ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

自由とは青空の下の石拾い

 

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 朝6時に家の者を水戸駅まで送ってきました。これで今日のノルマはおしまい。残り一日,いえ明日までぜんぶ自分の時間です。

 

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 思えば9月からこっち,土日フルで休めるということがなかった。何かしら誰かの用事があって,いつも時間を気にしながら動いていました。今日明日は何もなし。何だったら家に帰らなくてもいい。ああ,成層圏に吹くの風のように自由だ。さあ何をしよう。

 

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 まずは海へ向かいました。水戸から見えたこの雲は太平洋上に浮かぶもの。この雲を目標に車を走らせます。長い一日の始まりでした。

 

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 朝の海ざざーん。

 

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 干潮までまだ間があるので,こんなお道具を出してみる。リング状のネオジム磁石にタコ糸付けて,綿棒の空ケースに収納しています。それを砂の上に置くと

 

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 ぞぞぞっと。砂鉄がまるでウニのトゲです。これで今日の目的の一つ終了。実験用の砂鉄が欲しくなったのと,以前からこの海岸の砂の黒いところが砂鉄であることを確かめたかったのです。

 

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 こんな感じ。たぶん風に吹かれて,重い砂鉄が集積しているのかと。よそは存じませんが,茨城県北部の海岸には所々に砂鉄で黒くなった海岸があります。後背に連なる阿武隈高地が,とても鉄分に富むんです。

 

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 拡大。黒い磁鉄鉱に混じって赤や緑の粒が見えるんだけど,ひょっとしてこれざくろ石やかんらん石? パンニングしたのと同じ効果で,比重の高いものが集まっているのかもしれません。

 

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 海はいいなあ。波音はいいなあ。

 

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 さて潮も良し,玉砂利を踏んでみましょうか。この画面の中にもう二つ三つ拾いたいのが見えてます。

 

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 メノウだ!

 

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 これは…… オルソクォーツァイト系のものかな。でも透明感がいい。

 

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 メノウ!

 

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 オルソ!

 

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 これは……

 

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 真っ赤な等粒状結晶が集まってます。何だろう。

 

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 黒メノウ! ちゃんと赤い部分や晶洞もあります。

 

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 なんて調子よく見つけながら歩いていたら,… すいません,これなんスかあ?なんかキモチ悪いんスけどお。

 

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 周辺で大きさ違いの相似形を見つけて,およそのアタリがつきました。これ脊椎骨です,たぶん。

 

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 初めて見る物ではあります。でもこの写真の背後にやはり相似形のものや肋骨が写りこんでいます。

 

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 そして本来の持ち主を見つけました。

 

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 あごに歯の付いていた跡。歯クジラ,というかイルカです。

 

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 頭の上に鼻の孔があるのがこの類の特徴。たぶんまるまる一頭が打ち上げられて,ここで食われたり腐ったりして骨になったと思われます。なんて頭蓋骨を持ち上げながら想い馳せていたら,ぷんと異臭が。ぐわあ,わしこの匂いダメだあ。

 

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 気を取り直してまた黒メノウ。

 

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 ちゃんと晶洞と縞模様あり。でも持ち帰るほどでもないかな。

 

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 ハマグリ。

 

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 その天敵ツメタガイ。

 

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 シロスジフジツボ。枯れ野に咲く花のような美しさがあります。

 

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 適当なところで折り返すのですが,往路の自分のジャングルブーツの跡が,その時々の自分の迷いとか驚きとかをそのまま砂に刻んでいました。心の記録を取られていたようで,少々バツが悪い。

 

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 誰だ,この寒いのに裸足で歩いていた馬鹿は。

 

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 なんて見ながらさっきの玉砂利の場所まで戻ったら,潮が引いたのと目が慣れたのとで,見過ごしていたものが次々と眼前に。いや,持ち帰り分はもう十分だから。

 

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 いかんいかんいかん,見たものすべて持ち帰ったら家族会議だから。

 

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 おお純白。

 

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 細かい石英の結晶が集積しているような…… いや,だからもう要らないんだってば。

 

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 あああああああ。

 

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 なんて葛藤してる間に干潮時刻は過ぎました。冬の昼間の干潮は一瞬です。

 

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 断腸の思いでこれだけに絞りました。脊椎骨は造形が面白いので何かのモチーフになるかと。4時半起きだったのでもう腹が減ってます。本屋さんにも寄りたいし,少し早めの昼食にして,次のフィールドに移動しましょう。


 そして来ました富岡橋。バケツ一杯のお供物を持ってきてあります。ほとんどが白い玉髄ですが,赤い縞模様のも混ぜときました。私の記事を見ておいでになる方のために。ええ,偽善者と言ってくれて結構ですよ。

 

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 河原の隅にごっそりと石が捨ててありました。明らかに,メノウ拾いに来た方が帰り際に荷を軽くしていったものです。目につくものを片端から拾われたようでほとんどが大理石や石英の類ですが

 

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 珪化木も捨ててありました。採れすぎたのかな。


 缶コーヒー飲みながらのんびりしていたら,ロードバイクで来た方が河原にその自転車を横たえ,ヘルメットを被ったまま石拾いを始められました。ここもすっかり有名になり,休日はひっきりなしに人が来ます。頃合いを見て話しかけたら,何とつくばから自転車転がして来たとのこと。ここまで。うわあ責任重大。さっき私がばらまいたうちの大きいのをさっそく拾われていました。白い玉髄だけでは申し訳ないので,手持ちのメノウからお好きなのをおひとつ,と見せたら海岸産の丸く色の濃いのを選ばれました。そう,今朝海岸で拾っていたようなメノウです。わけを聞いたら,何と石を削ったり磨いたりするのが趣味なので内部まで色の付いているのがいいと。へええええ。旅ねこ様以外にもおられるんですねえ,石を磨く方が。アゲートサンダー氏と呼ばせていただきます。


 サンダー氏が去ったのを見届けて,私も次の場所に出発です。どこへ? まだ見ぬ未来に向かってだ!(久しぶりに出たよこのネタ)


 着いたのは玉川。そうですこんな目出たい日です。ワタシ的に今一番アツい玉川メノウを拾わんでどうする。…… ところが数日前の豪雨の増水がまだ続いていて,思うように拾えませんでした。水かさが多いと,水越しに見やすい白いのばかりを取ってしまうんです。それでも面白い場所を引き当てたようで,これまでにないタイプのものが採れたような気がしますがクリーニングしないと何とも。次の記事でご報告します。もう夕刻です。

 

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 一日の最後は,某店舗の屋上駐車場から夕景を。巨大劇場のステージのように壮大な茨城の空を見上げるうちに,陽が筑波山の右肩に沈みました。ん? 冬至までは位置が南に,左にずれていくわけで,ひょっとして「ダイヤモンド筑波」が見られたりして。電線のないポイントを探してみよう。

 

 


 日の出から日没まで,青空の下たっぷり自由を楽しみました。風花のようにあちこちへ,心のままにフィールドを巡った一日。いろんなものに感謝したい気持ちになりました。さあ明日は何をしよう。

 

 

 

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