ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

立夏次候蚯蚓出

 

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 【立夏次候蚯蚓出】りっか じこう みみずいずる


 せっかく撮った花姿がお蔵入りしそうなので,ざーっと並べてみました。理屈抜き,見るだけ見てください。

 

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 なんとなく玉川パトロールは続けているのですが,道すがらにこんなヤマフジの群生を見てしまった。

 

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 わざわざ車を停めて,90ミリマクロを三脚に据えて気合入れてしまいました。信号のある場所だったので,赤で停止した車からの好奇の視線がいやあ痛かったなあ。

 

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 ここに限らず,最近ヤマフジの花が目につきます。フジのつるが絡むのは木にはよろしくないのですが,里山が管理されなくなりフジが野放しになっているというのが真相だそうです。

 

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 同日,田んぼのふちに野生化したコンフリーヒレハリソウ。一時期万病に効く薬草ともてはやされましたが,肝臓に傷害を与えることがわかって廃れました。人間の身勝手です。

 

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 休耕田が一面のアメリカフウロでした。名の通り帰化植物。日本にはこんな地味な花のフウロソウはありません。

 

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 これも休耕田によくあるオヘビイチゴ。イチゴといいつつそれっぽい実が生りません。

 

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 別の日の夕刻,突然思い立っていつものフィールドへ。トウキョウサンショウウオが今年も生をつないでいました。最初に産まれた卵のうが持ち去られたので心配してました。

 

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 キンポウゲ,なんだけどやたら大きくてがっちりしてました。園芸品種? 外国の? それとも倍数体?

 

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 ネムノキは目覚めが遅いことで知られます。しかし5月になっても枯れ木姿なのはさすがに怠惰のそしりは免れません。

 

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 ヒメヘビイチゴ? だとすればここで初めて見ました。

 

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 カキツバタは珍しい。ただし植栽の可能性あり。

 

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 ヤブツバキは本当に花期が長い。

 

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 ホオノキの花が芳香を放ちます。

 

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 ホオノキは古代植物です。つぼみもどこか異質な風情があります。

 

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 夕刻の風が渡る谷で,ミズキが花盛りでした。

 

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 さらに別の日。以前トリカブトを見つけて記事にした場所に行ってみました。前に見たより大株になっていました。花が楽しみです。

 

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 セリ科のハナウドが盛りでした。斜面を一面に覆って,異界の花園みたいです。

 

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 複散形花序というセリ科独特の,まるで花火のような花。周辺部の花の花弁が長く伸びるのがわかりますか。

 

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 同型の反復が美しい。ちなみにここに写ってるのはすべて雄花。前の写真が両性花。ハナウドは茎の先端の花序だけが実をつけ,葉の付け根から出る花序には雄花ばかり,ただ咲いて散るだけ。あだ花というやつです。あだではあるが無駄ではない。

 

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 ヤブデマリの花は終わりかけてました。アジサイに似てますが科が違う,根本的に構造の異なる花です。私にはよくわからないけど。

 

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 シソバタツナミ。小さな小さな林床の花。地元にあるとは今まで知りませんでした。この日は5キロくらい歩いた,その過程での発見です。歩かないと見えないものはいくらでもあるものです。

 


 二十四節気をそれぞれ三つずつに分けた七十二候,5月14日までが立夏の二番目「みみずいずる」でした。ミミズが地上に這い出てのたうち回る季節だそうです。がんばれミミズ。

 

 

 

 

↓ 関連記事です。 

うちの近所のトリカブト ~冷温帯の隅っこで - ジノ。

 

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森に生き田園に死す/ソローとギッシング

 

ふと読み返した本を二つ。思い付きです。真面目な書評は他の方のブログをどうぞ。

 

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森の生活   H.D.ソロー


 原題は「ウォールデン,または森の生活」。1854年の出版いらい,世界中の知性ある真面目で心優しい多くの若者の人生を狂わせてきた悪魔の名著です。著者 ヘンリー・デイヴィッド・ソロ-(1817-1862)はすっかり神格化されて現在では作家・思想家・詩人・博物学者・環境保護運動家などと紹介されますが,存命中は過激で行動的な社会活動家で文筆家,というのがせいぜいじゃないのかな,一度も定職に就かなかったっていうし。生前に出版された著書はこの本を含めて2冊だけだそうです。ガンジーキング牧師にも影響を与えたとまで言われます。すげえな。

