このポスターに魅入られました。
常陽史料館、今期の企画展は「道祖土昌男さいどまさお展」。水戸市在住、笠間に窯を持つ、陶芸をベースに作品を制作する美術家の先生です。ポスターの写真からすぐに理解しました、異形の小さきものを表現なさる作家だと。これは 90 ミリマクロレンズの出番であると。
作品はいずれもミニマムです。例えばこのウニウニと楽しげなものは
こんな大きさ。小さきものにこそ真理は宿る、といつも申し上げる私の感性に共鳴しまくりです。ぜひご紹介させてください。
カタログ写真は私の本意ではありませんが、会場の様子や作品の全体像を少しだけ。
ここから私の視点でのご紹介になります。レンズが私に撮らせた写真です。例えば入り口にあるこの作品は
私の目で見れば
どんどん近づいて
こうなります。どうかそれでお楽しみいただければ。
道祖土と書いて「さいど」と読む、珍しいお名前です。ご本人は東京のお生まれですが、埼玉や神奈川に多い姓だそうです。
道祖土先生が作品中によく使うモチーフはハート形。優しくかそけき生命の象徴として。日本古来の文様名「猪目」にも言及しておられました。
ただ拝見しているとお好きなモチーフはほかにもあります。「くちびる」と「目」も作品中に出没し、何かを語り何かを訴えてきます。
抽象のものたちが踊る姿はパウル・クレーの絵を想起させます。実際に先生もお好きな画家だとか。
地階の展示室の暗さにはいつも苦労しますが、手ブレも味ということで。
道祖土先生にはいろいろとお話を伺うことができました。
美大卒業後、世界各地で修行を積み 1978 年に笠間に窯を構えました。ずっと創作を続けてはおいででしたが、家族のために器を焼き長い時そちらを生業としていたと。そしてお子さまが自立し、長年連れ添った奥さまを十年前に亡くされ、今は創作に専念しているのだと。
そんなお話を淡々と語られる先生のお顔には、人生そのものの軌跡であるかのような深いしわが刻まれています。私ごときにはただ想像するしかありませんが、異界の風景を幻視する感性を持ちながら、現実世界で正しい苦労を重ね戦ってきた方だと思いました。そんな芸術家の作品に深みがない訳はありません。
いかがでしたでしょうか、道祖土昌男展。どアップ写真ばかりで申し訳ありませんが、レンズがこう撮れというのですから仕方ございません。決して作家先生や学芸員さんの視点でないことをお断りし、お詫びいたします。ぜひ実物をご覧ください。会期にはGWも含まれますが休館日にご注意を。
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