ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

さっそくつまずく

 

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 4月1日、大人の夏休み初日です。ぐふふふ、何をしようか。まずは平日で人のいない玉川に行ってメノウひとり占めしてやるぜうひゃひゃひゃひゃ、とか前夜に考えていたら

 

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 夜っぴて雨。それなりの本降り。


 朝になっても雲が切れず、暗くて寒い朝です。川も増水していることでしょう。久慈川水系の神さま、悪い考えを見逃しません。とほほ。


 気を取り直して、別の行動を考えます。やりたいことは両の指でも足りないのだ。どうやら今日はもう雨が降らないようだし、アレやろう。以前にもお伝えした、県立図書館に片道4キロを歩いていき、まる一日書籍の山にこもるというアレです。本さえあればボクは幸せ。週何回かの日課にしようと思ってます。

 

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 足元をジャングルブーツで固めてさあ出発。

 

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 平日の朝、ひと気のない表通り。もっとも休日でも大差はないのですが。すっかり寂れた水戸の中心街。

 

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 途中の金毘羅さま。徒歩で通る時はいつもお参りしていきます。

 

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 とりあえず古い城下町なので、街なかに祀られてる神さまだってあるのです。

 

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 なんて寄り道をしながら県立図書館着。以前はここで休館の看板に絶望したっけなあ。

 

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 50分で歩き切りました。たぶん実距離は4キロを少し割るのでは。かなり早足で歩きましたけどね。さあ図書館だあ。

 

 

 

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          ぎゃああああ

 

 また休み。呪われたか。…… よく考えたら、今日は新年度の異動がある日で、県立の施設は引継ぎとかあるのでしょう。調べたら蔵書整理と合わせて7日まで休むようです。春休みの学生さんのことをきっぱり切り捨てるあたり、さすが県立図書館。

 

 


 気を取り直しましょう。図書館の周囲は公園緑地です。ベンチに座って、コンビニで買ったおにぎりを、昼食には少し早い時間ですが食べちゃおう。

 

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 スパムおにぎり。スパム、実は好物です。油!塩分!カロリー!の三拍子そろった理想の食品。誰だこんなもん作ったのは。

 

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 ん?

 

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 腰かけた途端にドバトが寄ってきました。何だオマエ。

 

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 スズメも視界に入るか入らないかの絶妙な位置にいます。ははんこれは。


 おにぎりのご飯粒を爪に乗せてぴんと弾くと、ハトがととっと駈け寄ってついばみます。遅れて3,4羽のスズメがわっと降り立ち、すぐ逃げます。そういうことか。

 

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 ベンチの後ろは生垣になっているのですが、振り向くとスズメの群れがこっちを見ながら鈴なりです。ヒヨドリも混じり、地面にはシジュウカラハクセキレイまでが遠巻きにしています。そうかここは餌場なんだ。たぶん毎日ここで昼飯の分け前を鳥に恵むひとがいるのでしょう。私もなんか愉快になって、ご飯粒を次々に弾いて見ます。次々と降り立っては逃げる鳥たち。スズメが取ったり、ハトが取ったり。体の大きなヒヨドリは小回りが利かず分が悪いようです。目の前でどんくさいハトにご飯粒を取られて、一瞬互いに正面から向き合いました。ケンカになるかと思いきや、ヒヨドリに遺恨はないらしくすぐ飛び立ちました。人間ほど面倒くさい生き物ではないようです。ご飯粒を空中高く跳ね上げると、スズメが見事な空中キャッチを決めます。わあすごいなあ。

 

 

     いかんいかんいかん。

 


 これはいかん。これでは公園のエサやりおじさんではないか、都会の公園によくいる。家族も友人もなくコミュ力もなく、ただハトだけがお友達みたいな。人に何を話しかけられても答えないで、ただ鳥に囲まれているような。ああいやだそんなものは目指してないんだ。危なかった。もう少しで鳥どもに籠絡ろうらくされるところであった。

 


 玉川もついえた。図書館にも振られた。もうこうなったらお散歩しかありません。幸先いいなあ、ボクの夏休み。

 

 

