違う視点でこの神域を見てみよう,と。

 

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 コケの毛氈もうせん。いつもこの表現を使ってしまいますが,私にはこれ以外の言葉がありません。御岩神社の神性はこのコケあってこそ。

 

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 三本杉全景,広角レンズならでは。ここもパワースポットの一つです。

 

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 楼門。

 

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 石一つにも魅せられます。

 

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 神気清澄。

 

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 切株にシノブゴケ。

 

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 コケの森。

 

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 緑陰。広角レンズで本殿まで写しこみました。

 

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 シダの種類はわからないけど,ヒノキゴケ,チドメグサ,チヂミザサ,ショウジョウバカマ,オウレンなどなど,この場所の主役が勢ぞろいしてます。

 

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 シノブゴケのしとねに

 

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 ヒナノヒガサ。日傘を差した少女のように。

 

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 ぽんこさん,ツユクサです(私信)。

 

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 山道にかかります。途中の杉の根元に巨大なキノコが群れておりました。直径20センチを優に超える,これはオオイチョウタケと申します。神社の境内によくあるものです。

 

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 広角レンズで撮りたかったのはこういう写真。

 

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 タマアジサイは花の盛りを過ぎてハジけているのがほとんど。

 

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 咲き初めのもありました。

 

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 ヤブの下にぽろぽろと

 

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 マタタビです。はい,ここのは神さまのものです,拾っちゃだめよ。このあたりの阿武隈山地ならどこの林道でも拾えますから。

 

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 急登の難所を越えてかびれ神宮。これも全景写真は初めてのような。

 

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 稜線に出てからの最大の難所。皆さんヒーヒー。

 

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 そして山頂鞍部。阿武隈山地遠望。境内で鳴いていたセミアブラゼミツクツクボウシ,それがここではエゾゼミやチッチゼミに変わってます。これが垂直分布,ここは下界とは異なる世界です。

 

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 いつもここにはボランティアの方が常駐して案内やマナーを守らない方への注意とかしてくださるのですが,今日の担当のご老体からお声掛かり。ハート形の穴がありますよ,この春にできたんです,と。この写真でわかりますか?

 

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 もちろん最高位のスポット,「光の柱」にも詣でていきます。

 

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 今は立ち入り禁止の磐座,その下の「赤岩」。

 

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 このあたりは一面の馬酔木あしびの純林,その中をトンネルのように道が縦横に走ってます。若いころずいぶん歩き回りましたがいまだすべてを極めてはいません。以前にも書きましたが,巡礼の道かサンカと呼ばれる山岳居住民の道だったのだろうと思ってます。下手に歩くと迷うからお気を付けを。

 

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 先のご老体からまたお声を掛けて頂きました。ここは御岩神社の最高点ではあるが「御岩山」の最高点ではない,国土地理院の言う山頂はこの先20メートルほどである,と。へええ。よし行ってみよう。

 

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 あった。この岩が最高点です。

 

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 このプレートが目印。

 

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   神さまあ! ジノ。が参上しましたあああ!

 

 


 …… 忘れてた。御岩神社の神さまはたたる神さまでした。それでなくとも年相応に落ち着けと最近よく怒られます。気を付けよう。

 

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 トンボが一匹,青空に貼り付けられていました。

 


 で,そのまま下山して行ったのですが,途中ですれ違おうとした壮年の紳士に

「 ― 」,何か声を掛けられました。はい?


