以前にほのめかした県職員への就職の話ですが、結局は不採用になりました。このブログは備忘録ですので、読者さまには面白くもなんともないお話ですが、事の顛末をお伝えいたします。ズレた自慢話とも、負け惜しみとも、どうかご自由に。
2月某日(X日とします)
大学の先輩で定年退職後に県の環境部門で働いているS氏から突如電話がありました。「ねえ、ヒマしてるならうちで働かない?」もちろんこれだけなら他のお誘い同様お断りしてました。ところがすぐに電話口がT氏に替わりました。「どうだ、オレの仕事を手伝わねえか?」…… このT氏というのが、とんでもない伝説だらけの大人物です。学生時代に八溝山の山頂からつくばまで百キロを地図上で一直線になるように山も川も踏破して帰ったとか、免停を食らって長距離の車通勤ができなくなったので上司に内緒で勤務先の宿泊室で暮らしたとか、とんでもない武勇伝に包まれながらその大器で出世もしてしまったという、五つほど年長の、私が認めるところの大親分です。私がヒトに付くなんて珍しいことだと思ってください。とにかくこの方には逆らえない。その人を電話口に出すとは、なんて卑怯な勧誘でしょう。考えさせて、とこの時は返事を留保しました。
X+3日
考えました。でも決断するには情報がなさすぎます。お二人の人間関係のみで迫る、言い換えればテキトーな説明では実体が掴めません。県のホームページを見ても全体の求人にそんなものはありません。どうやら部署ごとに採用のアルバイトみたいなものと理解しましたが、とにかく現場は見たい。S氏に見学させてくれと連絡すると、四日後に県庁に来いと。
X+4日
その翌日の散歩中、S氏からTEL「今から来ない?」。え、昨日の約束どうなったの? 本当にテキトーな人です。慌てて県庁に行くと、案の定面倒くさがりのS氏はバックれていてT親分だけがおられました。ようやくここで具体的な仕事内容が知れました。まあ私ならなんとかなりそうな業務ですが、では私が引き受けた場合の手続きは? これがまた親分の説明がさっぱり要領を得ない。見かねた周囲の方が教えてくれたのは、ハローワークに行って紹介状をもらう、履歴書を書くという手順。えええ、本当の就職じゃん。
X+5日
これはきちんと説明を受けねばと翌日も県庁に行って、受付でこの求人の説明をいただきたいのですが、と相談するとあちこち電話してくれて、結局昨日と同じ部屋に通されました。急なことでご迷惑を掛けましたが、さすがに優秀なきちんとした係の女性が応対してくれました。で、何とこれは正式な県職員のパート採用枠でハローワークに求人票を出してあるとのこと。うわあ手順を飛び越して突撃してしまった。悪いのは先輩方のいい加減な説明です、お許しを。ハローワークの紹介状と履歴書(手書き)、職務経歴書を郵送せよとのこと。その足でハローワークに行って求人票のコピーと紹介状をもらいました。履歴書は下書きを書いてあったので見てもらい、合格点を頂きました。それと気になる情報、他にも応募者がいると。えええ競争は嫌だよう。
X+6日
送り状を添えて、速達で郵送しました。
X+ 10 日
面接の日程が通知されました。
X+ 14 日
面接。滑らかにソツなく話せました。いい感触だと思えました。
X+ 18 日
図書館にいる所に電話が来ました。「残念ながら今回は……」
不採用。結果は一つ、仕方ございません。
枠は一人でした。何人応募したかは教えてももらえません。もちろん不採用の理由もわかりませんが、① もっと優秀な人がいた ② 面接の応答に問題があった ③ ブログの悪口がバレていた笑 まあ①でしょうねえ。それも含めてぜんぶ自業自得です。その意味で文句はありません。
それにしても、です。ご存じのように再就職する気はまったくないのです。ところが状況に流されるうちにその気になっていた。先輩方も人事権ないままに煽って下さいました。最初の電話からおよそ3週間、すっかり生活が乱れました。心の中に湧いてしまった「仕官する自分」という妄想をいかに消すか、情けなくも狂おしい。我を失い、人に振り回された日々でした。
何も失ってはいません。むしろ自分を見返す良い契機になった気がします。これまでも傲慢な人間と思われぬよう気は遣って来ました。コンビニのレジの女の子にも道を通してくれた道路工事の交通指導員さんにも頭を下げて礼を言います。でもそれが傲慢と自己満足ではなかったか。
私は甘やかされた社会人でした。大学を出てそのまま新卒採用で定年まで勤務。ハローワークを視察(!)することはあっても利用者になることはありませんでした。だからきっと何を言っても「上から目線」になります。それを承知の上で言わせてください。…… 今回の一件は大いに学びになりました。世の中で働いている皆さん、スーパーのレジ打ち、小さな会社の営業職員、トラックの運転手…… みんなこんな面倒な手順を踏み書類を書き頭を下げて職を得ているのか。時にプライドを傷つけられ、時に悔しい思いをしながら、それでも働くのか。その労働への感謝の気持ちを忘れてはならないと思いました。これからは世に出会うすべての人に、よりていねいに接していきます。ザ・ブルーハーツの歌でも口ずさみながら。
↓ 今回は特に関連記事というものもないので、このあたりで。
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