いろいろご覧いただきます。ちなみに石の名前は便宜上の仮称笑です。
大皿2つから
これだけピックアップ。
その1 氷塊
以前の「雪白」と似た、厚みのあるテーブル氷山みたいなメノウ。わずかながら縞模様があるのでメノウと呼ばせていただきます。写真では立体感を出せなくて歯がゆいのですが、この手前に三角形に突き出たところがカッコいいんです。無理やり例えると、南米ギアナ高地・ロライマ山の舳先へさきみたいに思えます。
で、蛍光するんだなあこれが。さながら黎明の空の如く。
その2 ぶくぶく
これ、採取したの6月なんだけど今まで放置でした。大きさは子供の握りこぶしくらい。厚みのある6面体で、その一面がぶつぶつしてます。
成因はたぶん、熱水から固化したメノウがまだ固まらぬうちに下からガスが湧き上がって抜けて行ったのだろうと。ぶくぶくと。
ただ他のメノウの産状も考えると、ガスはそのまま抜けて行ったのではなく先端にバブル状のふくらみを作って止まったかもしれません。ここには当初薄皮の小さなドームがたくさんあって、それが川流れのうちに削れて孔が露出した、そんなことじゃないかな。
割れたドームの皮に同心円模様が見えます。
その3 型押し小
だんだん目に付くようになった型押しメノウ。晶洞内に先に結晶した鉱物の形が、あとから晶洞を埋めたメノウにその雌型として写し取られたものです。凹の形や大きさが揃っていて、場合によっては結晶表面にあった条線まで判別出来たり。
これは薄く小さいものでした。川に流されながら、よく残ったなあ。
その4 型押し大
同じ型押しですがこれはデカい。長径12センチあります。当初ガスが抜けた「ぶくぶく」かと思いましたが、クリーニングしてよく観察したら結晶形がありました。
これが産状。田んぼのあぜにはまってました。泥だらけだったのを軽く洗って元通りに置いた演出写真ですけど。
どういう鉱物の結晶だったのだろうか。
ちゃんと晶洞もあって、見てて退屈しません。ちなみに2のぶくぶくからここまで、蛍光は発しませんでした。
その5 もこもこ
強烈な印象です。全体に晶洞内面のドーム状のもこもこから成っています。
ただ、よく見ると2つのパートに分かれます。手前の平面状の、ド-ムが大きくなだらかで内部が密の部分と、奥のごつごつした、小さく突き出た中空のドームからなる部分。
蛍光の発し方も違います。
思いますに、手前のなだらかなのは熱水が緩やかに滴下して塗り重ねるように固化していき
奥は上のぶくぶくで推論したように、ガスがまだ柔らかいメノウをドーム状に膨らませたもの。たぶん生成時期が少しズレて、成分も違うのでは。
この異形感がたまりません。
その6 ボコ
さあ問題のが残りました。何が問題か、この写真でわかりますか。
これは本当に、実物を手に取って見ていただきたいものです。表面に、鍾乳石のように滴下しつつ固化した感じの波型模様があるかと思います。
問題は、それがすべて凹型、アイスクリームの表面をスプーンですくったようなへこみなんです。こんな形が自然にできるなど、力学的にあり得ません。
これは以前にお見せしたものです。このように、外に丸みを帯びて膨らんだ形に固まるのが自然。この形にへこむなど説明不能、まさに悪魔の所業です。さてどう説明しよう。
ヒントになるのはこの部分。ここに紫外線を当てると
かさぶた状に光る部分が現れました。つまりこれは成分が違う。
ではこのふちのところを
わお。もこもこした部分が光り、それに接した外側が光りません。もしこれを分けて、それぞれの表面を見たら……
こう推論しました。
① 晶洞内に最初のメノウが固化する
② 時間を置いて、成分の違うメノウが晶洞を満たす
③ 母岩が崩壊する過程で、分離する
… つまりこれはメノウが型押しされたメノウである、というのが私の結論です。ああシロウトだから何でも言えるってのが楽しいぞ。
とにかく珍しいものを見ました。珍しい、は私にとって美しいと同義です。
あらゆる自然物と同様に、石には同じものが1つとしてありません。それぞれに違って、いろいろあって。きっと、それが大事。
↓ ま、それはそれとして。