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 宮下銀座と言います。水戸の東照宮の足元に延びる、かつて水戸で一番怪しい商店街でした。ここの話はそれだけで一つの記事になるので、もったいないから今日はパス。

 

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 水戸市立図書館も休館、ただし今日だけ。あとで調べたら、今日は公立の図書館はどこもお休みのようです。ただしこの春休み期間に8日間も休むのは茨城県立図書館だけ。どこ見てるんでしょうねえ。

 

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 晴れ上がった空に芸術館タワー。私が歩けばこの通り、見よ晴れ男パワー。せめてはこの晴天を今日の慰めとしましょう。

 

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 ここからはまた水戸の台地の北の縁を巡って帰ります。これはきちんとお祀りされたお地蔵さま。

 

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 寛政十年(1798年)の銘があるそうです。大事にされてきたのでしょう。

 

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 以前にも記事にしましたが、水戸の台地は融水が多くて、それを市が親水公園にしたものが緑陰に。

 

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 水がキレイすぎて、ちょっと痩せたコイ。

 

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 ヤブツバキ、まだ盛りです。

 

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 失礼ながら水戸では一等地と言えない場所で、こんなイイ感じの廃屋が並んでいたり。この写真、オカルト話のときに使わせて頂きます。

 

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 これもお地蔵さま。

 

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 この道沿いは水気の多い場所で、ニリンソウが群生しています。…… 少し葉が異形です。どんな花が咲くか、あとで見に来よう。

 

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 これはユキノシタの群生。セリも混じって、水分が多い土地は植物も多様で面白い。

 

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 アブラチャンの花。

 

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 異臭がすると思ったらヒサカキが満開でした。

 

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 桜、たぶんソメイヨシノが伐られていたのですが

 

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 ちゃんと開花している。命尽きる前に子孫だけは残そうとするけなげな姿です。たとえそれが徒花あだばなであろうとも。

 

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 那珂川を見下ろす台地は昔から人々が住まっていて、市内に古墳群がいくつもあります。

 

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 畑の土の中に、これはたぶん円筒埴輪のかけら。この場所にかつて小さな前方後円墳があって、それがブルドーザーで潰された経緯を私は知ってます。これもいつかちゃんと記事にしたい。

 

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 これも小さな円墳じゃないのかなあ。

 


 ああ、今日もいろいろなものが見られました。   …… あれ?

 

 


 今日はお散歩話じゃなかったはずなのにいいいいい。

 

 

 

 

 

↓ 過去記事もどうぞ。

茨城県立図書館再訪/カフェはいったい誰のため - ジノ。

それすらもおそらくは平穏の日々 - ジノ。

 

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ジノさん最後の三日間

 

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        死んだわけではありませんよー。


 期せずして38年も勤め上げてしまったその最後の三日間。賑やかで慌ただしくて、でも心は穏やかでそして何より明るい、私にはもったいないような日々でした。自慢話になるので、そういうのを聞く気分でない方はご退出ください、ごめんなさい。


 今の事業所は総勢70名、その四分の一が入れ替わるという大きな異動になります。私の職場では異動の際に菓子やせんべいの小袋を配っていく習慣があるので、それが机に山積みになってまあ大変。その中で定年退職は私を含め二名。若い人たちが気遣ってくれます。

 


 3月29日。お餞別をたくさんいただきました。


 私が名前を貸す団体の人たちから巨大な花束二つ。モンベルのウインドブレーカーとサイドバッグ、そして寄せ書き帳。

 

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 いくら茨城は花が安いとはいえ、これいくらするんだろう。

 

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 こちらのアレンジメントも。バラ一輪のデカいことったら。

 

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 ウィンドブレーカーというのも私のことを知る人ならでは。ありがたや。

 

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 かつて私の一番弟子と言われた男とその奥さんがわざわざ来てくれました。コーヒーとガシャポンの蝶とアノマロカリスのキーホルダー。これも私をわかってるヤツならでは。

 

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 職場結婚した若い二人からはセンスの良いお餞別が。これからいろいろ物入りだろうに、かたじけない。


 昔お世話になった旅行会社の方が、役職がついて立派になって、それでも挨拶に来てくれました。お互いそれなりに年食って、ああ涙が出そう。


 私が根城にしていた作業室の膨大な私物をほぼ片付けました。

 