 

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「森の生活」はそのソローが20代の終わりごろ,自然保護運動の一環としてウォールデン湖のほとりに小屋を建ててそこで暮らした日々の記録です。最初の章「経済」でその「家」を建てるのに要した費用,さらには日々の生活での収入と支出が記され,ほらたったこれだけで家が持てるんだよ,これだけのお金で生きていけるんだよとまくしたてます。こらこら,そんなこと言うから世界中の若いやつらが真似するんだってば。


 以後の数章で描かれるのは人間の愚行に対する痛烈な批判と,湖畔に展開する美しい自然の描写。ユーモアに欠ける,時に攻撃的な文章は,日本にも数多い信奉者の皆さんには悪いけど,発達障害入ってるんじゃないのこの人,と私には思えます。ただし過激な物言いながら本人は徹底した非暴力,非差別の平和主義者。しかも行動が伴うというまさに革命軍の先頭で旗降って歩いてるみたいな人です。

 

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「死と再生の神話」とまで評される本書の,小屋を建てた夏に始まり秋,冬と続き春に終わる構成は見事です。自然の清澄さと,その自然を私物化し破壊し利益を得ようとする俗人たちへの批判が繰り返されます。ああ,私が書きたいのもこんな文章なんだよな,と思いました。書いたところで今となっては単なる追随者ですけど。


 ツっこみどころはありますよ。八畳間ほどの室内にあるのはベッドと机と暖炉だけ。トイレは?キッチンは?風呂は?洗濯は? 生活感が足りない,というかどうしていたのか想像したくない。それにそこは生まれ故郷ボストン近郊コンコード村,実家が村内にあるんです。行き来がなかったはずがない。しかも生活の期間は2年と2か月にすぎません。


 それでも,この本が訴える強烈なメッセージは揺らぐことはありません。最初に書いたように,知性ある真面目で心優しい若者が読んだなら,自分もすぐ行動しなきゃと思わせてしまいます。

 

 

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ヘンリ・ライクロフトの私記

                    G.R.ギッシング


 こちらは創作物です。ある個人の田園生活をつづった手記という体裁をとります。


 描かれたひと,ライクロフト氏は作者が強く投影されたイギリス紳士です。売れない物書きとして長くロンドンに暮らし,貧窮を極め,人生の辛酸を舐めつくしました。ところが50歳のとき突然富裕な知人から年金の遺贈を受け,大金を支給される身分となりました。氏はさっそくロンドンを引き払い,南イングランド・デヴォン州の片田舎に隠棲して,四季の移り変わりを楽しみながら読書と思索にふける理想の生活を送り,5年後に静かな死を遂げます。ファンタジーです。イギリスの教養ある中産階級がこうしたいと考える夢をすべてかなえたファンタジーです。隠遁者の随想と見れば『方丈記』や『徒然草』といった随筆文学に通じるものとも言えます。

 

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 作者はイギリスの小説家 ジョージ・ギッシング(1857-1903)。この本は44歳の死の直前に出版されています。ライクロフト同様に売れない小説家でした。生涯貧乏で,頭脳明晰でありながら本人の破滅的性格もあって幸福からは程遠い人生でした。肝心の小説も,ユーモアを解せず人の心の機微を描けないというのが致命的で,評価されることはなかったといいます。作中で「イギリスを離れた遠い異郷で死ぬ,などと考えただけでもぞっとする」なんて書いておいて最期の地はフランスだったり,もう救いようがない。本作はそんなどうしようもないギッシングが,自分より十歳年上のライクロフト氏にすべての希望を託したものです。哀しいなあ。

 

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 しかし描かれた日々の自然は美しいの一語に尽きます。ヒバリの声で目覚め,日課の散歩で季節を追って次々と咲く花々を楽しむ。清廉な個人主義者,というのもしっくりきます。文章も,前出の「森の生活」より私に馴染みます。いきおい抜き書きも多くなりました。


「自ら好んで都会で日夜をすごしている人々,客間に集まって無駄口をきき,料理店で馬鹿騒ぎをし,劇場のぎらつく光の中で汗をかいている人々がいると思うと,私はちょっと異様な感じがする。彼らはそれを称して人生という。享楽ともいう。いかにも彼らにとってはそうだろう。彼らはそういう風にできている。彼らがその運命の通りに生きているのを不審に思う私の方が愚かなのかも知れない」


