ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

「瑠璃の宝石」5話胸アツ海岸メノウ

 


 石好き必見のアニメ「瑠璃の宝石」第5話は、前半が海岸でのメノウ探しでした。オープニング映像にメノウらしき絵があるのでいつか、と楽しみにしておりました。そうか5話目で来たか。作中、メノウ探しが終わったところで、なぜ見つけたメノウの一部しか持ち帰らないのかと尋ねる主人公に、彼女を教え導くメンターの役どころである「凪さん」は答えます。


 鉱物は私にとって手段だ。必要以上に持つことは考えていない。
 石を使って何を研究するかが大事なんだよ。


 …… 新しい石を発見した時に私は考える。
 どうしてこの石がここにあるのか。ここにある理由はなんだろう。
 この石は私たちにとってどんな意味があるんだろう。
 既存の理論の正しさを証明する補強材か。新しい理論を生み出す種か。
 手に入れたことから生まれる疑問や現状の理論の答え合わせ。
 それらを解決するたび、私たちの知識は洗練されていく。
 46 億年かけて世界はどんな風にデザインされてきたか、その記録は石の中だけにある。
 多くの石を通して見れば、世界の実像を正確に結ぶことにつながるはずなんだ。

 私も、その一端を担いたいんだ。

 


 …… 胸が熱くなりました。凪さんよくぞ言ってくれた。玉川で、平磯で、メノウを拾うたびに私も考えておりました。つまりはこれが科学に殉じて生きる者の矜持なのです。それがそこにある理由は何か。考えることで、損得でも名誉でもなく、ただ人類の「知」に貢献することになります。そして生物と地学のフィールドは、誰にでもその謎解きに参加するチャンスを与えてくれます。花や石を見つけることで、私もあなたもこのアニメの主人公も、世界を構成する知識の積み重ねのひとつになります。そして自らもまたひとつ世界を理解するのです。ああ、このアニメに出会えてよかった。

 


 困ったことに、メノウ産地として玉川が名指しで紹介されてしまった。


 それでは私も、おのが知識のために、世界を知るために、フィールドに出ましょう。「瑠璃の宝石」では、川で鉱物を見つけて、その上流を探索して鉱床を見出す、という伝統的、基本的なパターンで主人公は「光のすみか」に至ります。私もぜひ。

 


 すぽーんと晴れた夏の日。先の記事でもお伝えしたざくろ沢でのパンニング。

 


 沢の水は澄んで。ここは古生代から中生代にかけての古い岩石が変成しつつ複雑な地層を成してます。

 


 大きな石英や長石のかたまり、ざくろ石・菫青石・白雲母を含んだ結晶片岩や片麻岩。岩石が好きな方には宝の山でしょう。茨城の地質は退屈しません。

 


 でもパンニングはお伝えした以外にもマヌケな失敗続きでした。ようやく持ち帰った一握りの砂から

 


 磁鉄鉱。とにかく私の知る場所で正八面体の結晶が見られるのはここだけ。

 


 収量はわずかで、しかもきれいな結晶となるとこの程度。

 


 ざくろ石もちょびっと。決して遠慮したわけではなく、穴の開いたサンプル袋を使ったせいです。間抜けの底が知れない。

 


 でもとにかく、私にざくろ石を開眼させた深淵の色は変わらず。

 


 長径5ミリの、ここでは最大クラスのもありました。変成岩中の他形結晶で、よその見事な自形結晶を見慣れてしまうと複雑な気持ちではあります。

 


 さあお次。彩雲に見守られながら川の中でひっくり返ったという、鳴子旅行記でお伝えしたパンニング。

 


 この橋脚をするする降りて、までは良かったんだけどなあ。

 


 採れた砂は、白みの多い造岩鉱物。安山岩とか流紋岩とかいろいろ混じっているのでしょう。

 


 シロートの手に負えるものではなくて、拾い出したのは高温石英と輝石の大きいのだけ。でも私には鳴子のこけしより意味のあるおみやげです。

 


 高温石英。日立のものと比べてもそん色のない形と透明度。

 


 正直言って、私には輝石と角閃石の区別がつきません。ちなみにこれ、鉄の含有量が多いのか磁石に付きました。

 


 さて最後に。実はもう一つパンニングネタがあるんです。

 


 北茨城・花園の森。沢が緩やかに流れ、この季節はジャングルのように多湿でアブ・ブユ・ヌカカ・メマトイといった不快昆虫の巣窟です。私でも冬虫夏草がなければ行く場所ではありません。

 


 ただ行くたびに気になっていたのは沢の川石です。巨大な石英のかたまりがゴロゴロしているんです。生物目的でしか来ない場所でしたが、地質図によればここ花園は花崗岩地帯。巨晶のペグマタイトもあり、かつて存在した花園鉱山では大きなアクアマリンが採れたこともあるという。一度パンニングせねば、と不快昆虫にまとわりつかれながら思いついたのでした。パンニング皿は愛車の基本装備です

 


 で、採れた砂。思い付きで、道路下の沢でのテキトーな採取だったので道の敷石のカケラまで入って、まあロクなもんじゃございません。でもよく見たら…… ねえ、なんか赤い粒が混じってない?

 


 ざくろ石だあ。

 


 コレはかけらに過ぎませんが、その存在に大きな意味があります。それがそこにある理由は。花崗岩中に多面体結晶で含まれるもの、たぶんこの上流に、ざくろ石のボコボコ入った花崗岩の巨晶があるんです。可能性ですが、期待していいと思います。おお「瑠璃の宝石」を地でいく展開になった。実は筑波で大きなざくろ石の産地を見つけたのも、こうしてカケラを探しながら沢を遡って行った結果でした。今回もあわよくば。おおお盛り上がってきたぞ。これです。こういう興奮体験がしたくて、私はフィールドを巡るのです。

 


 それなりに頑張った社会人生活にきっぱり見切りをつけて、茨城というこの豊かなフィールドを歩き回る日々です。風は歌い、雨は語る。こうして自然と交感する今のためにこれまでの人生があったのだと理解しています。失敗だらけの彷徨ですが、どうかこれからもお付き合いください。

 

 


 ちなみに、「海岸 メノウ」の検索でこのブログも表示されますが、日本中に産地があるんですね。正直言って茨城のものはあまり縞模様がなく、見劣りがします。「画像」で拝見する分には北海道や青森のメノウは美しいなあ。いつか拾いに行きたいと思っております。

 

 

 


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