 3月30日。今日もお餞別をたくさんいただきました。

 

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 中でもこれはびっくり。スイスアーミーナイフ。包みを開けてみろと言われて見た瞬間 ビクトリノックス!本物! と大声を上げてしまった。お安くないですよこれ。わかってくれてるひとがまた一人。

 

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 これも個人的にはぐっときた。ぐり押し棒とムーミンのお風呂セット。軽く笑いを取るあたり、かなりの手練れです。

 

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 ちなみに私は職員全員に文明堂のどら焼きと貴石を袋詰めで配りました。貴石とは、ピンクやらスモークやらの様々な水晶や蛍石トルコ石や、これまでイベントの参加者に配っていた小さな磨き石のことです。どんなのが来るかは神さま次第。皆さん家で開けてびっくりしたそうです。私らしさを出したくて、さてうまくいったかな。


 職場の机もほとんど片付きました。

 


 3月31日。いよいよ最後の日、辞令交付があります。


 例年、辞令はボスの執務室で渡されるものでしたが、皆さん大部屋に集合してください と放送が入り、え?え?と驚くうちに定年の二人は職員全員に見守られての大セレモニーに放り込まれてしまいました。辞令、感謝状、そして花束。直属のメンバーからは大吟醸1本。過分といえば過分すぎる扱いで、13年通った事業所をあとにすることができました。

 


 社会人ご卒業おめでとうございますと言われて、え?わし社会人じゃなくなるの、じゃあ何なの、なんて。仕事を持たない、働かないとなると確かに立派な社会人とはいえませんね。周囲のひとに再就職する気は一切ないと公言していて、私のキャラクターを知る人はそれを笑って受け入れてくれてます。今までよく頑張りましたと。絵に描いたような夢想主義者だった私が、仕事なんていつでも辞めてやるなんて根性だった私が、周囲に支えられ時には追い詰められ、本来の自分を押し込めた代償にそれなりの立場になってしまいました。そして永い永い年月の果てに、ようやく本来の自分に戻る時が来ました。仕事に未練はありません。

 


 このコロナ禍で、海の向こうでは戦争があって、日本でも世界でも悲しい別れ、突然の別れ、そして中には石もて追われる別れもあることでしょう。こんなにゆったりと、あらゆる準備を整えた上での祝福された別れができて、私は本当に幸せだったと思います。

 


 願わくば、上の世界に旅立つその時にも、こんな明るいお別れができれば。

 


 念のため言っときますが、あと30年は生きますからね私。

 さあ大人の夏休みの始まりです。

 

 

 

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三月自然寸景、なんてね。

 

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 水戸の今年の三月は、最高気温が20℃を越えたかと思うと雪が積もったり、まあ振り回されました。特に後半は寒かったなあ。

 

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 三月の降雪で積もるなんて、水戸では珍しいことです。

 

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 遠くの山も寒々と。

 

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 冬が長くて寒くて遅れていたのですが、ようやくトウキョウサンショウウオが産卵しました。本当に心配していました。命は継承されねばならない。ところが。

 

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 雪の融水で、サンショウウオの卵のうが流れ出てしまいました。大変 !

 

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 ということで救出。

 

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 池に戻しました。三月中はたまに大きな降水があるので気が抜けません。

 

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 いつも早いサトザクラに見られてました。

 

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 我が庭では家人が楽しみにするオランダイチゴが花を咲かせてます。

 

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 昨年ルビーロウカイガラムシにひどい目に遭ったウメモドキの上を歩き回る小さなテントウムシ。これはヒメアカホシテントウという、カイガラムシの幼虫を専門に食べるものです。ヤツらの天敵です。ちゃんと天敵が来てくれるあたり、自然てエラいなあ。

 