ああ,こんな文章を自分で書いて,いま都会でコロナを広げている連中に読んで聞かせたいぞ。

 

 


 どちらの作品にも,たくさんの生物名,特に植物名が頻出します。翻訳者泣かせです。翻訳者はたぶん学名まで調べ,同種で日本語の和名があるならそれを使い,属が同じで見た目も類似なら便宜的に和名を当てはめ,ない場合は創作し,あるいはイメージできそうなら英名を使います。キンポウゲ,ヤナギタンポポ属(ライクロフト氏がこだわった),ヤマハハコ,クマシデ,ニセニレ,レンタカンバ,ハードハック,などなど。遠い異国のお話なのに,おかげでそこに広がる植生をイメージできました。

 


 いずれも日本では明治維新のころの作品です。互いに根本的に異なる思想で書かれています。なのに今でも世界中で,もちろんこの東洋の島国でも愛読されてます。いつの時代にも,どこの国にも,季節の移ろいを愛する人がいることの何よりの証拠だろうと思うのです。

 


 ソローとギッシング。ともにおカネを積むことで他人から供給される享楽にはなんの価値も見出しません。おのが心の赴くままに日々の自然を賛美します。私はそんな価値観に共感します。きっと,私のブログの読者さまにもそういう方は多いのではないでしょうか。空を渡る風,季節を告げる花々,自然の懐に隠された美しい謎。何を美しいと思うかはそれぞれでも,一般社会では市場価値を持たないものにこそ人生の真実があると信じられるひと。聖人君子である必要はありません。ただひとつ,自然に相対するときのルールとして,自分の中に越えてはならない一線を持っていることだと思います。

 

 

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 改めて読んで,自分の文章の自然描写の浅薄さを知らされました。精進いたします。

 

 

 

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小さな王国,夏のはじまり

 

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 わが方丈の庭。ささやかな生命の楽園,光の王国。多くの生き物が世代を重ねます。

 

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 テッセン,というか原種のカザグルマに近いものですが,にぎやかに開花しています。コアオハナムグリが幸せそうにもぐりこんでいました。

 

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 花弁やおしべを走り回る赤い粒。ひとつの花にダニが群れてます。この季節よくコンクリートの上を駆け回っているものと同種だと思います。落ちている花粉を食うのだとどこかで教わりました。生き物の生活は千差万別,生命の数だけ生き方がある。

 

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 ついに今年もスイカズラが咲きました。ここから次々と咲き広がって,わが王国のみならずご近所一帯を濃密な香りで満たします。これが王国の夏のはじまり。

 

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 多くの昆虫を引き付ける人気者です。さっそくハナバチが挨拶に来ています。

 

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 アブラムシにも好かれます。そこへ天敵のナナホシテントウが卵を産んで…… ここでもまた命の循環が始まります。小さな小さな命の光に満ちた王国。

 

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 スイカズラの根元には剪定した枝が積まれ,そこがトカゲの子どもの隠れ家になってます。しましま柄に青いしっぽ,ここで世代を重ねるものの一つです。

 

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 そして,数々の試練を乗り越えて,ど根性ハマナスも開花しました。スイカズラハマナス,夏の使者の同時開花です。

 


 南風がそよぎ,蜂の羽音が届き,二つの花が開く。そんなことにも何かの意味があると私には思えるのです。

 

 

 

ハマナスと言えばやはりこの記事から。

ハマナス退治 - ジノ。

 

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常陸大宮,陰陽神社が冗談にならなかった件

 

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 毎度おなじみ私のフィールドが点在する常陸大宮市。一度行かなくちゃと思っていたのが陰陽山森林公園という場所です。

 

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 山下の駐車場。山上にもありますから楽したい人はそちらへ。

 

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 ウリカエデ。

 

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 ミズキ。駐車場のまわりはいい感じです。


 なぜこの場所かというと,以前ここで自然観察会があって参加したかったのですが所用で果たせず,どんな場所か気になっていたのです。さあ登るぞ。

 

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 なるほど。

 

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 地図ではここは池のはず。おーい埋まってるよ。遷移が進んで湿地になり果てているよ。


 いろいろとオチが読めてます。とりあえず地図の左下の展望台とやらを目指します。

 

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 ぐずぐずの道。百円掛けてもいい,展望台は植物に埋もれてるはず。

 

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 ほらね。

 

