ミュージアムパーク茨城県自然博物館(長いよ)の企画展を見てきました。
休日は予約制になってます。…… は良いのですが,入り口のこの表示。「予約済みの方」の対語が「お困りの方」って。
というわけで苔展。
前も苔展ってあったよね?とよく見たらポスターにNEWと小さくありました笑。
コケ展の難しいところは、現物を展示しても生時の瑞々しさが失われた乾燥標本になってしまうことです。これでは野外で見るコケの,生気をはらんだ緑の光を放つさまが再現どころか片鱗もうかがえません。さあ今回はどうしたか。
樹脂封入標本。収縮していて乾燥標本と大差ありません。しかもコケって小さいんですよね。近寄れない展示だと,小さすぎて何だかわかりません。現物の展示は絶対に必要ですが,これはまだ展示方法に一考の余地があると思います。
映像展示はものすごく手が掛かっていて,小さな神さまの目を借りたような映像でした。これ撮るの大変だったろうなあ。
どかーん。前回は展示してあった大面積の苔シートが乾燥気味で、あまり感銘は残りませんでした。でも今回は苔ウォール。ちゃんと水が供給されていて、コケの美しさがよく伝わる渾身の展示です。
苔ウォール部分拡大。ハイゴケの姿が見えます。
同じく現物の生体展示,ミズゴケ。すごく状態がいい。
コケのテラリウムもステキでした。私のブログの読者「旅ねこ」様がご自身のHP「石と多肉植物」でおやりになっているような情景を,自分でもメノウと苔でやったら面白いかなとか思ってみたり。定年になったらやりたいことが増えました。
コケの森に住む者と言ったらやっぱりこれ,クマムシ。売店にぬいぐるみがありました。
以前に御岩神社の記事でご紹介したコケの森のキノコ,ヒナノヒガサ。
わあ,なんか充実したコケ展でした。そういえばコケの勉強をしばらくサボってる私です。少し腰を据えて苔の世界に入り込んでみよう。
で苔展のお話は終わりなのですが,水戸からはるばる坂東まで来たのにはもう一つ目的がありました。コレです。
すごくすごく楽しみにしていた毒展。8月の休みに行こうと思っていたら,その8月の緊急事態宣言で博物館は休館,そのまま予定されていた会期が終わってしまったのです。行けず仕舞いで大いに落胆した私ですが,私同様に惜しむ人が多く,何よりも準備に何年も費やした担当学芸員の皆さんの熱意で,手許に残った標本や模型をホールの一角に展示することになったようです。
「生き残った毒展」だって。このセンスだけでも見る価値はあります。
能書き。読んであげてください。
当時の会場の様子の映像記録。学芸員の皆さんの無念やいかに。
有毒動物の模型。植物のもありました。本来の会場で見たかったなあ。
会期を延長すればいいじゃん,と思われますか。いえいえ,企画展の展示物のかなりの部分は借り物なんです。前もって貸借期間が決まっていて,こちらの都合でほいほいと延長できるものではない。それに延長したら次の企画展にまで影響してしまいます。テーマ選定に始まって準備に数年を費やす企画展は小回りが利かないのです。
コロナ禍で悔し涙を流した人はあらゆる分野におられるでしょうが,この毒展の準備に奔走した皆さんの悔しさも相当なものだったでしょう。本当に,この国のあちこちに大きな爪跡を残した新型コロナ第5波でした。
↓ いつもすいません。