
9月の記事で,武生林道でマタタビを拾ったお話を書きました。その時竜神ダムを挟んで向かい側に見えた岩峰,三角形に突き立った,木がなければ槍ヶ岳のミニマム版に見えるであろう山,明山が気になりました。うわあ,あんなにとんがっている。岩だよなあ。登ったら怖いよなあ。そんな高所恐怖症のおののきを感じる一方で,あの山頂に立ちたいという思いも生じたのでした。

で,とうとう来てしまった。

ハイキングコースとしては昔から知られた地域です。さて。

鶏足山や筑波山と比べるとずっと人も少なく,荒れていない印象です。だから狭くて急傾斜。

こんな大岩を巻いていきます。1500万年前の海底火山噴出物で出来た角礫岩とか集塊岩とか呼ばれるもので,ここ奥久慈の岩峰,男体山とか月居山とか袋田の滝とか,みんな同じ岩です。すっごく硬いので浸食されにくく,急峻な地形の元になってます。しかもその後大きな断層活動があって,ここらの地形をより険しくしました。この登山道,実は断層の崖を登っているんです。低山といえど侮れない。

登るうちに空が近くなり

稜線に出ました。

向かいの山に見え隠れするのは武生集落の農家や都会のお金持ちの別荘です。

遠くに篭岩。山の名です。

ここで驚くべき事実が発覚いたしました。今登っている山の名,私はてっきり「あけやま」だと思っておりました。間違いです。「みょうやま」でした。…… みょーやまぁ!? な,なんかえらく気の抜ける名だぞ。いいのか,いいのかそれで。

コウヤボウキが花盛り。

シラヤマギク。どこにでもある上にこの雑な花姿が災いして,いつもザコ扱い。たまには撮ってあげましょう。

地味なものですいません。記録としてイヌヨモギ。

ヤマツツジが盛大に狂い咲きしてます。

森の住人ザトウムシ。つい相手にしてしまいます。

キボシアシナガバチの巣なのですが,部屋が少なすぎます。たぶん何かあったのでしょう。スズメバチによく襲われるそうです。

ダンコウバイがここではまだ緑色。今年の紅葉,前の記事では当たりと評したのですが,どうも微妙です。揃っていない。気の流れが違うのでしょうか。

ヤマモミジはちゃんと紅葉してました。

面白いのは,暖地の木ヤブツバキが山頂近くの稜線にあること。どうやってここまで登って来たのだろう。

ここの植生,たぶん何度もの皆伐で本来の自然のものは残ってません,残念ながら。高度的にはブナやミズナラがあってもいい。でもあるのはシデやコナラや

スギの植林。よくこんなところまで植えたなあ。

こんな傾斜です。皆伐されて木がない時なら,怖くて歩けないでしょう,私なら。

え? ここ登るの? 私には壁がそそり立っているだけに見えるんだけど。
ここからしばし実況を中断いたします。登りに集中させてください。ひぎぃぃ。

出たあ,山頂です。登り口から1時間弱。短時間で岩登りやら楽しめて達成感も味わえるのが奥久慈の山のセールスポイントなんです。

ちゃんと三角点。でもほこらとかはないんだ。イヌシデとコナラの木が生えてます。

頭上イヌシデの紅葉。

北側のパノラマ。

東に阿武隈高地遠望。

遠く日光男体山。

近く奥久慈男体山。だあれ,見劣りとか言うのは。

遠くに筑波山。

近くに竜神大吊り橋。たくさんの車が見えます。バンジーは見えません。

コナラの幹に地衣類。

その上をアリ,たぶんルリアリという種類です。木の上に何があるのか,おなかをぱんぱんにして降りてきます。本物の高山の二千メートルを越える高さにもこんな虫たちが結構いて,ここにどんな生活があるんだろうなんて想ってしまいます。遠くへ行きたいとか楽に暮らしたいとか望むこともなく,ただ目の前の生活を黙々と遂行する人生。それを羨ましいと思うほどには私は疲れてないのだけれど。
山頂の四周は断崖絶壁。怖いよ怖いよと呟いていたのに,カメラを構えると不思議に恐怖を感じなくなりました。おお,何かわし,いっぱしのカメラマンみたいじゃん。

しかし登ったからには降りねば。え,ここどうやって登ったっけ。山は下りが危ないとやら。慎重に行きます。
無事に下山できました。特にここだけの物はなかったけど,また一つ茨城県を制覇した気分です。
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