ジノさんですか?」

 

 うわああああ,リアルで呼ばれたああ。


「は,はいジノ。でありますっ。ど,どうしてその名を」


「そのお姿から」


 はい,おなじみ黒ずくめの場違いファッションです。何回かブログで晒した姿は,そういえばこんな恰好ばかりだったような。


 それをご存じということはかなりこのブログを見てくださっている読者の方です。しかもまるで神鳴るチカラが働いたようなものすごい偶然,ここは読者サービスに努めねばならぬところでしたが,びっくりしたのとお互い逆方向だったのとで,通り一遍のお礼を言うだけでお別れしてしまいました。あとからものすごい後悔。本当に失礼いたしました。何かお土産を,せめてはご質問に答えるくらいすべきだったのに。もうお会いする偶然はないだろうけど,ジノ。はあなたの幸せをお祈りいたしております。

 

 

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 で,そのまま裏参道を下って行ったのですが


 あと少しで境内,というところで,前を歩いていた若い方が立ち止まって私を待っています。そしてひとこと。


「〇〇先生じゃありませんか?」

 


 うわああああ,その名で呼ばれたこともあるううう。

 


 むかし少しだけお世話したことのある方でした。憶えていてくれたんです。有難いなあ。

 

 鳥居下のCAFE SFIATOさんでコーヒーを飲みながら近況などを聞きました。コロナのせいでアメリカ留学が上手くいかなかったのだけど,おかげで本当にやりたいことを見つけられたのだと。これから現実に立ち向かっていくのだと。… 今どきの若い人って本当に真面目に考えているんだなあと感心することしきりです。彼の前途を祝してお別れしました。

 

 

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 お山のてっぺんで馬鹿を晒した身には恥ずかしい程に,貴重な出会いが続きました。これも御岩の神さまのおかげということにしておきます。ハズレがないと言っては大失礼だけど,御岩神社の神さまは来るたびに何かを見せてくださいます。次からはお賽銭のケタを上げねば,なんて思ってみたり。

 

 

 

 

 

↑ 右上にあるカテゴリー「御岩神社」もご参照ください。

 

人気の記事です。よろしければ。

マタタビ酒の作り方 - ジノ。

 

 

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菌の森にて

 

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 菌の,と言ってもナウシカの「腐海」じゃありません。ちなみに「菌」は本来くさびら,つまりキノコのことです。


 また性懲りもなく花園のブナの森に来ています。高速代やガソリン代を考えると私にはかなり贅沢なことなのですが,来てしまった。


 前回(雨の森に潜って冬虫夏草とか見てみたり - ジノ。)の記事の中でふと呟いたのが,この森ではセミ冬虫夏草を見たことがない,と。そう見たことがないんです。いつも沢筋ばかり歩いているせいかな,尾根筋にはあるんじゃないかな。そう思ったらもう我慢できません。水戸北インターから常磐道に飛び乗ってしまいました。


 道なき山中を稜線から谷へ下るというちょっと危ないルートで,プロトレックのコンパスを頼りに身を低くして歩き回ったのですが,結論を言うとセミ冬虫夏草は見つかりませんでした。目には自信あったんだけどなあ。でもいつもと違う道を行けばいつもと違う異形のモノたちのすみかに行き着きます。遠野物語マヨイガに誘い込まれるように。


 というわけで,今日は見たものを見た順にご紹介するだけの記事です。

 

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 今年はすっかりおなじみエゾゼミの抜け殻。ちなみに今日はいつもの90ミリマクロレンズではなく16ミリ広角レンズを付けてきました。周囲の環境まで写しこめればと思ったんです。まあ,あまりうまくいきませんでしたけど。

 

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 トチバニンジンの実。色味に乏しいこの季節には貴重な赤。

 

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 赤い色に反応してしまいました。ベニナギナタタケ。林床一面に出ていました。

 

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 蘭の仲間,ジンバイソウ。こんな地味なランもあるんです。たくさん咲いてました。

 

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 枯れ木から何かの幼菌が。このあとどんなキノコになるんでしょうね。

 

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 トビナナフシが死んでました。生命のるつぼ,森で生きるって大変なんです。

 

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 朽ち木の上にこれまた異形のものが。細めのテルテル坊主といったところでしょうか。コケ図鑑をいくら見返しても種名が知れません。ふと気づいて「地衣類」のカテゴリーで調べて,ようやくウスツメゴケという名にたどり着きました。つまりこれも菌類だったんです。

 

