ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

水戸のゲンジボタル/ホタル狩りは採集ではないのです

 

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 水戸には方々にホタルがいます。源氏も平家も。強烈なフラッシュ光を放つヒメボタルは,残念ながら分布しません。


 今年は気持ちに余裕ができたので,一つホタルでも見ようかと思い立ち,ネットでよく見る光る軌跡の写真を撮ることを目標にしました。ホタル狩りを楽しむなら明るく光るゲンジボタル。最後に見たのは二十年ほど前でしたが,先日下見に行ったところ同じ場所に変わらず飛んでいました。カメラを調整して,いよいよ今夜ホタルの写真初挑戦です。


 ここは市内の丘陵地帯,入り組んだ谷の田んぼです。街灯一つない真っ暗な環境がホタル生息の第一条件。カメラを三脚に据え,露出はマニュアル,シャッターはバルブ,ISO感度は見当つかないので現場で調整。

 

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 いきなり一枚目は露出オーバー。ISOの感度が高すぎたようです。

 

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 感度を下げて何とか撮れました。よくあるような一面に軌跡が乱舞する写真がほしいのですが,昼過ぎまでの土砂降り雨の影響で下見の時より数が激減しています。カメラを固定してはフレームに入ってくれないので,パンして追いかけるしかありません。

 

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 うーんいまいち。欲しいのはこんな絵じゃないんだよおお。

 

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 3機編隊。カメラを動かしたせいでタマシイが飛んでくるような写真になってしまった。

 

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 説明しよう! これは三角関係を激写した写真である。

 

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 オスとメスがいい感じになっているところ。心の眼で見れば見える。


 ほぼ失敗写真の山ができてしまいました。やはり初手はうまくいかないものです。今シーズン中に再挑戦しますからね。


 田んぼではカエルが大合唱しています。谷を渡る風はしっとりと濡れてイネの香りを運びます。深い闇が子供じみた感覚を呼び覚ましてきます。ホタルを見るというだけではない,不思議な,そして不気味な夜の感触。皮膚を這うチリチリとした質感は,自然の中に一人埋没してこそ得られるものです。こんな時に,自然豊かな地方に暮らす意味を感じてみたり。


 都会では料亭の中庭で光っていたり,どこからか連れてこられたのが公園の人工山水の中を飛んでいたりするようですが,たくさんの人が大騒ぎする中でホタルを鑑賞して何が楽しいのかと。そんな夜が楽しいのかと。


 ちなみにホタル狩りという言葉,紅葉狩り同様「美しいものを鑑賞する」意味の「狩り」です。闇の中,静かに明滅し視界を流れていく黄色い光。田んぼを渡る湿った夜気。一面のカエルの大合唱。そこにいるからこそ五感すべてに染み渡る耽美な体験でした。

 

 

 

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