ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

森の奥にたたずむ者

        【虫・クモ・ぬめっとしたものの写真あり】


 3日間、水戸に南風が吹き込んで気温が上がるそうです。予想で 35、38、35 ℃。


 やってられるかー。そりゃ 40 ℃超えるところもあろうけど、水戸は日本一湿度の高い県庁所在地なのだ。すげーと思うけど本当に夏の3か月間はそうなのだ。そしてこの最も予想の高い2日目は「駅までさんぽ」の日です。炎天下を歩く。いや死んじゃうって。

 

    
 というわけでその日私が立っていたのは、木漏れ日のきらめきと、涼やかな風と、ギーギーうるさいエゾゼミの声と雲のようにまとわりつく小バエどもに満ち満ちた夏緑の森。そうですまた性懲りもなく花園に来てしまいました。三つ前の記事のシャクジョウソウを確かめるという言い訳で理解してください。

 


 苦手な方もいることとて、虫写真を最初に並べちゃいますね。この季節、森ではクモの巣を払いながら進むことになりますが、行く手に子グモが群れ付く小さな網がありました。そーっと避けて通ります。

 


 漫画のような展開でした。帽子のつばから大きなクモがスーッと降りてきたんです。子グモの親だったかも知れません。どちらにも恨みはないのでそっと落ち葉の上に。

 


 大ケヤキを見上げていたらぶーんという羽音と共に甲虫が飛んできました。クワガタに見えたので手でたたき落としてみたらカミキリ。超・普通種のノコギリカミキリです。分け隔てなく虫に接したい私ですが、思い込みが災いしてなーんだとか思ってしまった。ごめん。これでケチがついたか、帰路に寄った湿原で柳の木に黒い虫がいるのをまたクワガタと思い苦労して網に入れたらば

 


 またノコギリカミキリ。どうも虫の神さまに嫌われたらしい。

 

     
 一般の方が「ブユ」と呼ぶ小バエの大群も凄まじいものでした。大ケヤキの写真を撮ろうとコンパクトカメラを構えると、レンズにまで取り付いて視界に黒い影となって参加してきます。仕方ないのでカメラに蚊取り線香を近づけて追っ払う羽目に。

 


 サルナシが落ちてた。唱歌「ふるさと」の「コクワ」です。食べごろはまだ先。

 


 なんて余技に手数を取られながらも本題は忘れません。ぬかるむ斜面を歩き、あの「シャクジョウソウ」の場所まで来ました。さあ開花してるかな? わくわく。

 


 あった…… けどなんかおかしい。期待していた姿じゃない。シャクジョウソウじゃない。

 


 これはラン科だ。…… とにかく写真を撮りまくって、帰宅後にいろいろ検討してみました。結論は「オニノヤガラの花茎が開花できないまま朽ちかけている」です。ネットでほぼ同じ姿の写真を見つけました。オニノヤガラというのはラン科の腐生植物で、キノコであるナラタケ菌と共生することが知られてます。普通はまっすぐ伸びて大きいもので高さ1メートルにもなり、先端に黄褐色の小さな花をたくさん開きます。でも時に森の風に愛されないものがあって、開花せずに朽ちてしまうのだという。その不運はともかくとして、初見の出会いとなるはずのシャクジョウソウではなく、希少レベルで言うとだいぶありふれたオニノヤガラでした。


 がっかり~ がっかり~ がっかり~ がっかり~~~


 結論はあくまで帰宅してからでしたが、現場でもまた自分が失敗したことは理解しました。ああ最近フィールド運がないなあ。ハズれの時というのは何度経験してもうなだれてしまうものです。少しうつむき加減で歩を進めておりますと、木漏れ日をバックに、ぐずぐずと足が沈む腐葉土の上に何か赤黒いものが立っていました。

 


 こ、これはツチアケビ

 

    
 ゆっくりと陽射しが動いて、森に浮かぶ火の精霊のように赤い実のさやが輝きます。オニノヤガラと同じラン科の腐生植物で、決して希少種ではありませんが出る場所の予測がつかず、出会えば嬉しいものです。なんか森に気を遣われたような。

 


 うん元気が出ました。やはり夏の夏緑の森は見るべきものがあるのだ。

 


 今年初めてのタマゴタケ。暗い森でなぜこの色彩をまとうのか知らず、ただ見惚れる深紅の傘。何百枚撮っても見ればまたカメラを向けてしまうという、たぶん私はこれに魅入られてます。

 


 イタチタケ。頭を小バエに舐められてました。カユくないのかな。

 


 スライムがあらわれた! 倒木の枝から垂れ下がり、不気味な粘液を滴らせています。あれに触れたら私もスライムになってしまうに違いない。…… たぶんシロキクラゲ類のキノコで、老成して雨に打たれて形象崩壊したものだと思います。胞子を含んだしずくの中に映る森が、まるで夢の風景みたいに見えました。

 


 呼び止められました。しばしその声の主に気付いてやれませんでした。朽ち木に生える径数ミリの微小なキノコ。気を落ち着かせていねいに、露出・ピント・ライティングを考えてシャッターを押しました。忘れてはいけない、私は珍種を見つけて名をあげるのではなく、こんなこの世界の人知れぬ構成要素たちを皆さまにご紹介したい、そのためにカメラ機材を担いで森を歩いているのです。

 


             奇景・絶景は身中にあり。

 

 

 

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