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 さあ困った,端正な姿が美しいキノコですが,その名がわかりそうでわからない。キシメジ科の何か,という恐ろしく雑な結論でお許しください。

 

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 これもよくわからない微小菌です。とりあえずヒダサカズキタケ属のキノコ,ということで。キノコの下には動物の死体か骨か糞か,そんなものがあるような気がします。

 

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 ツガノマンネンタケサルノコシカケの仲間で針葉樹の朽ち木から生えてます。木材の主成分セルロースを分解して土に返せるのはキノコだけ。それがいかに生態系の循環で大切なことか。食えるか毒か,とは違う視点でキノコを語ろうではありませんか。

 

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 本日見た冬虫夏草はこれ1種,そうです冬虫夏草界の定番,ハナサナギタケ。土の下には蛾の蛹があるはずです。何個体も見ることができたので,この場所も,私の目も,まだ豊かな生命の輪環の内にあると考えましょう。

 

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 おとぎの国のキノコ,ベニテングタケがこんなところに? それにしてはやたら小ぶりです。調べてみたらヒメベニテングタケというものでした。ベニのほうはシラカバ林のキノコで,茨城にはそんなものありません。絵本そのままの姿で輪舞するかのように輪になって発生しているそうです。いつか見てみたい。

 

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 エゾゼミがムシカビに斃されていました。前回もこんな哀しいセミを見かけました。ようやく地上に出られたと思ったらカビに食われて死ぬなんて,それまでの土中での数年間はなんだったんだろう。

 

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 暗い林床でコンパクトカメラで撮ったので画質 ↓ ,ツルリンドウ。今日は顕花植物に冷たいワタシ。

 

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 ムラサキアブラシメジモドキ。すごい色でしょう。この色を再現できたので画質はお許しを。

 

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 朽ち木にびっしりとイヌセンボンタケ。小さいとはいえ数千本のキノコがあたりを覆いつくすさまは壮観というかむしろ不気味で,一面に虫が蠢いているようにも見えます。コンパクトのほうで撮ったのですが,これこそ広角レンズ付きのちゃんとしたカメラで腰を据えて,群落全体を撮るべきだったと後悔しています。本当に甘いんだから。このヒトヨタケの仲間は名の通り消長が早いことで知られ,この群落も翌日には溶け崩れていたことでしょう。いいタイミングでした。

 

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 湿った朽ち木の表面に変形菌の「変形体」。これ全体で単細胞の巨大アメーバです。菌とは言いますがキノコではなく本当に陸生のアメーバなんです。このあと「子実体」に変形してくれないと種類まではわかりません。たぶんその子実体になるために木の表面にまで這い出てきたんだと思います。

 

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 拡大。ゆっくりとぐちぐちと動いてます。タイムラプス撮影をするとその不気味な動きを見ることができますが,私は遠慮します。ちなみにぽつんと付いている甲虫はマルヒメキノコムシと言って,なんと変形菌を専門に食べる虫なんです。驚くべし生命の輪環。冬虫夏草同様,多様性が保たれた場所にのみ生きることを許される生物です。

 

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 マンネンタケの成長途中の幼菌。

 

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 菌類の豊富な森には,その天敵キセルガイもたくさん住んでます。

 

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 コフキサルノコシカケ。巨大に成長するサルノコシカケ類の代表です。

 

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「コフキ」の名は周囲にまき散らされるチョコレート色の胞子から。

 

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 これもサルノコシカケ類,エビウロコタケ。せっせとセルロースを分解しながら成長しています。頑張れ。

 

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 出たこの色,ムラサキハツ。実はフツーのキノコもたくさん見かけはするのですが面白くないので無視。学者じゃないから許して。でも見かけが特異なの,色では青や紫のにはどうしても気が行ってしまいます。この色に何の意味があるのかなんて問いは無粋の極み。ただ愛でたいと思います。

 


 これで憑きが落ちました。この森に遺恨はありません。さあ次の冒険だ。

 

 

 

↓ フツーの私らしい記事でした。どうか。 

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