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 庭の菜園のほうれん草は、冬のあいだビニールをかけてありました。おかげで我が家はほうれん草の自給ができていたのですが、そのほうれん草の葉の根元でちゃっかりぬくぬくと冬越ししているアシナガバチがいて、収穫で触れてしまった家人が刺されました。我が王国でおイタをした虫はもちろんアルコールの刑です。…… セグロアシナガバチの女王でした。女王は大人しいので、今回のような不幸な遭遇をしなければまず刺されることはありませんが、夏の働きバチは攻撃性も毒性も強くて危険です。一匹の女王から何百匹ものハチが生まれることを考えると、女王の段階で退治できてよかったかな。でもアシナガバチで越冬したり卵を産んだりできるのは女王だけ。サンショウウオを助けたこの手が、他の生物の命の継承を絶つ。そうです私は天使で悪魔 うふふふふ。

 

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 庭のヒメスミレ。これがヒメスミレ。やはり先の記事の初スミレはコスミレで間違いありません。…… まあどうでもいいことではあります。フィールドも、我が王国も、ともに春が進行しているという事実それが大事なのです。

 

 

 

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川を読む

 

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 メノウのために雨乞いを、と言ったら皆さん本当にやってくれたんですね。記事にそう書いた五日後の金・土に大雨になりました。人柱にされた信者がいなければいいのですが。


 そして雨の上がった日曜日。まだ増水したままであろうけど様子を見に玉川へ、そしてびっくり。胴長着けてもう川に入っている人がいる。しかもあちこちに、一人や二人ではなく。なんなんだこの人たちは。


 いくら三連休の中日とはいえ、多すぎるし早すぎるし危険だし、何より濁流で水の中が見えないでしょうに。とにかく人の機先を制したいんでしょう、採られてたまるかと。すごいなあこの執念。お金が絡んでる人もいるのかなあ。


 まあ人それぞれです。私はというと、目つきの悪い人たちに囲まれてのメノウ拾いなんて楽しくないし、私を勝手にライバル認定して競ってくる人というのもうっとうしい。そういう「他人」が基準の人とは話が合いません。私はその日その場の水の巡り、気の流れに従う生き方をしたい。そして今日の玉川はよろしくないというのが素直な感想。この日は遠慮して、翌日春分の日に長靴持って見参いたしました。さあ玉川は微笑んでくれるでしょうか。

 

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 まだ水が多く濁った玉川でまず覗いたのがここ。いつぞや記事にした、溝やら穴やらが縦横に穿たれた、おそらく玉川でいちばん掘られている場所です。

 

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 もう溝だらけ穴だらけ。きのう一日でどれだけの人が入ったのか。

 

 ところが面白いもので

 

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 ヒトのすることには必ず目こぼしがある。掘り出された石の中にこんなのが残ってました。

 

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 大きな晶洞があって、赤い縞模様もある。何より形が面白い。こんなのが見過ごされちゃうんだ。わざと捨てた?だとするとかなりの手練れです。私は喜んで収得させていただきます。

 

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 ちょっと晶洞探検。

 

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 ダイサギ先輩こんにちは。


 次のポイントは、先の記事でご紹介した、同じ人が川の流れが変わるほどに掘り続けておられる場所です。今日も増水した玉川でいそしんでおられました。見つからないように身を低くして、おこぼれを探します。

 

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 ちゃんとあった。

 

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 特にこれ。小さいけれどサイケデリックな色合いが美しい、これぞ玉川メノウと言えそうな一品です。

 


 他人のシマを荒らすのはここまで。ほんのいたずら心でした、ごめんなさい。本来の私に戻って、水の流れを読みながらのんびり川沿いを歩きます。


 途中でお見かけしたのが、同じ玉川沿いを車で移動しながらメノウを探し歩くお二人。渉猟しょうりょうというのでしょうか。堤防の上に停めては川に降りて、長い棒で川底を探っています。ひょっとしてアレはジョレンとかいうハマグリ採りで使う道具か。おお何て効率的な。時間が限られるときでも大漁が狙えるんじゃないかな。


 いえいいんです、私は私。自分が一番楽しいやり方で。


 街でも野でも何を求めるときでも、安全で迷惑にならず目立たない場所に車を停め、てくてくと何キロでも歩いて探し物をします。メノウ採りとしてはかなり効率が悪いけど、途中で虫や花を見ながら歩くのが幸せなんです。車で移動してはつまらない。何よりその日その時の川の流れを読むことができません。

 

 

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 お?