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 ウコギの花が咲いてました。本当に森に埋もれてます。整備する予算がないんでしょう。以前同じ常陸大宮の百観音というところでも同じ経験をしました。水戸の森林公園だって草原と地図に描いてある場所に行ってみると低木林だったりします。日本の国は森の国。整備しなければすべて森に埋もれていくんです。ジノさんイチ押し Dr.STONE という漫画でも,三千年後の森に埋もれた日本が舞台でした。

 

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 途中にこんなものもありました。あずまやの跡かひょっとしたらこれが展望台だったのか。…… 廃墟とか,人間の営為が自然に埋もれていく様は個人的には好きです。アンコールワット,マヤ,アステカなどなど。

 

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 キンポウゲにキリギリス類の幼虫。自然の手に戻されつつある公園で,生を謳歌しています。

 

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 山上の駐車場にまた案内地図が。さきほどの地図もそうだったのですが,まったくアテにならないことがのちほど判明します。しかし何より

 

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 この絵。

 

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 これ。

 

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 ぐああボクの心のミューズが悲鳴をあげる。名は忘れましたが洋画家でこんな人物を描く人がいましたが,それより天才すじの絵柄です。夢に出そう。

 

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 なんて感じで,ここが陰陽神社の参道になります。

 

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 予想外,超・石段が出た。… 今回,まったく予備知識なしに来ています。陰陽という名だけでなんとなくわかったつもりで。そう,アレですよね。そういう形の石か木彫りかがあって,スケベなオヤジが女の人に見せて喜んでいるような。そんな猥雑な先入観があって,少し軽蔑というかナメてかかっているんです,最初から。

 

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 石段を登りきると拝殿が。

 

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 でもさらに参道が続きます。ここは前宮らしい。

 

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           イイ感じの道が続き

 

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 本殿に到着。さて陰陽とやらは。

 

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 社の裏に大岩があります。そうかここは岩蔵が陰陽か。何やら縁起が書かれています。

 

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 ふむふむ光圀公が。大体このあたりの名勝というと義公(光圀)か烈公(斉昭)の名が出るよな…… って,え?

 

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        えええええっ


 く,崩れた。ご神体が。大震災で。


 陰陽どころの騒ぎじゃありません。ご神体が地震で無くなってしまったんです。

 

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 倒れた大岩,しめ縄も生々しく。これは「陽」のほうでしょうか。なんと痛々しい。

 

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「陰」のほうはとりあえず存続しているようですが,もうどれがどれだか。

 

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 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。猥雑とか言ってごめんなさい。こんなひどいことになっていたなんて。


 三百年以上も崇敬されてきた神さまの,そのご神体が崩壊してしまったんです。氏子の皆さんの落胆はいかばかりか。百トンクラスの大岩,こんな山上でどうすることもできません。互いに何と励まし合ったか,それを思うと胸が痛みます。

 

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 お社はこんな凝った作りです。本当に由緒ある神さまなんですね。サイフの小銭ぜんぶ賽銭箱にぶちまけてきました。

 

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 本殿裏の展望台はちゃんと展望台でした。

 

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 南方向が遮るもののない絶景でした。冬に来たら素晴らしいでしょう。


 ここまで来て何ですが,あの2枚の看板地図,絵は天才過ぎるし道はデタラメだし位置関係はめちゃくちゃだし描くべき対象が足りてないし,およそ役に立ちませんでした。

 

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 周囲は主にカシ類の森。水戸近辺では珍しいアラカシがあります。その樫の木が茂る中を下山したのですが

 

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 どこだここは。

 

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 これはひょっとして,裏側にあったゴルフ場ではないか。

 

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 来た道を辿ったつもりが,裏道を下ってしまったようです。どこで間違えたか,全く憶えがありません。というかこんな見事に道を誤ったのは久しぶりです。タヌキに化かされたような…… いいえ,神さまでしょう。こちらの心根がしっかりバレている。形ある依り代はなくなっても,神さまはご健在のようです。

 

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 さあそこからが大冒険。また長い石段を上がるのも嫌だなあ,と見ると傍らに藪に消える道が。どうやら山をぐるりと巻いて反対側に抜ける道,と判断しました。ダメだったら戻ればいいや。

 

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 ああ,百観音でもこんな冒険したよなあ。

 

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 廃道寸前の荒れた巻き道でしたが,生き残った看板があったりして

