今日は休日。良い東風が吹いて,日差しは暑いのですが涼風が家の中を吹き抜けます,クーラーが要らないほどに。風の通り道に椅子を出して文庫本を開けば,ずいぶんとはかどります。こんな日は一歩も外出したくないのですが,庭が荒れ放題なのでのんびりもしてられません。
やりたい放題のスイカズラとクサボケを切って,地を覆って繁茂するコニシキソウやスベリヒユに鉄槌を下します。
大汗かいてふと気づけば「三角地帯」のオトギリソウが盛りを過ぎてました。
三角地帯についてはいずれまとめて。この庭のひと隅,ブロックに囲われた一角がなぜか突然珍植物の出現する異空間なのです。コスミレ,アマドコロ,ヘビイチゴ,カラスビシャク,ススヤアカバナ……ワープホールでもあるが如き脈絡のないオンパレード。
で,このオトギリソウ。少なくとも半径2キロ以内にこれの自生地を知りません。種子は主に親株の根元にこぼれダネ。鳥の羽毛に付いて運ばれるなんて芸当はできないはずなのに,突然ここに現れました。
存在に気付いたのは2015年。独特の対生する葉に黒い油点が散在するのでそれとは知れましたが,いや待てよなんでこんな住宅地にオトギリソウ,と戸惑ううちにさっさと開花して堂々と自己主張。
日当たりが決して良いとは言えないこの三角地帯に,黄色い星が舞い降りたように見えました。これで私,一目ぼれ。以後何かと手をかけています。第一印象でここでの地位を勝ち取ったのですから大したものです。
弟切草,とは不穏な名ですが,由来はネットでどうぞ。要するに傷薬として昔から知られているゆえの伝説とネーミングです。この花の愛らしさを損なうものではありません。
他の雑多な植物たちと激しく競合する場所ですが,毎年けなげに開花してくれます。これはミツバアケビに絡まれて引き倒されていた株。葉をダンゴムシに食われながらもなんとか立ち直りました。
オトギリソウ科の特徴は,何といってもこの美麗なるシベ。栽培されるキンシバイ(金糸梅)やビョウヤナギ(未央柳)ではこのシベが強調されてますが,オトギリソウでも十分に見ごたえがあります。
実生の株も増えて,世代交代も順当に行われています。これからも見守っていきましょう。さて。
夏の庭ではコムラサキシキブの小花が咲き
春にアブラムシを追っ払ってやったウメモドキの実が大きくなり
ミツバアケビも順調です。
今週火曜日には立秋です。私の庭も秋の準備がひそやかに進んでました。オトギリソウは晩秋に鮮やかな紅葉となります。その季節をまた穏やかに迎えられれば良いと思います。読者の皆様もこの酷暑を乗り越えて,どうか素敵な秋をお迎えください。