 

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 うわあ何だこれ。立派というより変なのを見つけてしまった。もちろんこういうのが好きなんです。

 

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 もう一つ、縞模様の出たメノウらしいメノウ。

 

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 これ以外に、形の面白い珪化木もいくつか拾っておきました。先日富岡橋でお声を掛けたご家族のお父さんが、メノウよりも珪化木に興味をお持ちだったのに適当なものを差し上げられませんでした。次の機会にはそんな方のリクエストに応えたいので。


 まあこれくらいにしておきましょう。気の早い方々につられて川に入ったけれども、もっと水が引いたあたりでのんびり探すのが自分のスタイルだと思うので、なんてね。

 


 と思いきや。

 

 

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 帰り道でこんなの拾ってしまった。

 

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 変化の楽しい、さっきのものと同様に私の好きな景色のメノウです。さあこれがどこにあったと思いますか。

 

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 こんなとこ。


 川に沿った土手の土の中から覗いていたんです。わあびっくり。

 

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 こういうのが玉川メノウの産状だとは知ってましたが、目の当たりにするのは珍しい。こんなのが川に落ちて流れてくるんです。もちろん場所は限られます。もちろん内緒。先の方々にこんな場所がばれたら、堤防やあぜ道まで崩されかねません。

 

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 そしてそれよりも強調したいこと。フィールドを自分の足で歩き、その匂いを嗅ぎ、気脈の流れとしか言いようのないものを感じる。そうして初めて見えてくるものがあります。数十年歩き続けた私なりの、フィールド哲学みたいなものです。他業種の格言に「現場百遍」というのがありますが、きっと同じことを言っているのだと思います。

 


 歩いて歩いて、今日も面白いものが見られました。この先もかくありたいと切に願います。

 

 

 

 

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チームラボ+偕楽園

 

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 チームラボ。茨城県北芸術祭で心奪われて以来、またその作品を見る機会を楽しみにしていました。それがなんと地元・偕楽園で公開するという。というか2月のアタマからずっと開催されていました。いや出不精の上に気ぜわしくて。仕事がようやく一段落した先日、見に行きました。とにかく写真に残さねばとカメラ・三脚持参です。装着したレンズはシグマの広角16ミリ一本勝負。今日はその写真をただお見せするだけの記事ですので、かるーく流してね。


 入場券はネット予約と当日券。ガラケー持ちの私は当日券しかない。入場口は「東門」と「吐玉泉料金所」ですが当日券の販売と入場は吐玉泉料金所だけで扱ってます。18時から公開,ただし開場時は混むというので19時入場を目指して桜山駐車場へ。駐車料500円、チームラボ当日券は1800円。入場口に19時予約の人たちが大行列する脇を、当日券の私はすんなり通してもらえました。

 


Walk,Walk,Walk - 孟宗竹林

 竹林に張られたスクリーン上を行列が進んでいきます。山の中で映像作品と知らずに見たら怖かったかも知れません。BGMの和笛の音が行列とともに動いてくると思ったら、着物姿のお兄さんが笛を吹きながら歩いてきました。ナマ演奏かあ。デジタルと人のワザの組合せというのがいいなあ。

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 竹林を出たところのケヤキがライトアップされていて、これは銘のある作品ではないけれど、今日のこの偕楽園という作品世界を演出する広壮な舞台セットです。

 

 


生命は連続する光 - 梅林

 広大な偕楽園の梅林の梅の木一本一本の根もとにライトを配して、梅林全体が変化する光に包まれます。そぞろ歩くうちに空間識を喪失するというか、自分の位置がわからなくなりました。単なるキレイとかではなく感覚そのものへの操作。人を惑わせ驚かせる、これぞ現代美術。

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呼応する松とつつじ

 広角レンズの面目躍如です。

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具象と抽象 - 陽と陰の狭間

 開放的な梅林から視界の限られる大杉森へ移る、その狭間に構築された境界の門。

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自立しつつも呼応する生命と呼応する大杉森

 動く花と並んでチームラボ得意のモチーフ、光る球体。よその展覧会の使い回しなんて意地悪は言いませんよ。この展覧会のメインビジュアルです。時おり強く吹く風にぼよんぼよんと揺れながら次々と色を変えて、大杉森を染めていました。