 

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 なんとか元の場所に帰れました。

 


 ご神体の崩落なんてひどい目に遭った神さまに,失礼な物言いをしてしまいました。次はもっと敬虔な気持ちで参ります。

 


 いろいろと反省の多い山歩きでした。

 

 

 

 

常陸大宮侮りがたし。

旧緒川村・百観音が思わぬ冒険になってしまった件 - ジノ。

 

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海岸の宝石とやらの接写です / そろそろ仕舞を考えよう

 

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 初崎海岸。ずいぶん通いましたが,そろそろ潮時,というより飽きたかな。最後に砂を頂いたのは1月30日でした。その砂からちまちまと高温石英やシーグラスをピンセットでつまみ上げます。貧乏人根性丸出しで大量に持ち帰ったので,処理が終わったのは3か月後,つい先日でした。さすがにイヤんなった。

 

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 これまでに採ったシーグラスと高温石英。ね,飽きるでしょう。採った回ごとにきちんとラベルを付けて保存。そのあたりは腐っても理系です。

 

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 最近は肉眼で六角結晶かなと見えたものを別に除けて集めてます。

 

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 本当に見事に透明な初崎海岸の高温石英です。ちっちゃいけど。

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 シーグラスも大きいものは最初に拾い上げてます。あらきれい。

 

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 最後にまとめてハイターで消毒してます。濡れているうちに撮影。

 

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 宝石箱みたいだなあ。

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 大きいシーグラスと細かな石英の対比も面白い。

 

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 元はどんな瓶だったのかななんて思いを巡らすのも楽しい。

 

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 え?退屈ですか。いいんです私が楽しければ。

 

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 このバットに山盛りの砂からこれだけ採れました。

 

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 最近お気に入りのケーキ屋のプリン瓶。重宝してます。

 

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 こんなん採れましたー。ひと瓶あたり1ヶ月かかってます。売るとしたら…… いや売れねェ。もう体の一部です。大切なひとに差し上げることはあるかもしれませんが。

 


 松任谷正隆さんの文章で,車好きのバンドメンバーの話がありました。いい車ばかりをその都度苦労して買い求め,その愛車を丁寧に整備しながら大事に乗り継いで,最後に憧れのポルシェを手に入れました。やがて病が判明し余命宣告を受けたとき,みずからそのポルシェを処分したそうです。その時彼はどんな想いだったか,考えるだけで胸が詰まります。きっと私は自分の手と足で集めたメノウや石英を処分するときに,同じ想いをするのでしょう。

 


 今年も無事に誕生日を迎えました。来年は定年です。再任用や再雇用は考えてません。悔いなく生きるつもりです。

 

 

 

 

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キクスイカミキリあらわる 【虫です】

 

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 母が丹精している菊の,新芽がしおれています。それも1本2本ではなく,一か所に植えてある菊の芽がすべて。これはおかしい。

 

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 見ると,茎が鋭利に切断されてます。昆虫に詳しい方ならピンとくるものがありませんか。ヤツだ。ヤツが現れた,ついにこの国に。すでにこの村は全滅だ。


 別に植えてある菊を捜索します。どうやらあそこを全滅させた敵はこちらに移ったようで,1本やられてます。今なら間に合う。どこだ。

 

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 いたあ。逃がしては元も子もない。すぐ室内に連行しました。

 

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 胸につけてるマークはボンボリ。キクスイカミキリ,キク科植物の天敵です。茎をかじってしおれさせ,そこに卵を産みます。生まれた幼虫は茎を食い進む。退治しないワケにはいきません。

 

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 せっかくだから90ミリ砲を食らってもらうぜ。

 

 

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 全長わずか1センチ。でも立派な触角を備えたカミキリムシです。

 


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 90ミリマクロレンズが表面の微細な篆刻と体毛を捉えます。センサーであったり,光学装置であったり,このボコボコ,この毛のすべてに意味がある。人間の数百分の一の数の神経細胞ですべてをやってのける機能性と合理性のかたまりです。

 

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 その上下に分かれた複眼で何を見る。その芥子粒のような脳で何を思う。


 私の懐で狼藉を働いた者には,以前のアカイエカと同じ運命を与えます。かくしてこのキクスイカミキリはアルコールの露と消えたのでした。もがいてる写真もあるんだけどそれは自粛しますね。

 


