大子だいごあたりに連れてってくれ,とのリクエスト。ようがす。
穏やかに晴れた日曜日,私にはおなじみの国道118号を北に向かいます。私なりの(たぶん少しマニアックな)大子フルコースを考えました。
八溝山
私にとって大子と言えば八溝山。私のブログでおなじみの茨城県最高峰。頂上まで車で行けちゃうので,人をもてなすには最適です。
ところが,道幅が広い腐沢くされざわの新道が災害復旧とやらで通行止めになってました。仕方なく狭くて曲がりくねった蛇穴じゃけちからの旧道を行きます。ところどころ車一台ぶんの幅しかないので緊張しながらの登りです。
山頂。
いかにもなセンスの展望台を笑わないでね。ここに登っているあいだは「茨城で一番高いところにいるやつ」です。
雨上がりで空気が澄んでいました。360°大絶景です。
那須のお山がすぐ近くに見えます。
遠く筑波山。
北には磐梯山も見えました。
高原山も。
男体山越しに白く光るのは鹿島灘。こんな海まで見える視程の日はめったにありません。写真では不鮮明ですが双眼鏡では水平線上に鹿島工業地帯の煙突も見えました。
ああ堪能。眼福の極みでありました。
奥久慈シャモ丼
山から下って11時半。昼どきです。人を連れてくるときはいつも大子の町うちでシャモ丼をいただきます。
有名店で開店後30分という一番人が動かない時間帯です。待つことも味のうち。
30分待って入店,シャモ丼のいいやつを頼みました。1800円+税。普通の昼食に千円以上かけるなんて私の生活ではあり得ませんが,観光地に人を連れてくるとなると気も大きく。
奥久慈シャモ,というブランドです。コリコリとして美味。鶏がらスープも美味しゅうございました。ごちそうさま。
旧上岡小学校
腹も満ちたところで今日一番マニアックな場所へ。大子町は古い小中学校の校舎を保存していて,それが映画やドラマの撮影地になっています。中でも良く知られたのがこの小学校。前にもご紹介した,私には劇場版ガールズ&パンツァー(最初のやつ)のロケ地として思い入れの深い場所です。
なんと郷愁あふれる木造校舎。ガルパンではこれが大洗磯前神社の裏にあるという設定でした。
校長室を生徒会長が使い
放送室では風紀委員の3人が折り重なって
全員集合した講堂
学園艦を追い出された戦車道のメンバーたちがここで共同生活をするのですが…… よく考えたらメチャクチャな設定ですね。学校がなくなったら普通家に帰るだろうって。親は何をしてるんだって。…… まあそれ言ったらこの作品の基本設定からしておかしいですけど。でもとにかく,あの映画で一番泣けたのがここの一連のシーンでしたね。
私は小学校1年までこういう木造校舎でした。
袋田の滝
さあ最後のシメはやはりここ。
多くは語りません。今までたくさんの滝を見てきたけど,これを凌駕するものはありません。スケールといい,周囲の自然とのマッチングといい,訪れた人に与えるインパクトの大きさといい,まごうかたなき日本一の滝です。もしまだおいでになってないという方,絶対に失望させませんので「死ぬまでに見たい絶景」に加えておいてください。
帰りに名物の刺身こんにゃくを買って大子町フルコースは終了です。もちろん個人的には「石拾い・パンニングフルコース」とか「自然観察フルコース」とかいくらでもハードに設定できますが,車でソフトに観光っぽく巡るコースとしたら私ならこんなものです。これからの季節ならリンゴ狩りも加えていいでしょう。
茨城県大子町。夢で見た桃花原のような,私の魂のシャングリ・ラです。
最後に…… 資料を見ていたら,大子町の町長が「高梨さん」なのを知りました。
おや,と思い当たるフシが。たしか八溝山頂にある八溝嶺神社の神職がそういう名でした。代々八溝山の中腹にある屋敷に住まい,神事を取り仕切っていた一族です。調べてみたらやはり八溝山に関わりのある方で,今の八溝嶺神社の権禰宜ごんねぎだそうです。間違いなくかの一族の方でした。
そういう人が請われて町長を引き受ける。古い伝統を大切にする人々の住まう町,と解釈してよろしいのでしょうか。ますます大子が好きになりました。
↓ 大子・袋田の過去記事です
茨城県北芸術祭5 最終回 大子からガルパン聖地を経て袋田の滝へ - ジノ。