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増殖する生命の倒木 - 次郎杉

 昔台風に倒れた巨杉の切り株に咲き、そして散る花。寓意としての生と死。

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増殖する生命の巨木 - 太郎杉

 今なお旺盛に生命の気を振りまく巨杉の幹に次々と開く花が美しくて、しばらく傍観しておりました。今回一番気に入った作品がこれです。

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吐玉泉の円相

 水戸の台地の豊富な湧水を集めて、地元産の大理石の泉水から噴出させる吐玉泉とぎょくせん。作品はその渦巻く水をイメージしたCGです。

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 というわけでチームラボの偕楽園展覧会でした。私も「光」が大好きで、そんな演出を試みたことはあります。しかしこんなにも鮮やかに様々な光源を自在に操って見せられるともう沈黙するしかありません。素直に、すごいなあチームラボ。

 

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 読者の皆さまごめんなさい、見に行ってから記事を上げるまでに一週間もかかってしまいました。会期は3月いっぱいです。本当に役に立たないブログなのです。

 

 

 

 

↓ 以前のチームラボ記事です。

茨城県北芸術祭2 - ジノ。

 

↓ 行ってきました。

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花園にムモンアカシジミの卵を見に行く

 

 自分ってなんておばかなんだろう。そう思うのはどんな時ですか。


 別に統計を取ったわけではないけど、たぶん女性より男性諸氏にそういうことが多いのではないでしょうか。ねえ〇〇くん、パチンコでついカッとなって3万スった時なんてどうなの。かぐや姫に求婚してひどい目に遭った皆さんなんか他人とは思えませんよ私。


 だから、朝起きたとき宇宙からの電波に耳元でさあ花園行こうよ、ムモンアカの卵を見るなら今だよと囁かれて迷わず車を乗り出したことなんか小さい小さい。水戸から北茨城への高速代とか往復百キロ分のガソリン代とか、もちろん気になりません。

 

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 というわけでおなじみ花園の山中に参りました。完全冬装備でも寒い。木陰には雪が残ってます。きっとまだ氷点下になる朝があるのでしょう。希少なゼフィルス(ミドリシジミ類)のムモンアカシジミは卵で越冬します。まだ春が来たとは思っていないでしょう。昨年幼虫がいた木を見てみると

 

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 あった。

 

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 あっさり見つけてしまいました。ムモンアカシジミの越冬卵です。

 

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 直径1ミリ。産卵直後は美しい赤色。でも厳冬の山で冬空の色に染まってしまいます。中ではもう小さな小さな幼虫の姿になっているはずです。母蝶が残してくれたこのカプセルに丸く収まった儚い命に、何か声をかけてやりたくなります。


 残念ながらこれ1個しか見つけられませんでした。もちろんもっと産卵されたはずで、昆虫なら数十個から数百個はないと個体群を維持できません。私が見つけられなかっただけと思いたいのですが…… まさかマニアに盗られたか。メルカリに茨城産ムモン卵2千円とか出てないか。不安は尽きません。


 ムモンアカシジミは今、数を減らしています。もともと森の片隅の数本の食樹に依存して細々と生きてきた蝶です。その木が伐られたらそこでおしまい。蝶マニアや換金目的のヤカラに目を付けられてもおしまい。珍蝶を手に入れるためなら何でもするマニアは高齢化したとはいえまだ全国に健在です。私も元採集家なので偉そうには言えませんけど。

 

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 人声の絶えた山中で、何やっているんだろうわし。

 

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 驚いたのは、まだ冬が続くこの花園で、もうクロクサアリが活動しているということ。こんな働き者とは知らなかった。ムモンアカシジミの幼虫を守るアリです。

 

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 つやつやボディが美しい。

 

 さてしかし。着いて早々に今日の目的を達成してしまいました。残りの時間は全部おまけのフリーです。わあい何しよう。

 

 

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 とりあえずこのあたりの最高峰、和尚山おしょうやまにでも登ってみるか。

 

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 登山口から直登15分で着いてしまう山頂。他所からの縦走路がない独立峰。眺望の効かない頂上。この登山ブームのさ中でも人気のない山ではあります。