 我が王国にまた新たなメンバーが闖入していたことが判明しました。多様性が大きくなるのは良い傾向です。このカミキリもあらいい国ね,くらいに思ったのでしょう。歓迎されざる者だったけど,とりあえず私は喜んでいます。

 

 

 

↓ 関連リンクです。

【アカイエカ拡大いきます】 - ジノ。

 

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月居山に登ってきました

 

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 予定を入れない5連休,約束しない貴重な休日。


 …… のはずでしたが,きょう3日は付き合いで奥久慈の月居山つきおれさんに登ることになりました。すいません山姿の写真があるはずでしたが見つかりません。


 月居山は袋田の滝の片側にそびえる標高404メートルの山です。南北に2つの峰があるのですが,こんな低山でも双耳峰って呼んでいいのかな。わかりやすい形をしていて,県北の山に登るとあああそこに,と袋田近辺を示すいいランドマークになります。

 

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 今日の袋田の滝はすごかった。昨日の雨を集めて大激流です。滝を見に来たお客さんはラッキー。観瀑台に容赦なく水しぶきが掛かってます。日本三名瀑というのはどうも西国では浸透していないらしいけど,迫力という点で文句なく華厳の滝那智の滝を超えた日本一の滝です。えーとか言う前に一度見に来てください。

 

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            ずどどどどー。

 

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 その滝の隣を滝と同じ角度で登るのがこのラッタル。慣れるまではゆっくり上がりましょう。下るのは大変なので,私はもっぱら登りでここを利用します。

 

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 ウツギの花が咲いている…… ああ,一人ならじっくり写真を撮れるのに。

 

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 滝の上部もすごい水量です。当たり前か。

 

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 本当にエラい滝なんだってば。

 

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 ひとつ上流の生瀬の滝。

 

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 そして稜線に出ます。この稜線は棚倉断層に沿ったもので,久慈川に沿ってはるか南まで続きます。下界とは気候帯が違う,いわば別世界です。風が寒かった。

 

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 ああ,ツクバネウツギがピンボケだあ。じっくり撮りたかったよお。


 いったん北峰を登って降りて,2つの峰の鞍部に到着。かつてここにはお寺があって,山門と鐘が残ってます。

 

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 残っているものがもう一つ,大イチョウ。その当時に植えられたものでしょう。森に埋もれつつあります。雄の木で,雄花を盛んに散らしてました。やがてここで朽ち果てる運命です。

 

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 ニリンソウ

 

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 クサイチゴ。

 

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 ミヤマハコベも。白い花ばかり。

 

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 驚いた。これカタクリの実です。気づくとそこここに。月居山に自生があることを不覚にも知りませんでした。花期にはさぞや見事な群落だったことでしょう。早春に芽生え,他に先駆けて咲き,そそくさと実を成して初夏には消え去る春植物スプリングエフェメラルの代表です。

 

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 エイザンスミレの成れの果て。山中に隠れ住む高貴な姫君,と私が例えたのはあくまでも早春の花姿。どのスミレも初夏には大体こんなことになってます。いえ他意はありません。

 

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 さて月居山。三角点のあるのは南峰です。かつてはこんなところにお城がありました。佐竹氏の移封とともに廃城になったのですが,幕末の水戸藩内紛でも戦場になりました。

 

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 このギンランはいつからここにあるのだろう。

 

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 帰りは鞍部から一直線に滝のあたりまで下りる道を辿ったのですが,傍らにイカリソウが咲いてました。

 

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 本当にサプライズ。自然を歩くとたまにこういうご褒美があります。

 

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 ヤマフジが盛りに。

 

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 ラショウモンカズラ。この花を羅生門で斬られた鬼の腕に

 …… てのは前にもご紹介しましたか。

 

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 ちょうど昼どき。大子の町の,これもご紹介済のDAIGO-CAFEでご飯です。オムライスがすっごくおいしかった。


 このあと調子に乗って八溝山の山頂まで車で行って絶景を楽しんで,渋滞が始まる前に帰りました。図らずもまたまた大子フルコースの一日でした。

 

 

 

↓ ご参考に過去記事リンク

2019年11月4日,袋田の滝の紅葉情報 - ジノ。

大子観光フルコース(ちょっと片寄る) - ジノ。

茨城のスミレ - ジノ。

茨城県北芸術祭5 最終回 大子からガルパン聖地を経て袋田の滝へ - ジノ。

 

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