 

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 山頂のブナの木肌を撮ったらもうやることがない。

 

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 皆伐されて二・三十年の、若くて多様性に乏しい植生。たぶん夏になっても私が潜りたいとは思わないであろう、これが和尚山の森でした。

 

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 まだ時間はたっぷりあるので、阿武隈高地を横断して御岩神社にお参りしよう。道路総延長北海道に次いで全国2位、よく整備された茨城の道を快適に飛ばして、おなじみのお社に到着です。

 

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 オウレンの花が盛りでした。ただ雨不足で周囲のコケがカラカラだったのが残念。こんなに乾燥した御岩神社は初めてではなかろうか。先日のメノウの記事でも申しましたが、やはり雨乞いが必要です。

 


 実は今日、平日でした。休日出勤の代休がちゃんと出た。おかげでどこに行っても空いていて、いい1日になりました。と言うかいい1日の使い方ができた。おばかないい1日。ああ、4月からもかくありたいものです。

 

 

 

 

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その名を知らず初スミレ

 

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 視界のすみの紫の光に思わずと声を上げてしまいました。十分予測できたはずなのに。

 

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 今年の初スミレです。冬が寒かったのでもっと遅いだろうと油断しました。昨年と同じ個体、カーポートの目地に根付いたヒメスミレです。いやコスミレです。

 

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 …… 実を言うと昨年色の薄いヒメスミレとご紹介したこのスミレ、1年間ずっと悩んでいました。「側弁が有毛」という特徴からヒメスミレと判断したのですが、花姿はどう見てもコスミレなんです。同じ種類でも西日本のものは毛があるらしい。なにせ出どこ不明の我が家のコスミレ、変な血が混じっていても不思議じゃない。

 

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 とりあえず読者の皆さまも巻き込んでしまえ。左右の花びらの付け根に白い毛があるのわかりますか。これがスミレの分類ポイントの一つ。さあこれであなたもスミレ博士だ。うふふのふ。

 

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 ま、どうでもよろしい。気高く愛らしく寒風の中咲き初めた我が家の初スミレ。ここは素直にその美しさを愛でて下さいませ。


 しかしこれは人工環境での早咲きです。自然環境での超・早咲きスミレと言えば何といってもアオイスミレ。毎年「いつものフィールド」の代わり映えのない写真をお見せしてしまうのですが、これは縁起物です。こらえてつかあさい。


 で、やってきましたいつものフィールドの、山を登って降りた沢。帰りにはまた登らねばなりません。たかだかスミレのために大汗をかく、この楽しさがわかるかなあ。強いて言うなら美女に振り回されてひどい目に遭ってヒイヒイ言って、ああオレって馬鹿だなあとか思いながらニヤリと笑う、そんな楽しさでしょうか。

 

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 途中にミツマタの花。ああこれもまた春告げ花であった。

 

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 冬を切り抜けたルリタテハが舞っていました。春を喜ぶものがここにも。

 

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 ありました。笑いさざめきながらあっという間に過ぎ行く少女のような、アオイスミレです。

 

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 震えるように細やかに波打つ花びら。明けの空のような紫のグラディエーション。奥に光る濃色の花芯。ああこれぞ野の春のさきがけ。

 

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 こちらの群落は、一面に落ち葉を被っていたのを丁寧に取り除いてやってしまった。ほうら光をあげよう。露骨に不公平な、スミレと他の植物とかなり扱いが違う自分にじくじたる思いはあるのですが、スミレだから仕方ない。

 

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 帰り道、悔しいことに沢に降りる手前の稜線で別のアオイスミレの群落を見つけてしまいました。沢に降りてまた登らなくてもよかった。ぐぬぬ。まあいいや、来年は楽して写真を撮らせてもらいましょう。

 

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 これも早咲きのサトザクラのつぼみが膨らんでいました。

 


 スミレの花咲く季節が始まります。スミレ大好きジノさんの季節が始まります。この日本には多くのまだ見ぬスミレがあって、今年はそんな者たちを県外に見に行けたらいいなと思っています。

 

 

 

↓ いよいよ野に出でて、季節を追う日々です。

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